星新一っぽいショートショートを作るスレat MITEMITE
星新一っぽいショートショートを作るスレ - 暇つぶし2ch150:創る名無しに見る名無し
08/12/08 03:05:34 Q+jDTnfI
何が面白いの?とか、オチがない、とか、ただの旅行記かと思わせて擬似環境ドームだった、で充分SFしてるじゃないですか。
ケロロ少佐さん、次回も楽しみにしてます。


151:創る名無しに見る名無し
08/12/08 04:34:54 La9DyOwJ
って言うか、>>137の言い方も良くないよ
せっかくの良スレなんだから楽しく行こう!


152:151
08/12/08 04:39:25 La9DyOwJ
ゴメン!既に話は終わってたね
空気読めなくてスマン!

153:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/08 10:50:19 LTDHujXj
皆様、感想ありがとうございます。
やはり>>119 の【新種の虫】とはちがって今回はオチは弱かったですね。
私も最後の1行か2行目ですばっと擬似環境ドームだったって書こうと思ったんですが
説明不足になってしまうのでこういう感じでおさめてしまいました。
星さんのショートショートもこんな感じの雰囲気の物もあった気がしましたので。

で、私はなんといっても星さんの作品の中ではあの名作、突然現れた穴の中にゴミをどんどん捨てていくヤツが一番好きです。

154:創る名無しに見る名無し
08/12/08 11:37:47 Q+jDTnfI
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
激しい呼び出し音で目が覚めた。

故郷を旅立って2ヶ月、一人乗りの宇宙船ロデオ号は、2年間で4つの惑星の上空からの探査を目的にしている。旧型ロボットのマイキーと2人の退屈な航海だ。

事故で家族をなくした俺は、思い出から逃げ出すように志願した。
離れてみると、1枚だけ持ってきた家族との写真を毎日眺めてしまう。勝手なものだ。

「何だよ、マイキー。」
「ハイ、ビートイ!」
「??何言ってんだ?俺はトムだぞ?」
「ハイビートイ!ハイビートイ!」
「壊れたのか?このポンコツっ!」
上着をはおる時にポケットから写真が落ちた。

拾い上げた写真の中、ケーキの上のチョコレートの文字が目に入った。
ローソクに一部隠れ虫食いになっている。

Ha,y,Bi,To,Y,!

そうか、今日は俺の誕生日だったのか。

HappyBirthdayToYou!

写真の中の俺は幸せそうに笑っている。

「マイキーありがとな。歌を教えてやるよ。」


155:創る名無しに見る名無し
08/12/08 12:30:57 +fomNKTp
不覚にもいい話だった

156:創る名無しに見る名無し
08/12/08 20:50:49 iUGNb/OE


宇宙船が故障してとうとう3日が過ぎたので、彼はそろそろ諦めることにした。

「なるほどな。直そうと四苦八苦してはみたが、どうもこいつは、だめなのだな。」

窓の向こうは広い黒い空があるばかり、人がいるはずもなかった。
人生の幕を1人きりで降ろすのはどこか寂しかったが、まあ元より友人も女もいないのだからと納得しておいた。


「冬眠剤なんていう洒落たものがあれば良かったなあ。ああ、いや、あっても同じことなのだろう。」


本の一冊も持ってきてなかったし、酒もタバコもしていないから、することもなかった。


「今更遺書を書く必要もあるまい。ならさっさとおいとまするとしよう。」


宇宙船の電源を切り、操縦席を倒して、横になって目をつむった。




機械が壊れた以上わからないことだが、もしかしたら、もしかしたら。
自分は今、自分以外の誰も行ったことのない秘境に向かっているのかもしれない。
いつか自分を見つけた探検家達が、自分について熱心に研究するかもしれない。いや、ともすれば、まだ会ったことのない、未知の文明の住人が、自分を見つけるのかもしれない。


段々涼しくなっていく宇宙船の中で、彼は思った。
つまり、私は宇宙を旅しているのだな。


果てしない、未だ感じたことのない希望に包まれながら、彼は宇宙船と眠りについた。



宇宙船は遠ざかる。どこへともなく。

157:創る名無しに見る名無し
08/12/08 20:59:26 /rY3LIBl
ケロロ少佐は創作文芸板にいたヘロロ?

158:創る名無しに見る名無し
08/12/08 21:15:39 f23RkNeg
>>154
>>156
乙 方向性違うけどどっちも良作
星っぽいかどうかは微妙だが

159:永遠
08/12/08 21:55:10 f23RkNeg
 博士は自分そっくりなロボットを造った。このロボットは見た目も博士そっくりな上に、性格も能力も同じだ。
 自分そっくりなロボットを前に、博士は満足していた。
 部屋のドアが開いた。博士が見ると、博士そっくりな人物が入ってくる。
 博士そっくりな人物が言った。
「私そっくりなロボットを造ったら、私そっくりなロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまったか」
 そこへ、また博士そっくりな人物がやってきた。
「私そっくりなロボットを造ったら、私そっくりなロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまって、またそのロボットが自分にそっくりなロボットを造ってしまったか」
 そこへ、また博士そっくりな人物が……

160:創る名無しに見る名無し
08/12/08 21:57:02 f23RkNeg
思いついて即興で書いてみた。
まあ星本人か誰かが多分似たのを書いてるだろうな……

161:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:10:12 6VLsBxCG
『理想郷』

宇宙船が逆噴射をしながら、大地に降り立った。
銀色の宇宙船からタラップが伸び、男が二人出てきた。

「この星は我々の居住に適しているのだろうか」
「どれ、調べてみようじゃないか」

男たちは幾つかの計器を宇宙船から持ち出し、何やら計測をし始めた。

「どれどれ、酸素濃度、二酸化酸素濃度ともに完ぺきだ。有害な物質もなさそうだ。そっちは如何だい」
「放射能の影響もなさそうだ。気圧も良好。マスクを外しても大丈夫だぞ。」
「ぷはぁー、なんとも爽やかな空気じゃないか。まるで理想郷だ。」
「おっ、向こうに遺跡のようなものがあるぞ!行ってみよう。」


「こりゃたまげた!高度な文明がこの星にはあったのだ!」
「もしかしてまだこの星には知的生命体がいるんじゃないのか?この環境の素晴らしさだぞ。」

「おーい、でてこーい」


チル星人の呼び声は、人間が最早住めなくなった地球の荒野に響き渡った。


162:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:12:47 6VLsBxCG
というのを昔考えたのだが、同じような話が星新一やショートショートの広場にあったかもしれない。
もしあったら教えてください

163:創る名無しに見る名無し
08/12/08 22:14:52 cvZWhSO6
>>160
オチを考えればよかったんじゃないかな。
ネタ帳の何かと組み合わせてみると意外と面白いのが出来るかも。



164:創る名無しに見る名無し
08/12/08 23:20:46 t3Hs22e1
>>161
おお、こいつは巧い。
「星新一の作品です」と言われても、違和感なく信じるかもしれん。

少なくとも俺が今まで読んだ中には、こういう話はなかったと思う。

165:創る名無しに見る名無し
08/12/08 23:23:51 h4L3rXFr
設定・オチもさることながら、台詞回しが実に星新一だねw
>「おーい、でてこーい」
でちょっと懐かしくなったよw

166:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/09 15:26:04 G1aj4OwH
【神様発売】

エフ氏は仕事で疲れきった重い足取りでコンビニの前に立っていた。
ドアを押して店内に入ると、さっそくいつもの場所に向かう。
エフ氏の毎日の楽しみは、その日発売の雑誌の立ち読み。
ラックから1冊の雑誌を手に取り、楽しそうにパラパラとチェックをはじめた。

…と…ある記事が目に止まった。
「んん!!か・み・さ・ま・はつばい??」
そこには、『あなただけの神様発売!』とあった。
値段を見ると思っていた程の高価な数字では無かった。
何より、面白そうだったので、エフ氏は、さっそくアパートへ帰り、ネットで注文。

無料お急ぎ便で次ぎの日には届いた神様をさっそく箱から取り出す。
取り扱い説明書の表紙には印象の残る字体でこう記されていた。
『この神様は既存の宗教で存在し、崇拝されているような種類の神様とは、まったく異なり、関係は有りません』
「ふーん。まあいいや。要するに、どの団体にも属さないフリーの神様ってコトね!!」
で、さっそく真空パックされた袋を切ると、中からは白い気体で形創られた人型の神様が微笑んで現れた。

29歳、独身、毎日のバイト生活、ワンルームのアパート暮らし、彼女はいないし、友達もどちらかといえば少ない方のエフ氏にとってこの神様は、良い話し相手であり、相談相手にもなってくれた。
「神様!あんた!意外といいヤツじゃんか!!」
「エフ君!キミもなかなか素直で見込みアル人間だよ!」って気さくな感じ…

       1ヵ月後…

神様の登場でエフ氏の生活は少しづつ変わってきた。
これまで休みの日はゴロンと部屋で寝てばかり過ごしていたが外へ買い物に出かけ、新しい服を買ったり、
散髪も半年に1回だったのが月イチにへと変わり…と、神様のアドバイスを聞き、変化してきた。
何も無く、殺風景だったエフ氏の部屋も目新しい家電にあふれていた。

今日も(大手ネット検索会社連動の)神様が気さくな口調で言った。
『これからの社会人にとって何より大切なのは心地よい睡眠だよね』

       2日後…

給料1年分位の高価な布団セットがどーんと狭いワンルームに敷かれていた。

167:創る名無しに見る名無し
08/12/09 20:52:01 DqtHl13M
>>166
台詞回しは星っぽくないけど、展開やオチはまんま星だww
すげえww

168:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/10 00:29:45 r9figz2M
【インターホンの音が】※今度は「ノックの音が」に挑戦してみました…

インターホンの音がした。
熟睡していたエス美はやっと起き上がりインターホンの画面を見る。
「えーっ!!何で!!」
画面の中には、エス美が大スキだった男性アイドルが映っていた。
「こんにちはエス美さん。ココを開けてください」
開けてと言う台詞を聞いたとたん、エス美の表情が曇り、インターホンのスイッチを切り、眠りについてしまった。

インターホンの音がした。
眠っていたエス美はゆっくりと起き上がりインターホンの画面を見る。
「お母さん!!」
画面の中では、心配そうな表情を浮かべた母親が映っていた。
「エス美!ねえココを開けてちょうだい!!」
エス美の表情は相変わらず曇ったままでインターホンのスイッチを切り、眠りについた。

インターホンの音がした。
眠っていたエス美はゆっくりと起き上がりインターホンの画面を見る。
今度は涙を浮かべた同級生。
だがエス美は同じくスイッチを切り、眠りにつく。
そのあとも同じ展開、父親が来たときも、その後も…誰が来ても決してドアが開くことは無かった。

「残念です。今回の治療ではエス美さんを昏睡状態から助け出す事はできませんでした」
白衣を着た医者が状況を説明していた。
植物人間状態で眠り続けているエス美の周りには、心配そうに立っている両親、同級生、治療に協力し、駆けつけた男性アイドルまでもが見つめていた。
「エス美さんの見ているであろう夢の中で、尋ねてくる人を受け入れ、ドアを開けてくれれば…」
最新の脳接続治療の現場。
それは、音声と画像で直接患者の脳へ思考を送り込み意識を呼び戻す方法。

169:創る名無しに見る名無し
08/12/10 14:45:01 B6Lw4gmc

よく書くなあ
死ぬ間際ってオチでもいけそうだな

170:ウィリアム214世 ◆BtHy5OxvmU
08/12/10 17:24:06 ooBPcnwi
ある豪邸にエフ夫人という富豪の女性がすんでいた。
夫人は80をこえる高齢で、1体の介護ロボットを雇って余生をすごしていた。
ロボットは介護ロボット派遣会社から派遣されており、毎朝スタッフがロボットを夫人の家に運び、夕方には連れて帰っていく。
そのロボットの外見はまるっきり人間とおなじだった。
唯一ちがうところといえば、頭にたくさんのコードがついた光るヘルメットつけているということだった。
そのロボットの性能は目をみはるほどで、掃除をすればほこり一つなく、料理のうでは抜群、車イスもおしてくれるし風呂にもいれてくれるというすばらしいものだった。

 そんなロボットにエフ夫人はいつしか愛着をおぼえていた。
ロボットに自分の息子を投影するようになったからだ。
夫人の息子は40年前に家をでていってしまった。
彼女はそのことでずっと心を傷めていた。
ロボットと出会ったことで夫人の人生は変わった。
今は毎日が楽しくて仕方がない。
毎朝早起きし、家にやってくるロボットを出迎える。
ロボットは言われたことを淡々とこなすだけで、会話することはできないが、夫人は常にロボットに呼びかける。
「今日はいい天気だね」「調子はどうだい」「そうかい、そりゃよかったね」などといった具合に。

ある日夫人は決心し、スタッフにこう言った。
「そのロボットを買うことはできないでしょうか」
スタッフはおどろいたがすぐに「まことに申し訳ありません。ロボットの購入は残念ながら不可能です」と断った。
「そこをなんとか。お金はいくらでも出しますから」
「お金の問題ではありません。会社の原則で決められていることですから」
夫人は仕方なくあきらめて「じゃあせめて、私の家にはこのロボットだけよこしてください。一生の頼みです。お願いします」と涙ながらに言った。
スタッフは少し考えて「わかりました。約束はできませんが、優先してこのロボットを来させるようにしましょう」
夫人はほっとして、車イスをぎしっときしませた。
今日も任を終えたロボットは車に乗せられ屋敷を去っていく。
その様子を夫人はいつまでも見送っていた。

車中、スタッフはロボットのヘルメットをはずし、「ごくろう。今日の仕事はこれで終わりだ」と言った。
ロボットはふぅと一息つくと体を伸ばし、スタッフに言った。
「今日は社長に話したいことがあるんだ。アポを取ってくれないか」
その夜、ロボットは会社の社長室にいた。
「エヌ君、何かね話とは」
ロボットは実はと言うと、ポケットから辞表と書かれた紙を出した。
社長はのどをうならせた。
「君のような人材をなくすのは惜しい。なにが不満かね? 給料も高いし何より比較的楽な仕事だ」
「こんな仕事だれにでもできるでしょう。たしかにいい条件ですが、毎日11時間も記憶がないというのは気味が悪い。もうこの仕事にはうんざりなんです」
ロボットはそれから2度と夫人の家に行くことはなかった。


171:創る名無しに見る名無し
08/12/10 17:28:14 TyCPcpE6
2回読んでようやく理解できたような気がする
俺はこの手の話、好きだぜ

172:創る名無しに見る名無し
08/12/10 21:33:12 zdo9U2Ae
夫人カワイソス

173:創る名無しに見る名無し
08/12/11 03:47:07 ai31AO60
久しぶりに星新一を読みなおしてみたけど、やっぱりすごいな。
小さい頃は何となく「おもすれーw」って読んでたけど、実際に自分でも書くようになる
と、こういう作品を作ることがどれだけ難しいことなのか思い知らされる。

174:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/12 18:12:24 GGUCalPM
【結末】

ジェイと呼ばれている男は体中に傷をこしらえながらも、持ち前の反射神経の良さと、粘り強さでテロリストを一人づつ倒し、ついにはそのボスをも倒した。
なぜかジェイの周りには大事件が発生し、ジェイ本人もそのつもりは無いのにいつのまにか巻きこまれてしまう。
そしてジェイは、いつもこのセリフを口にした。
「おい!ちょっと待て!休ませてくれよ」…と。

一つの事件が解決するとまた新たな事件がおき、ジェイは巨悪と社会の矛盾に立ち向かうのだ。
そんなジェイがこれまで何とか戦い続けてこられた訳は。
いつもその精神的な支えとなってくれていたもの。
ちょっとしたズレで離婚はしたが、いまだなお、心の奥では愛しあっている元、妻。
時々反発はするが心の中では父親を信頼している一人娘。
そしていつも規格外の行動で大暴れをし続けるジェイに不満をこぼしながらも良きサポート役としてふるまい、何度もジェイのピンチを救っている相棒刑事のケイ。
救急車や警察車輌が行きかう騒がしい現場。今回もそんな状況でのラストシーン。
やっとの思いで生き延びたジェイは眠りにつくのだった。

捜査官ジェイシリーズの中でもシーズンⅥは大好評でこれまでの最高のダウンロードを記録した。
今、ハリウッドの映画界はまったく人間の役者が関わらないプログラムされたデジタル人間の俳優が活躍していた。
個々のデジタル俳優はそれぞれ独自の人工知能の思考脳を持っている。そして与えられた脚本の中で精一杯の行動を取り迫真の演技をするのだ。

監督は、最新のムービーメーカー端末の電源をいれた。
さっそく次ぎのシーズンⅦに向けて主人公、ジェイの意識プログラムを起動させた。
そして二つのキーワードを打ちこむ。

『妻と娘の間に修復できない溝が出来て、永遠の別れ』『相棒ケイの裏切り』

175:創る名無しに見る名無し
08/12/12 20:06:18 J/tInIHZ

これはおもしろい! そしてひでえw

176:創る名無しに見る名無し
08/12/13 00:05:28 iMsxK8JN
>>174
思慮浅くてすみません
このオチは、どういう意味でしょうか?

177:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/13 00:26:07 v2tUjtCy
忘れて下さい…

178:創る名無しに見る名無し
08/12/13 01:54:26 2he9XNWu
映画や本の主人公というオチに絶望感プラス。
ジェイにとってはつねにリアルな世界がそれ、っていうのがカワイソス。
GJ!


179:ケロロ少佐 ◆uccexHM3l2
08/12/16 14:56:01 7jZJCQci
【救済】

数か月前、世界の主要都市の上空に無数の巨大円盤群が突然出現し、世界中は大混乱に陥った。
これまで未知の存在だったエイリアンが現実のものとなったのである。

国防大臣のエフ氏は、その責任の重大さに表情がこわばり、膝の震えを何とか抑えつつ異星生物、地球種管理総督の部屋にいた。
「では、どうしても全人類の30%以上の救済は考えていただけないのですね」
異様に背の高い総督は無言の返事をこの部屋に同席している各指導者達へ返す。

銀河系規模の時空の転移現象の発生から人類を救済すべくあらわれた銀河連邦のエイリアン。
今回の自然災害も高度に発達した銀河連邦種族にとっては、つむじ風程の影響なのだろうが人類にとっては種の絶滅に等しい危機であった。
そして、この救済には一つの条件が付けられていた。
「ノアの箱舟」に乗船できるのは選ばれし人類のみというわけであった。

エイリアンはこの選出に、人類が大災害などの発生時の死傷者救済に採用している考え方、トリアージを使った。
つまり救うべき価値のある人類の選別方法として黒、赤、黄、緑の4つのカテゴリーにランク分けするというのである。
エフ氏ら、その国の指導者層のみに知らされたこの取り決めは銀河連邦種族側主導で数日中にも開始される。
「これは人類の未来にとって必要なものなのだ」
と、エフ氏は自分に言い聞かせて、処分され見捨てられる残り70%の人たちの事を思い悲しんだが、その一方で空に浮かぶ巨大円盤の内部に招待される時を楽しみにもしていた。
会談も終わり、総督の部屋からエフ氏はその他の各指導者とともに席を立った。

選別にはもう一つ、人類に、指導者層にも知らされていない事がらが存在していた。

つまり、今回の第一選考基準は知的生命として基本となる倫理面が最重要とされていて、社会的地位は考慮されていないという事実があった。
退室する各指導者達の後ろ姿を見送る地球総督。
その視覚内の、総督のみに見える識別評価を示す色はすべて同色だった。

それは『矯正もしくは治療など可能性は見込めず、救命不可能、つまり必要のない人物』をあらわす黒色をしていた

180:創る名無しに見る名無し
08/12/16 16:55:10 +L4XAP+b
政治家なんてそんなもの…ということか

181:創る名無しに見る名無し
08/12/16 18:18:04 pZCgKwyY
このスレで良い作品読んでるうちに本格的に読みたくなって
文庫できまぐれロボットとボッコちゃんを買って来たよ。
星新一を読むのは小学校以来20年ぶりくらいのオサーンです。

182:草
08/12/17 23:44:38 pnaePiWJ
「穴」

とある国の、とある町。
子どもたちの間で落とし穴づくりが流行していた。
はじめは砂場や空き地に穴を掘って子どもどうし落とし合うことで済んでいたのだが
だんだん遊びはエスカレートし、一般道にまで落とし穴が出現し始める。
被害にあって腹を立てた大人たちは、落とし穴作りを禁止してしまった。

しかし、落とし穴はなくならなかった。埋め戻しても、翌朝にはまた落ちる人が出るのである。
大人は子どもたちを問いただしたが、皆一様に自分の仕業ではないと否定した。
それでも落とし穴の出現は止まらず、やがて、舗装道路にまで本格的な落とし穴が出現しはじめた。
人々の外出には、地面を叩いて安全を確認するための杖が必需品となったが、
細心の注意を払っても穴に落ちる人はあとをたたず、足首捻挫や骨折までする住人が続出する事態に。
町では有志による自警団が設立され、夜間パトロールが始まった。しかし犯人は捕まらない。
もう埋め戻しは間に合わず、町は穴だらけになっていた。
人々は外出もままならなくなったが、家の中にいても安全なわけではなかったのである。


ある日、突然轟音とともに住宅が消えた。
家の消えたあとには底の見えない巨大な穴がぽっかりと口を空けていた。


今となってはもう誰も、これが人間の仕業だとは思っていなかった。
巨大な穴ができたと思うと、翌日には何事もなかったかのような地面が現れる。
けれどそこは、一歩足をのせた途端に全てを飲み込む落とし穴なのである。
うかつに避難することもできず、人々は次々落とし穴の餌食になっていった。
町ひとつにとどまらず、やがてその現象は世界に広がった。
人々はただまんじりともできずに、自分の足元が落ち込むその時を待つしかなかった。


そしてその日が来た。ボコリ、という音を聞いた者がいたのかどうか。
もし宇宙から「それ」見ている者がいたならば、
その星が一瞬「真っ黒い穴に落ち込む」のを見たことだろう。
音のない宇宙の一隅に真っ黒な穴が空いた。しかしそれは一瞬だった。
次の瞬間には、何事もなかったかのように元通りの星があった。

しかし、その星にはけして踏み込んではいけない。
それは、落ちてくれるものを待ち焦がれている巨大な、巨大な落とし穴なのだ。

うつろな闇を抱えて、その星は今も虚空に浮かんでいる。 (おわり)



・・・・・・・
何年か前、よそに落としたものですが、ここ読んでたら参加したくなってちょっと直し

183:創る名無しに見る名無し
08/12/17 23:52:40 hK4X06so
独特の不安感が。
これはうまい。

184:創る名無しに見る名無し
08/12/18 00:40:12 P8fSrSYd
面白いね。表現も良い。

185:創る名無しに見る名無し
08/12/18 00:40:42 v+MOG4ou
これは怖い

186:99 ◆cnkCYB/0Q2
08/12/20 00:42:48 iRn/vgKZ
「日記」

とある小学校のクラスでは、宿題として毎日の日記が決められていた。
前日のうちに書かれた日記を提出し、それを毎日教諭がチェックする。
ある日、とある教諭は一人の女子生徒の日記がオカシいことに気づく。
はじめはふざけているのかと思っていた教諭だったが、
数日のうちにオカシさの理由に気づいた。
その女子生徒の日記には、次の日(教諭が日記をチェックする日)のデキゴトが
書かれていた。
女子生徒の日記は一日ずれていたのだ。
教諭はおどろくと同時に、これを金儲けに利用できないかと考えた。
株、先物、為替。
しかしそのどれもが小学生が日記に書くようなことではないし、
それを書くようしむけることもできそうになかった。
教諭があれこれ考えをめぐらすあいだにも、
女子生徒の日記には、翌日のTV番組のたわいない感想や、
翌日の友達との会話が書かれていく。
そんな、金にもならない未来の日記に、教諭は歯がゆいおもいをしながら目を通していた。

そして悩みに悩んだ末、教諭は「宝くじ」という結論を得た。
それは自分で好きな番号をえらび、
発売しめきりの翌日に当選番号を発表するたぐいのものである。
これなら数字を書くだけでいいし、しむけるのも簡単そうだと踏んだ。
しかし大金を得るためには、宝くじの発売が終わる前に―つまり日記を書くその日に、
女子生徒の日記を読まなければならない。
教諭はまず、女子生徒に宝くじの話題をして興味をもたせた。
はじめはうまくいかずに、いらだちを募らせたが、
数週間つづけた結果、女子生徒は日記に宝くじの当選番号を書いてきた。
それは確かに当選番号だった。

そして教諭は行動に移した。
宝くじ〆きり日のホームルームを使って、生徒たちにその日の宿題をするように告げた。
そのまま女子生徒の日記をみて、当選番号を知ろうとしたのだ。
算数ドリルや、漢字の書きとりをする生徒たちに、教諭は日記を書くことをすすめる。
生徒たちは次々と日記を書き始める。
が、女子生徒だけは日記を書かなかった。冷静さを装いながら教諭がうながすが、女子生徒は、
「書けない」「どうして書けないのかわからない」
と言うばかりで、一向に鉛筆を走らせない。
早くしないと売り場が閉まってしまう。あせりから徐々に語気が強まっていく教諭に、
ついに女子生徒は泣きだした。その泣き声で、その怒りは頂点にたっする。
「どうして書かないんだ!」
教諭は怒鳴りあげると、鬼のようなぎょうそうで女子生徒の首に手をかけた。

女子生徒は「書かなかった」のではなく「書けなかった」ことに、
元教諭は牢屋のなかで気づくこととなる……


------------------------
前作にいろいろなご意見ありがとう。
創作の参考になります。

187:創る名無しに見る名無し
08/12/20 00:47:31 Uvlhek0+
なるほど、死んじゃったら明日はないもんな
これはいいSS
GJ!

188:創る名無しに見る名無し
08/12/20 02:19:40 aK0B3rXz
無邪気に日常を先見してたのか。
前日の日記に自分が殺されることは書けなかったんだな

189:創る名無しに見る名無し
08/12/20 18:52:22 OJ121Fcn
>>186
いいね。面白い。
似たような話はたくさんあるけれど、うまく調理されていると思う。自分流に。
10点満点で6点。このスレの中ではいちばん好み。
オチがすとんとくる。

190:創る名無しに見る名無し
08/12/22 07:41:13 y/01wEcm
これだけの短さで見事にまとめてるところが凄いね

191:創る名無しに見る名無し
08/12/22 14:45:40 vMgD8pTE
好き。

なんか世にも奇妙な物語とかにもありそう。

192:創る名無しに見る名無し
08/12/23 20:48:21 ir6UkOv1
素直に面白かった 創作乙(=゜ω゜)ノ

193:創る名無しに見る名無し
08/12/24 15:59:21 ydTeU21C
つうか星新一天才だろ。
あのクオリティーであの作品数、、、。
それっぽい作品ひとつ作るのもできそうでなかなかできないとおもうぞ。


194:not星 ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 19:59:07 bT16NCmD
星とか関係ないな
 
 
 

「アンタ、鈍感すぎ」


俗に言う出来ちゃった結婚と出産を済ませた直後に単身赴任になった僕を、君は何年経っても罵り最後に決まってこう言う。


確かに僕は鈍感だったに違いない。
悪い結婚を見抜けずに深みにはまっているのだから。

でも君は鈍い男が好みなんだろう。
四十歳近いのに恐ろしくサバを読み、絵文字をびっしり使ってさ。
その相手もさぞかし「鈍感」なんだろうな。
可笑しくなってくるよ。


でも僕は君のような女性はタイプではない。
能動的に食事をし、満腹になったら横になる。
ほったらかしの庭に手付かずのガーデニング用品を見た時は本当に苛立ったよ。

愛していた頃の君が懐かしいよ。
とてもとても。
君も愛していないんだろう、きっと。
もう終わりにしないか。


似たもの夫婦とはよく言ったものだ。
僕と君は似ているらしい、皮肉にも。

僕も君も鈍感なんだよ。
僕が横に立っているのに気付かないのが何よりの証拠だよ。


でも、なにより君が一番気付くべきだったのは、僕がスコップを新調して土を買い足した事。


さあ、終わりにしよう。




195:創る名無しに見る名無し
08/12/29 20:25:19 BJKAMj6v
これはいいホラー。

196:not星 ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 20:33:03 bT16NCmD
やべぇ、嬉しい

197: ◆tHwkIlYXTE
08/12/29 20:35:09 bT16NCmD
今読み返したら
文章おかしすぎるw
 
なりより一番とかw

198:創る名無しに見る名無し
08/12/30 11:05:34 QN0kJrxQ
星新一作品を冬休みに読もうとしているひよっこです。ご了承ください。



とある二つの国があった、この二つの国は昔は一つの国だったが戦争で同じ国の国民が殺しあうという
悲劇的な歴史を辿った後、この国は平和な「南の国」と強権的な「北の国」に分かれてしまった。

その出来事から幾年か経ち、南の国の大統領は言った「この国を平和的に一つにして両国に平和を与えたい」と考え
大統領は国内の一部の反対派の意見を押し切って北の国の国王と話し合いをすることにした。

「国王陛下!この国を統一しましょう!」
「大統領、段階的に北と南の交流を解除しましょう」
「陛下!これでこの国は一つになり、平和がやってくるのですね!」
「ええ!その通りです!大統領!」

しかし、大統領の行動は遅かった、この話し合いの時に南の国では反対派だった軍部が暴走し
北の国に攻撃を仕掛けたのだ、さらには北の国にも話し合いに反対する軍部の人間がいて、南の国の軍部と
北の国の軍部は元首の命もなしに勝手に軍隊を動かしていたのだ。

数時間後、南北の話し合いの場所は爆撃の業火に包まれ、数日後には国全体が戦場になってしまった。


クオリティ低くてすいません。意味があんまり判らなくなってしまいました。
どなたかアドバイスを頂けると嬉しいです。

199:創る名無しに見る名無し
08/12/30 12:55:57 s7QYJoW2
なんかあらすじっぽいな 星っぽいの書こうとするとそうなりがちかも知れんけど
三人称でも主人公中心に据えて書いたほうがいいんじゃないかな
この場合は大統領か 偉そうに言ってすまんね

200:創る名無しに見る名無し
08/12/31 20:36:56 wbUXIjHu
もうちょっと改行したらいいんじゃないかな。
。で終わるべき所が、になってまた続いたりするのが気になった。

201:創る名無しに見る名無し
09/01/01 22:10:57 Zz5C9ydK
>>198
この話だと、南北の首脳会談と軍部の暴走が偶然同時に起こった印象で、作劇上関連が薄くなっているように感じられます。
そのため、軍部の中に出てきた不穏な空気に対して大統領が統一交渉を画策したとか、
反対に統一交渉が計画されたため軍部が実際の行動に出たとかいうことにして、
さらにそれを登場人物の台詞等で表現すれば(1レスというこのスレの制限では細かい描写の積み重ねで書くことは不可能だろうから)、
>>199にあるようなあらすじっぽさの軽減にもなると思います。

ただ、上で書いたのも結局は外野の意見で、書いている本人が何を書きたいのかによっては却ってマイナスですね。

202:あるショート作家 ◆1i1o/IpQLY
09/01/02 07:15:06 JTLWKZ2K
>>198はもっと皮肉な終わり方がよかったな。個人的に。

両国の人たちは和解を望んでいる。
そのために大統領と国王が話し合い。
しかし何かの理由(ここがポイント)で、北と南の国は戦争に。
話し合いの場所が血に汚れる。
誤解が分かったのは、もう後戻りできなくなってからのことだった。
両国が滅びるのを暗示して、それをオチとする。


203:がおーん(「・ω・)「 ◆GAOON2chso
09/01/02 11:08:53 FXElQUiP
あ~、こういうスレあったのか。
他のスレでSS投下して損した。

204:創る名無しに見る名無し
09/01/02 12:17:07 pCDPObw5
>>194
最後でぞっとするね
好きだ

205:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/03 01:52:44 PCwJnZxg
 
理由はわからないが最近
生きている心地がしないのだ。

何かぼんやりしたお伽話を
繰り返し繰り返し聞かされているみたいだ。



夏の煩い暑さに耐え、
オフィスで僕はコーヒーを飲んでいる。

目がぼんやりしていたが
気は確かだったはずだ。



夢だったのだろうか、
僕は公園を歩いていた。

見慣れない公園を
見知らぬ少女と歩いている。

とても不思議な気分だったが、悪くもない。
何か懐かしいものを感じていた。

突然、少女は立ち止まり
ふいに僕を見つめる。
冷ややかで悲しそうな目だった。



そしてまた景色が変わる。

誰の車かは知らないが、
僕は車を運転している。

隣には髪の長い綺麗な女性が
外を眺めて座っていた。

何か見えるかい、僕が聞くと
「夕日がとても綺麗」そう答えてみせた。

車のライトを点けた時、
僕は左手に冷たいものを感じた。

それは彼女の手だった。
彼女の手はひどく冷たく、
少し湿っていた。

僕は横道に車を止め、
彼女を心配する。

僕が何を問い掛けても
彼女は何も答えず、
震えて泣いていた。




206:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/03 01:53:26 PCwJnZxg
そこでまた光が消え、
新たな光が入る。

僕が目を開けると、
二人掛けのテーブルにたくさんの料理があり、
女性が座っていた。

髪の短い女性は、
フォークとナイフを操り
サラダを笑顔で食べている。

この料理は全て彼女の手料理らしい。
ルッコラとラディッシュのサラダは
自慢の一品だそうだ。

「なぁ、ラディッシュって二十日大根の事だろ」
「近いけど遠い。親戚みたいなものよ」
こんな他愛もない会話が、
楽しいと思ったのは初めてだった。

これが幸せと言うものなのか、
こんなことまで考えていた。

食事が終わると彼女は、
自分の夢について話しだした。
口調は軽く、楽しそうに話すのだが何かが違う。

軽やかに踊る口の上に付いたいる
二つの目がどこか寂しげに
していたからかもしれない。

その目は前の二人と
同じ冷淡さを持っていた。



そこで全てが醒める。

誰もいない部屋で
保存料だらけの弁当を食べている。

これが自分の日常だ。
また何処かへ旅を
していたのかもしれない。

理由はわからないが最近
生きている心地がしないのだ。

何かぼんやりしたお伽話を
繰り返し繰り返し聞かされているみたいに。
 


207:創る名無しに見る名無し
09/01/05 03:21:27 TGj1Mogj
星じゃねえw
改行頼みなポエム表現は個人的にはあんま好きじゃないんだけど、
blogや2chだと読みやすいんだよなぁ。俺も感覚が老いたかな

内容は好きだよ。というかアプローチ次第で星風にできるネタだと思うんだが、敢えてそうしなかったんだろか?

208:創る名無しに見る名無し
09/01/05 03:29:31 TGj1Mogj
あ、「思うんだが」で済ましたら卑怯だな。すみません
個人的な分析未満ですが、故:星氏の一面として
非日常を演じる「装置」を介する事で
物語の輪郭を明瞭にする技法に長けてると思います。

まあ夢オチ/妄想オチでうやむやにする例も探せばあるんだろうけど
絵的な印象に任せ過ぎてる点は星らしくないと思った次第です。

209:not星 ◆tHwkIlYXTE
09/01/05 11:04:57 xUaJb9Nb
なw星じゃねえよなww
感想ありがとう!
 
自分のサイトに乗せてるやつだから
改行が合わなくってw
 
 
風景描写を多めで
有耶無耶にするのは
俺の必殺業です

210:創る名無しに見る名無し
09/01/05 23:13:26 h3x2qHFI
             __ __ _
.        _ , '"´  ,. _ ___`丶、
       / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ     ただの人間には興味ありません。
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. |     この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |     私のところに来なさい。
    |  l:l::i个| l ::l!     l⌒ヽ′} .:}:.l:: l
    |  lハ:l::{::', ::::{、   ヽ.ノ  /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/              |ヽ |     |_    「 〉
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ                 ⊥ 人_  _|_    |/
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、                            O
.   l     ',  \\   \  __| \
.   |      ',   \`ヽ、  ∨n| } ト、

211:創る名無しに見る名無し
09/01/06 17:52:45 7332b/4S
これは確かに星SSじゃなくてポエムだなw

>>210
ハルヒスレにおかえんなさい

212:ずっとあなたを
09/01/11 18:44:12 Kx/yUWoo
 エヌ氏はある女性に恋をしていた。なぜ恋に落ちたのか、そんなことはもうわからない。
そもそも、理由などお構いなしに相手を想うのが恋ではないか。
 そんなことより重要なのは、その女性がエヌ氏の気持ちに応えてくれないということだ。
 エヌ氏は懸命に働き、地位とそれに伴う給料を得て、プレゼントを贈り続けた。
 高級な服を着て、有名な美容師に髪を切ってもらい、ジムに通って体を引き締め、それを維持した。
 また、教養も身につけようと、高度な難しい本も何冊も読み続けた。
 それでも、女性はエヌ氏の気持ちに応えてくれないのだ。

 思いつめたエヌ氏は、高名なエス博士のもとを訪れた。

「博士、どうか惚れ薬をつくって下さい」
「お気持ちはわかりますが、しかし、人間の気持ちや考えをどうにかしてしまう薬をつくったら、
 万が一悪用されたときにとんでもないことになってしまいます。
 それ以前に、私はそんな薬を作るのには抵抗があります」
エス博士は頑として断った。
だがエヌ氏はあきらめなかった。何日も何日も博士のもとに通い、自分の女性への想いとしてきた努力をうったえ続けた。

 そしてその姿にとうとうエス博士も心を動かされた。
「わかりました。惚れ薬をつくりましょう」
「本当ですか!」
エヌ氏の喜びようは並大抵のものではなかった。
「ただし、前にも申し上げた通り、
 人間の気持ちや考えをどうにかしてしまう薬は、悪用されたら恐ろしいことになってしまいます。
 そこで、そのようなことのないよう、飲んだ人間があなたにだけに恋をするだけで、
 他の人間に恋をしたりは出来ないようなものにさせていただきます」
もちろんエヌ氏に文句があるわけはなかった。
不満があるどころか、博士の言った通りの薬をつくってもらえば、
女性の心変わりや、他の人間が惚れ薬を使って彼女を奪い取ることを恐れる必要がなくなるということなのだ。
「では、今日のところはこれでお帰り下さい。これから研究を始めて、出来上がるときに後日こちらからお呼びします。
 その時に、あなたの性格や考え、外見をしっかりデータにして、それ以外の人間には恋をしないような薬にしてお渡しします」
エヌ氏は嬉しさに躍るような足取りで帰って行った。

 後日、エス博士から薬を取りに来るよう連絡が来た。
エヌ氏は、その帰りの足で女性のところに行くつもりで、有名な美容師のところに行き、高級な服を着て、
勇んでエス博士のもとを訪れた。
そして、薬を受け取ると、そのまま女性のところに行き、うまく飲ませることに成功した。

 数ヵ月後、エス博士は町で偶然エヌ氏を見かけ、声をかけた。
「お久しぶりです。どうでした、惚れ薬の効果は?」
 エヌ氏は、困ったような疲れたような顔をして答えた。
「ええ、効果は確かです。彼女は、私に恋をしてくれました。ただ、いつも全く同じ髪型、同じ服を強制されるんです……」


213:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:49:48 Qg55jZ93
うん、オチ読めたけどいい味出てますw
「外見をしっかりデータに」をすこしぼかした表現にするとオチ予測しにくくできたかも

214:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:52:00 Os4xCeRA
久々の投下乙です
俺は女性=エス博士かなと思ってしまった
よかったよー

215:創る名無しに見る名無し
09/01/11 18:57:43 aShB14IO
乙です~

216:創る名無しに見る名無し
09/01/11 21:18:55 sK+2RhTn
俺は博士が薬をつくっててエヌ氏に惚れるのかと思ったw
だからいい感じに予想を裏切られてよかったよ

217:創る名無しに見る名無し
09/01/13 22:04:37 hX9WvjcY
>>212
どこかで読んだことある・・・
ほとんど料理してないだろ?自分流に。
つまりは換骨奪胎。それが、ないような・・・
話のパターンは大昔に出来上がっている。シェイクスピアあたりの時代に。
しかしドラえもんを犬型ロボットに変えるくらいじゃ、ダメ。
そういうこと。



218:創る名無しに見る名無し
09/01/13 22:22:40 hX9WvjcY
>>212の話。作者はいくつかオチを考えたはず。
そのオチをまずはひとひねり。ふたひねり。
髪型を変えるのさえ、許してくれない。彼女は。
なるほど。では、彼女にフラれたあと博士の元を訪れてもいい。髪型を変えたあと。
本人はフラれた理由がサッパリ分らないといったふう。

そして博士のところにその彼女。彼女は博士にベタ惚れ。

博士も髪型を変えている……。
つまり双子。博士と。

なぜこんなことになったのか。
そのわけは……


219:総意
09/01/31 19:35:14 NFiF2Pji
 あまりの人類の数の多さに、ある日、人類以外の動植物の意志が合意に至った。
魚も鳥もペンギンもアホウドリも、テレパシーで心を交わし、人類を合理的計画的に減らしていこうということになった。
生物たちは増え過ぎた人間にうんざりしていた。

 まずは人間を大幅に減らすことになった。
尖兵となったウイルスは、人間社会を良くするような有能で善良な人間から襲っていった。
 ばたばたと「よい人」が死んでいった。
次々とよい人が天に召されるのを世界中の人間が嘆く間もなく、医師や、才能に溢れる子供、他人のために働く人間、活動的で意欲に溢れる者、借金の多い働き者などが死んでいった。

 残ったのは宿無し、無法者、殺人者、人に寄生して生きるもの、社会的弱者などであった。
一人では生きることの出来ないものは死に、また嘆きの余り自死し、殺し合い、
地球はより「きれい」になった。

 そこで生き物のうちの、まだ多数を占めていた犬猫やカラスや鳩、鼠や人間に寄生する生物からの運動が起こった。
「このまま人間が死に絶えてしまうと困ってしまう。ぜひ少数の人間には生き残ってもらわねばならない」
ウイルスや寄生虫も小さな声でこれに同意し、ペットたちが付け加えた。
「この決定を人間が知らないのは不公平ではないのか?」
皆が「それもそうだ」と思ったが、人間たちとテレパシーの疎通を計ることは出来ない。
 総意を伝えるのはペットたちではなく、害虫達に任され、言い渡すのはまず最後まで生き残りそうな者ということになった。

 その晩、地球上の多くの場所でこういうことが起こった。
 ある宿無しの前に得体の知れない何かが現れた。
そしてこれまで人間が減ってきたことを述べ、最後に
「おまえは人間の中で生き残ることを許された」
と言い残し闇に消え去った。

 「生存」を許された者にはやる気の無い、頑健でずるがしこい者たちや、頭のにぶい者も居た。
大抵の者は害虫の合体を神か啓示だと考え、生きる気力を取り戻し正直で勤勉になっていった。
そして進んで人助けをするようになった。
 生物どうしの意見は混乱し二度とまとまることは無かった。
徐々に人類はまた地を覆うように繁栄の道を歩んでいった。



220:創る名無しに見る名無し
09/02/01 13:06:49 nxYeRt6k
>>219
ループかw

221:創る名無しに見る名無し
09/02/01 23:17:36 YMZE0g53
>>217
>そういうこと。
コンセプト破綻してないかなぁ。
まあ藤子氏がそっちで着想してたら別パターンでいろいろ誘導しただろうなあとは思うけど

222:創る名無しに見る名無し
09/02/01 23:21:30 YMZE0g53
>>219
人類害虫論なSFは多々あれど、これは星っぽくすっきりしてて爽快ですた。
そうかゴキブリの働きで天啓を認めて世界平和なのか(違

223:創る名無しに見る名無し
09/02/03 19:35:28 6G2vqrRE
『子供の国』

わたしはスー、4才。ここは〈子供の国〉。お菓子だっておもちゃだって何でもあるの。
広い中庭でお友達と駆けっこもできるの。
国のお外のことは知らないわ。バイ菌がいっぱいで怖いんだって、ロボットのジェイが言ってたわ。
ここには私より大きな子はいないの。〈学校〉ってところに行って、大人になるために〈勉強〉するんだって。
ずっと遊んでいたいのにね。でもまた皆と一緒だもん。きっと〈学校〉も楽しいはずよ。
ふわぁ眠くなってきた…今日も楽しかったわ。おやすみなさい…

「寝たか?」「ああ麻酔ガスがよく効いてるよ」「よし運び出すぞ」
子供の国に隣接した建物では、毎夜出荷作業に追われていた。
「これは等級A5だな。高く売れそうだ。」
ここは、人間牧場『子供の国』


224:創る名無しに見る名無し
09/02/03 20:30:09 FLq544hG
>>223
ありがちだが、悲しい話だな

225:創る名無しに見る名無し
09/02/03 21:48:59 wuAdW7Vj
「ついに完成した。完成したぞ!」
「ついに完成したのですか博士?」
「ああ、完成した。これを使えば時間を自由自在に操る事が出来る」
そう、博士はタイムマシンを作ったのだ。
「君、そこのカップを持ちなさい。私が時間を止めてそのカップを君の手から取ってみせよう」
助手は博士に言われたように近くにあったカップを持った。
「よし、では起動する。驚くんじゃないぞ?」
そう言うと、博士はタイムマシンを起動した。
「あ…あれ?」
助手が不思議そうに声を出した。
何も起こらないのだ。
ふと、博士のほうを見ると全く動かずに立っていた
「ちょ、ちょっと、は…博士?大丈夫ですか?博士!?」

タイムマシン。それは、持っている人の時間を自由自在に操る事が出来る装置。

226:創る名無しに見る名無し
09/02/03 22:52:24 aL6ZJ9Z/
持っている人の時間しか操れないってことかな

227:創る名無しに見る名無し
09/02/04 00:38:06 T/Tt7riA
・博士が自分で自身の時間をとめてしまった
・博士の時間が操られてしまった

どっちも同じ意味か?

228:創る名無しに見る名無し
09/02/04 14:35:53 75zzzUmJ
>>223
なんか悲しい話だけど気に入った

229:創る名無しに見る名無し
09/02/04 23:24:58 nq9VjY7u
自分の時間を止めてしまった=博士自身はタイムマシンをいじれないから
もしかして博士ずっとこのまま?

230:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 14:21:37 ZeLxNcFl
こんなスレあったのか…
即興で参加してみる。

呪い

まず、密閉された器を用意する。これは大きい方が良いが壊れやすいものでは意味が無い。
続いて多種多様な生物をそこに入れる。毒を持つ物を入れるのが一般的だが、毒の有無より種類が重要だ。
器に生き物を詰めて外に出られないようして、長時間放置すると中で熾烈な共食いがはじまる。
この中で最後に残った一匹は非常に強い生命力を持っていて、これが呪いの媒介としても強力な効果を発揮…



「俺が聞きたいのは生命の起源だ!東洋の呪いじゃないっ!」
M氏は怒鳴り声を上げ、本を机に叩きつけた。
M氏を知る者がこの場に居たなら、普段思慮深い彼がこの様に声を荒くするのは珍しい、と驚くだろう。
「わかってるさ、だから56億年前の願い事について丁寧に一から説明してやってるじゃないか。最後の一人よ。」
そう言って悪魔はニヤリと笑った。

231:創る名無しに見る名無し
09/02/08 15:56:45 pLIfdgWU
これはいい。即興ゆえか、キレの良い作品に感じた

232:創る名無しに見る名無し
09/02/08 16:00:35 6IN1pR7y
うん、オチも上手いな

233:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 20:00:23 ZeLxNcFl
即興と言ったが、内容を纏める時間は一時間くらいかかってます。
(´・ω・)

冷静に読み返すとわかりにくい気もするし、アイデアが既出じゃないか怖くなる。何より、星新一風がわからん。
難しいわ、これ。



リサイクル


「もう我慢できない。インク切れのボールペン捨てたら、103号室のMさんに見つかって『芯を替えればリサイクルできるじゃないか、何で捨てるんだ。』あんたは私の親でも上司でもないわよ!」
「まあまあ、患者さんにも色々いるわ。老い先短い人の最後の我が儘と思えば腹もたたないんじゃない?」
「あんたの心はきっと宇宙より深いのね。私は、この前あいつがナースステーションのゴミ箱からリサイクルできる物を選別しようとしてた時点で限界よ。」
「ニコニコ笑って言うとおりにしてあげれば良いのよ。私はあの人の採血針をもう6回はリサイクルしてあげたわ。」

234:創る名無しに見る名無し
09/02/08 20:32:15 ogPeOljk
それはリサイクルではなくリユースです。

リデュース(reduce 減量)
リユース(reuse 再使用)
リサイクル(recycle 再資源化)

235:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/08 21:27:03 ZeLxNcFl
これは致命的
すまん

236:創る名無しに見る名無し
09/02/08 22:20:20 XoNkETVy
地球がひとつの蟲毒の壷…というわけか
そりゃ中で熾烈な共食いが起こってるもんなー

237:創る名無しに見る名無し
09/02/08 23:18:51 45WEgH6Q
星っぽいかといわれると微妙だけど、
ショートショートとしての完成度はやばい

238:創る名無しに見る名無し
09/02/09 00:47:47 q4j2DceE
この短さはそれ自体が凶器

239:創る名無しに見る名無し
09/02/09 00:50:06 PGNI4Qxq
あれだ、アメリカンジョークっぽいんだ

240:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/09 18:47:24 vlkfL5JA
( ゚∀゚)ノイヨウ

>>239
確かに。
ちょっと余計な物を削ぎ落とし過ぎたかな。
形式的にどうしても星新一ぽく無いけど、最初は看護婦さんがもっと口汚くののしっていて書き直した。
星新一ってあんまり汚い言葉を作品に使わないよね。
みんなこんなのに感想書いてくれてサンクス

241:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/09 23:58:48 vlkfL5JA
星と美女

M氏は伝承研究を生業としていた。
今、草木をわけながら主道から外れた山道を歩いているのもこの地方の人が聖地と崇めている池が山中にあると聞いたからだった。
落ち葉をずしりと踏み締めると、朝の澄んだ空気に土の香りが溶け出す。
澄んだ空に染みるような朝の光が朝露を輝かせる。
小鳥はあちこちで愉快そうにさえずっていた。
M氏は周囲の自然のあまりの美しさに、いっそ仕事の事は忘れようかと考えつつ、聖地と囁かれるのも無理は無いとも思った。

そんなM氏の耳が微かな違和感を感じ取った。
空から何か聞こえてくる、と思った瞬間、違和感は騒音に変わり、騒音は衝撃に転じた。
M氏の体は凄まじい風と振動に吹き飛ばされた。

M氏が気がついたのは、日がすっかり上がりきってからだった。
彼は周囲を見渡し、木々の倒れ方や、衝撃の起き方から、どうやら隕石が落ちたらしいと推測した。
倒木を辿って少し歩くと視界が開け、大きなクレーターが前方に見えた。直径数十メートルはあるだろうか。
もう少し速いペースで進んでいたら、隕石はM氏を直撃していただろう。
ぞっとしながらM氏が目をやると、クレーターの真ん中のまだ蒸気をあげている隕石の脇に誰か立っている。
隕石に興味を持ってやって来た地元民だろうか、M氏は大きな声で呼びかけた。
その人物は、こちらに気がつき振り向いたが驚いたことにそれは女性で、しかも絶世の美女だった。
彼女は静かであるが軽やか且つ速やかな足取りで、その美しさに目を奪われているM氏の目前までやってきて、微笑みながらその口を開いた。

美女「あなたが落としたのは金の隕石ですか?銀の隕石ですか?」
M氏「いや、どちらも落としていない。」
美女「あなたは正直者ですね。」
M氏の体は再度、衝撃に舞った。

242:創る名無しに見る名無し
09/02/10 00:09:05 Vtg4uf5E
もう一発かwww

243:創る名無しに見る名無し
09/02/10 06:59:45 ZzkKb0wf
ちょw

244:源泉徴収票 ◆IM.RhdmmmE
09/02/10 08:16:15 PDQE7dvR BE:1134540094-2BP(2470)
>>241
黙って出されたらわからないかもしれない。

245:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/10 18:43:43 8vWKn7eL
>>244
なんかスゴい誉められた。
(*゚∀゚)

携帯アプリで星新一の短編集を購入したかいがあったよ。
改めて読んで思ったが、風刺が効いてるのも星新一の特徴なのかな。

246:創る名無しに見る名無し
09/02/10 18:47:03 4uWqEmPr
>>241
これ好きだ

247:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/10 20:19:54 8vWKn7eL
反旗

それは突然の独立宣言だった。
『もう我々は十分に虐げられた!搾取され、差別され、隔離された!人種を超え、性別を超え、弱者たる我らが団結し、声あげる時が今こそきた!』
この宣言は多くの国民にとって寝耳に水だった。
M氏が加害者と糾弾した大半の国民は、自分達の行為が差別や虐待にあたるとは全く思っていなかったのである。
『過去の歴史を振り返るがいい!人種差別、文化差別、性差別、それらは安易な理論を土台にした磔台に過ぎなかった。
その眼を開けて見ろ。この習慣差別を!』
さらに国民を驚嘆させたのは、M氏の宣言への賛同者は意外に多く、また高い地位の人物にも賛同者が多数いたことである。
『私は過疎化の進んだX島を買い取った。此処が弱者の為の新生の故郷となる!
今高らかに宣言する!喫煙者による喫煙者の喫煙者の為の国を打ち建てることを!』
独立宣言は大きな波紋を呼んだが、侃々諤々の議論の末に独立行政区としてX島は認定され、それに対してM氏も「無用な争いは望むところではない。」として海外との直接取引、領土の拡大、“国外”の禁煙区域での喫煙など数項目を承諾した。
ここに喫煙者独立紫煙法が制定されたのである。



「やあ、久しぶり。君の手腕には感動したよ。」
「いいえ、コロンブスの卵を立てただけですよ。」
「喫煙者の隔離と搾取。両方やってしまう方法があるとはね。」
「過疎化の改善も加えて下さい。実験的ですが。」
「M君どうだい?キューバ産の葉巻だ、ここでは希少なんだろう?」
「いえ、私は煙草は吸わないんですよ。」

248:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/10 20:25:01 8vWKn7eL
指摘される前に言っておくと、筒井康隆の短編をパクリました。
m(_ _)m

見たのは世にも奇妙な物語だけど。

249:創る名無しに見る名無し
09/02/10 21:05:32 IMY4aB9w
いいね
ショートショートとしてのクオリティが高いのはもちろんだけど、
星っぽさが上がってきてる気がする

250:創る名無しに見る名無し
09/02/10 21:06:36 BLjvyMOQ
面白いな

251:創る名無しに見る名無し
09/02/11 03:45:56 PgksbIkH
泉の女神様の隕石返しいいなw

252:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/12 00:10:31 VcSF9G3e
空高く


ふーっ、と野原の真ん中で大きなため息をついているのは、赤鼻のピエロ“だった”M氏だ。
脇には布に包まれた大きな塊が幾つかおいてある。それは、数日前までサーカス“だった”ものである。
発端は、サーカスの花形の空中ブランコ乗りがFサーカスに引き抜かれたことによる。その後、ある者は実家を継ぎに故郷へ帰り、ある者は結婚し、ある朝M氏が目覚めると座長も妻と娘を連れて夜逃げしていた。
何のことは無い、沈没船から一人逃げ遅れたネズミみたいなものだ、と彼は独り言を言った。
風船用のボンベが彼の目に止まった。サーカスが盛況だった頃は、M氏はこれで次々と色んな形の風船を作って喜ばれたものだった。
M氏がサーカスに入りたてでピエロの芸もなにもできない時も、このボンベで膨らませた風船を子供に配って楽しませた。
このボンベで作った多くの風船が彼を支えてくれた。だが、肝心のサーカスの方が風船のように呆気なく割れて消えてしまった。

M氏の目元の緑の化粧が、ポタリと流れ落ちた。
「もう疲れた。これで終わりにしよう。」
M氏は首に紐を巻きつけた。


その時の経験を思い出すと今でも涙が出そうになる、と言いながら横を向くとインタビューをしていた女子アナが神妙な顔をしていた。
慌てて、「でも、今では皆さんが僕を見に来てくれるから、とってもハッピーです!」と笑顔で言い繕う。そう、ピエロは常に笑顔で無くてはいけない。
女子アナの顔に笑顔が戻り、締めのセリフが発せられる。
「人間なせばなるって事ですね。ハシゴ車の上から、世界一首の長いピエロのMさんへのインタビューでした!」
アナウンサーの横で笑顔を振り撒くM氏の首を無数の明るい色の風船が支えていた。

253:創る名無しに見る名無し
09/02/12 00:13:45 mkyS7yMb
なるほど
これはオチが全くわからなかったぜ

254:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/12 00:16:26 VcSF9G3e
>>249
ありがとー☆
星っぽさを押し出した甲斐があった。
あんまり意識し過ぎても星新一御大には及ばないので、星っぽさはまあほどほどにしておく。



ところでネタの選定が難しい。
すんなりくるネタは手垢にまみれてそうで、新鮮なネタはわかりにくかったり。

(´・ω・`)

255:創る名無しに見る名無し
09/02/12 14:54:35 SLNJjzrf
あんた面白いねぇ

256:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/12 20:52:19 VcSF9G3e
>>253>>255
正直、誉められるのは慣れてない。
(*・ω・)

俺、ショートショート100話書いたら彼女にプロポーズするんだ…。
ちなみに、70話で彼女と初キス、50話で女友達に告白、30話で素敵な女性との出会いがある予定。


…まあ冗談はさておき、流石に空気読んでしばらく休んだ方が良いかな?

257:創る名無しに見る名無し
09/02/12 20:53:36 T/FJEkgS
星新一のショートショートが好きで、ショートショートの広場でも
入選している者ですが....すいません、オチがよく分からないのですが...
こちらの勉強不足ですかね?

258:創る名無しに見る名無し
09/02/12 21:29:17 FHq46BaC
入選(笑)
書くのと読むのとは違うんじゃね?

259:創る名無しに見る名無し
09/02/12 22:32:05 zfun9E1V
>>256
空気は読むものじゃなくて
創っていくものだってばっちゃが言ってた

260:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/13 01:09:42 hoi9TXSN
大発見


石の台の上でおがくずと落ち葉がくすぶっている、その横には十字に組んだ木片に紐を結びつけたものが置かれていた。
それを挟んで二人の男が興奮しながら会話している。
ただ、その顔は毛は生え放題、目は窪み肌は赤茶けていて、腰に僅かに布を巻くのみである。

『これを見ろ、こんなに効率的な方法で火を起こす手段があったんだ。』
『これは凄い技術だ。一体、誰が考えたんだ?みんなに教えたら英雄扱いされるぜ。』
『…誰だって構うもんか、俺たちが考えたことにしよう。』
『正気か?本人が名乗り出たらどうするんだ?』
『なあに、ここから俺たちの集落には距離がある。まず、訪れることは無いだろうし、こういうのは言った者勝ちだ。』
『……わかった。誰にも見られないうちにこれを持ち帰ろう。』
『いいか、二人だけの秘密だからな。』


「お昼のニュースです。
今日、午前九時半頃、N市ボーイスカウト教習センターで火を起こす野外教習中の広場にUFOが突如乱入。
UFOからは体中に毛が生えた猿のような宇宙人が現れて、何か会話した後、火付け用の機材と石の台を持ち去ったとのことです。
警察では火山ガスによる集団幻覚も視野にいれ調査していますが…

261:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/13 01:21:24 hoi9TXSN
>>257
すみません。
ピエロが風船で首吊り→首長ピエロになって再起、てな話にしたかったのですがわかりにくいですよね。

>>259
わかった。彼女目指してガンガル。

(*・ω・)

262:創る名無しに見る名無し
09/02/13 02:25:18 AJXCLkaJ
なるほど、面白いなw
ライターとかマッチとか見たらひっくり返るなw

263:創る名無しに見る名無し
09/02/13 19:46:57 6FwIfjO1
UFOで宇宙に出れるくせに火のつけ方知らないのかよww

264:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/13 22:42:32 hoi9TXSN
不幸を呼ぶ男


俺は三つ目の勤め先を、わずか3ヶ月で退職することとなった。
俺が大きなミスしたわけでは無い。人事担当は昨今の不況の影響が、とか言っていたがそんなことに本当の理由は無いのは俺も察している。
先々月、出社途中の俺の目の前で車が炎上する交通事故が起こった。先月は、昼休みに目の前でお局が不倫の果てのダイブを果たした。
前の勤め先からも不穏な噂が聞こえてきて、人事も動かざるを得なくなったのだろう。

俺は不幸を呼ぶのである。


学生の頃は大したことは無かった、俺の周囲でよく人が転んだり、物が壊れたりする程度だった。
その不幸がその場で俺に影響することは無かったが、必ず俺は“それ”を目撃した。
問題は、成人してから段々不幸が激しさを増してきたことだ。二十代半ばを過ぎてからは、1ヶ月に一度は“人死に”を目撃するようになってきた。最近は殺人が増えてきてる気さえする。
いっそ完全にノータッチを決め込められれば楽なのだが、必ず目撃するので、それがばれると事情聴取やら、裁判の証人やらで仕事も手につかない。

何はともあれ、次の仕事を捜さないことには俺が“人死に”してしまう。
見るのは段々慣れてきたが、体験するのはまっぴらだ。
しかし、いくら仕事を探しても、不特定の不幸を呼びよせる男に就職先などあるはずもない。
俺は段々自暴自棄になっていた。

「いっそ、手を翳したら相手が死ぬとかなら、まだ殺し屋にでもなれるのに…………そうか!」


一年後、俺はすっかり手慣れた風に仕事をしていた。

「犯人はあなただ!Aさん!自分の心は誤魔化せても、この名探偵Mの目は誤魔化せない!」

未だに自分で言ってて吹き出しそうになる。それはそうだ、なんせ俺は必ず“それ”を目撃するんだから。

265:創る名無しに見る名無し
09/02/13 22:45:57 P6vouLoh
いいよーいいよー
しかしあまりにも綺麗で感想書きにくいなw

266:創る名無しに見る名無し
09/02/13 23:16:22 6FwIfjO1
なんという転職wwww

金田一やコナンはこういうやつだったわけね

267:創る名無しに見る名無し
09/02/13 23:23:28 6FwIfjO1
天職天職

268:創る名無しに見る名無し
09/02/13 23:34:07 4JwtPhUe
面白い、星というよりは筒井の短編にありそう

269:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/14 00:15:55 w062Ffg3
だから、俺は誉められるのには慣れてないと、あれほど。

(*・ω・)アンガトウ


携帯からいくつか書いてると、1レス縛りが厳しく感じる。
起承転結の承から始まって、転+結で締めてしまう。
でも、それを自分に課してるからこそスパッと終わる気もする。
むむむぅ。

270:創る名無しに見る名無し
09/02/14 00:18:08 MXbvi4f4
1レスじゃなくてもいいんじゃない?

271:創る名無しに見る名無し
09/02/14 00:20:41 XVzxZk6b
一レス以上になるとショートショートじゃなくなる気もするけど

あなたの文は好きだから、これからも読ませてもらいます

272:創る名無しに見る名無し
09/02/14 00:32:37 w9245LQH
ショートショートの定義自体、けっこう曖昧だからなあ。
個人的には『1レス以内』ってのには、あんまこだわらんでもいいと思う。
1レススレは他にあるしさ。

273:創る名無しに見る名無し
09/02/14 00:51:01 w062Ffg3
(*・ω・)好き…


まあ、1レス以上の話についてはまた考えときます。
根がずぼらだから、パタッと飽きていなくなるまで宜しく。(・ω・)/

274:創る名無しに見る名無し
09/02/14 01:42:40 NQ2I44Zd
俺がこのスレでちょっと書いてみて感じた、星っぽさってなんなの?っていうお話
星作品って設定とオチの奇抜さもさることながら、その状況に振り回される人間がとても精密かつコミカルに描かれてると思うのよ
>>1にはああ書いてあるけど、ぶっちゃけ書いてて短すぎるとはちょっと感じた。人間を描き足りないというかなんというか
星作品好きでこれ以上語ると長くなりそうなんで一言でいうと、 別に1レス超えてもいいんじゃね?

275:創る名無しに見る名無し
09/02/14 01:43:58 NQ2I44Zd
いかん、大事な事言い忘れた
XXX ◆TqnDIIRxZU氏、俺も好きだ

276:創る名無しに見る名無し
09/02/14 19:57:53 qctegLHE
確かに、XXX氏のはよくまとまってて面白い

277:創る名無しに見る名無し
09/02/14 23:49:38 VHFmetxS
そろそろまとめサイトが必要かね

278:創る名無しに見る名無し
09/02/15 08:06:23 16eNSr1c
ここは地味に良スレ

279:創る名無しに見る名無し
09/02/15 09:12:24 6QQaVIiS
うんうん、ここかなりの良スレだよね

>>277
つくるとしたらまとめwikiだろうか

280:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/15 10:58:09 yVAvEIqr
間違い


半紙が机の上に広げられる。漆塗りの気品ある筆が漆黒の軌道を広げていく。
半紙には丁寧に“思想”と結ばれた。

「よく聞け。お前の普段の生活にはこれが無いんだ。『思い、なお想う。』だらだらと生活してるから、家事でもミスをする。お前と結婚して10年、もう直っても良いんじゃないか。」
半紙を手に取り、男は机を挟んで向かい合う妻に話し始めた。
男は三十代後半だろうか、その身だしなみから几帳面な性格が見て取れる。
「些細な事が大事なんだ。お前がそんな風だとカズキにも良くない。いいか…」
突然、気だるそうに話を聞いていた妻が、机を叩いて立ち上がった。
「なによ!あなたはあの子の教育に口出しするほどの事はなぁんもして無いじゃない!」
彼女は身を大きく乗り出し、相手の持つ“思想”の文字を奪い取り二つに引き裂いた。
「思想?なに言ってるの?私がもう持ちあわせて無いのはこれよ!」
彼女は手元のチラシの裏にマジックで“愛想”と書きなぐった。
「あんたの愚痴にはいい加減愛想が尽きたわ。今後10年、自分の皿は独りで洗いなさいよ!」
「なんだその言いぐさは!」
夫も負けじと“愛想”の二文字を引き裂いた。

「ただいまー!」
敵意に満ちた視線が交錯する中、沈黙を破ったのは帰宅した息子のカズキだった。
部屋に入って、不穏な空気に気づいたのだろう黙って二人の間に座る。

子供を挟んで喧嘩する訳にもいかない。夫は新聞を大仰に広げ、妻は台所で水仕事を始めた。
夫は思った、
『どこで間違えたんだ。互いの足りない部分を補っていたはずの歯車が、すっかりずれてる。』
妻は考えた、
『カズキは私が引き取って、実家にしばらく世話になろう。それから…』

「遊びに言ってくるね。」
しばらく机の上で手慰みの様なことをしていたが、二人の背中に耐えきれなくなったのだろう、カズキは外へ飛び出していった。

「車に気をつけて」「遅くなるなよ」短い言葉と視線で息子を送り出し、再び背を向けあう二人。
ふと、目の端が何かをとらえた。机の上に顔を向けると引き裂いた紙が机の上に一列に並べてある。カズキの手慰みだろう。

 想  思  想  愛

思わず小さく笑ってしまった。
相手を見ると、同じように苦笑している。

「本当は想の字が違うんだが。」
「あの子、知識はあってもそそっかしいから。」
もう一度、二人はクスリと笑いあった。
春の近づきつつあるある日の出来事である。

281:創る名無しに見る名無し
09/02/15 11:05:40 6QQaVIiS
これはなんていい話!
よく思いついたなー
俺は今までの中でこれが一番好きだな

282:創る名無しに見る名無し
09/02/15 11:07:54 lZ3WoNBa
いいなーこれwww
XXXさん、好きです。

283:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/15 11:12:24 yVAvEIqr
ごめん。昨日の晩に寝てしまった。

(´・ω・`)


>>277
自分は新参者なのでまとめサイトで旧作を読めるとめちゃ嬉しいです。

284:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/15 11:22:22 yVAvEIqr
>>281>>282

(*・ω・)好き…


ええと、自分が根暗なのかショートショートの案を考えると大体不幸(?)な終わり方になるので、その辺意識して変化球気味にしてみました。

読み直すと誤字や言い回しの被りがありますね。
すいません。

orz

285:創る名無しに見る名無し
09/02/15 13:25:43 0ARkDgP/
いいよーいいよー

286:創る名無しに見る名無し
09/02/15 15:32:53 gX6ZEKOr
>>280
いいねぇ
星というより向田邦子っぽい感じがしないでもない

287:創る名無しに見る名無し
09/02/15 21:52:09 hngZJ09Q
読むとほんわかするね。この話好きだ。

288:創る名無しに見る名無し
09/02/16 11:49:45 8kB2JcgN
星では無いんだが
>>194が好きだ

289:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/17 07:04:41 X0uSNRj5
第14話「新生」

~前回までのあらすじ~
世界の平和を守るべく戦ってきたM。
しかし、秘密結社Qの恐るべき鎧獣人に初めて完全な敗北を喫した。
しかし、それでもなお人々の為に闘おうとするMに、博士は新たなる力を授ける。
新たな力を得たMの拳は見事に鎧獣人を打ち砕いたのであった。


バトルジャケットが解除され、元の衣服が転送されるまで後、1分45秒。
博士とのやりとりがMの脳裏によぎる。
「確かに、ジャケットを構成する“物質G”の割合を限りなく100%に近づけることで、更なる力を手に入れられるじゃろう。じゃが、それがお前に与える負担は…」
「博士!それでも俺はみんなの幸せを守りたいんです!平和の礎になれるなら俺はどうなっても構わない!」
「わかった…。もう、なにも言わん。わしのできる限りのことはしよう。」

解除されたあとに襲って来るのは、激痛かはたまた発狂か。
Mは先ほど鎧獣人に襲われていた若い女性の事を思い出した。
変身が解除されるまでに彼女の無事を確認して、この場を立ち去らなければ。
「大丈夫ですか?お嬢さん。」
「いや!ちかよらないでっ!」
しかし、意外にも相手から発せられたのは拒絶の言葉だった。

その時初めてMは気づいた。
自分は全裸だ。


研究所に老人が一人、この人物こそMにバトルジャケットを授けた博士である。
博士の目の前のパイプを複雑に組み合わせたような機械からはエラーを示す警告が鳴り響いている。
博士は悲しそうに呟いた。
「ジャケット内の“物質G”を100%にすることにより、ジャケットは完全に透明になる。更には転送装置への異常負荷により、衣服の再転送もできん。Mへの“社会的負担”は相当なものになるじゃろう…」
博士の目に涙が光る。
「しかし、Mよ。もうなにも言うまい。お前の瞳の中に、確かな正義の輝きを見たからのう。」

290:創る名無しに見る名無し
09/02/17 07:19:09 zVOlqxy8
今度から服を持ってけば大丈夫じゃね?

291:あ
09/02/17 11:26:56 OUbYjfNE
2206年3月2日、「人体コピー機」なるものが作られた。
自分の人差し指を人体コピー機に当てるだけで、コピー機からうにょうにょと自分のコピーが出てくるのだ。
もちろん、能力は自分と全く同じなので、買い物に行ったり、仕事に行ったりするのが面倒くさかったら、このコピーに任せられるのだ。

このコピー機を買ったひとの中のひとり、エヌ氏は、建設業につとめていた。
もちろん、肉体労働というものは大変である。そこで、自分のコピーに任せることにしたのだ。
こうすることで、働かなくても、お金が入るようになった。
人体コピー機


エヌ氏がコピーに仕事を任せるようになってからちょうど一ヶ月がたった給料日、お金が入ってこなかった。
コピーにたずねると、今日から給料は直接手渡しになった、と言う。
エヌ氏は、コピーにお金を自分に渡すように言ったが、コピーはそれを許さなかった。
そこでエヌ氏は自分で働くことにしたのだが、コピーがあたかも那智氏本人のように取り扱われていたため、働かせてもらえなかった。

そしてそれから三ヶ月がたった。エヌ氏はコピーに全てを奪い取られた。
「偽物は出て行け!」
とコピーに言われ家を追い出されたたエヌ氏は、今日も浮浪者として町をとぼとぼ歩いている。



292:あ
09/02/17 11:27:41 OUbYjfNE
ありゃ。題名がなくなっとる。
一応、題名。「人体コピー機」

293:創る名無しに見る名無し
09/02/17 11:29:09 69wmg4C+
いいショートショートだ

294:創る名無しに見る名無し
09/02/17 11:30:29 zVOlqxy8
乙!
ただ贅沢を言うならもう少しオチに意外性が欲しかったりもするかも

295:あ
09/02/17 11:33:52 OUbYjfNE
ありが㌧。
もう一度文章を読み直してみたら、変なところに題名が紛れ込んでたorz

>こうすることで、働かなくても、お金が入るようになった。
>人体コピー機 ←これ

296:291
09/02/17 15:54:00 OUbYjfNE
もう一個置いていきます。星新一っぽくないかも。


「あべこべ」

エヌ氏とその夫人は、親が残した莫大な遺産のおかげで毎日豪勢な暮らしをしていた。
金が有り余って仕方がないほどだから、たくさんのものに金を費やしていった。
車はもう既に五台ももっていたし、グランドピアノも二台置いてあった。

ある日、エヌ氏はタバコを吸いはじめた。
タバコが、一番金を消費しやすいと思ったからだ。
夫人も、それを見てタバコを吸いはじめた。

それから五年後、エヌ氏は行きつけの病院へ健康診断をしてもらいにいった。
診断が全て終わったとき、医者が言った。
「タバコの吸いすぎですね。このままでは危ない。」
エヌ氏は、将来肺がんになるかもしれないと言われたのだ。
念のため夫人も健康診断してもらうと、やはり肺がんになる恐れがあると言われた。
エヌ氏とその夫人はさっそく禁煙することにした。
だが、頭はすっかりニコチンに依存してしまっていた。
吸わずには、いられなかったのだ。

次の日、エヌ氏は近くにある研究所のエフ博士に相談にいった。
「禁煙できる薬はないか?」
「うーむ・・・『禁煙できる薬』というものはないのう。」
「そうか・・・。」
エフ博士は、薬の天才と言われるほどたくさんの薬を作っていた。
だが、さすがのエフ博士でも禁煙できる薬は作れないようだ。
「だが、一応あるにはある。『禁煙できる薬』というわけではないがね。」
「その薬、是非もらう。」
「ほう。じゃあ、この薬をお前さんにやる。一応、説明をしておくが・・・。」
エフ博士がそう言ったとき、エヌ氏は既に薬を持って研究所をあとにしていた。

エヌ氏は、家に帰るとさっそく薬を飲んだ。夫人にも飲ませた。
すると、タバコを吸いたい気持ちがなくなり、無意識にタバコの箱をぐしゃっとつかむと、ゴミ箱に放り投げた。
だが、それだけでは終わらなかった。エヌ氏とその夫人は、突然家を壊しだしたのだ。
そして、最終的にはお互いの殺し合いがはじまった。エヌ氏は、夫人を殺した後自らの命を絶った。

エヌ氏が薬を持って家に向かって走っていた途中、エフ博士はこんなことを考えていた。
「あの薬は、飲んだ人のなにもかもあべこべにしてしまうから、危険なのだが・・・。そこまでして、禁煙したいのかねえ。」


297:創る名無しに見る名無し
09/02/17 18:54:08 2ysrB91q
GJ!!
これはものっそい星っぽいと思うのですよ?

298:291
09/02/17 19:02:24 OUbYjfNE
ありが㌧。
ちなみに、>>291>>296は某所に投稿しています。

299:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/17 19:39:21 X0uSNRj5
>>291>>296
おもしろいです。
語り口がなんだか自然に星っぽい。

(´∀`)


自分は早くもネタ切れ気味です。
星新一は改めて凄い。

(´・ω・)

300:創る名無しに見る名無し
09/02/17 21:17:16 8WKpsEJC
相変わらず良スレですな
ここに投稿しようとして、何度も挫折した俺が通りますよ

301:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/18 00:06:17 xcx8FmqD
3つの願い

真っ白な病院の一室で、一人の老人がベッドに横たわっていた。
周囲には家族が寄り添っており、各々が励まし、呼びかけ、明るい言葉を発していたが、老人が今夜にでも手の届かないところに行ってしまう事に気付いていた。
ふと、老人がその目を開けた。ボソボソと何かを囁く。
彼はか細い声で、家族にしばらく独りにして欲しいと言った。
息子は強い人だったから最期を人に見せたくないのだと思い、孫は優しい人だったから皆の悲しむ様を見たくないのだと思った。
家族は部屋から出て行き、老人は独り病室に残された。
老人は皆が出て行った事を確認すると、そのか細い声で何かを唱え始めた。

「ウン、ハカマラキリ、チクマカラヒキリ、マカオカナラカフタカニユ、チマタニレニチ」
その呪文が途絶えると、部屋の隅から浮き出るように真っ黒な影が浮かび上がった。
顔は狒狒のようだが、顔以外の部位は朧気であり、体を覆う黒い毛は風もないのに周囲に溶け込むように揺らめいている。

老人は影に向かって問いかけた。
「丁度60年前の約束を覚えているか。」
《壷の封印を解いてくれた礼に3つの願いを叶えてやるという約束だ 愚かな人間よ》
影の声は何重にも重なった悲鳴のような高い奇妙な声をしていた。
「わしの一つ目の願いを覚えているか」
《お前の企みを包み隠さず話せ だったな 狡猾な人間よ》
「ふっ、お前の方がよほど狡猾だ。お前と来たら、金を願えば誰かの遺産、女は病気持ち、世界平和を願ったら人類を撲滅するつもりだった。」
《言いたいことは何だ、老い果てた人間よ》
「今こそ、二つ目と三つ目の願いを使おう。わしに若さと寿命をくれ!お前が何を企んでいようと構わん!」
老人は目を大きく見開き、影に手を伸ばした。
「家族の魂が欲しいならくれてやる、世界がどうなっても構わん!わしが悪魔になっても良い!兎に角わしに人生をくれ!」

《人間よ お前の願いは聞き届けた ………だがその前に一つ言っておく事がある》

老人はこの60年間の長い影との付き合いの中で初めて、初めて影の笑顔を見た。

《最初に言った3つの願い あれは嘘だ》

そう言って影は跡形もなく消えた。

302:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/18 00:25:50 xcx8FmqD
>>300
YOU!投稿しちゃいなYO!
読みたいZE

303:創る名無しに見る名無し
09/02/18 00:26:22 Q5MzeN49
なにこの良作SFショートショート濫造スレwww
みんな乙
星くない作品にもSF御三家の中庸センスな作品が多くて素敵

>>301
オチまでの流れが自然かつ不条理なので、星っぽさとか論じるだけ野暮な気がしてきたw
この読後感、老人のその後の茫然自失っぷりとか想像せざるを得なくなる方の濃さがいい。
星氏はこういう切り方ほとんどしないと思うんだけど、中期までの筒井氏なら
ぐだぐだ原稿30枚くらいギャグに費やしてからこういうオチ平気でやっただろうなあw
小松氏なら同じ着想をどう攻めたかな……無駄に荘厳に広げまくるかコテコテの馬鹿コントにするとかかなぁ

304:創る名無しに見る名無し
09/02/18 02:31:02 J4R41r4k
これはナイスショートショート
>>303の言うとおり星っぽさについて語るのは野暮だなw

305:291
09/02/18 09:10:37 +tee8lgD
>>301
オチが面白くて(・∀・)イイ!
自分は早くもネタ切れですよ・・・

306:291
09/02/18 09:23:15 +tee8lgD
いまいち星っぽくないかも。

エヌ氏が住んでいるアイ市を走る鉄道、エス鉄道。この鉄道には、「夢の超特急」というものが走っている。
行き先が不明という、変わった列車だ。
エヌ氏は、今日この列車に乗ろうと、チケットを買い、アイ駅まで行った。
アイ駅には、金色の列車が到着していた。これが、夢の超特急である。

エヌ氏が座席につくと、早くも列車は出発した。
出発してすぐ、こんなアナウンスが流れた。
「永遠に夢の世界へといざなう夢の超特急、ただいま出発しました。」

307:創る名無しに見る名無し
09/02/18 09:25:19 AOluFxTW
乗っちゃらめえ

308:創る名無しに見る名無し
09/02/18 13:37:47 T/jUPK6x
「らめぇ」って言っちゃらめぇ

309:291
09/02/18 13:47:20 +tee8lgD
星っぽいかと言われると微妙だったりして。

「任務」

エヌ氏は、宇宙探査機関に勤めていた。
国がやっている機関なので、エヌ氏はまあいわば公務員である。

今日、エヌ氏は冥王星へ行くことになった。
今まで誰も冥王星に行ったことがないので、これが人類初の冥王星上陸だ。
エヌ氏は一人でロケットに乗り込んだ。
ロケットが火星の近くまで行ったとき、宇宙探査機関のビルの最上階でこんな会話がされていた。
「おい、いいのか?殺してしまっても。」
「学生時代にあんなにいじめやがったんだ、あいつは。」


短すぎorz

310:291
09/02/18 13:47:57 +tee8lgD
最後の文訂正。

「学生時代にあんなにもいじめやがったんだ、あいつは。だから構わない。」

311:創る名無しに見る名無し
09/02/18 14:27:59 cMzB58p/
今日の一面のニュースにここも関係ありかもって思う記事が載ってた。
URLリンク(list2.auctions.yahoo.co.jp)

こりゃ荒れるな。
俺らも事情徴収受けるかもよ?!

312:291
09/02/18 14:58:59 +tee8lgD
>>311
ブリーフ・・・

313:創る名無しに見る名無し
09/02/18 15:04:38 J4R41r4k

だがやっぱり短すぎると思うぞw

314:291
09/02/18 15:07:24 +tee8lgD
掌編小説並か、それ未満くらいだしねw

星新一はやっぱすごい(^ω^ )

315:創る名無しに見る名無し
09/02/18 22:07:06 pThq5JgC
でも面白い
短編は好きなんだ

316:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/18 22:16:34 xcx8FmqD
いかさま


Mの手に汗がにじむ。
まさに“天運”とはこのような事を言うのだろう。
大逆転への道が、Mにははっきりと見えていた。

赤、黄、茶色、色とりどりの球の中に一際輝く的玉。
今回のワンオンルールでは、Mがそれに持ち玉を当てた瞬間、彼の逆転勝ちが決定する。
Mは、まだ余裕の笑みを見せる対戦相手のKを無視して、ボールの動きをゆっくりとシミュレートする。

「いける。」

確信を持って小さく呟いた。
インパクトは持ち玉の真芯を捉えた。赤銅色の持ち玉は、球と球の間隙を縫うようにして青い的玉へと一直線に突き進んだ。
最早、この勝利を遮るものは何も無い、とMが確信した瞬間、的玉から飛び出した何かが赤銅色の軌道を曲げた。

「いかさまだ!」
Mは思わず声を上げて審判に顔を向けた。
だが、主審も副審も首を横に振り、Mの抗議を認めようとはしなかった。


~所変わって~
ニュースキャスター「各国の英知の粋を極めた対赤色彗星ミサイルは、見事に彗星の軌道を変えることに成功しました!
地球の危機は去ったのです!
まさに、今この時の為に我ら人類が神によって地球にもたらされたと言っても過言ではないでしょう!」

317:(‘∀`)ウボァ ◆JGdfIM4Fic
09/02/18 22:36:07 +tee8lgD
乙!
発想がすげえ(´∀` )

318:創る名無しに見る名無し
09/02/19 01:25:57 UB4EKdLj
これは凄くいいな!!
オチに気がついたときはっとさせられたし

319:創る名無しに見る名無し
09/02/19 09:44:36 9i7j+4+b
これはすごい。完璧に騙された。
途中まで「お前も時間をとめられるのか」みたいな話かと思ってたw
文体も星らしくていいね。

320:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/19 21:47:01 HLEiIVlg
>>291
やっぱり、他に書く人がいると張り合いでますね~。
自分ならこのネタこう書くとか考えたり。

(´∀`)

>>317->>319
ありがとうございます。
また、何か考えよう。

( ゚∀゚)

最後の落ちにニュースキャスター持ってくるパターンは使いやすいけどちょっと控えます。

321:創る名無しに見る名無し
09/02/20 02:04:34 XLZw2Iu2
飽きっぽい人

 エフ氏は飽きっぽい人だった。
どのくらい飽きっぽいのかと言うと、例えば新しい服を買ったと思ったら一回袖を通しただけで捨ててしまう。
もちろん日記は幼い頃から三日坊主だし、彼の棚や押入れには読みかけの本ややりかけのパズルが沢山詰まっていた。
万事そんな具合だったから、エフ氏は定職に就かずにふらふらしていた。
というよりも仕事にすぐ飽きてしまうのだ。もしかすると、彼にとっては服を捨てるのも仕事を辞めるのもほとんど同じ事だったのかもしれない。

 エフ氏は長いこと色々な仕事に就いては辞め、就いては辞めを繰り返した。
サラリーマンも経験したし、公務員にもなった。
板前を目指して修業したり、大道芸人として食うや食わずの日を送ったこともある。
また時には危ない仕事にも就き、その金で自分の店を開いたこともあった。
しかしそのいずれも長続きすることはなく、エフ氏は次第に年をとっていった。

 ある日、電気関係の仕事をしていた時だった。エフ氏は発作を起こして倒れてしまった。
集まった遺族に向かって彼はこう告げた。
「わしは、一度でいいから有名になってみたかった。
 しかし、この飽きっぽい性格のため、何かをやり遂げることなどできなかった。
 それだけが、どうにも無念じゃ…」
そう言い残してエフ氏は事切れた。

 エフ氏が死んだ翌年。世界の様々な記録を記した本が出版された。
本は面白いと世界中で評判になり、空前のベストセラーになった。
その中には「世界一多くの仕事をした人」として、エフ氏の名前が大きく書かれている。

322:321
09/02/20 02:06:19 XLZw2Iu2
以前書いた物を纏め直してみました。疲れた…
読みにくかったらごめんなさい。


323:創る名無しに見る名無し
09/02/20 02:22:14 02IXS9eN
これはよくまとまってるな

324:創る名無しに見る名無し
09/02/20 02:44:30 BDIAMCK2
星っぽさがよく出てると思うぜ~
GJ!!

325:創る名無しに見る名無し
09/02/20 03:16:32 uxxxpHoy
>>321
おお、いいね。特に導入のワンブロックが好きだ。

中学時代「三日坊主は一月で10個の物事にチャレンジできる人」
と言ってた先生を思い出したよ。
まぁ実際の飽き症はそんな大層なもんじゃないと思うがw
エフ氏はマジですごいと思う。
こういう生き方は何でもこなせる能力がないとできないよな。

326:321
09/02/20 09:56:16 XLZw2Iu2
>>323-325
ありがとう。すっごく嬉しいです。
また機会があったら書こうと思っているので、よろしくお願いします。

327:創る名無しに見る名無し
09/02/20 10:45:51 JereSOdY
このスレはこの発想はなかったわというのがすごく多くて楽しい

328:創る名無しに見る名無し
09/02/20 16:47:40 /it1vRm0
湖の女神


 男が湖に錆びた鉄の斧を投げ入れると、湖の中から美しい女神が現れました。
「貴方が落としたのは、金の斧ですか?銀の斧ですか?」
 眩く輝く二つの斧を見せながら、女神は男に尋ねます。
「お、俺が落としたのは、その金の斧だ!間違いない!」
 男の答えに、女神は残念そうな顔をした後、
「あなたは正直者ではありません……」
 とだけ言い、斧を持ったまま再び湖の中へと消えていきました。金の斧と銀の斧は手に入らず、
男が投げ込んだ鉄の斧も、彼の手元に戻ってくることはありませんでした。





「……何も、見つからんか」
 S警部補の報告を聞きながら、M警部は眉をしかめた。
「どうやら、警部殿の『このコテージに泊まっていた者の中に犯人がいる』という推理は外れのようですね。
 もし犯人が彼らの中にいるのだとしたら、被害者の頭をカチ割った、斧のような凶器がまだ見つからないのはおかしい」
「確かに……アリバイ証言が正しいのであれば、斧を遠くに捨てに行ったり、地中深くに埋めたりするような時間的余裕がある者は一人もいない。
 ……サイズ的にそう簡単に隠せるモノとは思えんのだがな」
 M警部が手帳に書き込んだ事件記録を見直していると、彼らの部下がドアを開けて入ってきた。
「付近の湖を捜索していたダイバーからの報告です!『湖の中を隈なく探しましたが、それらしいものは発見されませんでした』とのこと!」
「湖が、一番怪しいと思っていたんだがな……」
「やはり犯人は彼らではないな! 斧を持った殺人犯は、まだ逃亡を続けているに違いない!」
 捜索範囲を広げるよう部下に指示を出すS警部補の声を聞きながら、M警部はコテージ二階の窓から湖を見下ろした。

329:創る名無しに見る名無し
09/02/20 16:57:47 JAvc2z/G
やるなwいや後半入った時点でオチは読めたんだけどさ、でも雰囲気よすぎでギャップに笑ったw

330:創る名無しに見る名無し
09/02/20 18:19:53 hoqC5CT7
ちんぽの伝説

「どうやら、自分のちんぽは世間一般で言うところのちんぽではないらしい」
N氏が初めてそう感じたのは中学生の修学旅行の時だった。
クリトリスだった。
その後、N氏は周りの友人から「ボッコちゃん」と呼ばれるようになった。

331:創る名無しに見る名無し
09/02/20 18:38:19 hoqC5CT7
びっくり勃起

エヌ博士は長年の苦労の末についにいつでm男性が勃起する
魔法のクスリを作り出すことに成功した。
しかし、エヌ氏は童貞のまま死んでしまった。
成功したのに性交しなかったのだ。
ああ、びっくり勃起。

332:創る名無しに見る名無し
09/02/20 19:59:40 JAvc2z/G
もうちょい練ってから投下してくれ
下品さを熟した方がおもしろいかも。その際はエロパロあたりへ是非

333:創る名無しに見る名無し
09/02/20 23:02:49 JereSOdY
勢いで書きすぎだろー

334:創る名無しに見る名無し
09/02/21 04:52:34 J+0LZr0w
>>331はリテイクしてダジャレースレに持っていくべき

335:創る名無しに見る名無し
09/02/21 05:12:55 JNgUKT9Q
「いやいや、君のおかげでこんな裕福な生活をしていられる。」
とN氏がいった。
ブランド物のスーツを着て、ワインをたしなみながら、満悦した表情を浮かべるN氏は、自宅に招いた客人に語りかける。
「本当に素晴らしい日々だ。バチが当たりそうなくらいだよ。」
と、N氏が話し続けるのを、スーツを着たやけに姿勢のいい成年は黙って聞いていた。
この二人の出会いは1年前。高層ビルが建ち並ぶ大都会の隅で、家もなく、寒さに震えていたN氏に成年がコートを与えたのが最初だ。
猫背で、髪は伸び放題、ボロボロの所々に穴のあいたジャケットに、緑のスウェットを着たN氏は、現在とはまったく反対の状態だった。
ピンッと背筋の伸びた黒のコートを着た、品の良さそうな成年は、よくホームレスのたまり場であるここに来ては、ホームレスたちに衣服や食べ物を渡していた。
この時代に見返りを求めない素晴らしい人がいると、ホームレスたちは成年をありがたがっており、遠慮なしに成年が持ってくるものを頂いていた。
この日、N氏は成年が着ていた上等のコートを頂き、気分がよかった。
「そんなに嬉しいのですか?」
と成年は微笑みながらN氏に訪ねた。N氏はコートを着た自分が上等の身分になったかのように振る舞いながら言った。
「ああ。こんな素晴らしい物をただで貰えるなんて最高だ。」
満悦の笑みを浮かべはしゃぎ始めるN氏に、成年は真っ直ぐな目でN氏を見つめた。
「そんなに喜んで頂けると光栄です。私も見返りなんて求めずにこんな事をやってはいますが、喜んでいる姿を見ると嬉しいですね。」
と、成年が言ったのに調子図いてか、N氏は続けた。
「ははー。あんたは相当なお人好しだ。その姿や振る舞いから金持ちの子かなんかだろうが、裕福すぎて暇をもてあましてるんだろう。羨ましな、是非、私もそんな生活をしてみたいものだ。」
少しの沈黙が流れた。N氏は調子に乗りすぎたかと感じたが、成年はN氏の顔をじっと見つづけた。そして、スーツの胸ポケットから紙とペンを取り出すと何かを書き始めた。
「なるほど。いいでしょ。確かに私はあなたたちよりお金を持っています。それに、その使い道がわからずもてあましているのも確かです。あなたがそれを望むなら実現させるのも面白いかもしれませんね。」
と、成年は言いだした。そして、何かを書き終えた紙をN氏に渡して成年は笑顔で去っていった。
N氏は状況を理解できずに、成年は呆れて帰ってしまったのだと考えたが、渡された紙を見てみると住所が書いてある。まさか成年は本当に自分に裕福な生活をさせるというのか?
とN氏は驚いたが、お人好しの成年の事だから、何かしら用意してくれているだろうと深く考えずにその住所に向かった。


336:創る名無しに見る名無し
09/02/21 12:07:26 BuxG0+4a
お迎え

午後二時。
幼稚園のプール教室に通う娘を迎えにいく時間となった。
気が進まないが、生活パターンを変えて、近所から無用な関心を
引いてしまうようなことはしたくなかった。
家を出ると、お盆休みの時期のためか、街中に普段の喧騒さはなかった。
太陽の日差しが、やけにまぶしく感じられた。

幼稚園に着くと、娘の担任が職員室の窓越しに声をかけてくれた。
窓辺の風鈴が涼しげな音を立てていた。
「あら?メグちゃんのお母様…残念でしたわね、すれ違いになってしまいましたね」
「すれ違い?ですか?娘は一人で帰ってないはずですが…」
先生は一瞬困ったような顔をしたが、職員室から出てきて説明してくれた。
「もちろん、園の規則では、園児一人での帰宅を禁止していますが、たった今、
メグちゃんのお父様が、お迎えに来てくださったんですよ」
先生の一言に、私は戸惑いを隠せなかった。
一瞬、強い風が吹き抜け、風鈴の音が激しく鳴り響いた。
「主人…主人は…外国に出張中で…迎えに来られないのですが…」
先生は、とっておきの知識を披露するのがおもしろくてたまらないという口調で、
「メグちゃんのお父様もお人が悪いですね。お戻りになったことをお母様にも
内緒にされていたとは」

そんなはずはない! 旦那が娘を迎えに来られるわけがないのだ。
一ヶ月前、ちょっとした口論がきっかけで、カッとなって旦那を刺し殺してしまい、
バラバラにした死体を袋詰めにして、山に埋めてしまったのだ…
いつの間にか風は止んでいて、風鈴の音はとぎれていた。
園庭は、真夏の日差しを受けて白く乾ききって、死んだように静まり返っていた。
ただ、どこからか耳鳴りに似たセミの鳴き声が聞こえてきた…
呆然と立ちすくむ私に、先生はほほ笑みながら、こう付け加えた。
「突然のことだったので、メグちゃんもびっくりしていましたけど、
とても喜んでいましたわ…お父様もメグちゃんに会うのは、一ヶ月ぶりとのことで、
本当にうれしそうでした…『メグ、迎えに来たよ、お父さんと一緒に帰ろう』って、
仲良く手を繋いでお帰りになりましたわ」

337:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/21 19:13:19 Va5LEeWy
>>336
乙!
落ちの意外性だけでなく、物悲しい雰囲気が良い

338:辛口評論家
09/02/21 20:11:42 dgw+6tyd
>>301
要は、夢オチじゃんか

339:創る名無しに見る名無し
09/02/21 20:27:20 GNuwsaAW
>>335
続きはー?

>>336
死者のお迎え…か

340:創る名無しに見る名無し
09/02/22 02:51:37 gIR1XIad
>>335
N氏が青年の好意につけこんで、青年が用意した家をあたかも自宅のように使っている
その青年さえも自分の家の客人として扱ってしまった
ということ?

341:創る名無しに見る名無し
09/02/22 03:03:32 STDZQ725
>>336
ゴクリ……
なんかアウターゾーンを思い出した

342:創る名無しに見る名無し
09/02/22 04:54:44 s6YQBzo2
>>335
続きはある……よな?

343:辛口評論家
09/02/23 02:53:40 YT8sIdLh
>>338
いや、前半部分がよくできていただけに残念だなぁと・・・
やっぱり、夢オチはマズイでしょ・・・



最初の一つ目を「オレに金に不自由しない人生を与えてくれ!!」にし

「今こそ、三つ目の願いを言おうぞ……」
「ワシに若さと寿命をくれ!
 ワシはまた若くて、力に漲っていたあの頃に戻りたいんじゃ!
 ワシにはまだ、やり残したことがあるんじゃ!
 何も永遠の若さや不老不死が欲しいなどと言うておるんじゃない!
 もう一度だけ若返って、人生を過ごしてみたいだけなんじゃ!
 そのことで、お前が何を企もうが、この際ワシは一向に構わん!」

老人は、病床が嘘のような剣幕で、奇妙な影にまくし立てた

「…………分かった、いいだろう…、オマエの最後の望みもちゃんと叶えてやろう………」

影は静かにそう答えた
その返事を聞き、老人は今既にもう、若返ったかのような歓喜の表情を浮かべた

「………だが、人間よ、その願いなら、もう既に叶えてある………」

老人は、この影の言葉の意味が咄嗟に理解できなかった

「………人間よ、最後に一つ言っておくことがある……、
 オマエはまだ十分に若い…、
 そして、寿命も我々に比べ短すぎる…、その多少は誤差の範囲内だ…、
 我々から見れば、オマエはまだ赤子以下だ………」

影は最後に皮肉な笑みを浮かべながら、そう言うと、いずこかへと音もなく消え去った・・・

344:辛口評論家
09/02/23 02:57:18 YT8sIdLh
いずこかへと音もなく消え去った・・・

いずこかへと音もなく消え去っていった・・・

345:辛口評論家
09/02/23 03:04:09 YT8sIdLh
考えてみれば、上記は見慣れたパターンかもな、
オリジナルのつもりで書いても・・・

企て云々がベースにあるんだろうけど、
結果として、夢オチになってるので、マズイと思う

346:辛口評論家
09/02/23 23:18:52 YT8sIdLh
最初の一つ目を「オレに金に不自由しない人生を与えてくれ!!」にし

最初の一つ目を「オレに金と女に不自由せず、
        戦争に巻き込まれないような安定した人生を与えてえてくれ!!」にし

途中の文章に適合するように変更する

347:創る名無しに見る名無し
09/02/23 23:23:12 4f1WTD1a
はぁ。

348:創る名無しに見る名無し
09/02/23 23:44:11 92IjoSp/
まあ、他人の作品にアレコレ難癖付ける暇があったら
自分のアイディアでSS書けっつー話だわな

349:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/23 23:46:03 WYXd1owr
感想ありがとうございます。
夢オチと見られるのは望むところなのです。

私が変更したのは、最初は“悪魔”と書いて、姿も山羊の角に牙や爪といった具体的な悪魔だったのですが、最終的には“影”に修正して、『型破りに非道な悪魔の話』、『死を前にした老人の妄想の話』どちらともとれるように変えました。
以上、蛇足でした。

(´∀`)またなんか書こかな。

350:創る名無しに見る名無し
09/02/24 00:17:50 Mf1LIEPj
星作品の中でも夢オチものはいくつかあったな
印象に残ってるのは『爆発』

安易に「夢でした」で済ませるんではなく、きちんと意味があり、そのための手法として
用いるんであれば、夢オチってのは全然アリだと思いまつ

351:辛口評論家
09/02/24 00:47:32 ates7YBm
>>350
志向性の違いだろうな・・・
オレは意味があってもなくても嫌いなんだ

352:創る名無しに見る名無し
09/02/24 01:02:51 QptZ/GFn
NG登録し易くていいな

353:創る名無しに見る名無し
09/02/24 01:05:22 F3C61c4M
理想の身体

「ついに出来た!」
K氏は思わず声を上げた。
彼は産まれてこの方、ただの一度も
女性と付き合った事が無かった。
特別に醜い訳ではないが特徴のない顔立ちと
生来の臆病さが原因である。
彼はそんな自分を変えるべく、ある薬の研究に着手していた。
自分の考えた姿になれる薬。
それが今、完成したのである。
K氏は逸る気持ちを抑えながら薬を手に取る。
偶然完成した薬に替えは無く、チャンスは一度きりである。
研究の気晴らしに付けていたテレビではちょうど綺麗な女性が映っている。
「あぁ、私も早くあんな女性と付き合える身体に生まれ変わりたい」
K氏は一気に薬を飲み干した。



後日、芸能界に突如として現れた女性が、
世の女性の羨望を浴びる事になった。

354:創る名無しに見る名無し
09/02/24 01:07:11 RwP0/JBZ
うん、オチは読めても良作w
短いって正義

355:創る名無しに見る名無し
09/02/24 16:18:43 pxIncJPL
俺バカで読解力無いんだけど、
「あんな女性と付き合える身体」になろうと考えたのに
テレビに映った「綺麗な女性」の身体に生まれ変わるのはおかしくない?
それともこーいうのって視覚認識が先行するのが暗黙の了解なの?

356:創る名無しに見る名無し
09/02/24 16:32:18 z337iVOh
男女ではなく友達としてのお付き合いって意味じゃね

357:創る名無しに見る名無し
09/02/24 16:52:22 pxIncJPL
>>356
解釈ありがとう。
ということは薬の方がK氏の意図を間違えたってことだね。人間みたいに。
K氏が外国人だったら言葉が違って大丈夫だったのかな。

358:353
09/02/24 20:15:26 F3C61c4M
分かり難いかもしれないですが、
K氏が作ったのは「考えた姿」に成れる薬です。
飲む直前に女性の事を考えてしまった為、
女性に成ってしまったという事です。

なかなかに難しいですね。

359:創る名無しに見る名無し
09/02/25 00:35:22 xuRAfjgb
>>358
解説どうも。
となると>>355の疑問が残るけど、きっとそういうものなんですね。

360:創る名無しに見る名無し
09/02/26 22:05:39 6l9d1eYH
白髪

二日酔い気味の頭を抑えつつ、水差しから水をついで一息に飲み干した。
舌に何かが絡む。ねっとり絡みつくそれを吐き出すと一本の白髪だった。
誰の白髪か心当たりが無い、昨日飲んだバーだろうか?
よく思い出せない。
誰かの白髪入りの水なんか気持ち悪いので、水差しの水を流しにあける。俺は老人だの婆あだのが大嫌いだ。
まだムカムカする。蛇口から直接水を飲んでいると今度は喉に何か絡まった。
せき込みながら吐き出すとやっぱり白髪だった。
きっと、これは白髪のように見えて白髪ではない、と思い当たった。
一月前に取り付けた浄水器の濾過繊維か何かだろう。
「本当に良いものを勧めるなら自分が持たなくてどうする!」
赤ら顔の上司の罵声を逃れるためにいらない買い物をした。
こんなのを買うのは、無駄にニコニコしてる爺さん婆さんだけだろうと思っていたのに、俺も馬鹿の仲間入りか。

水に白髪を混入させるなんて、ゴミみたいな浄水器だ。その性でますますムカムカしてきた。
俺は便所に駆け込む前に我慢できず、洗面台にもどしてしまった。
洗面台に胃液が絡んだ大量の白髪がぶちまけられた。

なんだこれは
俺は理解できずに白髪をみようとしたがむかつきがおさまらない
また喉元からなにかがはいあがってくる
顔を上げると、
洗面台の
鏡の中の
俺の口の中に
真っ黒い笑顔のばばあ









361:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/02/26 22:07:32 6l9d1eYH
(・ω・)/ヤホー


みんな元気?
久々に一話書いてみました。

362:創る名無しに見る名無し
09/02/26 22:08:51 dGaFnSTn
な、なんだこれは。。形容しがたいホラーでつな

363:創る名無しに見る名無し
09/02/26 22:09:59 9UJuvcWy
怖い……

364:創る名無しに見る名無し
09/02/27 00:11:03 nj0qp150
怖すぎ

365:創る名無しに見る名無し
09/02/28 11:37:14 vSBfJNDM
怖いよう怖いよう

366:創る名無しに見る名無し
09/02/28 12:59:45 5iniuinK
なぜこれをこのスレに投下しようと思ったのやら

367:創る名無しに見る名無し
09/02/28 16:56:53 9wM4rMVi
星新一にも怖い話有るけどね

368:作る七誌に観る七誌
09/02/28 20:50:26 h4hW2Wwx
>>360
ばあちゃん食べたの?

空気読めてないレスでごめん

369:創る名無しに見る名無し
09/02/28 23:53:23 zFsYP0mK
「奥義」

「夫婦円満に過ごすコツ? 奥義があるんですよ」
 N氏はお茶を持って来た奥さんを追い返してから、静かにそう呟いた。
 それから彼は、試験管に入った液体を記者達の前に取り出した。
「これを飲めば肉体は十歳若くなる。動物実験を行ってみましょう」
 氏はネズミ、犬、猫に投与した。
 年老いた犬は十歳若返り、猫は子猫に、ネズミは胎児を経て受精卵になり、やがて消え去ってしまった。
 記者達は嘆息した。
「なるほど、完璧だ。生まれる前まで遡行する訳ですね」
「この発明が……奥義、ですか?」
 記者達は代わる代わる訊ねた。
 これを氏が飲んだのか、それとも奥さんに飲ませて夜の生活を円滑にしているのか。
「違います。これはね、危険な発明なので封印しているんですよ。私も実はこれを実際に使う事は考えていない」
「と、すると……?」
 氏はニヤリと笑って、言った。
「若返られる、という安心感。それだけで十分なのですよ」

 記者達が帰ったあとで、氏は幼い娘を抱きかかえて言った。
「事実を言う訳にはいかないじゃないか。なあ、ハニー」
 N氏の妻がお茶を持って来た。N氏は興味なさげに茶を口に含んでから、娘と語らい続けた。
「あなた―じゃない、旦那様。今日はもう、帰ってよろしいですか?」

「ああ、構わないよ。実のところ君は、昔の妻に似ているから雇っているってだけなんだから」

370:創る名無しに見る名無し
09/03/01 00:02:38 jro5dovc
ロリwwwww

371:創る名無しに見る名無し
09/03/01 00:27:02 jro5dovc
N氏ってロリコンだから妻を幼女にしたんだよな?あってる?

372:創る名無しに見る名無し
09/03/01 00:37:58 ot9Daulj
想定通りですよ
ほかの解釈もあるのかなぁ

373:創る名無しに見る名無し
09/03/01 00:54:17 ZChnFY6R
ネタはすげえ面白い。
ただ、「奥義」はちと違う気がするなぁ。
あとなぜわざわざ記者たちに話してるのかよくわからん。

374:創る名無しに見る名無し
09/03/01 01:12:34 ydU6Nnqu
ロリコンかwww

375:XXX ◆TqnDIIRxZU
09/03/01 09:20:41 dVS4yZLt
名産品

場所は王宮議事堂。
ここ数週間、国王、大臣、補佐官らは長い長い議論を交わしていたが、一向に答えは出そうに無かった。
議題はこの世界恐慌を凌ぐ金策の方法である。

この国は、王家の所有する国有地を民衆に農地や牧場として貸し与え、野菜や穀物を輸出して経済を成してきた平和な国だった。
ところが、先進国が“食の安全”とやらに気を使いはじめ、輸出が伸び悩みだす。
収穫期を迎えれば、まだなんとかなると思われていたが、収穫期前に取引先の大国が金融危機に陥り、連鎖式に大不況が広まった。


「時期が悪い。早く金策を考えて乗り切らないと、国内に及ぼす影響が計り知れない。」
「そうは言っても、我が国の野菜も果物も乳製品も生産を急には上げられない。金策と言ってもそうは無いぞ。」
「ここは一つ、国王の資産に援助頂いては…」
「不敬な上に馬鹿な奴め、この状況だと海外の資産家に二束三文で買い取られるのがわからんのか!」

会議は紛糾しつつも全く前に進まなかった。
国王は深々と溜め息をつき、思った。
『去年の春は良かった…、
国有地から出荷される作物の生産量報告を朝一番に受ける。
バルキ地区:桃17t、サンラ地区:牛肉18t、ニアデ地区牛乳22t…
民衆が働いている地区の名前を聞く度、やる気が沸いてきたものだ…。』


「そうだっ!」
M国王は手を叩いて飛び上がった。
「先進国では大きな建物や人の集まる場所の命名権を取り引きすると聞いた。
由緒正しい、M国の国有地の命名権を各国に販売しよう。
そして、そのお金で収穫期まで乗り切ろうではないか。」
大臣達は皆でM国王の意見を褒め称えたが、内心『そんな物を買う酔狂な奴などいるはずがない。』と思っていた。
だが、かと言ってうまい考えも浮かばないまま会議は進んだ。

~3ヶ月後~
「国王、今年最初の生産量報告を報告に参りました」
「ご苦労、今年は輸出量も倍増していると聞いたが。」
「はい、これも我が国有地の命名権を売るという国王のアイデアのおかげです。」
「それほど大したものでは無いぞ。さあ、報告を頼む。」
「はい、“山形”地区:桃17t、“松阪”地区:牛肉18t、“北海道”地区牛乳22t…」


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