08/12/05 16:35:38 656xap+8
【新種の虫】
「たいへんな事になった」
今日、何度この言葉を口にしたことだろうか。
総理は緊急事態と判断し、各方面にひそかに指示をだした。
原因はわかっていた。
そう、虫なのだ!新種の虫!
「すごい事です。この虫は宇宙から飛来した異星の生物の可能性も考えられます」
と、緊急に官邸に呼び集められた生物学者たちが目を輝かせて熱く語っていた。
「…べらんめぇ!そんな事はどうでもいいんだ」と総理は心の中で毒づく。
日本中で突然現れた被害。
その…虫が…その…つまり人間のお尻に。
その…虫が…その…つまりお尻の穴に。
虫は密かに体内へと入り込んで大腸に住み付き寄生してしまうのだ。
それから体の隅々にまで、その神経触手を延ばし入り込む。
そうなると外科的に取り出すことは不可能、薬剤で始末も出来ない。
だが、不思議なことに寄生された患者は特に命の心配もなく、病気になるわけでもなく、心を乗っ取られるというSFのような事にもならない。
いや!むしろ逆で、とり憑かれた人間は以前より健康になるのだが…
「…べらんめぇ!そんな事はどうでもいいんだ」と総理は心の中で毒づく。
「たいへんな事になった」
何度この言葉を口にしたことだろうか。
総理は再度、各方面にひそかに指示をだした。
この虫に寄生されてしまうことは政治家には大問題なのであり、致命的になる。
そう!大問題なのだ!とり憑かれた人間は…
正直者になってしまうのである。