台詞系SS総合スレat MITEMITE
台詞系SS総合スレ - 暇つぶし2ch139:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 23:49:50 WShWNEq0
兄「パン耳はどうだ?」

妹「今二人が齧っているのは何だと思いますか?」

兄「高級食パン」

妹「の切れ端です」

兄「しかしだな。世の中にはパン耳レシピなるものがあると聞くぞ」

妹「兄さん、調味料って知ってます?」

兄「知っているぞ。もちろん家にもある」

妹「……使ったら無くなるって事までは知らないようですね」

兄「何かはあるだろ?」

妹「……」

兄「ないの?」

妹「3日前、最後の砂糖を溶かして飲んだじゃないですか」

兄「あらー」

妹「『あらー』じゃありません」

140:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/10 23:56:24 WShWNEq0
妹「第一、このパン耳だって、いつまでも貰えるわけじゃないんですから」

兄「パン耳とおからは庶民の見方、通称『産業廃棄物』じゃなかったのか?!」

妹「それを利用したりするから、最近じゃタダで配るお店なんて少ないんですよ」

兄「そういえば、おからに野菜クズ混ぜて売ってやがったな、駅前のスーパー」

妹「ちゃんと食べられるお野菜です。人聞きの悪いことを言わないで下さい」

兄「パン耳作戦も却下か」

妹「というか、パン耳以外のものを食べたいから提案しているんです」

兄「この苦労、いつか懐かしく思う日も来るさ」

妹「苦労したまま二人仲良くお墓って事になりそうなんですが」

兄「大丈夫だ。葬儀費用などない」

妹「いや、そういう事じゃなく」

141:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:00:44 0htI+lkU
マジで共感
続きに期待

142:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:02:16 POEW50r/
兄「そうだ。ちょっと待っていろ」

妹「あまり動くとカロリー消費しますよ」

兄「あったあった。これこれ。『食べられる野草』」

妹「油も調味料も一切ないのに、どうやって食べろと?」

兄「……その気になれば、生でもいけるぞ?」

妹「一ヶ月前、全く同じ事を言って腹を壊して、3日間のた打ち回った人間が言う台詞ですか」

兄「あの3日間は空腹は感じなかった。つまり3日は持つ」

妹「感じるのが空腹か苦痛かの違いです。むしろ状況が悪化します」

兄「せめて調味料があればなぁ」

妹「野草を取ってきて、食べられるくらい下処理と調理できるくらい材料があれば、こんなに苦労してないです」

兄「……お前、頭いいな」

妹「ぶん殴ってもいいですか?」

143:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:07:17 POEW50r/
兄「しかし、そうなると残る選択肢はあまりないぞ」

妹「っていうか、なんだかんだでお腹が膨れてきましたね」

兄「メタボか。情けない妹だ」

妹「……」

兄「よし、分かった。謝るからその殺気は引っ込めなさい」

妹「あまり怒らせないで下さい。怒るとカロリー消費します」

兄「そのカロリーも、作戦会議をしながら食べたパン耳で賄えそうではないか」

妹「悔しいですが、その通りです」

兄「そうと決まればやる事は一つだな」

妹「はい。さっさと寝ましょう」

兄「続きは明日だな」

144:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:13:54 POEW50r/
妹「兄さん……もう寝ました」

兄「むにゃむにゃ……もう食べられないよぅ」

妹「起きてますね。私、大学辞めましょうか?」

兄「駄目だ」

妹「……何故ですか?」

兄「……なんでもだ」

妹「そんな、子供がおもちゃねだってるのとは訳が違うんですから」

兄「駄目。許さない。卒業までの学費は俺が出す。だから絶対卒業しろ」

妹「私が働いていれば、兄さんも自分が好きな事、色々出来るでしょうに」

兄「俺を本気で怒らせたいのか?」

妹「―ごめんなさい」

兄「食べ物の事は心配するな。同期に仕事で貸し作って食材貢がせるから」

妹「……悪党」

兄「うるせ。さっさと寝ろ」

妹「はい。おやすみなさい」

兄「あぁ。おやすみ」

145:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:15:00 POEW50r/
ってことで寝ます
期待してくれた人に応えられたかどうか

146:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:17:13 WkCS6mT1
エロい兄妹だな。
身につまされる内容だが。あー腹減った。

147:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 00:48:45 yS6wW6dK
乙です
雑草は選んで洗えば命がつながりますww

148:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 01:01:46 iRvxCXdZ
>>145
面白かった!
乙!

149:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 02:57:25 PDuJ6kxP
これはおもしろいな、続きも読んでみたい
雑草もうまーく山菜を取れれば命はつなげる……調味料なしはかなりきついがww

150:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 21:33:09 POEW50r/
妹「うぅ……空腹で目覚めるから時計要らずです……」

兄「まったく……毎度毎度切ない目覚めだ」

妹「おはようございます、兄さん」

兄「はい、おはようございます。さっそく朝食の準備といこうか」

妹「冷蔵庫からパン耳を出す作業を朝食準備と言って良いのでしょうか?」

兄「ふっ……どうやら忘れたようだな。せっかくだから忘れたままでいろ」

妹「えーと? あ! 何かありましたねそういえば。……バター!」

兄「ちっ、思い出したか。そう、ホテルの朝食使用のバターだ!」

妹「おぉ……今日はそれを付けて食べる日でしたね……しかしどうやって?」

兄「同僚が出張でビジネスホテルに泊まると言うのでな」

妹「あ、もういいです。分かりましたから」

兄「準備はいいか?」

妹「ちょっと待ってください、まだ興奮が収まりません。あぁ……なんて素晴らしい朝なんでしょう、兄さん!」

兄「……なんかえらくテンション高いな、お前」

妹「摂取カロリーとテンションって比例するんですよ?」

兄「しないと思うが。まぁいい、ちょっとずつ付けて長く持たせろよ?」

妹「はぁ~い。うふふ、えへへ……」

兄「キャラ変わりすぎだろお前。大の大人がバター如きでそんなにはしゃいで……」

151:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:06:11 POEW50r/
兄「妹。貧しくはあっても、決してなくしてはならぬものがある。何か分かるか?」

妹「バター」

兄「いい加減バターから離れろ。もっと、こう、なんていうか……」

妹「そうですね。とりあえずトイレットペーパーとか生理用品がなくなると大惨事ですね」

兄「えーと」

妹「洗剤関係、石鹸、練り歯磨きもなくなるとダメージ大です」

兄「そうじゃなくてだな」

妹「あとはティッシュペーパーでしょうか? まぁこれは街灯で簡単に入手可能ですが」

兄「お前……本当にそれだけか? もっと基本的な何かが足りないと思わないか?」

妹「んー……あぁ! 保険証と印鑑! 身分証明は確かに基本です。さすが兄さん」

兄「あぁ……そう……」

妹「え? 違いました?」

兄「いや、なんつーか、たくましくなったな……」

152:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/11 22:36:22 POEW50r/
兄「えーと、俺が良いたかったのは『豊かな心』だ」

妹「そんなんじゃお腹は膨れないです」

兄「うわぁ。ないすりありすと」

妹「第一、お腹が満たされれば心も満たされますが、その逆はないです」

兄「そういった、貧しさでささくれ立った心に潤いを、と言う訳で」

妹「具体的には何を?」

兄「歌は心を豊かにすると聞いたことがある」

妹「音楽を再生できる機器が一切ありませんが」

兄「俺が歌う」

妹「……嫌がらせですか?」

兄「何が不満だ! 意外とレパートリーは広いんだぞ」

妹「広い中にJ-Popが一切無いのが問題なんです」

兄「童謡から軍歌まで何でも来いだぞ。民謡だって大丈夫だし、浪曲もちょっとはいける」

妹「……同僚の方とカラオケとか行って困りません?」

兄「何を困ることがある。年配の上司には受けも良いし」

妹「まぁいいですけど、歌うなら歌っても。でも歌ってカロリー消費激しいですよ」

兄「やめやめ。カロリーがもったいない。寝よう寝よう」

妹「今までのやり取りはなんだったんですか……」

153:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:37:39 0PPqY2X8
兄「三連休も無事乗り切ったな」

妹「横たわってパン耳を齧り、水を啜って生き長らえるのを乗り切ったと言えるんでしょうか」

兄「こうして生きているじゃないか。結果よければ過程なんてどうでもよろしい」

妹「はぁ。その考えが今の状況を作り出した訳ですね……」

兄「この兄が何か間違っているとでもいうのか?」

妹「具体的に列挙して欲しいですか?」

兄「さて、あと10日乗り切れば良いわけだな」

妹「ごまかすくらいなら言わなければいいのに」

兄「まぁまぁ。今は明るい未来だけを見据えて頑張ろうじゃないか」

妹「月々の支払い考えると、給料日ってそれほど明るい未来じゃないような……」

兄「……そんなじゃないだろ、いくらなんでも」

妹「家計簿見ます?」

兄「どれどれ……先月のがこれ? うわ……」

妹「今月も似たような感じになりますからね」

兄「……明日パン耳またもらって来るわ」

妹「大安売りもありますから、チラシももらって来てくださいね」

兄「了解。はぁ……」

妹「はぁ……」

154:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:59:22 0PPqY2X8
兄「しかし、無料で食料を手に入れる方法がないものかな」

妹「兄さんは野草を食べて飢えを凌ぐから問題ないんじゃないですか?」

兄「それも最終手段ではあるが、もっとこう、文化的な食べ物が欲しい」

妹「ぱっと思いつくのは献血ですね」

兄「こちらは血を提供するが、もらえるのはトマトジュース1本だろ?」

妹「いつの時代から頭が止まってるんですか。今は献血ルームというものがあってですね」

兄「何? トマトジュース飲み放題とでも言うのか?!」

妹「だから、それから離れてください。献血者は自販機のジュースとお菓子は食べ放題です」

兄「な、なんと……」

妹「常識の範囲内ですよ、あくまでも。それに、地域によっても違います」

兄「しかし、血を提供すればそれらの恩恵を受けられる訳だな?」

妹「帰りにはお土産にドーナツが貰えたり」

兄「な、何だと?! スイーツ(笑)か!」

妹「(笑)は余計です。あくまでも血を提供する為というのはお忘れなく」

兄「それは魅力的だな……。ところでだ。万年空腹状態の俺らの血って使えるのか?」

妹「……それが問題なんです。更に、抜かれた後の消費カロリーとか」

兄「抜かれた分は、作られるよな、血。そうなると、原料が必要となるわけで……」

妹「更に、一番近い献血ルームはここから車で30分の所にしかないという……」

兄「駄目じゃねぇか。しかし、詳しいなお前」

妹「お菓子食べながらジュース飲んで、TV見ながら兄さんとくだらない冗談言い合う」

兄「ん?」

妹「叶える為にはと考えていたら、友達から情報をもらいまして」

兄「お前……」

妹「ま、結局企画倒れでしたが。さ、もう寝ましょうか」

兄「……」

155:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:26:43 e1IAE1UQ
これはいいw

156:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:27:54 pjiNPbvB
兄「(そうだよな……大学生といえば、遊びたい盛りか)」

兄「(友達と食事したり、飲み会やら合コンやら、暇に任せた旅行やら……)」

兄「(俺は、自分が親からさせてもらった事を、妹にはしてやれないのか……)」

兄「(まったく……情けなくて泣けてくるな……)」

兄「(夜の仕事も……明日フリーペーパーでも見てみるか)」

妹「やっぱりそういう馬鹿な事を考えてたんですか、兄さん」

兄「な、お前寝たんじゃ! てか何で分かるんだ!」

妹「頭の中だけで思ってたつもりでしょうが、ぶつぶつ呟いてましたよ」

兄「……俺の仕事の事だ。お前には関係ない」

妹「あります。兄さんの体は自分だけの体じゃないんですよ」

兄「……夜の仕事で体壊して、昼の本業に差し支えれば給料も危ういって事か」

妹「誰がそんな事心配しますか!」

兄「!」

妹「兄さんの体の心配してるんです! 毎日残業買って出て、その上夜も働いたら……!」

兄「お前……」

妹「兄さんは……私の唯一の肉親なんですよ……その兄さんが……!」

兄「分かった。すまなかった」

妹「お金なんか稼いでくれなくたって、私にとっては兄さんが……」

兄「お前より先に死んだりはしないさ。だから泣くな」

妹「でも、でも……」

兄「泣くと無駄にカロリーを消費する。朝のパン耳も十分な量がない。だから泣き止め」

妹「昔から……泣き止ませるの苦手でしたね、兄さんは」

兄「しっかり者のお前が泣くと、どうして良いか分からなくなる。だから泣かないでくれ」

妹「ふふっ、なんですかそれ……。分かりました。でも約束して下さいね。夜の仕事は……」

兄「あぁ。働くのは昼だけにするよ」

妹「破って死にでもしたら、私毎日兄さんのお墓の前で泣いてやりますからね」

兄「それは勘弁して欲しいものだな」

兄「(そんなことになったら、死んでも死に切れないからな……)」

157:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:52:01 pjiNPbvB
兄「ふぅ……疲れた……連休明けから残業はきついな……」

兄「とは言え、このテンションで帰っては心配させるからな……よし!」

兄「ただ今お帰り遊ばしたぞ、愚妹よ!」

妹「無駄に騒がないでさっさと入ってください」

兄「連れない反応だな。多少乗ってくれてもいいだろ」

妹「まぁ、ドリフの馬鹿兄弟ネタやられた時よりはいいですが」

兄「あの時お前、鍵かけて寝ちまったしな」

妹「1時間後に開けてあげたから良いじゃないですか」

兄「真冬の1時間って、お前……痛いんだぞ……」

妹「それは良いですから、ほら、座った座った」

兄「ん? この紙袋は某有名ドーナツ屋の! お前これ!」

妹「大学の友人の車で一緒に献血してきました」

兄「こんなにもらえるのか?!」

妹「一緒に行った娘達、なぜか急にダイエットし始めたようで。要らないと言うので貰ってきました」

兄「そうか……」

妹「あ、兄さん宛にメモをもらったんでした。はい、これその娘達から」

『か、勘違いしないでよ?! 私たちはダイエット中で要らないからあげるんだからね!
捨てるのが勿体無いから、しょうがなくあげただけなんだからね!
 P.S.
変な事気にしないで、私たちの誰の家にでもいいから、兄妹でご飯食べに来てください。
 色々お話聴かせて下さい。体に気をつけて、頑張ってくださいね!』

妹「兄さんは釘宮病を煩っていると説明した所、このようなメモを……あれ、兄さん?」

兄「み、見るな! 目が疲れて充血したから、ちょっと顔洗ってくる!

妹「はいはい」

兄「……良い、友達を持ったな。ありがとう」

妹「なんでありがとうなのか分かりませんが、どういたしまして」

158:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:12:46 pjiNPbvB
>>155
今日は投下終わるから、何か書いていってくれ

159:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:18:50 3tBHbdYU
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