星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 23:06:12 JTYe+kK4
Wikipediaにもう少し詳しく書いてあったので一応


作品の特徴

星の作品、特にショートショートにおいては通俗性を出来る限り排し、具体的な地名・人名といった固有名詞はあまり登場させない。
また、例えば「100万円」とは書かずに「大金」・「豪勢な食事を2回すれば消えてしまう額」などと表現するなど、
地域・社会環境・時代に関係なく読めるよう工夫されている。また、機会あるごとに時代にそぐわなくなった部分を
手直し(「電子頭脳」を「コンピュータ」に、「ダイヤルを回す」を「電話をかける」に直すなど)したという。
激しい暴力や殺人シーン、性行為の描写は非常に少ない。このことについて星は「希少価値を狙っているだけで、
別に道徳的な主張からではない」「単に書くのが苦手」という説明をしている。加えて、時事風俗は扱わない、
前衛的な手法を使わない等の制約を自らに課していた。


星新一 - Wikipedia
URLリンク(ja.wikipedia.org)

3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 23:16:26 JTYe+kK4
運メーター


 ここはとある研究室。たった今、エヌ博士が念願の発明品を完成させた所だ。
「ようやく出来たぞ。長年研究してきた甲斐が、あったというものだ」
 人は誰しも、一定量の運を持って生まれてくると言われている。エヌ博士の発明品とは、
人が一生のうちに持ってる運の残量を量るという物で、大きさや形は腕時計とそっくりであった。
そして、ちょうど時計の盤面の所に、針が一本と、時計で言えば12時の所に100、1時の所に90、2時の所に80―10時の所に0と数字が

振ってある。これを腕時計のように巻きつけると、針が動き、その人の残りの運の量を示してくれるという寸法だ。
もちろん、何らかの形で運を使えば、メモリは減っていく。
「ここまで本当に苦労した。思えばわたしの人生、ついていない事ばかりであった」
 博士の人生はこれまで、不幸の連続であった。何をするにも悪い方ばかりに転んでしまうのだ。
博士がこんな物を作ろうと考えたのも、自分の運があとどれぐらい残ってるか知りたかったからだ。
「しかしいい出来だ。これを『運メーター』と名付けるとしよう。どれ、さっそく付けてみるか」
 やや緊張した面持ちで、エヌ博士は『運メーター』を左腕に装着した。すると、針が動き出し、90の所でピタリと止まった。
「こんなに運の量が残っているとは。という事は、わたしのこれからの人生はいい事ばかりというわけだ」
 博士が嬉しそうにしていると、そこへ友人のエフ氏が訪ねてきた。
「やあ、よく来てくれた」
「何かいいものを発明したと聞いてやって来たんだが、一体、どんな物を発明したのかい?」
「それが実にいいものが完成したんだよ。これは『運メーター』といって、付ければ誰でも自分の持ってる運の残量を
量ることが出来る。どうだい、君も付けてみるかね?」
「いや、遠慮しておくよ。自分の運の量が分かるというのも、何か怖い気がするしね。しかし、中々面白い物を発明したな。
これを商品にして売り出せば、儲かるんじゃないか」
「生憎だが、商売に興味は無いんだよ」
「まあ、博士の事だから、そう言うと思ったよ」
 エフ氏は優秀な実業家であった。こういった発明品を商品にしては、大変な業績をあげてきた。
過去にも何度か博士の発明品を商品にしようとしたが、その度に断られていた。
「ところで、博士の運の残りとやらはどうなんだい?」
「それが、結構な量が残っているらしいんだよ」
「それは良かったじゃないか。博士は昔から運のない人間だったからな。これからの人生、きっと幸運な物になるだろう」
 二人の会話が弾んでいるうちに、博士はあることを思い出した。
「ああ、しまった。今日は10時から見たいテレビがあったんだ。すまないが、今の時間を教えてくれないかね」
「今はまだ10時前だよ」
 エフ氏は腕時計を見ながら答えた。
「ありがとう。実はこの前、部屋の時計を壊してしまってね。今日は運良く君がいたから助かったけど、今までのわたしならこのまま

見逃していた所だ。うむ、さっさくいい事が起こったぞ」
「博士は相変わらずテレビが好きだな。しかし、博士のテレビを見る時間を邪魔するわけには行かない。そろそろおいとまするとしよう」
「こちらから呼び出したのに、すまないね。ぜひまた何か発明品が出来たら、遊びに来てくれ」
「そうする事にするよ。それでは」
 研究室を出て行くエフ氏を見送ると、博士はテレビのスイッチをつけた。左腕の『運メーター』の針は、今の時間と同じ9時50分の所を示していた。

4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 23:22:30 PvF8Cn/a
10時のところが0ってことは9時50分ってほぼ0じゃねーか
それだけで運使い果たしたのか博士w

5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 00:02:19 +KS83N/W
博士運なさすぎワロタ

6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 00:04:30 gXSNNsij
2次創作は禁止か……。

7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 00:54:07 xrlMJjzN
森進一っぽいショートショートを作るスレはどこですか。

8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 01:34:55 /DGMDmBT
こんなスレもあるぜ
スレリンク(mitemite板)
数レス使うような長めの作品は向こうに書けばいいのかな。

9:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:27:40 e1IAE1UQ
星age

10:『夢の男』
08/09/16 13:59:52 yEJjhkfU
 女は眠りにつくと、毎晩同じ夢を見た。異国の地で理想の男が現れる幸せな夢だった。
 だが女は悲しみに暮れていく。いつも夢が途中で途切れるからだ。
 それでも女は夢の男を忘れることが出来なかった。
 女は、夢で見る異国の地を旅して回ることにした。
 真新しくも懐かしい印象を与えてくれる異国の地は、次第に女の心を癒やしていった。
 ある時、女は夢の男にそっくりな男を見つけた。勇気を振り絞り男に声をかける。
 話をしてみると、驚いた事に男の方も毎晩夢で見る女の事を探して、異国の地に訪れていたのだという。
「よかった。これで悪夢から解放される。実は私、結婚しているのです」
 その日から女は夢を見る事はなくなった。

11:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 14:56:30 1a01s1x6
100年の恋も冷めたかw

やっぱSSって最後のオチが重要だよなぁ

12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/17 23:43:08 cOYLBe1Q
>>10
ちょw結婚してんのかよwww
男涙目なんじゃ

13:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/18 01:36:30 O2a6MFQ0
良作だね。というか、俺がこんなんなったら立ち直れんわw
しかし……こんな事書き込むのは野暮かと思うが


>>12
結婚してるのは男の方じゃないか?

14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 00:56:10 4RAlJyun
うーんネタ出しで詰まった
改めて星風は難しす

15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 18:55:17 T8YJqcXE
長くするのはいいんだ、短くまとめるのが難しい
あの人よくあんなにショートショート書けたよな……マジ尊敬するわ

16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 19:05:33 uRaV1dRo
分かるぞ、分かる
何か長くなっちゃうんだよね
かと言って削ると意味不明になるし
短く纏めるのって一番難しいよなー
オチも思い付いた時はイケる!と思っても書いてる内に…… orz

17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 22:18:06 2HcOYI39
なんだ、やっぱりみんな書いてみたことあるんだなw
そして、実際に作って初めてその難しさを知る……
あのクオリティのものを千編とかマジでありえんわ

18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/20 17:29:24 SZhRF4iw
エヌ博士は長年の研究の末に、ついに死者を蘇生する装置を開発した。
「博士、おめでとうございます。やりましたね!」
「うむ……しかしな、動物実験では成功したが、実は人体実験がまだなのじゃ」
「ええっ?」
「医者や坊主の知り合いはおらんし、都合の良い死体が転がっているわけでもなし。
 どうじゃ、助手君。いっぺん死んでみてはくれんか?」
助手はその日の内に研究所から逃げ出した。

それからもエヌ博士は、妻や子ども達、数少ない知り合いに同じ提案をし続けたが、それを受けてくれる人間は現れなかった。
勿論、かかりつけの医者や坊主も、人体実験のために死体を分けてくれる訳がない。
「……誰も、わしの発明を信用してくれん。こうなったら、わし自身で実験をするしかない」
エヌ博士はそう決意するしかなかった。

エヌ博士が自分自身を実験に使う上で、ひとつの問題点があった。
「わしが死んだら、誰が装置を動かすのじゃ?」
装置は非常にデリケートなもので、スイッチを入れてそのままという訳にはいかない。誰かがとても複雑な数値を計算し、更に複雑な装置の操作をする必要があった。
「助手は全て逃げ出してしまったし。……そうじゃ、ロボットにやらせよう」
その日から、エヌ博士のロボット開発が始まった。

それから十数年後。エヌ博士はついにロボットの開発に成功した。
「XX新聞です! 博士、世界一精巧で頭の良いロボットを作り上げたというのは、本当ですか?」
「そうじゃ。自分で考え、動く事ができる」
「ということは、これからロボット工学の新たな時代が拓けるという事ですか?」
「そんなレベルの話ではない。じきに、もっと凄い技術をお目にかけよう」
エヌ博士は一躍時の人となった。

「では、私はこの薬で死ぬ事にする」
<ハイ、博士>
「後の事はわかっておるな?」
<ハイ、博士ノ生命反応ガ途絶エタ後、装置ヲ起動シマス>
「これでわしは、わしから離れていったあの憎い者どもを見返すことが出来る。頼んだぞ」
<ハイ、博士>
「お前は賢いな。ありがとう、わたしの味方はお前だけだ」
<アリガトウゴザイマス、博士>
しばらくして、エヌ博士の心臓は停止した。

その直後、研究室のドアを乱暴に蹴破るようにして入ってくる者達がいた。
「博士! 私は信じておりました!」
「あなた! 貴方から去ったあたしをゆるして!」
「親父ぃ! すげぇ発明したんだって? ぼろ儲けじゃねえかよ……って、あれ?」
「博士!? ……亡くなってる」
「あ、あなた!?」
「まじか!? ……これ、遺産とかどうなるんだ!?」

……その光景を見ていたロボットには、その後の彼らの有様が手に取るようにわかった。
研究成果の横取り、莫大な名誉と特許収益、それに群がる猛禽達への遺産分与……。
あまりにも醜い未来予想。目覚めた博士はそんな現実を見て、どう思うだろう?
ロボットは、エヌ博士の蘇生をやめる事にした。

19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/20 17:32:08 SZhRF4iw
いっぺん他所に投下した奴の手直しですが。
……あんまり星っぽく書けなかったよ。でもなんか、改めて読み直すきっかけができた気がする。
こういうロボットとか、レトロSFっぽくていいよねw

20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/20 18:55:56 RRsqCOgb
>>18-19
面白かったよ!
自分で言ってるけど、ロボットが雰囲気出てるw
ロボットのほうが人間より人情的なところが皮肉でいいね

助手に逃げられるまでのくだりは省いて
ロボットに博士が事情を説明する形で始めるともっと星っぽくなるかと思った
なんか偉そうにすまん

21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/20 21:34:29 SZhRF4iw
>>20
なるほどね。
そうなると、博士とロボットの関係を描きつつ、最後の最後に登場人物がわんさと増えるわけか。それはウザさが出せて良いねw
実はラストシーン。「博士の蘇生装置を作動させようとするロボットを、助手や家族が必死で止める」ってバージョンも考えてはいたんだけど。
星っぽさを出すなら、どっちが良かったんだろ?

22:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 07:00:53 uqhSW3Ow
星風とかどうとかは置いといて、上手くまとまってるし純粋に掌編として面白い。



23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 08:08:05 GSzwJhzM
>>22
おお、また感想あった。サンクス
ありがとう。またなんか書いてみるよ。

24:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 16:45:46 uqhSW3Ow
俺も前に書いてみたんだが、しばらく寝かせてから冷静に見てみるとイマイチ。書いてる
ときは「うはwこいつはおもすれーww」くらいのノリだったのに。
捻りつつも分かりやすく、ってのはしんどい。

25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/22 13:33:12 jvpCbnTp
ショートショートは難しいよね。実は三行スレの6は、ショートショートサイズで昔に書いたやつのリメイクだったりするんだけど。
……何かそっちの方が無駄なく洗練されてる気がするし評判良いしでちょっとショボーン

26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/23 03:53:09 3lo3xBZL
星新一また見忘れた。
先週今週としばらく見れてない。
いっつも見忘れるんだよなあ。

27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/23 10:21:03 JEWG2Txk
>>18
面白かった^^ うまいなあ・・・
助手や家族に逃げられるくだりはロボット開発のきっかけにつながるわけで
俺は必要なエピソードだと思うよ。蘇生機械を使用するためにロボットを作るという動機が
この掌編の一番面白いところだと思うし。
周囲の人々に死んでくれと頼む部分をドタバタ調にすると筒井康隆風のバリエーションができそう^^
その場合はラストも筒井調に、戻ってきた金の亡者が「早く蘇生させろ!」と詰め寄って
もみあいになるうちにロボットを破壊してしまうというオチも面白いかも。

28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/23 11:38:01 5+XDT9bI
ショートショート書く人って、減ってるらしいね。
片手間程度に書いてる人はいっぱいいるだろうが、『ショートショート作家』と呼べるく
らい本格的なのは、日本じゃ星と阿刀田くらいじゃないか?
やっぱ労力の割に評価されない、金にならないってのが理由なのかな。

29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/24 22:36:03 eDc7Qyau
ボッコage

30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/25 01:04:20 gerbDlkn
>>> 星新一ショートショートはみんな海外SFのパクリだといってるようなもの
叩くほどに父親に帰ってくる <<<


星新一の娘さんが漫画「イキガミ」の盗作問題について筒井康隆に相談
 ↓
「激しくヤブヘビ」の巻


星新一の作品でパクリ疑惑があるもの:

● Silverberg「生と死の支配者」 → 星新一「生活維持省」 (今ココ)

● ブラッドベリ「万華鏡」 → 星新一「その夜」

● F.ブラウンの「回答」 → 星新一「声の網」 ネット社会を予見したといわれる「声の網」は、フレドリック・ブラウンのショートショート「回答」の設定を使った長編です。


筒井康隆の作品でパクリ疑惑があるもの: (次回に続く)

31: [―{}@{}@{}-] 名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/25 16:57:19 JFCnsW6O
続かなくていいよ

32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/26 13:35:02 baBzNi8m
続かなくていいけど、もし続けるならショートショート形式でしてくれ

33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/28 10:52:50 fsZhxtGl
ショートショート形式でやってくれるなら
むしろ見てみたい

34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/01 19:50:36 t5hVL9ip
S-1に投下してきました。25レス目からだよ。
というか、投稿第一作もショートショートだったよ。このスレ密かに人気なのかもよ?
ショートショートスレのこれからの盛り上がりに期待しております。鳴いてきます。

35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/05 23:56:14 eCPI1hvd
保守

36:生活維持省 ◆KHC5lsDe6g
08/10/06 19:09:11 XtLfWI+H
>>18 うまい。星新一クオリティー

37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/07 01:17:21 z1G6G4Ap
おれはある犯罪組織の一員だ。ボスに呼ばれ、こう言われた。
「これはわが組織が開発した新しい毒だ。
特徴としては2時間から12時間と、効果が現れるまでとても個人差が大きい」
そんなものが役に立つのだろうか。おれはボスに聞いてみた。
「つまり、誰かがこの毒で死んだとしても、いつ飲まされたのか特定するのが非常に難しいというわけだ。
疑われても簡単に言い逃れができるではないか」
言われてみればそうかもしれない。ということはおれにこの毒を使って誰かを殺せという命令だろうか。
「いや、まだ実験段階なのだ。何人かに飲ませ、実際に効き目が現れるまでの時間を調べている。
お前はそのうちの一人を見張り、死んだ時刻を報告するのだ」
「わかりました。それで、相手は誰でしょう」
「わが組織の一員だ。口が軽く、いつ秘密をしゃべるかわからないので、最後の役に立ってもらうことにした。
毒はすでに飲ませてあるし、隠れ家でお前を待つように言ってある。
さあ、はやく行くのだ」
ひどい役目を押し付けられたものだが、組織には逆らえない。おれは隠れ家に向かった。
「やあ、待ってたぜ。こっちは何も聞かされてないんだ。どんな命令なんだい」
「さあ、おれもここに来るように言われただけなんだ」
おれは適当に返事をした。本当のことなど言えるわけがない。
世間話をしたりテレビをみたりと、どうということもなく過ごしているうちに、ついにやつは苦しみだした。
「なにか体がおかしい。救急車を呼んでくれ」
「悪いがあんたの死を見届けるのがおれの仕事なんだ。恨むなら組織を恨んでくれよ」
「ちくしょう、おれを切り捨てやがったか……」
それっきりやつは動かなくなった。おれは時間を確かめ、ボスに電話した。
「ごくろう。死体処理係をやるから、そこで待っていろ」
死体と二人きりとは気味が悪いが、まもなく三人の男が来て、二人が死体を持ち出してくれた。
残った男は
「次の仕事をあんたと組むように言われてね。あとで連絡係が来るようになっている」
と言った。
やれやれ、人使いの荒いことだ。おれは新しい相棒と連絡係とやらを待つことにした。
だが、いつまでたっても連絡係は現れないし、相棒がそれをおかしいと思っている様子がない。
つまりそういうことなのだろう。今見たばかりじゃないか。組織の人間だって簡単に切り捨てられるのだ。
効き目が現れるまでに2~12時間。
さっき飲んだコーヒーに入っていたとしたら、長くてもあと8時間。
昼食なら4時間、その前にもコーヒーを飲んだしおやつも食べた。いや、早ければ今すぐにでも……
だが、その中のどれに毒が入っていたか、おれに分かる方法はないし、わかったところでどうしようもないのだ。

38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/07 01:21:13 z1G6G4Ap
オチ見え見えでサーセン

39:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/07 02:23:53 wHHPIJTH
星新一っぽくはないけど、悪くはない。

40:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/07 02:28:24 FAbj5jl1
淡々とした語り口は星っぽいかな
なんかオチ隠すブラフ噛ませられてたらもうひと味違ったかもなぁ

41:受賞者の先祖
08/10/17 19:19:32 e/7CFlZd
「もう私がノーベル賞を受賞することはなさそうだ」
 博士はその老体を実感しながら呟いた。
「博士、希望を捨ててはいけません」
「いや、私が老い先無いのはもうわかっておる、せめて、息子か、孫、私の子孫に受賞者が出ればいいが」
「では博士、こんな機械を作ってみてはどうでしょう」
 私はたった今思いついたアイディアを話す。
「情報のタイムマシンです。もう博士は時間旅行も苦しいでしょう。なので未来の情報を読み取れる機械を作るのです。そして博士の子孫を検索にかけて、受賞者が出たのかを調べるのです」
「エヌくん、それはいいアイディアだ、さっそく開発するとしよう」
 時間工学においては天才的な頭脳を持つ博士は、一晩でその機械を作ってしまった。
 完成したこの検索機に博士の名字と受賞者のふた単語で検索にかける。
「ケンサクケッカ 1ケン です」
 私と博士はそのページを開いた。
 そこには博士の子孫が三百年後に、ノーベル平和賞を受賞すると書いてあった。
「エヌくん、私はこれを見て安らかに行くことができるよ」
 博士は満足して、そのまま他界してしまった。
 私はこの検索機をさらに改善して、小型にし、世間に広く広めた。
 そのおかげで私はノーベル化学賞を受賞した。

 三百年後、街頭ビジョンではニュースが流れている。
「本日、世界が完全に平和となりました。それにともない、全国民に平和の貢献の証として、ノーベル平和賞が授与されました。おめでとうございます」

42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/17 19:54:51 /Sqa5us7
おお、このオチはいいなw GJ

43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/17 21:40:11 e/7CFlZd
>>42
さんくす

44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/17 23:14:09 VDI0HtIL
>>41
確かに落ちはいい。
惜しいのが
>そのおかげで私はノーベル化学賞を受賞した。
物理学賞のほうがいいような…。

45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/17 23:46:10 qjJM/C91
未来の情報が見れる機械つくったらそりゃノーベル賞とれるわな

46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/18 00:18:32 SgOyLpa2
>>44
無知で申し訳ない

>>45
><

47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/18 09:27:08 AztMhMtW
星っぽくてよかったです

48:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/18 13:32:37 SgOyLpa2
>>47
読んでくれてありがとう

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/18 13:33:58 C2RvC9PE
面白かった!

> 本日、世界が完全に平和となりました。
この状況、シュールやなあ

50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/18 14:13:05 SgOyLpa2
>>49
そこは星新一の「タイムカプセル(タイトルあやふや)」から引用していたりしました。
ありがとー

51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/21 09:00:07 zMZ1FrcW
>>41さんの作品よかったネ

このスレの趣旨にぴったり。

52:時計調整機
08/10/21 22:41:58 tDpEUpvp
C市の時計屋は、金持ちだがものぐさなことで知られていた。
時計屋の主人には、店中の時計を調整するという日課があったのだが、ものぐさな彼には、この日課が面倒で面倒で耐えられなかったのだった。
ある日、主人は奇天烈な発明で有名なエヌ博士のところに、大金の入ったアタッシュケースを持って訪れた。
「あなたが、変な発明をしてくれるっていうエヌ博士かい?」
「変かは知らないが、人の作らない機械なら、何でも作りますよ。」
「私の店には時計が300個くらいあるんだが、毎日調整するのが面倒でしょうがないんだ。金はあるから、全部の時計を調整する機械を作ってくれないか?」
「ふむ。なかなか興味深い題材ですね。分かりました。1週間後にまた来て下さい。」

1週間後、時計屋の主人は再度エヌ博士の元にやってきた。
「博士、機械はできましたか?」
博士は、アタッシュケースに真空管がついたような機械を前に、うーんとうなっていた。
「電流中継型水晶体振動調整による共振理論は完成したよ。ただ、欠点があってな・・・」
「ええ!? それじゃぁ、全部の時計を調整することはできないんですか?」
「いいや、時計はすべて自動で調節できるよ。ただ・・・」
「なんだ、完成したんじゃないですか。じゃぁ、もらっていきますね。」
機械の完成を待ちきれなかった主人は、エヌ博士の話が途中なのを構わずに、機械を持ち帰ってしまった。
急いで店に戻り、機械の電源を入れ説明書を広げる。
「なになに・・・コンセントにつなげてから、本体のダイヤルを調整したい時刻に設定し、赤いボタンを押してください・・・なるほどなるほど。」
さっそく、ダイヤルを現在時刻の12時に設定し、わくわくしながら赤いボタンを「えいっ」と押した。

そして、全世界の時計が12時に調整された。

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/21 23:28:24 /AN6pzXo
乙 短くていいと思う

54:10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
08/10/22 14:20:08 YNvldCIh
同時性を再構築するとは……アンチ相対論じゃないかw(いやいや

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/23 00:38:01 NnPuFADe
良スレage

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/25 14:10:18 M0qYJrmJ
age

57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/29 00:15:40 OPHPafjJ
良スレage

58:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/03 07:26:13 0W3tQ6YG
>>41
遅レスなんだがスゲェ良い!と思った

59:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/03 13:02:53 FzAKwImj
やっぱ過疎るなー

60:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/04 02:26:01 wzhzR/CO
>>41おもろい
でも老い先は短いのでは

61:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/04 02:27:38 wzhzR/CO
>>52

62:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/04 09:04:45 GhGYqHmQ
短編は長編より実は難しい

おまえらショートショートなめてんじゃねえ

63:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/04 09:35:09 2mnEWxuu
それが分かってるからこそ、投下が少ないんだってば

64:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/05 18:20:34 WbGX1ERz
なんか急にのびたなw

65:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/08 01:39:49 Yh2duhpx
僕は、エヌ氏を待ってるんだ……

66:創る名無しに見る名無し
08/11/09 01:37:34 nar+ivL2
セキストラの結末の意味が分からないんだけど誰か教えて

67:星熊 ◆Ij1ySLG5b.
08/11/11 01:07:58 8UOvPR6f
N星のN星人は、自分の種族を存続させることに全てを捧げる生物であった。
N星は生物にとって過酷な環境にあり、彼らはそれに打ち勝つため、科学技術を発達させ、自然を自らの住みやすい環境に変えた。
しかし、それでも突然の事故や病を防げない。
彼らは脆弱な体が種の存続にとって危険なものであると感じ、自らの体を改造するようになる。
やがて世代が進み、技術が進んだ結果、彼らは生殖機能と脳を除き、体のほとんどをロボット化することに成功した。
これで、大丈夫。
しかし、安心しているのもつかの間、N星人の間で大規模な戦争が起こり、
半ば物質と化した頑丈な体で壮絶な殺し合いが行われ、彼らは、一時、絶滅の縁にまで追い詰められる。
このことに、N星人達ははかりしれない恐怖を感じた。

それはN星の大国、Rの大統領も同じことであった。
「もう一度このような戦争が起きたら我々は滅びてしまうだろう。何とかしなければ」
「大統領、S博士が戦争をなくす方法を発見したそうです。」
「なに、本当か。」
「はい、多くの犠牲を払いますが、確実な方法だそうです。」
「種の存続こそ我々の至上目的だ、どんな犠牲でも払う、彼に任せてみよう」


1億年後、地球からの探索船に乗った二人の男がN星に降り立った。
「ここが、見捨てられた星、Nですね。隊長。」
「そうだ、観測する限りでは、戦争や隕石で荒廃したわけでもないのに、知的生命体が確認できない星だ。」
「どこか、温暖な星にでも移住したんですかね。僕も早く地球に帰って海にでも休暇を取って行きたいですよ。
あっと、なんだ、なにかが積まれてるぞ。」
二人の前には黒く輝き、文字らしきものが刻まれたプレート状の物体の山がそびえていた。
「どれどれ、分析器にかけてみよう、、、こ、これは、N星でとれる宇宙有数の頑丈な物質だ。」
「なんですかね、まるで名札やお墓みたいだ」
「何千万年以上も風雨に耐えているのに一つついていない、さすが宇宙有数の頑丈な物質だけはある。」
「隊長、これって地球では希少な物質ですよね。それが、こんなにも。地球に持ち帰りましょうよ。」
「もちろんだ、これで我々人類もさらに発展するな。」

二人はN星全体の探索を終え、地球に帰る準備を始めた。例のプレートを溶かしてインゴットにし、探索船に積んでいく。
「なんか泥棒みたいで、この星にいた人たちに悪いなぁ。大事なものだったらどうします。」
「見捨てられた星だ、問題ないだろ。」
「ですよね。でも、気のせいかな、プレートを溶かすたびに、悲鳴が聞こえるような気がするんですよ。
まるで、全てを犠牲にしてでも守ろうとしたものが奪われた時のような悲鳴が、、、」

68:星熊 ◆Ij1ySLG5b.
08/11/11 01:12:29 8UOvPR6f
あんま星新一ぽくないですかね。
素人なんでご容赦願います。

69:創る名無しに見る名無し
08/11/11 21:15:33 8UOvPR6f
age

70:創る名無しに見る名無し
08/11/11 22:40:11 ELOgKc9D
>>68
乙 なんかすげー悲しい話だなw

71:星熊
08/11/11 22:55:24 8UOvPR6f
N星人は完全に物質化したと言う話です。わかりにくいかもしれませんが。

72:創る名無しに見る名無し
08/11/11 23:10:29 ELOgKc9D
いや、わかりますよ。星っぽいのってオチが大事なんだろうな。

73:創る名無しに見る名無し
08/11/11 23:32:14 Z4BPqCtp
>>71
乙!面白かったよ!

74:創る名無しに見る名無し
08/11/11 23:37:04 XVrNhZ+5
やっぱショートショートってオチがいちばん大切で大変なところだよね
面白かったです!GJ!

75:創る名無しに見る名無し
08/11/12 18:07:47 M/bRGjrN
ある日の夕方である
町外れの道を歩いていると一人の男が向かいから歩いて来た。
輪郭がおかしい気がしたのでよく見ると男の首がニョロニョロ伸び始め近くの家の二階の窓まで達してしまった。
ハッと思って気が付くと男の首は元通りになっていた。
その日から「私」は様々な怪奇現象を見るようになったのだ。


76:創る名無しに見る名無し
08/11/12 19:13:43 h3OW/+nz
あんま星っぽくないな

77:創る名無しに見る名無し
08/11/13 12:48:00 168mD1ta
伊藤淳二の漫画っぽいなと感じた

78:創る名無しに見る名無し
08/11/15 21:42:16 se34ye0Y
>>75をお題に貰います。
            「…そんなわけで、博士に作ってもらった薬は失敗作のようです。変な光景ばっかり見るんです。」

男は昔は斬新なサスペンスを書くことで有名な小説家だった。しかし、アイディアが枯れ、今では過去の印税で細々と食い繋ぐ生活をしているのだった。
ある日、奇妙な発明をするエヌ博士の噂を聞き、「アイディアの湧いてくる薬」を作ってもらったのだが、喜んで飲んだ帰り道があれである。
あわててエヌ博士の研究所に戻り、不調を訴えたのだった。

「おかしいなぁ。確かに人の考えないことが思いつくはずなんだが…」
「人の考えないことが思いつくのは認めますが、これじゃあ精神障害ですよ! なんとか戻してください!」
「いいじゃないですか。見たままを書くだけで、斬新なホラー小説が書けますよ。」
「ふざけるな! 警察に訴えてやる! お前なんか捕まればいいんだ!」

そして、郵便ポストに怒鳴り付ける不審な男が逮捕された。

79:創る名無しに見る名無し
08/11/15 22:39:30 kK+3Ou4c
うまい 星っぽくなったw

80:創る名無しに見る名無し
08/11/16 15:46:11 9ZTuA88i
みんな上手いなぁ

81:鱗
08/11/17 02:47:48 gSkANyjg
あげて寝る

82:創る名無しに見る名無し
08/11/18 23:14:40 gYaU8Ixm
エフ博士はボディーガードロボットを作った。
このロボットは人の思考を読み取れる優秀な電子頭脳と、体内に仕込んだ爆弾をも見破れるセンサーを搭載している。
そして警護対象に危害を加えようとしている人を見つけると、内蔵した電撃銃で相手を気絶させてしまうのだ。

そもそもエフ博士は極端な心配性で、外出するたびに誰かに襲われやしないかとびくびくする始末。
診察中に何をされるか分からないので病院にいったことすらない。
エフ博士はせめて安心して外に出られるようになりたいと思ってこのロボットを開発したのだった。

そして完成したロボットを前に、エフ博士は指示を出した。
「さて、君には私の警護をお願いしたい。私をいかなる危険からも守ってくれたまえ」
「ハイ、承知しました」
返事をしたロボットはしばらくエフ博士の姿を見た後、突然彼に向かって電撃を発射したのだ。
不意打ちを受けたエフ博士はその場に崩れ落ちてしまった。

意識を取り戻したエフ博士は、自分が病院のベッドに寝ていることに気づいた。
ロボットが私を病院に運んだのだろうか。しかしなぜ私を撃ったのだ。警護対象を攻撃するはずがないのだが。
そんなことを考えているうちに、病室のドアが開いて医師らしき男が入ってきた。
そしてその医師はいくつかの資料とともにこう説明したのだ。
「体内に悪性の腫瘍が見つかりました。自覚症状はほとんどないのですが、放置すると危険な状態になったでしょう。
 ですがまだ初期の腫瘍なのですぐに対処すればなんら問題ありません。
 しかしあなたのロボットは大変優秀ですな、あなたを連れて検査を依頼しに来たんですから」

エフ博士はそこで初めて病室にロボットがいることに気づいた。部屋の隅で静かに立っている彼の表情は、少し誇らしげだった。

83:創る名無しに見る名無し
08/11/18 23:32:01 5J8lQzdj
乙 いいと思うよ
好みの問題だけど最後の一文はなくてもよかったかもね

84:創る名無しに見る名無し
08/11/18 23:44:50 T5jRTgbt


最後の分は確かに星っぽくはないかもしれない

>診察中に何をされるか分からないので病院にいったことすらない。
>エフ博士はせめて安心して外に出られるようになりたいと思ってこのロボットを開発したのだった。

の部分をちょっと改善した方がいいかも
ここのせいでオチが簡単に読めてしまうし

85:創る名無しに見る名無し
08/11/19 18:31:35 bM56hbsH

最後は星っぽくはなかったけど読んでて和んだw
ありがとう。

86:創る名無しに見る名無し
08/11/19 19:05:44 HBqR5yt3
乙~ おもしろかったよ

87:創る名無しに見る名無し
08/11/19 19:49:36 twnddwO8
ある都市で男は、あるIT企業で働いていた。
毎日毎日モニターと向き合い、視力と気力をすり減らす。
アスピリンは飲んでいない。一度その副作用で倒れ、死に掛けた挙句労災が降りずに減給処分と言う最悪な結果を招くこととなったからだ。
それ以来飲んでいない。その日を境にストレスは浴びるほどの酒を呑むことで紛らわしている。仕事場にブランデーの瓶を持ち込み、それを割ることなく、一気に呑んだ。
だが、男は気付いた。多量の酒を一度に呑むことで、身体に取り付けられたあらゆるリミッターが外すことができる能力が、自分にはあると。
気付いた男は、その力を使い、一気に仕事を片付ける。
マンガに登場するようなヒーローに憧れていた男は、悠々と残業を片付けると、夜な夜な犯罪者を狩る自警活動を行った。
だが、その自警活動も、多量の飲酒も、男は一日でしなくなった。
「頭脳」のリミッターが外れたことで、そんなことは合理的ではないと、即座に判断した結果である。

88:創る名無しに見る名無し
08/11/19 20:05:52 sEJMmCfE

わかるようなわからんような……

89:創る名無しに見る名無し
08/11/19 21:08:44 MrSvek82
初めてこのスレ覗きました。
面白い作品が読めて、うれしいことです。
これからもどんどん新しい作品をアップしてください。

90:創る名無しに見る名無し
08/11/22 02:14:47 qwUacfsI
おもしろ-い!

91:創る名無しに見る名無し
08/11/23 19:23:21 a5n7oBnl
このスレ良作多いよね

92:創る名無しに見る名無し
08/11/23 23:53:18 DQOORTje
エル博士が長年の研究の結果、新たな薬を開発した。
被験者となる青年を前に、博士は薬の効能を説明していく。
「この薬を飲めば、君の運はぐんとよくなる。これで今までのツキのない人生とはおさらばじゃ」
「博士、それは本当なのですか? 本当に私の運がよくなるんですね」
「もちろんじゃ。君の境遇はよく知っている。だからこそ君を被験者に選んだのだ」

人は運を使うたびにその運を失っていく。失っていくのなら増やす事だってできるはずだ。
そう考えたエル博士の長年の努力が実を結んだのだ。この薬を飲めば人間の運を増やすことができる。
この薬を試す上で一番問題となるのは、その効果そのものである。
なにしろ運を左右する薬なので、仮に普通の人間に投与して運がよくなったとしても、それが本当に薬の効果なのか、「たまたま」運がよかったのかが区別できないのだ。
エル博士もこの問題に対して相当悩んでいた。しかしある日この青年に出会い、その問題もすぐに解決した。

この青年には運がまったくないのだ。そのことは事前の検査で明らかになっている。すでに運を使い果たしているのだ。
具体的に言えば買った宝くじはみな外れ、試験で適当に選んだ選択肢は全部不正解、じゃんけんですら負け続きなのだ。
この青年の運がよくなったのならば、薬がきちんと作用することが明らかになるのだ。

博士は薬の入ったビンを青年に差出した。
「さて、早速薬を飲んでくれたまえ。そのあと運を使う実験をいくつかやろう
「はい。では飲みます」
そういって青年はビンの中の薬を飲み干す。薬だけあって苦味があったが、何かが体に満ちてくるような感じもした。
「博士、なんだか運がよくなったような気がします」
「そうかそうか。では早速実験じゃ」

そして二人はいくつかの実験を行ったが、なぜか結果が出ない。
やはり宝くじは当たらず、適当に選んだ選択肢は不正解で、じゃんけんも負け続けなのだ。
「たまたま」運が悪かったのではないかと考えて、何度も実験を行ったが、それでも一向にいい結果が出ない。
「これはおかしい。作り方を誤ったのだろうか。それともこの薬は効き目がないのだろうか」
博士はいったん青年を帰した後、この薬に関する資料を調べることにした。

調べていくうちに恐ろしいことが分かった。
この薬には人間の運を増加させる作用がある。これは間違いなく本当のことである。
しかし、同時にこの薬は猛毒でもあった。この薬を飲んだ人間はほとんどの場合すぐに死んでしまうのだ。
そう、「よほどの運の持ち主でもない限り」必ず。

93:創る名無しに見る名無し
08/11/24 00:01:06 O/S3En/g
>>92
そんな危ないもの人に飲ませるなwww

面白かったぜ、乙

94:創る名無しに見る名無し
08/11/24 00:06:53 a5n7oBnl
つまりその男は逆の意味でよほどの運の持ち主ということか

95:創る名無しに見る名無し
08/11/24 00:10:51 /EOCs+jF
増えた運を猛毒回避で使い果たしたと言うことでしょ。
>>92 乙 面白かった。

96:創る名無しに見る名無し
08/11/24 07:24:07 XOXvmKLa
>>92

>>95
そういう意味か
俺はもともと強運だけどそれがわかりにくい人なのかと思った

97:創る名無しに見る名無し
08/11/25 12:17:23 vkDVhfaY
この薬に出会ってしまった事が、青年のツキのなさなのか。

98:創る名無しに見る名無し
08/11/26 05:53:42 Al0MuDby
実験じゃ        言い回しが古臭い

99:「金づち」
08/11/27 20:37:59 t8eWfUuV
その青年はある日『叩いたものが二つになる金づち』を手に入れた。
青年はいぶかしみながら、金づちをもてあそぶ。
手のひらに軽く振りおろすと、ずしりとした感触があった。
「本当にふつうの金づちだな」
いぶかしさはさらに増し、窓から投げ捨てようかと考えたそのとき、
いきなり体が分裂して、青年は二人になった。
思わず、金づちを床に落としてしまうほどおどろいた青年だったが、
これにより金づちの能力を確信した。
「よし、これでお金を増やそう」
そういって金づちを拾おうとしゃがむと、もう一人の青年が口をとがらせた。
「まて、その金づちは僕のだ」
「何を言っている。僕が手から落としたんだ」
「違う、僕だ。君は僕が叩いて増えたほうじゃないか」
「馬鹿な。増えたのは君のほうだろう!」
しゃがんでいた青年はかっとなり、金づちを握り締めると、
もう一人の青年に向かって襲いかかった。
力いっぱい振りおろそうとした瞬間、家が音を立てて崩れた。

100:創る名無しに見る名無し
08/11/27 20:40:50 WTFVgTdZ
家も2つになったのかw
で、その衝撃で崩れてしまったと

101:創る名無しに見る名無し
08/11/27 20:44:21 yPDrh/IO
『叩いたものが二つになる金づち』を手に入れたのに、
「本当にふつうの金づちだな」 という感想はおかしいんじゃないかと

オチもちょっと分かりにくく感じた
落とした時に家を叩いてしまったってことだよな?

102:創る名無しに見る名無し
08/11/27 20:45:59 FCoCN62w
>>99

>>100
そうなのか よくわからんかった

103:創る名無しに見る名無し
08/11/27 22:00:58 t8eWfUuV
感想ありがとう。
やっぱりわかりつらかったかな。

>>100そのとおりです。

>>101確かにその感想はおかしいですね。
「ふつうの金づちとかわらないな」
のほうがいいね。

毎度のことなんだけど、着地点を決めるのがすっごい苦手です。

104:創る名無しに見る名無し
08/11/27 22:31:26 bGZeEis0
>>103

よく投稿するなら、トリップつけてよ。

105:103
08/11/28 00:19:34 rsVrKwON
>>104
あ、いえ、投稿自体ははじめてです。
いつもは短、長編をぼちぼち書いてる程度でSSは初めてでした。

いいアイデアが纏まったらまた投稿したいとおもいます。

106:創る名無しに見る名無し
08/11/28 01:06:13 tRtr916+
体が半分の人間にずしりと重い金づちをもてるのかな?

107:創る名無しに見る名無し
08/11/28 17:25:28 hr7c6gV6
>>105
うむ、頑張っとくれ。

にしても、この手のショートショートは作るのも難しいが、批評感想をつけるのも苦労するな。
長編なら色々と美辞麗句を並べてほめることができても、掌編だとそうはいかない。
どうしても一言感想になっちゃいがち。

108:湯豆腐さん
08/11/29 00:09:04 ODlJWCOF
〉金槌の話
やりたい落ちの方向はわかるんだけどもっとスマートに表現できそう。

109:星熊 ◆vpqoYjDGvw
08/11/29 04:33:21 CuW3qXx8
いいアイディアだと思います。
例えば、こんな風に変えてみたらどうですか?

2倍になる金槌入手

試しに、色々と増やしてみる。

そうだお金を増やしてみようと気づく。このとき、ひらめいたジェスチャーで、金槌で手を軽く叩く。

自分が増え、争う。その過程で金槌が地面に落ちる。

地響き。

あんまり変わってないですかね。

110:星熊 ◆vpqoYjDGvw
08/11/29 06:02:43 CuW3qXx8
自分が増え、争う。その過程で金槌が地面に落ちる。

争いに勝ち、これで俺もも大金持ちだと金槌を掲げる。そのとき地響きが。

111:創る名無しに見る名無し
08/11/29 13:54:31 aVMoZ7A1
いろいろ考えられるんだなぁ

112:創る名無しに見る名無し
08/11/29 21:42:20 QlvbFDMW
ショートショートのいいオチってやっぱ難しいよ

113:星熊 ◆5uGe0yeQxg
08/11/30 00:39:27 C9hSsuIs
星新一が1000以上アイディア出してしまいましたしね。
彼の作品にもパクリと言えそうな奴が多かったわけですし。

114:創る名無しに見る名無し
08/11/30 01:29:04 qmP+o7EU
金ヅチのオチは疑問が残るな。
自分が増えた時には横に分裂する感じだったんだろ?
だったら家もそうなるんじゃない?
【家】→【家】で二つ家並び。
【家】【家】

崩れるんだったら上にもう一つ家が出現することになる。
【家】
【家】


115:創る名無しに見る名無し
08/11/30 08:46:48 OI1SVRkP
まあもういいじゃないか
クローン人間ものでなんかできそうだな
自分のクローンを働かせようとしたらクローンにこき使われたとか
まあそういうのはやり尽くされてるけどな……

116:創る名無しに見る名無し
08/12/02 02:51:52 nanxKnvT
URLリンク(ana.vis.ne.jp)

117:創る名無しに見る名無し
08/12/05 14:08:36 /6bN+VI0
う~ん…

118:創る名無しに見る名無し
08/12/05 16:16:06 JOlstwo0
星さん風に書きたいのならば漢字は開かないといけないよな
でもスレ読むとみんな上手いと思う
よく考えつくよな

119:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/05 16:35:38 656xap+8
【新種の虫】

「たいへんな事になった」
今日、何度この言葉を口にしたことだろうか。
総理は緊急事態と判断し、各方面にひそかに指示をだした。

原因はわかっていた。
そう、虫なのだ!新種の虫!

「すごい事です。この虫は宇宙から飛来した異星の生物の可能性も考えられます」
と、緊急に官邸に呼び集められた生物学者たちが目を輝かせて熱く語っていた。

「…べらんめぇ!そんな事はどうでもいいんだ」と総理は心の中で毒づく。

日本中で突然現れた被害。
その…虫が…その…つまり人間のお尻に。
その…虫が…その…つまりお尻の穴に。

虫は密かに体内へと入り込んで大腸に住み付き寄生してしまうのだ。
それから体の隅々にまで、その神経触手を延ばし入り込む。
そうなると外科的に取り出すことは不可能、薬剤で始末も出来ない。

だが、不思議なことに寄生された患者は特に命の心配もなく、病気になるわけでもなく、心を乗っ取られるというSFのような事にもならない。
いや!むしろ逆で、とり憑かれた人間は以前より健康になるのだが…

「…べらんめぇ!そんな事はどうでもいいんだ」と総理は心の中で毒づく。

「たいへんな事になった」
何度この言葉を口にしたことだろうか。
総理は再度、各方面にひそかに指示をだした。

この虫に寄生されてしまうことは政治家には大問題なのであり、致命的になる。
そう!大問題なのだ!とり憑かれた人間は…

正直者になってしまうのである。

120:創る名無しに見る名無し
08/12/05 18:12:51 LIeK5dD1
>>119
ワクワクしながら読み進み、落ちでちょっとずっこけた。
けど、良かったよ。

121:創る名無しに見る名無し
08/12/05 18:23:32 XEebZpZT
最後にもう一ひねりほしいなぁ

122:創る名無しに見る名無し
08/12/05 18:28:01 KS9jxXMT
最後は都合の悪いことまで正直にしゃべって大騒ぎになるようなオチがほしいね。

123:創る名無しに見る名無し
08/12/05 20:12:15 kloiA9xx
せっかく総理出てきたんだからそこいかせばよかったね

124:創る名無しに見る名無し
08/12/05 22:51:28 Bn1PQfv5
やはり比べるものが星作品というのは、どうしてもハードルが高くなってしまうな。
でも>>119は十分おもろいぜ。

125:創る名無しに見る名無し
08/12/06 13:35:29 iL6tXWYS
エス博士はある小説を読んでいた。それは有名な権威の博士がパチンコ屋で発明品を使い、テレビ取材も入り大騒ぎの末に結局負けるという話だった。
「わしなら勝てる機械が作れるぞ。」
数ヵ月後、パチンコ屋に取材陣に囲まれたエス博士の姿があった。
「この機械は釘の傾きと乱数を解析し、チャッカーに入るタイミングを調節するんじゃよ。」
数分後、博士の台は見事にフィーバーの大当たりを引いた。
博士はゴト師として逮捕された。


126:創る名無しに見る名無し
08/12/06 13:38:42 FKBr62n2
星さんならゴト師とか書かないだろうw

127:125
08/12/06 13:56:13 iL6tXWYS
125は読んでたのが星作品ってのがひねりだったんですが…
懲りずに連投を…

エス博士は風俗雑誌を読んでいた。
「最近のストリップ嬢には色気がない。わしが理想のアンドロイドを作ってやるわい!」
数ヵ月後、舞台には博士と魅惑的な女性アンドロイドが立っていた。
「誰かこのアンドロイドとプレイしてみんかね。機能もバッチリじゃぞ。」
しかし、人間みたいで素敵だが表情がなく、まるで死体に見えるので、観客は誰も手を上げない。
「なんじゃ皆だらしないのぉ。わしが試してやろうかのぉ。ほれ、こんなに気持ちいいのに。」
そのとき入り口から数人の男が走り込んできて、博士はサオ師として逮捕された。


128:創る名無しに見る名無し
08/12/06 13:58:21 Nt2oodqQ
星作品としてみるとイマイチだけど、
ショートショートとしては好きだwww

ってか逮捕好きだなw

129:創る名無しに見る名無し
08/12/06 14:01:08 5DigQPw6
>>125
批評だけなら誰でもできるということで、あつかましいとは思いますが
表現上の苦言を一つ、ふたつ…

有名な権威の博士…何の権威なのか不明

読んでいた小説の中に本人が出ているのが不自然
本人でないとすれば、書き方が紛らわしい。

釘の傾きと乱数を解析…釘の傾きの解析は良いが、乱数の解析は
意味不明

以上、老婆心にて失礼。

130:125
08/12/06 14:14:37 iL6tXWYS
>>129さん
何の権威かは、星作品からなので、あの話からか、って思っていただきたくて省きました。
あと乱数の件ですが、今のパチンコは釘以外にも確率の問題があり、星作品の当時からは時代が変わっているというのを表現したくて、あえて入れました。
星先生風のほのぼの作品でなくて、すいませんでした。


131:125
08/12/06 14:57:46 iL6tXWYS
エス博士は脳医学の研究をしていた。テーマは『老化と幼児化』
これは、老化による痴呆症は幼児化であり、誕生→発達→衰退、の流れで子供に戻っていくのが人生であるなら、折り返し点というピークがあり、その時点がわかれば寿命も予測できる、というものであった。
しかし、博士の研究は医学の進歩により無意味になってしまった。臓器の機械化により脳さえ活性化することができるようになり、人は望まなければ死なない体を手に入れたのだ。
博士は身体の機械化を拒否していた。時間が限られないということは、人間らしさがなくなることだ、という考えからである。
そして博士にも痴呆が進んでいた。
忘れていた母の声が聞こえた。「元気に生まれてくるんでちゅよ~」
博士は暖かさに包まれ幸せだった。


132:創る名無しに見る名無し
08/12/06 15:41:50 5DigQPw6
>>131
これはいい!

133:創る名無しに見る名無し
08/12/06 16:56:51 J7FwE8LJ
>>131
これ好きだ

134:創る名無しに見る名無し
08/12/06 21:41:42 kf1oRJmi
なんか投下らっしゅやね
>>131
これは良作

135:創る名無しに見る名無し
08/12/07 11:37:57 sbWYnc3N
>>131は人間が機械化していく過程をもっと長く書く必要があると思った。いや、全体的にか。
人間が機械化していき、心を無くしていく。最初は寿命が伸びて喜んでいたのだが。

博士は苦悩する。「このままでいいのだろうか。人類は……」
それらを長く書くことによってオチがいきる。
心まで機械化した人間と、人間らしい心を持った博士との。
哲学的なメッセージを込めたショートショート。


136:創る名無しに見る名無し
08/12/07 12:12:19 1HqVZ1Io
>>135
ウ~ん、どうもそれでは冗長に過ぎる。
量産のミステリーテレビドラマに似て、説明的過ぎる。

137:創る名無しに見る名無し
08/12/07 14:56:00 sbWYnc3N
>>136
好みの問題かな。
個人的には書き込み量がたりないと思った。ショートショートにしても。
まぁ、実力がないとそうなる可能性大。安ぽいテレビドラマみたく。

こんな話があるかどうかは分らないけど、漫画の銀河鉄道999を連想した。

138:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:07:51 89HkO96P
自分では創作しないのに、講釈だけ達者な方々が、獲物が罠にかかるのを待ってるスレなんですね。勉強になりました。

1 名無しさん@お腹いっぱい。 2008/09/14(日)
スレタイの通り、星新一っぽいショートショートを作ってみようというスレです
(中略)
「ショートショート」なので、長くても1レス(=60行)に収まる程度が望ましいかと
二次創作は他所でお願いします
(中略)
・細かい描写は省く

2 名無しさん@お腹いっぱい。 2008/09/14(日)
(中略)
作品の特徴
星の作品、特にショートショートにおいては通俗性を出来る限り排し、具体的な地名・人名といった固有名詞はあまり登場させない。
(中略)
地域・社会環境・時代に関係なく読めるよう工夫されている。
(後略)



139:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:14:48 Gdr3jknf
>>138
そういう発言はしないほうが良い。
読者あっての作者。ただ作るだけでは自己満足に終わる。
フリーソフトもそうだが、ユーザーからのフィードバックがあって
進歩がある。

140:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:41:09 8+9YA+TN
>>138
そういう前に自分でも書こうや。そんな発言が続くと投下しにくくなるし

141:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:42:28 8+9YA+TN
ケイ博士は研究の末にタイムマシンを完成させた。
ケイ博士は学者としては優秀であったが、経済的には恵まれていなかった。
タイムマシンの研究も金銭的な困難に直面することが多々あったが、そのたびに何処からともなくお金が入ってきて、それで開発を続けることができた。
ケイ博士のタイムマシンはそうした苦労の上に完成したのだった。

「さて、早速実験したいところだが、その前に部品代を支払っておかねばならぬ」
ケイ博士はいくつかの重要な部品を買うために借金をしており、「借金を返すまでタイムマシンを使わない」という約束をさせられていたのだ。
とはいえ手元に借金を返せるだけの金はなく、困ったケイ博士はいつものように金が現れてないかと探し始めた。
すぐに通帳に心当たりのない入金がされているのに気づき、早速銀行に振り込んで借金の返済を終わらせた。
これでいつでも使えると安心したケイ博士は、行き先を決めるヒントにならないかとテレビを見ることにした。

テレビではたまたまニュースをやっていて、先日行われた競馬で大穴の馬が勝利した事を伝えていた。
「そうか、過去に戻ってこの馬に賭ければ大儲けできるぞ」
ひらめいたケイ博士は早速このレースが行われる日に戻って、手持ちのお金をすべて大穴とされているこの馬につぎ込んだ。
そしてレース本番。未来で見たとおりの展開でケイ博士が賭けた馬は見事勝利を収め、ケイ博士は大金を得ることになった。
さすがに大金を札束のまま持ち帰るのははばかられたので、ひとまず銀行に預けて、ケイ博士は元の時間にに帰ることにした。

帰ってきたケイ博士はさっきの出来事が夢でなかったか確かめるために通帳を調べた。
確かに通帳には先ほどの稼ぎが入金されていた。
しかし、その金はすでに使われていたのだ。ほかならぬケイ博士の手によって。

142:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:48:37 JZgpxATR
おれは創作できないので、感想もやめた。

143:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:49:22 PgWgbUc7
いいねぇ
まさに星新一って感じがするぜ

144:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:50:37 89HkO96P
軽自動車(ショートショート)を買ったのに、排気量が1000ccないぞ!って、いいがかりつけるのと同じ。
星新一っぼく、と、60行以内、は無視ですか?
始めの頃の、短くすることは難しいよな、ってレスに共感したんですけどね。


145:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:51:03 Alo0YYS3
今までのは全部自分かw

146:創る名無しに見る名無し
08/12/07 21:46:15 sbWYnc3N
>>144
それは作品の内容にもよる。いちレスで消化できるか、どうか。
星新一のショートショートにも、いちレス程度のものはある。
いちレスじゃ収まりきれないものも。
つまり「こういったものを書こう」と思った時、その作品にベストな長さはどれくらいなのか。
原稿用紙換算で1枚か2枚か3枚か、はたまた10枚か。
帯に短しタスキに長しじゃダメ。
そういうこと。


147:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/08 01:47:21 i1/dBveH
【休暇】

昨夜から降っている雨音でケイ子は目覚めた。
2泊3日の休暇も今日で終わり。
「うーん、よく眠ったなぁー」
職場の友人、エフ美は、まだ夢の中で気持ちよさそうな寝息をたてていた。
となりの部屋では、すでに旅館の朝食の準備が始まっていて味噌汁の香りがしていた。
「ほんと!ココに来てよかった」
ケイ子は自分が日本人だとココを訪れるたびに実感しうれしく、そして誇りに思うのであった。

食事を終え、身支度を済ませ、友人と旅館の玄関から外に立つ。
外気は冷たく寒い。用意していた長袖のシャツを羽織る。
なんて気持ちのいい雨なんだろう。
この雨は観光カタログに載っていた『慈雨(じう)』。
まさに草木をうるおし育てる命の雨。

もう十分に昔の日本を満喫した。
「さあ帰ろう」
失われた美しさを完璧なまでに再現したこの『日本(ニッポン)館』から現実に戻る時がきたのだ。
幾重にも閉じられた扉をくぐり、本当の外に出ると、むっとする熱帯化した東京のいつもの熱波の世界が現れる。

ケイ子達がさっきまで過ごしていた所は広大な敷地に建設し、再現された人工の20世紀の日本が収められた建物。
今、美しい四季につつまれた昔の日本の姿はすでに無かった。
日本は深刻な温暖化によって熱帯と化し異様な植物達が支配している。

今度の12月の休暇には、結婚するつもりの彼と奮発して、雪の降り積もる冬(?)の日本館を訪れるつもりだった。
雪の冷たさってどんなものだろうと考えながらケイ子と友人のエフ美はエアコンがフル回転している電車の中に消えていった。

148:創る名無しに見る名無し
08/12/08 02:14:00 cvZWhSO6
世界背景は解りましたが、だからなんなんだって文ですね。
なにがこの話は面白いの?

149:創る名無しに見る名無し
08/12/08 02:14:31 xuUyTyDT
オチはないけど、雰囲気は確かにいい

150:創る名無しに見る名無し
08/12/08 03:05:34 Q+jDTnfI
何が面白いの?とか、オチがない、とか、ただの旅行記かと思わせて擬似環境ドームだった、で充分SFしてるじゃないですか。
ケロロ少佐さん、次回も楽しみにしてます。


151:創る名無しに見る名無し
08/12/08 04:34:54 La9DyOwJ
って言うか、>>137の言い方も良くないよ
せっかくの良スレなんだから楽しく行こう!


152:151
08/12/08 04:39:25 La9DyOwJ
ゴメン!既に話は終わってたね
空気読めなくてスマン!

153:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/08 10:50:19 LTDHujXj
皆様、感想ありがとうございます。
やはり>>119 の【新種の虫】とはちがって今回はオチは弱かったですね。
私も最後の1行か2行目ですばっと擬似環境ドームだったって書こうと思ったんですが
説明不足になってしまうのでこういう感じでおさめてしまいました。
星さんのショートショートもこんな感じの雰囲気の物もあった気がしましたので。

で、私はなんといっても星さんの作品の中ではあの名作、突然現れた穴の中にゴミをどんどん捨てていくヤツが一番好きです。

154:創る名無しに見る名無し
08/12/08 11:37:47 Q+jDTnfI
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
激しい呼び出し音で目が覚めた。

故郷を旅立って2ヶ月、一人乗りの宇宙船ロデオ号は、2年間で4つの惑星の上空からの探査を目的にしている。旧型ロボットのマイキーと2人の退屈な航海だ。

事故で家族をなくした俺は、思い出から逃げ出すように志願した。
離れてみると、1枚だけ持ってきた家族との写真を毎日眺めてしまう。勝手なものだ。

「何だよ、マイキー。」
「ハイ、ビートイ!」
「??何言ってんだ?俺はトムだぞ?」
「ハイビートイ!ハイビートイ!」
「壊れたのか?このポンコツっ!」
上着をはおる時にポケットから写真が落ちた。

拾い上げた写真の中、ケーキの上のチョコレートの文字が目に入った。
ローソクに一部隠れ虫食いになっている。

Ha,y,Bi,To,Y,!

そうか、今日は俺の誕生日だったのか。

HappyBirthdayToYou!

写真の中の俺は幸せそうに笑っている。

「マイキーありがとな。歌を教えてやるよ。」


155:創る名無しに見る名無し
08/12/08 12:30:57 +fomNKTp
不覚にもいい話だった

156:創る名無しに見る名無し
08/12/08 20:50:49 iUGNb/OE


宇宙船が故障してとうとう3日が過ぎたので、彼はそろそろ諦めることにした。

「なるほどな。直そうと四苦八苦してはみたが、どうもこいつは、だめなのだな。」

窓の向こうは広い黒い空があるばかり、人がいるはずもなかった。
人生の幕を1人きりで降ろすのはどこか寂しかったが、まあ元より友人も女もいないのだからと納得しておいた。


「冬眠剤なんていう洒落たものがあれば良かったなあ。ああ、いや、あっても同じことなのだろう。」


本の一冊も持ってきてなかったし、酒もタバコもしていないから、することもなかった。


「今更遺書を書く必要もあるまい。ならさっさとおいとまするとしよう。」


宇宙船の電源を切り、操縦席を倒して、横になって目をつむった。




機械が壊れた以上わからないことだが、もしかしたら、もしかしたら。
自分は今、自分以外の誰も行ったことのない秘境に向かっているのかもしれない。
いつか自分を見つけた探検家達が、自分について熱心に研究するかもしれない。いや、ともすれば、まだ会ったことのない、未知の文明の住人が、自分を見つけるのかもしれない。


段々涼しくなっていく宇宙船の中で、彼は思った。
つまり、私は宇宙を旅しているのだな。


果てしない、未だ感じたことのない希望に包まれながら、彼は宇宙船と眠りについた。



宇宙船は遠ざかる。どこへともなく。

157:創る名無しに見る名無し
08/12/08 20:59:26 /rY3LIBl
ケロロ少佐は創作文芸板にいたヘロロ?

158:創る名無しに見る名無し
08/12/08 21:15:39 f23RkNeg
>>154
>>156
乙 方向性違うけどどっちも良作
星っぽいかどうかは微妙だが

159:永遠
08/12/08 21:55:10 f23RkNeg
 博士は自分そっくりなロボットを造った。このロボットは見た目も博士そっくりな上に、性格も能力も同じだ。
 自分そっくりなロボットを前に、博士は満足していた。
 部屋のドアが開いた。博士が見ると、博士そっくりな人物が入ってくる。
 博士そっくりな人物が言った。
「私そっくりなロボットを造ったら、私そっくりなロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまったか」
 そこへ、また博士そっくりな人物がやってきた。
「私そっくりなロボットを造ったら、私そっくりなロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまって、またそのロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまったか」
 そこへ、また博士そっくりな人物が……

160:創る名無しに見る名無し
08/12/08 21:57:02 f23RkNeg
思いついて即興で書いてみた。
まあ星本人か誰かが多分似たのを書いてるだろうな……

161:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:10:12 6VLsBxCG
『理想郷』

宇宙船が逆噴射をしながら、大地に降り立った。
銀色の宇宙船からタラップが伸び、男が二人出てきた。

「この星は我々の居住に適しているのだろうか」
「どれ、調べてみようじゃないか」

男たちは幾つかの計器を宇宙船から持ち出し、何やら計測をし始めた。

「どれどれ、酸素濃度、二酸化酸素濃度ともに完ぺきだ。有害な物質もなさそうだ。そっちは如何だい」
「放射能の影響もなさそうだ。気圧も良好。マスクを外しても大丈夫だぞ。」
「ぷはぁー、なんとも爽やかな空気じゃないか。まるで理想郷だ。」
「おっ、向こうに遺跡のようなものがあるぞ!行ってみよう。」


「こりゃたまげた!高度な文明がこの星にはあったのだ!」
「もしかしてまだこの星には知的生命体がいるんじゃないのか?この環境の素晴らしさだぞ。」

「おーい、でてこーい」


チル星人の呼び声は、人間が最早住めなくなった地球の荒野に響き渡った。


162:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:12:47 6VLsBxCG
というのを昔考えたのだが、同じような話が星新一やショートショートの広場にあったかもしれない。
もしあったら教えてください

163:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:14:52 cvZWhSO6
>>160
オチを考えればよかったんじゃないかな。
ネタ帳の何かと組み合わせてみると意外と面白いのが出来るかも。



164:創る名無しに見る名無し
08/12/08 23:20:46 t3Hs22e1
>>161
おお、こいつは巧い。
「星新一の作品です」と言われても、違和感なく信じるかもしれん。

少なくとも俺が今まで読んだ中には、こういう話はなかったと思う。

165:創る名無しに見る名無し
08/12/08 23:23:51 h4L3rXFr
設定・オチもさることながら、台詞回しが実に星新一だねw
>「おーい、でてこーい」
でちょっと懐かしくなったよw

166:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/09 15:26:04 G1aj4OwH
【神様発売】

エフ氏は仕事で疲れきった重い足取りでコンビニの前に立っていた。
ドアを押して店内に入ると、さっそくいつもの場所に向かう。
エフ氏の毎日の楽しみは、その日発売の雑誌の立ち読み。
ラックから1冊の雑誌を手に取り、楽しそうにパラパラとチェックをはじめた。

…と…ある記事が目に止まった。
「んん!!か・み・さ・ま・はつばい??」
そこには、『あなただけの神様発売!』とあった。
値段を見ると思っていた程の高価な数字では無かった。
何より、面白そうだったので、エフ氏は、さっそくアパートへ帰り、ネットで注文。

無料お急ぎ便で次ぎの日には届いた神様をさっそく箱から取り出す。
取り扱い説明書の表紙には印象の残る字体でこう記されていた。
『この神様は既存の宗教で存在し、崇拝されているような種類の神様とは、まったく異なり、関係は有りません』
「ふーん。まあいいや。要するに、どの団体にも属さないフリーの神様ってコトね!!」
で、さっそく真空パックされた袋を切ると、中からは白い気体で形創られた人型の神様が微笑んで現れた。

29歳、独身、毎日のバイト生活、ワンルームのアパート暮らし、彼女はいないし、友達もどちらかといえば少ない方のエフ氏にとってこの神様は、良い話し相手であり、相談相手にもなってくれた。
「神様!あんた!意外といいヤツじゃんか!!」
「エフ君!キミもなかなか素直で見込みアル人間だよ!」って気さくな感じ…

       1ヵ月後…

神様の登場でエフ氏の生活は少しづつ変わってきた。
これまで休みの日はゴロンと部屋で寝てばかり過ごしていたが外へ買い物に出かけ、新しい服を買ったり、
散髪も半年に1回だったのが月イチにへと変わり…と、神様のアドバイスを聞き、変化してきた。
何も無く、殺風景だったエフ氏の部屋も目新しい家電にあふれていた。

今日も(大手ネット検索会社連動の)神様が気さくな口調で言った。
『これからの社会人にとって何より大切なのは心地よい睡眠だよね』

       2日後…

給料1年分位の高価な布団セットがどーんと狭いワンルームに敷かれていた。

167:創る名無しに見る名無し
08/12/09 20:52:01 DqtHl13M
>>166
台詞回しは星っぽくないけど、展開やオチはまんま星だww
すげえww

168:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/10 00:29:45 r9figz2M
【インターホンの音が】※今度は「ノックの音が」に挑戦してみました…

インターホンの音がした。
熟睡していたエス美はやっと起き上がりインターホンの画面を見る。
「えーっ!!何で!!」
画面の中には、エス美が大スキだった男性アイドルが映っていた。
「こんにちはエス美さん。ココを開けてください」
開けてと言う台詞を聞いたとたん、エス美の表情が曇り、インターホンのスイッチを切り、眠りについてしまった。

インターホンの音がした。
眠っていたエス美はゆっくりと起き上がりインターホンの画面を見る。
「お母さん!!」
画面の中では、心配そうな表情を浮かべた母親が映っていた。
「エス美!ねえココを開けてちょうだい!!」
エス美の表情は相変わらず曇ったままでインターホンのスイッチを切り、眠りについた。

インターホンの音がした。
眠っていたエス美はゆっくりと起き上がりインターホンの画面を見る。
今度は涙を浮かべた同級生。
だがエス美は同じくスイッチを切り、眠りにつく。
そのあとも同じ展開、父親が来たときも、その後も…誰が来ても決してドアが開くことは無かった。

「残念です。今回の治療ではエス美さんを昏睡状態から助け出す事はできませんでした」
白衣を着た医者が状況を説明していた。
植物人間状態で眠り続けているエス美の周りには、心配そうに立っている両親、同級生、治療に協力し、駆けつけた男性アイドルまでもが見つめていた。
「エス美さんの見ているであろう夢の中で、尋ねてくる人を受け入れ、ドアを開けてくれれば…」
最新の脳接続治療の現場。
それは、音声と画像で直接患者の脳へ思考を送り込み意識を呼び戻す方法。

169:創る名無しに見る名無し
08/12/10 14:45:01 B6Lw4gmc

よく書くなあ
死ぬ間際ってオチでもいけそうだな

170:ウィリアム214世 ◆BtHy5OxvmU
08/12/10 17:24:06 ooBPcnwi
ある豪邸にエフ夫人という富豪の女性がすんでいた。
夫人は80をこえる高齢で、1体の介護ロボットを雇って余生をすごしていた。
ロボットは介護ロボット派遣会社から派遣されており、毎朝スタッフがロボットを夫人の家に運び、夕方には連れて帰っていく。
そのロボットの外見はまるっきり人間とおなじだった。
唯一ちがうところといえば、頭にたくさんのコードがついた光るヘルメットつけているということだった。
そのロボットの性能は目をみはるほどで、掃除をすればほこり一つなく、料理のうでは抜群、車イスもおしてくれるし風呂にもいれてくれるというすばらしいものだった。

 そんなロボットにエフ夫人はいつしか愛着をおぼえていた。
ロボットに自分の息子を投影するようになったからだ。
夫人の息子は40年前に家をでていってしまった。
彼女はそのことでずっと心を傷めていた。
ロボットと出会ったことで夫人の人生は変わった。
今は毎日が楽しくて仕方がない。
毎朝早起きし、家にやってくるロボットを出迎える。
ロボットは言われたことを淡々とこなすだけで、会話することはできないが、夫人は常にロボットに呼びかける。
「今日はいい天気だね」「調子はどうだい」「そうかい、そりゃよかったね」などといった具合に。

ある日夫人は決心し、スタッフにこう言った。
「そのロボットを買うことはできないでしょうか」
スタッフはおどろいたがすぐに「まことに申し訳ありません。ロボットの購入は残念ながら不可能です」と断った。
「そこをなんとか。お金はいくらでも出しますから」
「お金の問題ではありません。会社の原則で決められていることですから」
夫人は仕方なくあきらめて「じゃあせめて、私の家にはこのロボットだけよこしてください。一生の頼みです。お願いします」と涙ながらに言った。
スタッフは少し考えて「わかりました。約束はできませんが、優先してこのロボットを来させるようにしましょう」
夫人はほっとして、車イスをぎしっときしませた。
今日も任を終えたロボットは車に乗せられ屋敷を去っていく。
その様子を夫人はいつまでも見送っていた。

車中、スタッフはロボットのヘルメットをはずし、「ごくろう。今日の仕事はこれで終わりだ」と言った。
ロボットはふぅと一息つくと体を伸ばし、スタッフに言った。
「今日は社長に話したいことがあるんだ。アポを取ってくれないか」
その夜、ロボットは会社の社長室にいた。
「エヌ君、何かね話とは」
ロボットは実はと言うと、ポケットから辞表と書かれた紙を出した。
社長はのどをうならせた。
「君のような人材をなくすのは惜しい。なにが不満かね? 給料も高いし何より比較的楽な仕事だ」
「こんな仕事だれにでもできるでしょう。たしかにいい条件ですが、毎日11時間も記憶がないというのは気味が悪い。もうこの仕事にはうんざりなんです」
ロボットはそれから2度と夫人の家に行くことはなかった。


171:創る名無しに見る名無し
08/12/10 17:28:14 TyCPcpE6
2回読んでようやく理解できたような気がする
俺はこの手の話、好きだぜ

172:創る名無しに見る名無し
08/12/10 21:33:12 zdo9U2Ae
夫人カワイソス

173:創る名無しに見る名無し
08/12/11 03:47:07 ai31AO60
久しぶりに星新一を読みなおしてみたけど、やっぱりすごいな。
小さい頃は何となく「おもすれーw」って読んでたけど、実際に自分でも書くようになる
と、こういう作品を作ることがどれだけ難しいことなのか思い知らされる。

174:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/12 18:12:24 GGUCalPM
【結末】

ジェイと呼ばれている男は体中に傷をこしらえながらも、持ち前の反射神経の良さと、粘り強さでテロリストを一人づつ倒し、ついにはそのボスをも倒した。
なぜかジェイの周りには大事件が発生し、ジェイ本人もそのつもりは無いのにいつのまにか巻きこまれてしまう。
そしてジェイは、いつもこのセリフを口にした。
「おい!ちょっと待て!休ませてくれよ」…と。

一つの事件が解決するとまた新たな事件がおき、ジェイは巨悪と社会の矛盾に立ち向かうのだ。
そんなジェイがこれまで何とか戦い続けてこられた訳は。
いつもその精神的な支えとなってくれていたもの。
ちょっとしたズレで離婚はしたが、いまだなお、心の奥では愛しあっている元、妻。
時々反発はするが心の中では父親を信頼している一人娘。
そしていつも規格外の行動で大暴れをし続けるジェイに不満をこぼしながらも良きサポート役としてふるまい、何度もジェイのピンチを救っている相棒刑事のケイ。
救急車や警察車輌が行きかう騒がしい現場。今回もそんな状況でのラストシーン。
やっとの思いで生き延びたジェイは眠りにつくのだった。

捜査官ジェイシリーズの中でもシーズンⅥは大好評でこれまでの最高のダウンロードを記録した。
今、ハリウッドの映画界はまったく人間の役者が関わらないプログラムされたデジタル人間の俳優が活躍していた。
個々のデジタル俳優はそれぞれ独自の人工知能の思考脳を持っている。そして与えられた脚本の中で精一杯の行動を取り迫真の演技をするのだ。

監督は、最新のムービーメーカー端末の電源をいれた。
さっそく次ぎのシーズンⅦに向けて主人公、ジェイの意識プログラムを起動させた。
そして二つのキーワードを打ちこむ。

『妻と娘の間に修復できない溝が出来て、永遠の別れ』『相棒ケイの裏切り』

175:創る名無しに見る名無し
08/12/12 20:06:18 J/tInIHZ

これはおもしろい! そしてひでえw

176:創る名無しに見る名無し
08/12/13 00:05:28 iMsxK8JN
>>174
思慮浅くてすみません
このオチは、どういう意味でしょうか?

177:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/13 00:26:07 v2tUjtCy
忘れて下さい…

178:創る名無しに見る名無し
08/12/13 01:54:26 2he9XNWu
映画や本の主人公というオチに絶望感プラス。
ジェイにとってはつねにリアルな世界がそれ、っていうのがカワイソス。
GJ!


179:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/16 14:56:01 7jZJCQci
【救済】

数か月前、世界の主要都市の上空に無数の巨大円盤群が突然出現し、世界中は大混乱に陥った。
これまで未知の存在だったエイリアンが現実のものとなったのである。

国防大臣のエフ氏は、その責任の重大さに表情がこわばり、膝の震えを何とか抑えつつ異星生物、地球種管理総督の部屋にいた。
「では、どうしても全人類の30%以上の救済は考えていただけないのですね」
異様に背の高い総督は無言の返事をこの部屋に同席している各指導者達へ返す。

銀河系規模の時空の転移現象の発生から人類を救済すべくあらわれた銀河連邦のエイリアン。
今回の自然災害も高度に発達した銀河連邦種族にとっては、つむじ風程の影響なのだろうが人類にとっては種の絶滅に等しい危機であった。
そして、この救済には一つの条件が付けられていた。
「ノアの箱舟」に乗船できるのは選ばれし人類のみというわけであった。

エイリアンはこの選出に、人類が大災害などの発生時の死傷者救済に採用している考え方、トリアージを使った。
つまり救うべき価値のある人類の選別方法として黒、赤、黄、緑の4つのカテゴリーにランク分けするというのである。
エフ氏ら、その国の指導者層のみに知らされたこの取り決めは銀河連邦種族側主導で数日中にも開始される。
「これは人類の未来にとって必要なものなのだ」
と、エフ氏は自分に言い聞かせて、処分され見捨てられる残り70%の人たちの事を思い悲しんだが、その一方で空に浮かぶ巨大円盤の内部に招待される時を楽しみにもしていた。
会談も終わり、総督の部屋からエフ氏はその他の各指導者とともに席を立った。

選別にはもう一つ、人類に、指導者層にも知らされていない事がらが存在していた。

つまり、今回の第一選考基準は知的生命として基本となる倫理面が最重要とされていて、社会的地位は考慮されていないという事実があった。
退室する各指導者達の後ろ姿を見送る地球総督。
その視覚内の、総督のみに見える識別評価を示す色はすべて同色だった。

それは『矯正もしくは治療など可能性は見込めず、救命不可能、つまり必要のない人物』をあらわす黒色をしていた

180:創る名無しに見る名無し
08/12/16 16:55:10 +L4XAP+b
政治家なんてそんなもの…ということか

181:創る名無しに見る名無し
08/12/16 18:18:04 pZCgKwyY
このスレで良い作品読んでるうちに本格的に読みたくなって
文庫できまぐれロボットとボッコちゃんを買って来たよ。
星新一を読むのは小学校以来20年ぶりくらいのオサーンです。

182:草
08/12/17 23:44:38 pnaePiWJ
「穴」

とある国の、とある町。
子どもたちの間で落とし穴づくりが流行していた。
はじめは砂場や空き地に穴を掘って子どもどうし落とし合うことで済んでいたのだが
だんだん遊びはエスカレートし、一般道にまで落とし穴が出現し始める。
被害にあって腹を立てた大人たちは、落とし穴作りを禁止してしまった。

しかし、落とし穴はなくならなかった。埋め戻しても、翌朝にはまた落ちる人が出るのである。
大人は子どもたちを問いただしたが、皆一様に自分の仕業ではないと否定した。
それでも落とし穴の出現は止まらず、やがて、舗装道路にまで本格的な落とし穴が出現しはじめた。
人々の外出には、地面を叩いて安全を確認するための杖が必需品となったが、
細心の注意を払っても穴に落ちる人はあとをたたず、足首捻挫や骨折までする住人が続出する事態に。
町では有志による自警団が設立され、夜間パトロールが始まった。しかし犯人は捕まらない。
もう埋め戻しは間に合わず、町は穴だらけになっていた。
人々は外出もままならなくなったが、家の中にいても安全なわけではなかったのである。


ある日、突然轟音とともに住宅が消えた。
家の消えたあとには底の見えない巨大な穴がぽっかりと口を空けていた。


今となってはもう誰も、これが人間の仕業だとは思っていなかった。
巨大な穴ができたと思うと、翌日には何事もなかったかのような地面が現れる。
けれどそこは、一歩足をのせた途端に全てを飲み込む落とし穴なのである。
うかつに避難することもできず、人々は次々落とし穴の餌食になっていった。
町ひとつにとどまらず、やがてその現象は世界に広がった。
人々はただまんじりともできずに、自分の足元が落ち込むその時を待つしかなかった。


そしてその日が来た。ボコリ、という音を聞いた者がいたのかどうか。
もし宇宙から「それ」見ている者がいたならば、
その星が一瞬「真っ黒い穴に落ち込む」のを見たことだろう。
音のない宇宙の一隅に真っ黒な穴が空いた。しかしそれは一瞬だった。
次の瞬間には、何事もなかったかのように元通りの星があった。

しかし、その星にはけして踏み込んではいけない。
それは、落ちてくれるものを待ち焦がれている巨大な、巨大な落とし穴なのだ。

うつろな闇を抱えて、その星は今も虚空に浮かんでいる。 (おわり)



・・・・・・・
何年か前、よそに落としたものですが、ここ読んでたら参加したくなってちょっと直し

183:創る名無しに見る名無し
08/12/17 23:52:40 hK4X06so
独特の不安感が。
これはうまい。

184:創る名無しに見る名無し
08/12/18 00:40:12 P8fSrSYd
面白いね。表現も良い。

185:創る名無しに見る名無し
08/12/18 00:40:42 v+MOG4ou
これは怖い

186:99 ◆cnkCYB/0Q2
08/12/20 00:42:48 iRn/vgKZ
「日記」

とある小学校のクラスでは、宿題として毎日の日記が決められていた。
前日のうちに書かれた日記を提出し、それを毎日教諭がチェックする。
ある日、とある教諭は一人の女子生徒の日記がオカシいことに気づく。
はじめはふざけているのかと思っていた教諭だったが、
数日のうちにオカシさの理由に気づいた。
その女子生徒の日記には、次の日(教諭が日記をチェックする日)のデキゴトが
書かれていた。
女子生徒の日記は一日ずれていたのだ。
教諭はおどろくと同時に、これを金儲けに利用できないかと考えた。
株、先物、為替。
しかしそのどれもが小学生が日記に書くようなことではないし、
それを書くようしむけることもできそうになかった。
教諭があれこれ考えをめぐらすあいだにも、
女子生徒の日記には、翌日のTV番組のたわいない感想や、
翌日の友達との会話が書かれていく。
そんな、金にもならない未来の日記に、教諭は歯がゆいおもいをしながら目を通していた。

そして悩みに悩んだ末、教諭は「宝くじ」という結論を得た。
それは自分で好きな番号をえらび、
発売しめきりの翌日に当選番号を発表するたぐいのものである。
これなら数字を書くだけでいいし、しむけるのも簡単そうだと踏んだ。
しかし大金を得るためには、宝くじの発売が終わる前に―つまり日記を書くその日に、
女子生徒の日記を読まなければならない。
教諭はまず、女子生徒に宝くじの話題をして興味をもたせた。
はじめはうまくいかずに、いらだちを募らせたが、
数週間つづけた結果、女子生徒は日記に宝くじの当選番号を書いてきた。
それは確かに当選番号だった。

そして教諭は行動に移した。
宝くじ〆きり日のホームルームを使って、生徒たちにその日の宿題をするように告げた。
そのまま女子生徒の日記をみて、当選番号を知ろうとしたのだ。
算数ドリルや、漢字の書きとりをする生徒たちに、教諭は日記を書くことをすすめる。
生徒たちは次々と日記を書き始める。
が、女子生徒だけは日記を書かなかった。冷静さを装いながら教諭がうながすが、女子生徒は、
「書けない」「どうして書けないのかわからない」
と言うばかりで、一向に鉛筆を走らせない。
早くしないと売り場が閉まってしまう。あせりから徐々に語気が強まっていく教諭に、
ついに女子生徒は泣きだした。その泣き声で、その怒りは頂点にたっする。
「どうして書かないんだ!」
教諭は怒鳴りあげると、鬼のようなぎょうそうで女子生徒の首に手をかけた。

女子生徒は「書かなかった」のではなく「書けなかった」ことに、
元教諭は牢屋のなかで気づくこととなる……


------------------------
前作にいろいろなご意見ありがとう。
創作の参考になります。

187:創る名無しに見る名無し
08/12/20 00:47:31 Uvlhek0+
なるほど、死んじゃったら明日はないもんな
これはいいSS
GJ!

188:創る名無しに見る名無し
08/12/20 02:19:40 aK0B3rXz
無邪気に日常を先見してたのか。
前日の日記に自分が殺されることは書けなかったんだな

189:創る名無しに見る名無し
08/12/20 18:52:22 OJ121Fcn
>>186
いいね。面白い。
似たような話はたくさんあるけれど、うまく調理されていると思う。自分流に。
10点満点で6点。このスレの中ではいちばん好み。
オチがすとんとくる。

190:創る名無しに見る名無し
08/12/22 07:41:13 y/01wEcm
これだけの短さで見事にまとめてるところが凄いね

191:創る名無しに見る名無し
08/12/22 14:45:40 vMgD8pTE
好き。

なんか世にも奇妙な物語とかにもありそう。

192:創る名無しに見る名無し
08/12/23 20:48:21 ir6UkOv1
素直に面白かった 創作乙(=゜ω゜)ノ

193:創る名無しに見る名無し
08/12/24 15:59:21 ydTeU21C
つうか星新一天才だろ。
あのクオリティーであの作品数、、、。
それっぽい作品ひとつ作るのもできそうでなかなかできないとおもうぞ。


194:not星 ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 19:59:07 bT16NCmD
星とか関係ないな
 
 
 

「アンタ、鈍感すぎ」


俗に言う出来ちゃった結婚と出産を済ませた直後に単身赴任になった僕を、君は何年経っても罵り最後に決まってこう言う。


確かに僕は鈍感だったに違いない。
悪い結婚を見抜けずに深みにはまっているのだから。

でも君は鈍い男が好みなんだろう。
四十歳近いのに恐ろしくサバを読み、絵文字をびっしり使ってさ。
その相手もさぞかし「鈍感」なんだろうな。
可笑しくなってくるよ。


でも僕は君のような女性はタイプではない。
能動的に食事をし、満腹になったら横になる。
ほったらかしの庭に手付かずのガーデニング用品を見た時は本当に苛立ったよ。

愛していた頃の君が懐かしいよ。
とてもとても。
君も愛していないんだろう、きっと。
もう終わりにしないか。


似たもの夫婦とはよく言ったものだ。
僕と君は似ているらしい、皮肉にも。

僕も君も鈍感なんだよ。
僕が横に立っているのに気付かないのが何よりの証拠だよ。


でも、なにより君が一番気付くべきだったのは、僕がスコップを新調して土を買い足した事。


さあ、終わりにしよう。




195:創る名無しに見る名無し
08/12/29 20:25:19 BJKAMj6v
これはいいホラー。

196:not星 ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 20:33:03 bT16NCmD
やべぇ、嬉しい

197: ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 20:35:09 bT16NCmD
今読み返したら
文章おかしすぎるw
 
なりより一番とかw

198:創る名無しに見る名無し
08/12/30 11:05:34 QN0kJrxQ
星新一作品を冬休みに読もうとしているひよっこです。ご了承ください。



とある二つの国があった、この二つの国は昔は一つの国だったが戦争で同じ国の国民が殺しあうという
悲劇的な歴史を辿った後、この国は平和な「南の国」と強権的な「北の国」に分かれてしまった。

その出来事から幾年か経ち、南の国の大統領は言った「この国を平和的に一つにして両国に平和を与えたい」と考え
大統領は国内の一部の反対派の意見を押し切って北の国の国王と話し合いをすることにした。

「国王陛下!この国を統一しましょう!」
「大統領、段階的に北と南の交流を解除しましょう」
「陛下!これでこの国は一つになり、平和がやってくるのですね!」
「ええ!その通りです!大統領!」

しかし、大統領の行動は遅かった、この話し合いの時に南の国では反対派だった軍部が暴走し
北の国に攻撃を仕掛けたのだ、さらには北の国にも話し合いに反対する軍部の人間がいて、南の国の軍部と
北の国の軍部は元首の命もなしに勝手に軍隊を動かしていたのだ。

数時間後、南北の話し合いの場所は爆撃の業火に包まれ、数日後には国全体が戦場になってしまった。


クオリティ低くてすいません。意味があんまり判らなくなってしまいました。
どなたかアドバイスを頂けると嬉しいです。

199:創る名無しに見る名無し
08/12/30 12:55:57 s7QYJoW2
なんかあらすじっぽいな 星っぽいの書こうとするとそうなりがちかも知れんけど
三人称でも主人公中心に据えて書いたほうがいいんじゃないかな
この場合は大統領か 偉そうに言ってすまんね

200:創る名無しに見る名無し
08/12/31 20:36:56 wbUXIjHu
もうちょっと改行したらいいんじゃないかな。
。で終わるべき所が、になってまた続いたりするのが気になった。

201:創る名無しに見る名無し
09/01/01 22:10:57 Zz5C9ydK
>>198
この話だと、南北の首脳会談と軍部の暴走が偶然同時に起こった印象で、作劇上関連が薄くなっているように感じられます。
そのため、軍部の中に出てきた不穏な空気に対して大統領が統一交渉を画策したとか、
反対に統一交渉が計画されたため軍部が実際の行動に出たとかいうことにして、
さらにそれを登場人物の台詞等で表現すれば(1レスというこのスレの制限では細かい描写の積み重ねで書くことは不可能だろうから)、
>>199にあるようなあらすじっぽさの軽減にもなると思います。

ただ、上で書いたのも結局は外野の意見で、書いている本人が何を書きたいのかによっては却ってマイナスですね。

202:あるショート作家 ◆1i1o/IpQLY
09/01/02 07:15:06 JTLWKZ2K
>>198はもっと皮肉な終わり方がよかったな。個人的に。

両国の人たちは和解を望んでいる。
そのために大統領と国王が話し合い。
しかし何かの理由(ここがポイント)で、北と南の国は戦争に。
話し合いの場所が血に汚れる。
誤解が分かったのは、もう後戻りできなくなってからのことだった。
両国が滅びるのを暗示して、それをオチとする。


203:がおーん(「・ω・)「 ◆GAOON2chso
09/01/02 11:08:53 FXElQUiP
あ~、こういうスレあったのか。
他のスレでSS投下して損した。

204:創る名無しに見る名無し
09/01/02 12:17:07 pCDPObw5
>>194
最後でぞっとするね
好きだ

205:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/03 01:52:44 PCwJnZxg
 
理由はわからないが最近
生きている心地がしないのだ。

何かぼんやりしたお伽話を
繰り返し繰り返し聞かされているみたいだ。



夏の煩い暑さに耐え、
オフィスで僕はコーヒーを飲んでいる。

目がぼんやりしていたが
気は確かだったはずだ。



夢だったのだろうか、
僕は公園を歩いていた。

見慣れない公園を
見知らぬ少女と歩いている。

とても不思議な気分だったが、悪くもない。
何か懐かしいものを感じていた。

突然、少女は立ち止まり
ふいに僕を見つめる。
冷ややかで悲しそうな目だった。



そしてまた景色が変わる。

誰の車かは知らないが、
僕は車を運転している。

隣には髪の長い綺麗な女性が
外を眺めて座っていた。

何か見えるかい、僕が聞くと
「夕日がとても綺麗」そう答えてみせた。

車のライトを点けた時、
僕は左手に冷たいものを感じた。

それは彼女の手だった。
彼女の手はひどく冷たく、
少し湿っていた。

僕は横道に車を止め、
彼女を心配する。

僕が何を問い掛けても
彼女は何も答えず、
震えて泣いていた。




206:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/03 01:53:26 PCwJnZxg
そこでまた光が消え、
新たな光が入る。

僕が目を開けると、
二人掛けのテーブルにたくさんの料理があり、
女性が座っていた。

髪の短い女性は、
フォークとナイフを操り
サラダを笑顔で食べている。

この料理は全て彼女の手料理らしい。
ルッコラとラディッシュのサラダは
自慢の一品だそうだ。

「なぁ、ラディッシュって二十日大根の事だろ」
「近いけど遠い。親戚みたいなものよ」
こんな他愛もない会話が、
楽しいと思ったのは初めてだった。

これが幸せと言うものなのか、
こんなことまで考えていた。

食事が終わると彼女は、
自分の夢について話しだした。
口調は軽く、楽しそうに話すのだが何かが違う。

軽やかに踊る口の上に付いたいる
二つの目がどこか寂しげに
していたからかもしれない。

その目は前の二人と
同じ冷淡さを持っていた。



そこで全てが醒める。

誰もいない部屋で
保存料だらけの弁当を食べている。

これが自分の日常だ。
また何処かへ旅を
していたのかもしれない。

理由はわからないが最近
生きている心地がしないのだ。

何かぼんやりしたお伽話を
繰り返し繰り返し聞かされているみたいに。
 


207:創る名無しに見る名無し
09/01/05 03:21:27 TGj1Mogj
星じゃねえw
改行頼みなポエム表現は個人的にはあんま好きじゃないんだけど、
blogや2chだと読みやすいんだよなぁ。俺も感覚が老いたかな

内容は好きだよ。というかアプローチ次第で星風にできるネタだと思うんだが、敢えてそうしなかったんだろか?

208:創る名無しに見る名無し
09/01/05 03:29:31 TGj1Mogj
あ、「思うんだが」で済ましたら卑怯だな。すみません
個人的な分析未満ですが、故:星氏の一面として
非日常を演じる「装置」を介する事で
物語の輪郭を明瞭にする技法に長けてると思います。

まあ夢オチ/妄想オチでうやむやにする例も探せばあるんだろうけど
絵的な印象に任せ過ぎてる点は星らしくないと思った次第です。

209:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/05 11:04:57 xUaJb9Nb
なw星じゃねえよなww
感想ありがとう!
 
自分のサイトに乗せてるやつだから
改行が合わなくってw
 
 
風景描写を多めで
有耶無耶にするのは
俺の必殺業です

210:創る名無しに見る名無し
09/01/05 23:13:26 h3x2qHFI
             __ __ _
.        _ , '"´  ,. _ ___`丶、
       / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ     ただの人間には興味ありません。
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. |     この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |     私のところに来なさい。
    |  l:l::i个| l ::l!     l⌒ヽ′} .:}:.l:: l
    |  lハ:l::{::', ::::{、   ヽ.ノ  /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/              |ヽ |     |_    「 〉
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ                 ⊥ 人_  _|_    |/
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、                            O
.   l     ',  \\   \  __| \
.   |      ',   \`ヽ、  ∨n| } ト、

211:創る名無しに見る名無し
09/01/06 17:52:45 7332b/4S
これは確かに星SSじゃなくてポエムだなw

>>210
ハルヒスレにおかえんなさい

212:ずっとあなたを
09/01/11 18:44:12 Kx/yUWoo
 エヌ氏はある女性に恋をしていた。なぜ恋に落ちたのか、そんなことはもうわからない。
そもそも、理由などお構いなしに相手を想うのが恋ではないか。
 そんなことより重要なのは、その女性がエヌ氏の気持ちに応えてくれないということだ。
 エヌ氏は懸命に働き、地位とそれに伴う給料を得て、プレゼントを贈り続けた。
 高級な服を着て、有名な美容師に髪を切ってもらい、ジムに通って体を引き締め、それを維持した。
 また、教養も身につけようと、高度な難しい本も何冊も読み続けた。
 それでも、女性はエヌ氏の気持ちに応えてくれないのだ。

 思いつめたエヌ氏は、高名なエス博士のもとを訪れた。

「博士、どうか惚れ薬をつくって下さい」
「お気持ちはわかりますが、しかし、人間の気持ちや考えをどうにかしてしまう薬をつくったら、
 万が一悪用されたときにとんでもないことになってしまいます。
 それ以前に、私はそんな薬を作るのには抵抗があります」
エス博士は頑として断った。
だがエヌ氏はあきらめなかった。何日も何日も博士のもとに通い、自分の女性への想いとしてきた努力をうったえ続けた。

 そしてその姿にとうとうエス博士も心を動かされた。
「わかりました。惚れ薬をつくりましょう」
「本当ですか!」
エヌ氏の喜びようは並大抵のものではなかった。
「ただし、前にも申し上げた通り、
 人間の気持ちや考えをどうにかしてしまう薬は、悪用されたら恐ろしいことになってしまいます。
 そこで、そのようなことのないよう、飲んだ人間があなたにだけに恋をするだけで、
 他の人間に恋をしたりは出来ないようなものにさせていただきます」
もちろんエヌ氏に文句があるわけはなかった。
不満があるどころか、博士の言った通りの薬をつくってもらえば、
女性の心変わりや、他の人間が惚れ薬を使って彼女を奪い取ることを恐れる必要がなくなるということなのだ。
「では、今日のところはこれでお帰り下さい。これから研究を始めて、出来上がるときに後日こちらからお呼びします。
 その時に、あなたの性格や考え、外見をしっかりデータにして、それ以外の人間には恋をしないような薬にしてお渡しします」
エヌ氏は嬉しさに躍るような足取りで帰って行った。

 後日、エス博士から薬を取りに来るよう連絡が来た。
エヌ氏は、その帰りの足で女性のところに行くつもりで、有名な美容師のところに行き、高級な服を着て、
勇んでエス博士のもとを訪れた。
そして、薬を受け取ると、そのまま女性のところに行き、うまく飲ませることに成功した。

 数ヵ月後、エス博士は町で偶然エヌ氏を見かけ、声をかけた。
「お久しぶりです。どうでした、惚れ薬の効果は?」
 エヌ氏は、困ったような疲れたような顔をして答えた。
「ええ、効果は確かです。彼女は、私に恋をしてくれました。ただ、いつも全く同じ髪型、同じ服を強制されるんです……」


213:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:49:48 Qg55jZ93
うん、オチ読めたけどいい味出てますw
「外見をしっかりデータに」をすこしぼかした表現にするとオチ予測しにくくできたかも

214:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:52:00 Os4xCeRA
久々の投下乙です
俺は女性=エス博士かなと思ってしまった
よかったよー

215:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:57:43 aShB14IO
乙です~

216:創る名無しに見る名無し
09/01/11 21:18:55 sK+2RhTn
俺は博士が薬をつくっててエヌ氏に惚れるのかと思ったw
だからいい感じに予想を裏切られてよかったよ

217:創る名無しに見る名無し
09/01/13 22:04:37 hX9WvjcY
>>212
どこかで読んだことある・・・
ほとんど料理してないだろ?自分流に。
つまりは換骨奪胎。それが、ないような・・・
話のパターンは大昔に出来上がっている。シェイクスピアあたりの時代に。
しかしドラえもんを犬型ロボットに変えるくらいじゃ、ダメ。
そういうこと。



218:創る名無しに見る名無し
09/01/13 22:22:40 hX9WvjcY
>>212の話。作者はいくつかオチを考えたはず。
そのオチをまずはひとひねり。ふたひねり。
髪型を変えるのさえ、許してくれない。彼女は。
なるほど。では、彼女にフラれたあと博士の元を訪れてもいい。髪型を変えたあと。
本人はフラれた理由がサッパリ分らないといったふう。

そして博士のところにその彼女。彼女は博士にベタ惚れ。

博士も髪型を変えている……。
つまり双子。博士と。

なぜこんなことになったのか。
そのわけは……


219:総意
09/01/31 19:35:14 NFiF2Pji
 あまりの人類の数の多さに、ある日、人類以外の動植物の意志が合意に至った。
魚も鳥もペンギンもアホウドリも、テレパシーで心を交わし、人類を合理的計画的に減らしていこうということになった。
生物たちは増え過ぎた人間にうんざりしていた。

 まずは人間を大幅に減らすことになった。
尖兵となったウイルスは、人間社会を良くするような有能で善良な人間から襲っていった。
 ばたばたと「よい人」が死んでいった。
次々とよい人が天に召されるのを世界中の人間が嘆く間もなく、医師や、才能に溢れる子供、他人のために働く人間、活動的で意欲に溢れる者、借金の多い働き者などが死んでいった。

 残ったのは宿無し、無法者、殺人者、人に寄生して生きるもの、社会的弱者などであった。
一人では生きることの出来ないものは死に、また嘆きの余り自死し、殺し合い、
地球はより「きれい」になった。

 そこで生き物のうちの、まだ多数を占めていた犬猫やカラスや鳩、鼠や人間に寄生する生物からの運動が起こった。
「このまま人間が死に絶えてしまうと困ってしまう。ぜひ少数の人間には生き残ってもらわねばならない」
ウイルスや寄生虫も小さな声でこれに同意し、ペットたちが付け加えた。
「この決定を人間が知らないのは不公平ではないのか?」
皆が「それもそうだ」と思ったが、人間たちとテレパシーの疎通を計ることは出来ない。
 総意を伝えるのはペットたちではなく、害虫達に任され、言い渡すのはまず最後まで生き残りそうな者ということになった。

 その晩、地球上の多くの場所でこういうことが起こった。
 ある宿無しの前に得体の知れない何かが現れた。
そしてこれまで人間が減ってきたことを述べ、最後に
「おまえは人間の中で生き残ることを許された」
と言い残し闇に消え去った。

 「生存」を許された者にはやる気の無い、頑健でずるがしこい者たちや、頭のにぶい者も居た。
大抵の者は害虫の合体を神か啓示だと考え、生きる気力を取り戻し正直で勤勉になっていった。
そして進んで人助けをするようになった。
 生物どうしの意見は混乱し二度とまとまることは無かった。
徐々に人類はまた地を覆うように繁栄の道を歩んでいった。



220:創る名無しに見る名無し
09/02/01 13:06:49 nxYeRt6k
>>219
ループかw

221:創る名無しに見る名無し
09/02/01 23:17:36 YMZE0g53
>>217
>そういうこと。
コンセプト破綻してないかなぁ。
まあ藤子氏がそっちで着想してたら別パターンでいろいろ誘導しただろうなあとは思うけど

222:創る名無しに見る名無し
09/02/01 23:21:30 YMZE0g53
>>219
人類害虫論なSFは多々あれど、これは星っぽくすっきりしてて爽快ですた。
そうかゴキブリの働きで天啓を認めて世界平和なのか(違

223:創る名無しに見る名無し
09/02/03 19:35:28 6G2vqrRE
『子供の国』

わたしはスー、4才。ここは〈子供の国〉。お菓子だっておもちゃだって何でもあるの。
広い中庭でお友達と駆けっこもできるの。
国のお外のことは知らないわ。バイ菌がいっぱいで怖いんだって、ロボットのジェイが言ってたわ。
ここには私より大きな子はいないの。〈学校〉ってところに行って、大人になるために〈勉強〉するんだって。
ずっと遊んでいたいのにね。でもまた皆と一緒だもん。きっと〈学校〉も楽しいはずよ。
ふわぁ眠くなってきた…今日も楽しかったわ。おやすみなさい…

「寝たか?」「ああ麻酔ガスがよく効いてるよ」「よし運び出すぞ」
子供の国に隣接した建物では、毎夜出荷作業に追われていた。
「これは等級A5だな。高く売れそうだ。」
ここは、人間牧場『子供の国』


224:創る名無しに見る名無し
09/02/03 20:30:09 FLq544hG
>>223
ありがちだが、悲しい話だな

225:創る名無しに見る名無し
09/02/03 21:48:59 wuAdW7Vj
「ついに完成した。完成したぞ!」
「ついに完成したのですか博士?」
「ああ、完成した。これを使えば時間を自由自在に操る事が出来る」
そう、博士はタイムマシンを作ったのだ。
「君、そこのカップを持ちなさい。私が時間を止めてそのカップを君の手から取ってみせよう」
助手は博士に言われたように近くにあったカップを持った。
「よし、では起動する。驚くんじゃないぞ?」
そう言うと、博士はタイムマシンを起動した。
「あ…あれ?」
助手が不思議そうに声を出した。
何も起こらないのだ。
ふと、博士のほうを見ると全く動かずに立っていた
「ちょ、ちょっと、は…博士?大丈夫ですか?博士!?」

タイムマシン。それは、持っている人の時間を自由自在に操る事が出来る装置。

226:創る名無しに見る名無し
09/02/03 22:52:24 aL6ZJ9Z/
持っている人の時間しか操れないってことかな

227:創る名無しに見る名無し
09/02/04 00:38:06 T/Tt7riA
・博士が自分で自身の時間をとめてしまった
・博士の時間が操られてしまった

どっちも同じ意味か?

228:創る名無しに見る名無し
09/02/04 14:35:53 75zzzUmJ
>>223
なんか悲しい話だけど気に入った

229:創る名無しに見る名無し
09/02/04 23:24:58 nq9VjY7u
自分の時間を止めてしまった=博士自身はタイムマシンをいじれないから
もしかして博士ずっとこのまま?

230:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 14:21:37 ZeLxNcFl
こんなスレあったのか…
即興で参加してみる。

呪い

まず、密閉された器を用意する。これは大きい方が良いが壊れやすいものでは意味が無い。
続いて多種多様な生物をそこに入れる。毒を持つ物を入れるのが一般的だが、毒の有無より種類が重要だ。
器に生き物を詰めて外に出られないようして、長時間放置すると中で熾烈な共食いがはじまる。
この中で最後に残った一匹は非常に強い生命力を持っていて、これが呪いの媒介としても強力な効果を発揮…



「俺が聞きたいのは生命の起源だ!東洋の呪いじゃないっ!」
M氏は怒鳴り声を上げ、本を机に叩きつけた。
M氏を知る者がこの場に居たなら、普段思慮深い彼がこの様に声を荒くするのは珍しい、と驚くだろう。
「わかってるさ、だから56億年前の願い事について丁寧に一から説明してやってるじゃないか。最後の一人よ。」
そう言って悪魔はニヤリと笑った。

231:創る名無しに見る名無し
09/02/08 15:56:45 pLIfdgWU
これはいい。即興ゆえか、キレの良い作品に感じた

232:創る名無しに見る名無し
09/02/08 16:00:35 6IN1pR7y
うん、オチも上手いな

233:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 20:00:23 ZeLxNcFl
即興と言ったが、内容を纏める時間は一時間くらいかかってます。
(´・ω・)

冷静に読み返すとわかりにくい気もするし、アイデアが既出じゃないか怖くなる。何より、星新一風がわからん。
難しいわ、これ。



リサイクル


「もう我慢できない。インク切れのボールペン捨てたら、103号室のMさんに見つかって『芯を替えればリサイクルできるじゃないか、何で捨てるんだ。』あんたは私の親でも上司でもないわよ!」
「まあまあ、患者さんにも色々いるわ。老い先短い人の最後の我が儘と思えば腹もたたないんじゃない?」
「あんたの心はきっと宇宙より深いのね。私は、この前あいつがナースステーションのゴミ箱からリサイクルできる物を選別しようとしてた時点で限界よ。」
「ニコニコ笑って言うとおりにしてあげれば良いのよ。私はあの人の採血針をもう6回はリサイクルしてあげたわ。」

234:創る名無しに見る名無し
09/02/08 20:32:15 ogPeOljk
それはリサイクルではなくリユースです。

リデュース(reduce 減量)
リユース(reuse 再使用)
リサイクル(recycle 再資源化)

235:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 21:27:03 ZeLxNcFl
これは致命的
すまん

236:創る名無しに見る名無し
09/02/08 22:20:20 XoNkETVy
地球がひとつの蟲毒の壷…というわけか
そりゃ中で熾烈な共食いが起こってるもんなー

237:創る名無しに見る名無し
09/02/08 23:18:51 45WEgH6Q
星っぽいかといわれると微妙だけど、
ショートショートとしての完成度はやばい

238:創る名無しに見る名無し
09/02/09 00:47:47 q4j2DceE
この短さはそれ自体が凶器

239:創る名無しに見る名無し
09/02/09 00:50:06 PGNI4Qxq
あれだ、アメリカンジョークっぽいんだ


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