性別変化(TS)作品発表スレat MITEMITE
性別変化(TS)作品発表スレ - 暇つぶし2ch37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/07 04:24:22 OPadNLOZ
物語中で性転換するんじゃなくて設定上男と女を入れ替えた
二次創作ってのはアリなのかな?

38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/07 09:46:06 UKjFahXG
キョン子とハルヒコみたいなの?
別にいいんじゃね

39:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/07 10:56:19 3c/syd8M
別にいいと思うけど
投下前にそういう話だと注釈つけた方がいいかも

40:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 01:26:39 ekhii5FW
あらこんなとこにTSスレ

41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 02:21:18 PvF8Cn/a
いやこんなところに落ちてるんですぜお嬢さん

42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/14 23:16:35 ekhii5FW
    _、_ ω
  ヽ( ,_ノ`)ノ 残念、それは私のおいなりさんだ
 へノ   /  
   (i)ノ
     >

43: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/15 04:34:01 oipPd106
このスレの作品に感動したので自分も投下

『 入れ子人形 』
♂→♀    皮モノ(?)

―――――――――――――――

『「う、嘘だろ・・・。」
己の胸についているやけに大きな二つの塊が俺の呼吸とともに静かに上下している。
「まさか!」
とっさに自分の股間へ手を滑らせる。のっぺりした手触りに見慣れたモノの感触はない。
そばの鏡に目を走らせる。
「これが・・・俺・・・?」』
「うーむ、やっぱりTSモノのSSはいいねぇ。ラノベとかよりも断然こっちだなw。」
そういって俺はパソコンの画面を見つめながらひとりごちる。
「あーぁ、どこかで「○○」みたいなかわいい女の子に変身できるようなアイテムとかないかな

ぁ。」
もちろんそんなものが存在しないなんてことは先刻承知、まだ俺は現実と幻想の境界くらいはき

ちんとわきまえている。
まぁときどき踏み越えてしまいそうにはなるけど。
「さて、今日はもう寝るかな。」
と、俺は今まで読んでいたネット上にアップされていたテキストをメールで携帯に送る。
明日の昼休みにでも読もうという魂胆だ。

昼休みの教室。クラスメートたちがわいわいがやがやと騒いでいる。
「あっちゃん、何午前中の授業全部で寝てるのよ。夕べ何時に寝たの?」
「うるせぇなぁ。美香に言われたくはねぇよ。お前も朝のホームルームで爆睡してたじゃねぇか

。」
「はいはい二人ともストップ。俺にはどんぐりの背比べにしかみえないよ。」

「背比べって何よ!午前の授業全部を睡眠学習してるような奴と比べないでよ!私は」
「はいストップ。落ち着いて食べようよ。」
この女は飯原美香。かなり気が強くてことあるごとに俺と口げんかしている。
男のほうは篠原光也。結構無口な性格でいつも俺と美香の仲裁役である。そんな役どころからか

俺と美香からは『センセイ』って呼ばれている。
2人とも俺とは幼稚園からの腐れ縁で今でもよくつるんでいる。
ちなみに俺は高橋淳司。自分で言うのもなんだがごく普通の男子高校生である。まぁ、強いて普

通じゃないところをあげるとするならばTSモノの小説が好きだってことくらいかな。
飯を食っている間はさすがに美香も静かである。この間に夕べの小説を少しでも読み進めようと

俺は携帯を開く。
「何食べながら携帯いじってるのよ。」
といいつつ携帯の画面をヒョイと覗き込む。
「あー!なんかエロいの読んでるー!!!」
「ちょ、勝手に覗き込むなよ!」
と言いつつあわてて携帯を閉じる。
「いーけないんだーいけないんだー せーんせいに・・・」
お前はどっかの小学生か。
「まぁ、あれだ。真昼間からいかがわしいものを読むってのはあんまり感心できないぞ。」

「センセイまでそんなこというか。別にエロいものじゃねぇよ。」
「へぇぇー、そんなこと言うんだー。じゃあお姉ちゃんにみせてごらーん?」
「ちょ、うわ やめろtt・・・」
そんなこんなで今日も学校は平和であった。

44: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/15 04:37:39 oipPd106
そしてその夜のこと、俺は今日もTS関連の小説を読んでいた。
『「これさ、実は皮なんだよね。
こうして胸の前で爪を立てると―
ほらね。中身は男だろ?」   』
「こんな皮があったら絶対にほしいもんだなぁ。」
ため息をつきながらぼやく俺。
独り言を言いながら寝間着のシャツをまくりあげ
「それを着てさ、胸の真ん中あたりで爪を立ててこーしt・・・ってええええぇぇぇぇ――っ!!!」
目の前の現実が信じられなかった。まさに目をうたがうとはこのことだろうと俺は思ったね。
だって信じられるか?まさにパソコンの画面に映っている小説の登場人物のごとく俺の胸の前がパックリ割れていたのだから。
あわてて裂け目を閉じる俺。するとその裂け目は何事もなかったように閉じてしまい、元に戻ってしまった。
すぐに閉じてしまったが今度はシャツを脱いだ上でもう一回爪を立ててみる。そもそも人間、特に男なんて生き物の目の前に「好奇心」という餌がぶらついてたとしたら、それをみすみす見過ごすか?否、俺なら絶対に見過ごさずに喰らいつくね。
何度か開けたり閉じたりを繰り返すうち、だんだんと開ける大きさが大きくなっていく。俺の目は裂け目の中の暗闇に吸い込まれていた。
幅にして20cmくらい開いたところだろうか。突然視界が真っ暗になった。
完全に真っ暗というのではなく一部分に穴が開いているようで、そこから部屋の景色が見えていた。
顔に手をやってみる。ごわごわしたものが自分の皮膚を覆っているようである。しかも頭だけではなく手もそれで覆われているらしい。
どうも体全体がなにかで宇宙服のような感じにすっぽりと覆われてしまっているのだと理解するのにそれほど時間はかからなかった。
どう好意的に考えても異常な状況なのだがそのときの俺の頭は正常な判断能力を失っていたようである。
まるで脱皮する動物のように、腕を、頭を動かして胸の前の裂け目から外に出ようともがく。
程なくして上半身が外に出る。脱いだ皮のようなものを見てみるとまるでどこぞの怪盗が脱ぎ捨てた変装用マスクを全身バージョンにしたようなものの上半身が力なく横たわっていた。

「ふぅ―、暑いなこれは。これはいったい・・・。あれ、なんだか声が・・・。」
はて、何故か声がおかしい。というかこれはもしかしてアレのお約束のせりふじゃないか。
脳がアドレナリンを大量放出しているのを感じる。
ふっと胸元を見る。男とは思えないほどに膨らんだ二つの塊が鎮座していた。
右手で包み込むように片方の固まりを触ってみる。大きすぎず、小さすぎず、そんな手で覆うのにちょうどいいくらいの大きさでそれはそこにあった。

「ゴクリ・・・」
俺が生唾を飲み込む音だけが部屋に響く。心臓の音が階下にいる両親に聞こえるんじゃないかってくらいに激しく波打っている。
ゆっくりと、震えながら、俺はまだ皮に包まれている股間に手を滑り込ませる。
果たして、其処には何もなかった。何もないというのには語弊があるかもしれない。正しくは其処にあるべき男性のシンボルがなかったというべきだろう。
俺は今や、完全な女になっていたのである。


つづく?


日頃から「このSSつまらないな」とか「俺ならもっとうまく書ける」なんて思い上がったことほざいていたけど、
自分で書いてみて初めて小説を創作する大変さを知りました。
もう二度とあんなことは言えませんし言いませんorz

45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 16:49:09 0kBe8Cnl
感想:脱ぐのかよっ!!w

46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 18:59:18 /VRt62RQ
なるほど逆転の発想


人が増えますようにage

47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 15:25:55 1a01s1x6
もともと女だったってことか?

48:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/17 22:24:42 La10eKhw
>>47
だと思う

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/18 01:29:29 HWpDdWX2
もともと、と言っても『皮の中身は一体何時発生したのか』を妄想すると、
色々と解釈も展開もあると思うのだけどね。
というわけで、続いたら嬉しいな。

50: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/19 02:24:01 tCYH9KnT
『 入れ子人形 2 』
♂→♀    皮モノ(?) 可逆

―――――――――――――――

俺は悲鳴を上げることはなかった。常人ならここでパニックに陥ってしまうだろう。
なぜなら俺は、これまで読んできたTS小説によって仮想的にこうした状況に慣らされていたのである。
このあたりは俺の危機管理能力の高さが伺える。(ちょっと違うか)
まぁ、下手に悲鳴を上げて今の状況で親とご対面するのは極力避けたい事態である。
説明しても分かってもらえるはずもないし、ましてや俺自身もまだ理解できていない。
階下の気配を見る。幸い親はもうすでに寝ているのか大きな動きは感じない。

目下の心配が解消されると今度は別の大きな心配が頭をもたげてきた。
「これって戻れるのか・・・?」
TSにおいて可逆か不可逆かは非常に大きなファクターである。
それによりTSに対する心構えも大きく変わってくるのである。
もしも不可逆ならどうしてこうなってしまったのか原因らしい原因がない以上、
一生女として生きていく覚悟がいるかもしれない。
スキューバダイビングの潜水服を着るような感じで俺はまだ生暖かい自分の皮を身にまとう。
皮を着る際に何も引っかからずにこすれる股間の感覚が、自分が女になってしまったことを俺に突きつける。
ぶかぶかになってしまっているのは女になって体格が変わったせいだろう。TS小説ではよくあることである。
破ってしまわないように細心の注意を払いながら手、頭を皮の中に入れ、最後に胸の前の裂け目を閉じる。
まるで体に空気入れを接続されて風船みたいに膨らまされるような感覚とでも形容しようか、
はたして俺の体は元に戻っていた。人並みに筋肉のある手足、平らな胸、股間のモノ、人は故郷が一番とはよく言うが
その言葉がいかに的を射ているかがよく分かった。
これほどの安堵感を感じたのは高校の合格通知が来て以来だ。
「良かった、俺の場合は取り合えず可逆っと。」
しかし安心するにはまだ早い。脱いだ状態の皮を損傷してしまうことで今まで可逆だったものが
不可逆+ダークにまでなるということもありえない話ではない。
皮は細心の注意をもって扱わなければなるまい。

51: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/19 02:25:08 tCYH9KnT
「さて、戻れることも確認したし、もう一度脱いでみようか。」
無事元に戻れることを確認した俺はもう一度胸に手をかけ、今度は足の先まで完全に脱いだ。
「元の皮はたたんで机の上においておこう。」
皮を畳む間にも二の腕に当たる自分の胸に俺のボルテージはいやでも上昇していく。
クローゼットを開けて鏡を見る
「これが・・・俺・・・?」もちろんお約束の台詞も忘れない。
鏡の中には黒髪の美しい裸の少女がいた。近づきがたい美しさではなく
誰もが寄ってくるようなかわいい的な美しさである。正直俺だと信じられない。
もし街で見かけたらぜひともお近づきになりたいと思ったことだろう。
その少女に向かって手を伸ばす。すると俺の視界に俺の手が見える。白くて、細い。
これが俺の手なんだと思うとなんだか興奮してくる
顔の前に持っていって手を握ったり開いたりしてみる。
手のひらはふっくらとしていて男のごつごつとした手とは比べ物にならないほど繊細で華奢である。
今度は手から視線を下に持っていく。形よく、ほどよく膨らんだ胸がそこにある。
「さっきはあまり触れなかったけど、こっちはどうなっているのかな。」
かすかに息が荒くなる。顔が紅くなるのを感じる。
親指と四本の指でつまむように揉んでみる。
とても柔らかい。前に太った男友達の胸をふざけて揉んでみたりしてみたが
このさわり心地は正直言ってそれをはるかに上回る。
今度は反対側の胸をわしづかみにしてみる。やはり同じように柔らかく、肌もすべすべしている。
そうやって胸をいじっているうちに体の奥からじんじんと疼くような感覚が湧き起こる。
そして俺は――

日の出が近づき、雀たちが鳴き始める頃まで、俺は体の欲望に逆らえなかった。

つづく(?)

意外な好感触レスに感謝!
エロ表現はこんな感じでいいんでしょうかね。
とりあえず時間はかかっても今頭の中にある妄想は全部書いていきたいと思ってます。
自分は過剰なエロが好きではないのでこのスレが発展してくれることを願ってます。

52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 21:20:54 NCRSxYmT
おつおつ

>エロ表現はこんな感じでいいんでしょうかね。
そんなところでしょうね

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/19 21:22:16 wYrECAYn
セフセフですな

54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 01:46:20 GSzwJhzM
興味あったんでざっとスレ内容読んでみたんだけど。
あれだね、気を抜くとすぐエロに流れそうだ。……気持ちはわかり過ぎるほどわかるけどw

姉妹との入れ替わりものなら、そういうモヤモヤをクリア出来そうだけど、
そういうのって読む側としてはどうなんだろう? やっぱモヤモヤさせた方が良い?w

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 01:55:53 PNrDFjJt
いらっしゃいませ。自由に書いてください


本音はモヤモヤさせた方が良いw

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 01:57:25 UxW0xFay
モヤリモヤリとやっていくのですな

57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 02:03:52 GSzwJhzM
おk把握いたしましたw
へ ノ
(´∀`)モヤモヤ

58:高坂君と佐藤さん
08/09/21 07:48:18 GSzwJhzM
詳しくは語るまい。
不肖わたくし高坂諭吉(17歳)は、どういうわけか女の子になってしまったジーザス。
……いや、女の子は好きですよ? むしろ大好物ですよ?
でも、だからってだからこそ……俺を女の子にしなくてもいいじゃないですか神様!!
そりゃさ、初めは確かに喜んださ! 確かめたさ! むしろ触りまくったさ!!
もっと詳しく言えば×××××さ!!! 更に×××××さ!!!? (※板規制により削除されました。
……でもさ、虚しいんだよ。
だって、ないんですもの。
な い ん で す も の ! ! ! ! !

「無いって……何が無いのよ、ゆきっちゃんは」
訊ねてきたのはマイガール、同級生の佐藤さん。
「そりゃあ勿論、胸ですよ!?」
「わ、悪かったわね無くて!!? ていうか、マイガールって何よ!!?」
……ちょっと『フレンド』を略してみただけじゃないですか……そんなに怒らないでよ。
「お、怒ってないわよ! それに、私だって成長するもん!」
おやや。いけない、彼女は何やら勘違いされているようですよ?
生粋のジェントルっ子であるこのわたくしが、マイガール(フレンド)の胸のサイズの不満を口にするとでも思うたか!
……しかし、それをそのままに訂正するは言語道断。
何故ならば、マドモワゼルはチェスト(笑。バストではなく)のサイズを気に病んでおられるらしい。
婦女子の不都合な真実を抉るが如きは、紳士のなすべき所業ではありませぬ。
なればこそ、要すべきは婉曲な話題そらしとみつけたり!
「佐藤さん? それはもしかして『成長するもん』と『性徴ホルモン』とをかけてる訳ですな?」
「アホかーー!!」
……そう、アホです。
ないのです。
ほんと、どこ行っちゃったんだろう……胸。
だっておかしいじゃないですか。
こういう時って、
「あれれあれ? 俺なんで女になっちゃってるんだろう? こんな大きくて柔らかいボインまであるしどぎまぎ☆」
みたいに、なるものじゃないですか。
そりゃあ、アレですよ? 下半身なんて×××××で色だって素敵な×××××だったし!(再び規制削除
もうね、堪能させて頂きましたともさ!!
なのに!!
何で、胸だけ全然変わってないんですか!!?
「胸ってさ、揉めば大きくなるって、アレ本当なのかなぁ……?」
「それは独り言なのか? 私へのあてつけで言ってんのか!? そこんとこどうなの!?」
「…………」
「む、私の胸を見ないでよっ!?」
「佐藤さんは、胸が(俺より)大きくて良いよね」
「な……!?」
お口をぱくぱく佐藤さん。……あ、これ。指突っ込みたいなぁ。
突っ込むといえば。
いつの間に、夜ごと俺を悩ませたそういったリビドーは、霧が晴れるように無くなっていた。
元々が女顔である。最も顕著な男女差異である胸も、幸か不幸か小さいおかげで、日常生活もさほど変わらぬままだ。
もうしばらくは……それがいつまでなのかはわからないが、社会的には男のままで通せるだろう。
だからこそ俺は、今のこの状況を、深く思い悩まずにいられるのかもしれない。
「まあこれも、人生の大きなスパンから見れば、小さい悩みなのかもね」
「ち、小さいって言うな!?」
「…………」
彼女に。
この俺の最も大事な……ガールフレンドである、この女に。
今の俺の状況を話したとしたら……或いは、それも変わるのだろうか?
「佐藤さん?」
「何よ?」
「今度さ、俺の胸揉んでよ」
「な……!?」

二回目なので、今度は指を突っ込んでみた。
思いっきり噛まれた。

59:高坂君と佐藤さん
08/09/21 07:50:40 GSzwJhzM
予定よりちょっと早い時間に起きちゃったので、勢いで書いてみた。
あぶねぇ、ぎりぎり60行だったぜ!
モヤモヤ分が全くないけど全然気にしないぜ!

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 19:36:22 PNrDFjJt
勢いは伝わったぜ!

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/21 22:59:29 dy9Kyqy3
GJ! なんだか別種のモヤモヤを感じる。それが心地よい感じで良いな

62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/22 14:30:03 jvpCbnTp
やはりちょっと違ったか……むずいな。
TS百合コメディっぽくしたかったんだが、冷静に読み直してみたら全然違うねこれ。何だこのテンション。
やはり百合に必要なのは純潔さか……花言葉の通りだ。上手く出来てる。

よし! 森奈津子を読み直すことにするぜ!

63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/23 08:58:11 GD4d5TS+
別種のモヤモヤというか、感じたままそのものズバリで良かったのか!

表面上変わらない日常と変化した自分の交差点に彼女が居る状況が
たまらなく美味しいです。ごちそうさまでした。
想定と違うとしても良い意味で裏切られたのだけど、次回もそうなりそうな予感がw


64: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/28 03:45:49 R8BvkIls
『入れ子人形 3』

「・・・ん、・・・ちゃん・・・」
「あっちゃん!!!」
そんな大声にたたき起こされて俺は突っ伏していた机から顔を上げる。
「・・・なんだよ、美香。」
黙って指を指す美香、その先に目をやる。
「目が覚めたんなら教科書読んでくれるか。」
困り顔の先生がいた。

――――――

その日の昼、いつものように3人が集まる。
「あっちゃんここ最近毎日のように寝てるよねー。もしかして、例の小説で毎日お楽しみ~?」
ニヤニヤ笑いながらそう問いかける美香。
「うーん、まぁあれだ。若いのは結構なことだが・・・」
美香に追随する光也ことセンセイ。
当たらずとも遠からず、小説ではなくて現実なんだなこれが。
俺はもくもくと弁当を口に運ぶ。
つれない俺を見てつまらなそうな顔をしながら別の話題を振る
「そうそう、明日はどこいく?」
何のことはない毎週土曜日はいつも3人で遊びに行ったり図書館で勉強したりしているのである。
「あぁ、俺パス」
口に入った飯を飲み込みそう答える俺
「僕も今回は遠慮しておくよ。ちょっと用事があってね。」
他人の申し出を断るとはセンセイにしてはめずらしい。
「えぇー!二人とも来ないの!?センセイはともかくあっちゃんはなんで来ないのよ!」
「ともかくってなんだよともかくって。俺にだって用事くらいはあるんだよ!」
不機嫌そうな顔をする美香。
そんな美香をよそに、俺は自身の身に起こった一連の出来事に思いをはせていた。
人の中に人がいた。皮で変身するならともかくその逆とはTS系の小説にもそうそうないシチュエーションだろうな。(現実にはそうそうどころかありえない部類に入るが)
中の人などいない!なんて旧いネットのネタがしゃれにならないな。
さて、今日は金曜日、明日は待ちに待った休日だ。
普段なら休日は3人でつるむ以外にすることも別段なかったが今回は別だ。
俺の中の人のための服を最低限一着は買わなければならない。
今までは夜中、親の寝静まった時間にこっそり脱いで楽しんでいたのだがやっぱ家の中だけじゃつまらないんだよな。
せっかくの休日なんだから外へ出てなんぼだと思うわけだ。

「いーもんいーもん!一人で休みをエンジョイするもん!」
美香はセンセイに当り散らしていた。

65: ◆CtoGIKO.Vo
08/09/28 03:46:21 R8BvkIls
土曜日の朝は良く晴れていた。
今日は折りよく両親は朝から出かけている。夜まで帰ってこないとのことだ。もしも出かける予定がなかったら親が起きる前に家を出なければならないところだった。幸先のいいことである。
親の車のエンジン音がすっかり消えたのを見計らって俺は自分の胸に手をかける。
そして俺の抜け殻とでも言うべきモノをベッドの上に広げる。
部屋の中を見回してみる。
「やっぱり、今まで感じてきたけど男のときよりも視線が低いな。」
身動きすると視界の端々に白くて細い腕や長くて柔らかい黒髪、豊満な胸(ちなみに目分量によると恐らく美香よりも大きい)が存在を主張する。
それら全てが自分が女になってしまっていることを実感させてくれる。
「さて、たしかここにあったはずだけど・・・」
しばらく裸で歩き回った後、衣装箱を引っ張り出して中身をかき回す。
確か着れなくなった昔の服がこの中に保管されているはずだった。
「これとこれと、これでよしっと。」
ほどなくして箱の中で一番小さいサイズのシャツと上着、ジーンズを引っ張り出す。
一番小さいものを選んだのだがそれでもシャツは少し大きいようだ。
女性向けの下着は流石になかったので無しで着る。
「やっぱりブラジャーがないと擦れて痛いな。まぁ店で買ってくるまで我慢するしかないか。」
ふと目に付いた三面鏡の前まで行ってクルリと回転してみる。
「やっぱりかわいいな。今でもこれが自分だなんて信じられないよ。」
ふわっと広がった髪と胸、ウェスト、ヒップにかけてのラインがそそられる。
まさに俺の理想の女子高生だぜ。
「私、前原美香。今日はショッピングに行くの。楽しみだなぁ♪」
なんて適当な偽名作ってノリノリでポーズをとりながら喋ってみる。意外に様になるから困る。
「まぁこんなぶりっ子口調は疲れるからやらないだろうな。」
箱を片付けながらごちる。

カバンの一番下に傷つかないように厳重に布で包んだ抜け殻と男のときの服をつめる。
それ以外は普通の外出で入用なものを見繕って詰め込む。
「さて、これで準備OK!さっさと買い物済ませてこの体でめいっぱい楽しもうか!」
俺は外へ飛び出した。



66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/28 10:44:43 hIAndI2a
+   +
  ∧_∧  +
 (0゜・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゜∪ ∪ +        
 と__)__) +

67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/28 19:31:41 fsZhxtGl
続きwktk

68:高坂君と佐藤さん2
08/09/29 13:39:55 WV2X03t5
拝啓 姉上様(脳内)
麗しき貴女様の不肖にして最愛の弟、高坂諭吉(セヴントゥィーン)は、女の子になってしまいました。

「というわけでプールなんですよヒャホーイ!」
「ゆきっちゃんテンション高すぎ!?」
はい。そうなんです。
プール! そう、プー―――ルなんです。 忘 れ て ま し た !
「……これは例年以上の浮かれ方だわ……」
失敬な、佐藤さん。浮かれてなどおりませぬ。ぬ。ぬ。
だってねぇ。
社会的にはどうあれ、今の俺は、乙女なんですよ? それなのに水泳パンツ一丁なんですよ? ダーリンほんまにどうするっちゃ?
「……私、プールが合同なのはすごく罪な事なんだって、君を見てて思ったわ……」
ファッキンジーザス!? またこの娘っ子は神をも恐れぬ勘違いを!?
「違うんですぜよ、佐藤さん!? 真に罪なのは、そのなだらかなベジェ曲線なのぜよ!?」
ベジェ曲線? 勿論俺も何なのか知りませんよ?
「って、これも違うのぜよ! 俺が悩んでいるのはもっと日本の夜明けを見据えたノーブル且つノーブラな」
「エロネタは禁止!! あとインチキ竜馬弁もやめなさい!」
なんてこったい! 俺の才谷梅太郎さん(偽名)語調を否定されるなんて!?
ではなくて。
そうです。身体が女でも社会的に男ってことは、プールも男として入るわけで。……これは!? ま、まいっちんぐ!!?
……ちくせう! 何でこういう時ばっか、俺は男じゃないんだよ。俺だってそんなの男として見たいよ!
ていうか、俺が見られちゃうんじゃん!!?
「……鬱だ。プール、休もうかな……」
「どどどどどど!? どうしたのよ、ゆきっちゃん!? おかしいよ! 君の大好きなスクール水着なのよ!?」
「反応がコミカルだ」
「……実験素体である諭吉君に起こった事象を、客観的かつ科学的に分析しましょう」
「反応がケミカルだ」
いや、適当にツッコんでますが。
佐藤さんが時々見せるこういうボケ、好きだなぁ。
「……デジカメを買いました」
「反応が……えっと、コニカミ○ルタ?」
もはやあってるんだか、いないんだか。
「じゃなくて。……そうだなぁ、佐藤さんは人前にパンツ一丁で出なきゃならなくなったら、どうする?」
「ぅゎ……唐突に何そのシチュエーション?」
退かないでよ! 正直自分でもそれってどうよって思ったさ!! ていうか乳丸出しは俺だってひくわ!!
でもでもでも! 実際そのまんまの悩みなんですもの……。
「んー、絶対にやらなきゃいけないの? ……そうだなぁ、開き直る、かな」
「えぇ!? やっちゃうの!?」
「何その反応!? 真面目に答えた私がアホみたいじゃん!?」
いえ、むしろ俺がというか。想定されるべき状況がアホです。
「パンツとか裸とか、気にしてられない状況なんでしょ? やらなきゃいけないなら、自分を騙してでも自分にやらせる」
「……でもさ。裸を見せて、それで人生が変わっちゃうのかもしれないんだよ?」
相手が佐藤さんだから、気楽に話せるけど……俺だって正直、怖いんだ。
俺を見る周囲の目が―決定的に変わってしまうかもしれないのは。
「でもそれは……まぁ、んー……選択の重さ次第かな」
「重さ、か。……確かにその通り、なんだよな」
「……でもさ? 女の子といっても、みんなのママと同じ物がついてるだけだよ? 妄想過剰なんじゃないの?」
「思春期特有の異性の身体への関心を一瞬で萎えさせた!?」
ごめん。ツッコミ長かった。
でも。
佐藤さんの言うとおり、気にしても仕方ないのかもしれない。
俺が皆に女の子だってばれる日までは―俺はこの身を偽る為、足掻き続けるしかないのだから。
……ありがとう。佐藤さん。
「……よし、やってみるか。まぁどうせ、ぺったんこなんだしねっ」
「き、貴様ァッ!! 真面目に答えてあげた私に、それが言う事かぁっ!!!」
……口は災いの元でした。

後日談。
何事もなく、普通にプール授業を受けられましたとさ。
……姉さん、ないものには確かに気付きようがないんだけど……それはそれでヘコむんだ……。

69:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/29 13:44:04 WV2X03t5
という訳で、まさかの第二弾でしたとさ
……TS+プールなんて美味しいシチュでなんでこんなことに……

70:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/29 22:31:44 ecIUCyV+

まあこの話的にはそれで正解じゃねw

71:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/29 22:32:53 ecIUCyV+
上がっちった、まあいいけど

72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/30 19:30:46 GP/9qVmd
>「……でもさ? 女の子といっても、みんなのママと同じ物がついてるだけだよ? 妄想過剰なんじゃないの?」

いや、一人一人違ってそれを色々堪能するから楽しいんじゃないか

73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 14:39:32 dOxoRCfs
二週間もスレが止まってるのは誠に遺憾だぜ……

74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 17:32:08 tF9Oh/VY
このままじゃいかんとは思ってるんだが…

75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 17:38:13 dOxoRCfs
という訳でGGGに出張して書いてきましたw
……あのシリーズに関しては、やたらと気楽に書いちゃってる気がするぜ……
現行Gスレが落ちた頃に、書き直して転載するのかもしれません???

76:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:06:44 KKl0SV7k
こっそりカサカサ
TSってらんまみたいな感じだよな

77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:09:07 RbtE1Pou
何の略なんだ?
トランスフォーマー・スペシャル?

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:11:02 KKl0SV7k
Tがトランスなんたらっていうのは確かだろうな

79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:12:36 tF9Oh/VY
2回目ようこそw

>>76
うん。あとわりとよく代表で出るのがかしまし

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:13:45 RbtE1Pou
なんとなく把握した

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:14:36 tF9Oh/VY
>>77-78
とらんすせくしゃる

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:15:22 KKl0SV7k
せくしゃるがとらんすするのか
理解理解~

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:25:31 +Ci4SsMF
森永あいの「僕と彼女の×××」を思い出した

84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:37:16 KKl0SV7k
あれ?僕女の子になっちゃってるーとか
私、男になっちゃったの…とかやるわけだな

85:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:40:18 tF9Oh/VY
>>83
そういや入れ替わりってまだ来てないな

>>84
Yes! Yes! Yes!

86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:42:51 +Ci4SsMF
2人同時に事故にあって中身が入れ替わるなんてのは王道だよな

87:モーニング息子 1/2
08/10/13 18:47:15 RbtE1Pou

 朝。
 窓から差し込む日の光で私は目を覚ましてしまった。
 今日は休日なので遅くまで寝ていられるというのに。
 太陽を睨みつけるわけにもいかないので、抗議のつもりで布団をかぶり直した。
 寝返りをうつ。

「んんっ……」

 ……今の低い声は、一体誰のものだ?
 自慢ではないが、私の声はもっと高くて澄んでいて綺麗なはずだ。
 だから、可能性としては誰かが布団に忍び込んでいる線が濃厚だ。

「…………」

 まあ、いいか。
 減るものじゃないし。

「――っ!?」

 そんなわけがない。
 私は跳ね起き、布団を体から引き剥がした。
 目は完全に覚めてしまったが、そんな事を言っている場合ではない。

「……誰もいない?」

 首をかしげた。
 布団の中には私以外の人間はおらず、跳ね起き布団を剥がしたのも全くの無駄だった。
 だが、おかげで自分の体に何が起こっているのかがハッキリとわかった。

 股間に、全く見慣れないテントが張られていたのだから。

 ――そう、声の主は私自身だったのだ。


88:モーニング息子 1/2
08/10/13 18:47:59 RbtE1Pou

 鏡で自分の姿を確認した。
 女顔の少年がそこにいたが、顔のつくりはほとんど変化がないので当然のことだろう。
 目立った変化は、少し出ている喉仏。

「少し時期が早いけど、これならマフラーで隠せないこともないかな」

 とりあえず病院に行こうと決めたが、道中変態扱いされるのも面白くはない。
 私は女物の服しか持っていないので、男の体になっても女物の服を着るしかないのだ。
 こんなことになるなら実家暮らしをしていれば良かったと思わなくもない。
 ……しかし、誰が自分の性別が突然変化すると予想出来るだろうか?

「保険証は……使えるのかな」

 今は少々懐が寂しいのだ。
 何を呑気な事をと思うかもしれないが、混乱していてもはじまらない。
 それに、金銭は老若男女共通の問題だ。

「あっ」

 違和感を感じ、声をあげた。
 朝は元気になるとは知っていたが、こんなになるとは思ってはいなかった。
 というか、いつこれは落ち着くのだろうか?

「どうしよう……」

 こればっかりは、女物ではまずいだろう。
 正直、締め付けられて痛いし。

「……男物のパンツが必要だよね」

 結局保険証を使うことはなかったのだが、今考えてみるとあの時の私は大分混乱していた。
 なにせ、そんなくだらない事を考えていたのだから。


89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:50:22 RbtE1Pou
こんな感じですかい?

90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 18:55:44 RbtE1Pou
しまた
>>88は、2/2で

91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 19:24:43 tF9Oh/VY
おお、初♀→♂
続きが気になる終わり方だ

92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 20:07:16 dOxoRCfs
他の登場人物が出てこない孤独感みたいなのも、これまでの投下作にはなかったパターンかも?
……続きを期待しても良いのかい?

93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/13 20:28:13 RbtE1Pou
予定は未定で気が向いたらで~

94:10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
08/10/20 23:46:26 GXr60qzN
スレリンク(mitemite板:191-192番)
このスレ名義でS-1に投稿してきました

新作? 脳内プロットはあるの…

95:10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
08/10/21 00:31:03 n2NuSlQn
>>94 乙でしたっ
少しずつ女性に変化して行く主人公の心象を、季節とともに色を染める紅葉に託してる訳だね。
移り変わる心のグラデーションが美しい作品でした。重ねて乙です!

96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/23 04:59:20 k8gMX2x8
女の心象って何だ
と突っ込みたくなるけど

97:10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
08/10/23 09:47:34 ZlYIn0Xk
最下位記念

98:名無しさん@お腹いっぱい。
08/10/28 08:29:10 cjTq33ri
あげ

99:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/01 17:20:30 geBAXaDO
ビッテンフェルトがTSとな!?

100:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/01 23:01:13 kUR8lJvB
100げと

今月は先にこっちに投下することにしようかな

101:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/04 20:23:16 G4Sqf1ZB
過疎なんでTSコミック紹介ブログの有名どころを貼ってみる

いけさんフロムFR-NEO RE 性転換コミック特集インデックス
URLリンク(ikesanfromfrneore.blog64.fc2.com)

102:名無し・1001決定投票間近@詳細は自治スレ
08/11/06 23:36:45 TuqGiyyL
おおこれはGJ
せっかくだし大手のTS専門投稿サイトでも

少年少女文庫
URLリンク(ts.novels.jp)

103:創る名無しに見る名無し
08/11/20 22:59:16 JtgbjLWH
S-1 11月分
スレリンク(mitemite板:375番)

さて、諸般の理由で>>94で言ってた新作はしばらく封印するとして…

お題くれくれ


104:創る名無しに見る名無し
08/11/20 23:18:19 Q1y9MdXw
風邪

105:創る名無しに見る名無し
08/11/20 23:28:47 JtgbjLWH
把握

106:にょたいかぜ(1/2) ◆KazZxBP5Rc
08/11/21 11:12:17 bESFdMdJ
はっちゃけたらなんか割と早くできたw



悪友が風邪を引いた。
馬鹿は風邪を引かないということわざがあるが、それを無視して風邪を引くあたり相当の馬鹿なのだろう。
とりあえず授業を休んで見舞いに来てやった。ああ、俺ってなんて友達想いなんだろう。
インターホンを鳴らすとパジャマ姿の可愛い娘が出迎えてくれた。
ショートカットで顔つきはなんとなくアイツに似ているな。
「こんにちは……妹さん?」
「俺が一人っ子なの知ってるだろ。」
ん? 今この娘が言ったの? ダメだよお嬢さん、そんな乱暴な言葉遣いしちゃ。で、誰?
「えっと……じゃあどちらさまでしょうか。」
美少女はため息をついてオーバーに告げた。
「目に映るものに惑わされるなんて、俺たちの友情はそんな程度だったのか。悲しいぞ、親友。」

リビングに案内されソファに腰掛けると、俺は早速問い詰めた。
「で、なんでそんなことになってるんだ?」
「こーゆー風邪なんだよ。」
ふーん、と適当に相槌を打ちながら全身を眺める。すっかり女の子だ。しかも俺好みの体型。
俺の視線に気付いたのか、奴は慌てて付け加えた。
「しばらくしたら治る。」
「治るのかよ。」
時計の秒針の音だけが三回ほど響いて、
「治らないほうがいいのか。」
「そりゃそうだろ。」
「……ばか。」
なんだよその反応。いつもみたいにもっと憎まれ口を叩けよ。
可愛いじゃねえかちくしょう。
「さあ、じゃあせっかく来てもらった、ん……」
「おいっ!」
奴は立ち上がろうとしてこっちに倒れてきた。
熱があるみたいだ。ちゃんと風邪の症状も出てるんじゃないか。

107:にょたいかぜ(2/2) ◆KazZxBP5Rc
08/11/21 11:13:07 bESFdMdJ
「あれ……?」
「お目覚めですか、お姫様。」
あれからアイツの部屋に担ぎ込んだ。
「変なこと……してないよね。」
「するわけねえだろ。」
ごめんなさい、ごめんなさい。すました顔してるけど本当は何かやりたくてたまりませんでした。
だってお前が悪いんだぞ、そんなやらかくていい匂いしてるから。
だが神に誓ってもいい。俺は本当に何もしていない。
「ぷっ。」
「なんだよ。」
長い付き合いだ、きっと俺が内心焦ってることもバレてるんだろう。
沈黙が襲った。元はどうあれ若い男女が同じ部屋にいるという状況、気まずい。
「あ、ごめん。俺もう帰るわ。」
「え?」
そんな意外そうとも残念そうとも思える声を出されると困るじゃないか。
「俺学校行かないと卒業ヤバいんだわ。」
本当に行くかどうかは気分次第だが。
「そんなの今更変わんないだろ。」
と、彼女は笑ってくれた。
ああ、君の笑顔。もう二度と会うことがなくても忘れないよ。
さようなら、三十二回目の初恋。

数日後。
「よっ、美少女!」
「うるせえ! 前のお前ほどじゃねえよ。」
うつされました。

108:創る名無しに見る名無し
08/11/21 11:14:24 bESFdMdJ
本当はことわざじゃないから間違えないでね><

引き続きお題募集

109:創る名無しに見る名無し
08/11/23 00:52:05 WOjCaV3i
可愛いなw
萌えました。

110:創る名無しに見る名無し
08/11/23 00:54:00 a5n7oBnl
御題…
「女子高」もしくは「男子校」で

111:創る名無しに見る名無し
08/11/23 01:17:59 fOgESGot
さんくす><

>>110
はーく

112:創る名無しに見る名無し
08/11/23 04:34:24 SRccU4KO
>>106-107
うつっちゃうのかw
かわいいな

113: ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:00:06 gXqRmxTa
>>104の「風邪」で書いてみました。
とりあえず前半投下。

114:「風邪の諸症状に・上」1/4 ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:00:32 gXqRmxTa
 喉が、かわいていた。
 理由は判っている。口で息をしていたからだ。
 鼻が詰まりに詰まりきっていた。キムチラーメンの匂いさえ、今のオレにはわかりそうにない。
「う゛ー」
 濁った声を漏らして、オレは重たい布団をはねのけ、体を起こした。
「くすりのばなきゃ」
 ハンテンを羽織って、ベッドから降りる。フローリングの床の冷たさに、背筋が震えた。
 台所に出て、水をコップに半分もらう。
 何の変哲もない、秋も深まった週の火曜日だ。家族はあらかた出払っていて、オレのような病人が一人だけ、ぽつんと取り残されている。
 体が弱っていると、そんなことが妙に寂しく感じられるものだ。
(藤枝みやこさん)
 病人特有の脈絡のないインスピレーションで、クラスメートの女子の可憐な横顔を思い浮かべる。
(みたいな、かわいい女の子が看病してくれたらなあ)
 ……訂正。風邪とかあんまり関係なく、やっぱりオレは石和亮だった。あんまり嬉しくないことに。
 オレは風邪薬をてのひらに出し、いっきにあおった。ぬるい水道水が、じわりと喉を滑り落ち―
 数秒もせずに、強烈な眠気が襲ってくる。
「……ふあ?」
 半端なうめき声を、オレは絞り出した。
「えむ……ねぶ……」
 ろれつが回らない。
 何だこれ。おかしい。絶対おかしい。何か。なんだか。
 そこから先の思考は、深い深い眠りに溶けてしまった。

*****

 わたしは小さく咳をして、口元を押さえた。
 喉が痛い。もう三日もこんな感じだ。
(日曜日、つぶれちゃったよー)
 未練たらしくそんなことを考えて、がっくりと肩を落とす。 
(あーあ……)
 布団の中で、寝返りを打つ。
 わたしとママしかいない藤枝家は妙に静かで、なんだかちょっと白々しい。まるで、自分の家じゃないみたいに。
(石和クンみたいな明るい男の子が、遊びに来てくれたらなあ)
 そんなことを考えてしまう。風邪をひいてても、考えることはあんまり変わらないようだ。わたしって子は。
 わたしはベッドサイドへ視線をやった。お気に入りのビーンズテーブルに、ぬるま湯のポットと切り分けた錠剤の包みが置かれている。
 寝ている間に、ママが置いてくれたみたいだ。
「ありがとねー」
 がらがら声で呟いて、わたしは薬に手を伸ばす。
 薬の封を外して、そっと飲み込んで―
 コップに手を伸ばすころには、わたしは泥のように眠り込んでいた。

*****


115:「風邪の諸症状に・上」2/4 ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:01:32 gXqRmxTa
 朝陽が差し込んでいる。
 オレは目を覚ました。
 体が軽い。鼻ももう詰まっていない。その代わり、喉が少しだけ痛んだ。
(……治りかけてんのに、今更別のことが痛み始めてきたんかよ)
 明るい光の中で身を起し、喉をそっと押える。
 三日も伏せっていると、人間も変わるものだ。オレの喉はなぜか、どきっとするほど細くなっていた。
「やつれたかなあ」
 ―世にも妙なる可憐な声が、オレの耳朶をそっと叩いた。
「え?」
 ああ、ほれぼれするほど可愛い声!
「あれ?」
 いいなあ、実にいい!
「……」
 オレが黙ると、声も黙った。
 オレは恐る恐る、もう一度口を開く。
「拇印」
 こら! そんな声でそんなこと言うんじゃありません!
「なめこのみそしる」
 なんですかはしたない!
「……マンギョンボン号」
 まったく! そんなこと!
 そしてオレはまた、ふつりと沈黙した。
 当然のようにまた、声も聞こえなくなってしまう。
 オレはおもむろに視線を下げ、自分の手をじっと見つめた。
 白魚を並べたような、というのだろうか。そんななまぐさそうなのはみじんも感じられない、とにかく清潔で白く、美しい手だった。いつ見てもどの時期でも竹刀の握りダコや古傷でボロボロなオレの手とは、比べ物にならないくらいに。
 オレの手とは、比べ物に―
 オレは周囲を見回した。
 綺麗な部屋だ。本棚その他には淡い色合いのカーテンがかけられ、勉強机の上には消しゴムのかす一つ落ちていない。
 何よりマンガが見当たらない。オレのバイブルであるところの「六三四の剣」も、ぼろぼろになるまで読み返された「DRAGON BALL完全版」も、この清潔な部屋には影も形も見当たらなかった。
 片付けられたとか捨てられたとか、そういうレベルじゃない。
 これでは、まるで。
「女の子の、部屋?」
 ああっ、戸惑い気味のこの声がまた可愛いったらありゃしないのだ! こんな至近距離で女の子の声聞いたこと、今までなかったぜ!
 無駄にテンションを上げながら、オレはベッドを降りた。
 もこもこした部屋履きがベッドサイドに揃えてあるのに気付き、恐る恐る爪先を差し込む。
 すげえ、ちょう暖かい。何これ、文明の勝利?
 部屋の隅には、学生鞄が置かれていた。オレと同じ学校の、同じくらいにすり減った、真っ黒な手提げ鞄。
 カチリ、と音を立てて留め金を外し、中に手を突っ込む。
「……」
 申し訳なくなるくらいにびっしり書き込まれてボロボロになった数学の教科書を、オレのやたらに美しい左手が掴んだ。
 裏表紙に書かれた綺麗な字へ、目を通す。

『2-B 藤枝みやこ』

 オレは迷わず、邪魔なパジャマを脱ぎ捨てた。

*****


116:「風邪の諸症状に・上」3/4 ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:03:57 gXqRmxTa

「何、これえ……」
 律儀に学校に来ていながら、わたしは頭を抱えていた。
 いや、うん。わたしは頭を抱えているけど、頭を抱えているのはわたしじゃない。
 今って、そんな状況だ。
「よっス!」
 勢いよく声がかけられて、わたしの背中を誰かがばあん! と叩いた。
「きゃあ?!」
 そんなに痛いわけでもなかったけど、そんなに乱暴にされたことなんてなくって、わたしは思わずよろめいてしまう。
「イサワあ?」
 なんかすごく嫌そうな声で、わたしの後ろに立っていた男の子が言った。
「何お前、今日はカマキャラで押すの?」
 何を言っているのかいまいちよくわかんなくて、わたしは曖昧に微笑んだ。
 詰まったままの鼻を、すん、と鳴らす。
 クラスの男の子だ。いつも石和くんといっしょにいる。石和くんはこの子のこと、なんて呼んでたっけ―
「キーチ、おはよっ」
 ぎこちなく言ったわたしの言葉に、なぜだか彼は「うえー」と呻いた。
「面白くないとは言わねーけどさあ。たぶんアレだぜ、あとから思い出したらぜってー黒歴史だぜ?」
「歴史? 今日テストだったっけ」
「……イサワあ~?」
 ああ、もう。会話できてないじゃない、わたしのバカ!

*****

 ブラジャーのつけかたはそんなに間違っていないはずだ。ただ妙に、背中がちくちくした。
 オレはしきりに背中を気にしながら、鞄を片手にぶらぶら下げて道を歩く。
 思ってたより短いスカートが、歩くたびにさらさら揺れて腿を撫でた。
 またこの腿がほっそいのだ。ぴっちり閉じると丁度付け根のところに小さな逆三角形の隙間ができる。魅惑のバミューダ・トライアングル! かなうことならここにダイブして溺れ死にたい。
 ―とりあえず間違いなく、オレは今、違う人間の体を動かしていた。
 それもほぼ100%、クラスメイトの藤枝みやびの体をだ。
 おへその横に小さなほくろがあるのと、右乳首の脇に薄茶のほくろのようなしみのような斑点がひとつぽつんとあるのだけは、朝の少ない時間の中でも確認できた。
 あと、藤枝はたぶん母親似だというのも、この少ない時間で得た貴重な情報だった。
 朝の食卓で見た、藤枝オヤジのごつさといったらなかった。ウチの道場の師範より、さらに一回りでかい。
 だというのに嫁は妙に色っぽい、若々しい美人で、エプロンの上からもわかるボンキュッボン(死語)で、声もやっぱり妙に色っぽくて、畜生返す返すもうらやましいオレに代われ藤枝オヤジ。代わってくださいお願いします。
「おはよっ、みやこちゃん。風邪大丈夫だった?」
 いきなり背後から掛けられた声に、オレはくるりと振り向いてスカートのすそをちょいと摘まんだ。
「おはようございませませ、ごめんうるわしくていかが?」
「……は?」
 唖然と立っているクラスの女子に、嫣然と微笑む。
「あたくしたった今この瞬間に少々なんというか小用がこさえられてしまいましたの。ごきげんあそばせ」
「み、みやこちゃん?」
「チャーオ!」
 二、三回勢いよくターンをしてスカートの裾を綺麗に開き、オレはそのままの勢いで、校門近くに立つ学ラン二人組の方へ突撃した。

*****


117:「風邪の諸症状に・上」4/4 ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:04:52 gXqRmxTa
「なんだよイサワよお、熱でちょっと頭アレしたのか?」
「ち、違うの。ほら、いや、うん、そう、まだ熱で頭が―」
 あたふたと言い訳を続けるわたしの視界に、信じられないものが飛び込んでくる。
 両腕を真っ直ぐ横に広げ―
 前のめりに走ってきて―
「キーイィィィィン!」
 そんなことを叫んでいる―
「わたしいいぃぃぃぃ?!」
 どん。
 わたしが、人をはねた。
 今までわたしを不信の目で見ていた男子生徒の顔があっさりと視界の外に吹っ飛んで、わたしの顔がそれに入れ替わる。
「あ……あ」
 口をぱくぱくさせ続けるわたしに、わたしの顔はやたら可愛らしく、アイドルのような仕草で角度をつけてウインクしてみせた。
「おはよっ、オレ様ちゃん!」
「お、おれ?」
 わたしの見慣れた腕が、分厚い学生服の下のたくましい右腕にそっと絡められる。
 それを石和くんの視点から見るというのはなんだかとても倒錯的で、幻想的な感じがした。
「秘密のイケナイ密談のお時間でしてよ。さあさあゴアヘッ」
 ―そんなわたしの思いをあっさり蹴散らかして、わたしの顔をした誰か―中身はたぶん、なんとなくわかるけど―は、石和くんの顔をしたわたしをぐいぐいと引っ張っていった。

*****

 朝の屋上に、人気はない。
 冷たい風が屋上の砂埃を巻き上げ、鉛色の空に消えていく。
 オレは風に乱れるさらさらしたショートボブを押さえ、優しい目つきで隣に立つ男―いや女? いややっぱり男―を、見た。
「あ、あの……」
 おどおどした様子で、オレの顔をした何かが、オレの声で言う。
「い、石和くん? よね……」
 オレは答えない。
 くちもとにニヒルな笑みを浮かべ、一気に身を乗り出す。
 どきりとしてのけぞるオレの、我ながら硬く鍛え上げられた背中へ腕を回す。
 ちょい、と背伸びをすると、日焼けしたオレの顔が間近に迫る。
「へっ」
 間抜けた声を漏らすがさがさした唇へ、オレの柔らかく小さく桃色でジューシーでとにかくビューティフルな唇が触れた。
「……!」
 湿り気を与えるようにちゅっ、と音を立てて吸い、こぼれた唾液をなめとって、おもむろに唇を離す。
 そこにはなんだか悪夢に見そうなくらいにとりみだし、うろたえ、顔を真っ赤に染めた、オレがいた。
 ……ちょっと、これはキツいかも。


118:「風邪の諸症状に・上」5/4 ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:06:55 gXqRmxTa
「あー、やっぱ戻らねーかー」
 唇を親指の縁で拭いながら、オレは可憐な声で言う。
「キスすりゃ戻るもんじゃないかと思ったんだがなー」
「な、なっ、ななななななな」
 拳を震わせ、俯き、目に涙をためる、うちの部随一の体格と剣勢を誇る剣道少年、石和亮。
 オレ以外に見られなてよかったと、しんそこ思った。
「な、ななな、なにするのよう?!」
 鼻づまりぎみの声―やっぱり治ってなかったか。痛む喉を、オレは軽く押える。
「だから、こーいうのってキスしたら治るパターンじゃね? って思ってさあ」
「こ、こーいうのって、どういうのなの?」
 震える声で言うオレの鼻先を、細い指先でつん、とつつく。
「愛しあう男女に理不尽な災難が降りかかったときさ」
「あ、愛……」
 また真っ赤になる。やめろよもう、オレの血が足りなくなっちゃうだろベイベ?
 やたらいい気になりながら、オレは頭の後ろで腕を組んだ。
「藤枝さんのコト考えながら寝てたんだよ、オレさあ。そしたらこんなことになっちゃって―」
 にい、と口元を歪める。
「だから、藤枝さんもそうなんだろ? オレのこと、考えてたんじゃねーの?」
「お、おれって、だから、石和くんの―」
 お茶を濁そうとするようなあいまいな笑みに、ぴしゃりと応える。
「そう、このオレ! かっこよくてすてきでハンサムなクラスメートであるところの石和亮くんのこと、考えてたんでしょ?」
 沈黙が落ちた。
 俺の鋭い目が潤みがちに宙を泳いで、乙女チックにそっと伏せられる。
「うん……考えてた、よ」
 よっしゃオッケイ!
 俺は勢い良くガッツポーズを決めた。
 やべー俺こんなひょんなことであっさり大人の階段登っちゃったぜおふくろ! おやじ! ありがとう! なんかすごくいろいろありがとう!
 感涙にむせぶ俺に、新品のマイハニーは勢いよく水を差してくる。
「って、そんなことじゃなくってえ!」
 いきなりひでえな、オイ。
「そ、その……」
 少し言い淀んで、オレの声は恐る恐る言った。
「あ、あたしのこと、見たの?」
 俺は爽やかな笑顔で、親指を立てた。
「彼女がおっぱい大きいとかまじ嬉しい! ありがとな!」
「……ひどい」
 あ、やっはりちょっとサイテーだったみたいだ。
 涙を溜めて俯く俺の顔を、俺は慌てて覗きこむ。
「いや、べつにそーいうスケベ心じゃなくてだな……パッドはいらないんじゃないかとか、ほくろかわいいよねとか」
「ひどい!」
 野太い一喝と共に、すさまじい衝撃が頬を殴りつけた。
「げぶあっ」
 迫力満点の悲鳴をあげて俺は吹っ飛ぶ。回る。世界が回る。意識が回る。
 ……ヘイ、マイハニー。
 お前今、自分のパンチ力が三桁いってんの知ってたか……?
 たぶん、声には出なかったのだろう。
 そもそも俺の惨状になど回す余裕は、ないようだった。
 踵を返して走り去る俺の広い背中が、次第に暗くなっていく。
 自業自得か。
 わかってるんだよ、ンなこたあ……
 俺の意識は、また闇に溶けた。

*****

119: ◆16Rf2BBdUE
08/11/23 16:07:52 gXqRmxTa
はみだしたorz

120:創る名無しに見る名無し
08/11/23 16:28:20 SRccU4KO
ワッフルワッフル

121:創る名無しに見る名無し
08/11/23 18:37:43 a5n7oBnl
ワッフルワッフル

122:創る名無しに見る名無し
08/11/23 18:47:35 21Pykqst
これは入れ替わりネタか?
少し情景が思い浮かんだ。
まったく、ニヤニヤすんなぁ!

123:創る名無しに見る名無し
08/11/23 19:54:31 fOgESGot
投下乙
人が増えてうれしい
スピード感あふれる感じがいいな
後編にwktk

124: ◆KazZxBP5Rc
08/11/24 02:17:08 duLK8pSQ
さて、>>110のお題で

125:女子学園☆パニック(1/1) ◆KazZxBP5Rc
08/11/24 02:18:32 duLK8pSQ
その異変はまず、ひとりの生徒の身に降りかかりました。
「キャー!」
太い悲鳴が寮内にこだましました。
ここは全寮制の女子学園。国内の各地から生徒を集めるほどの規模を誇ります。
「どうしたの?」
彼女たちの中には、小等部からこの学園に就学する者も多くいます。
「朝起きたら……男の子に……。」
ゆえに、
「本当? ねえ、ちょっと体見せて!」
「えっ、や……あっ!」
男性と接する機会があまり無かった者もまた多いのです。
彼女はその典型的な一例。友人の身に起きた変化に興味津々です。
これからこの部屋で何が起こったのかは皆さんのご想像におまかせします。

一人の少女を襲った、いまだ病気とも呪いとも分からぬ異変は、瞬く間に学園内を覆い尽くしました。

廊下を歩く数人の少年たち。もうすっかりこの生活にも慣れてしまったようです。
「みんな結構変わったな。」
「そう言うお前こそ。」
「男って楽でいいよね。」
どこを見渡しても男、男、男。既に学園は男子校へと化していました。
「そういえばマコトはあんまり変わんないね。」
「むしろ男の子になって可愛くなったかも。」
一番小柄なマコトくんに彼らの視線が集まります。
「えっと……そのことなんだけど、実は……。」
と、マコトくんは彼らにカードのようなものを見せました。
「健康保険証?」
「あれ? 性別欄見て。」
「おとこ……? たしか調査が終わるまでは性別変更はできないんじゃなかったっけ?」
「ってことは……。」
そうです。マコトくんは最初から男の子だったのです。
「女装して女子高へ潜入……? アニメみたいでカッコイイ!」
「今まで騙しててごめん……。」
「いいよいいよ、マコトっち可愛いし。」
「なるほどね。元から男だから変わらなかったのか。」
「いや……、その……。」
なんだか歯切れが悪いマコトくん。どうやらまだ何か隠してるようです。
「なんだよ、男らしくないぞ。はっきり言いなよ。」
「……女の子になってしまいました。」
マコトくんがそう言うや否や、一人の少年が後ろからマコトくんの制服の中に手を入れました。
「ひゃっ!」
「おお、小ぶりながらこれはこれは。」
彼にしてみれば女の子同士のスキンシップのつもりでしょうが、客観的に見るとただの痴漢行為です。
「ちょっと……やめ……。」
マコトくんはその後素敵な学園生活を送りましたとさ。

126:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:19:24 duLK8pSQ
我ながらタイトル適当すぎるぜ

まだまだお題募集

127:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:23:06 BybjDEQf
これはwww
学校全体が性転換とはw

128:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:25:09 duLK8pSQ
なあに学校全体とかまだまだ狭いほうだぜ

129:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:28:06 BybjDEQf
ま、まさか国全体とかのプロットもあるのか?

130:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:31:56 duLK8pSQ
プロットというか…
「ぼくは、おんなのこ」でググれ

131:創る名無しに見る名無し
08/11/24 02:34:54 BybjDEQf
ぐぐってみた
世界中の性別逆転とかw
こんな漫画があったのね

132:創る名無しに見る名無し
08/11/24 23:35:29 duLK8pSQ
お題募集age

133:創る名無しに見る名無し
08/11/24 23:36:22 BybjDEQf
じゃあ…「みんなには内緒♪」

134:創る名無しに見る名無し
08/11/24 23:38:45 duLK8pSQ
早っw
把握

135:創る名無しに見る名無し
08/12/02 12:41:44 ENcnxPlR
+(0゜・∀・)+

136:創る名無しに見る名無し
08/12/02 12:42:20 MWpHRAIc

/|  /^|
/|_/  |
/|||   |
/|||   ヽ ジー…
/|  ● |
壁|人_) =;
/|γ"ヽ ノ
/||  ゙
/|ヽ_ノ|
/|   |

137:創る名無しに見る名無し
08/12/02 17:40:03 X3T+52g+
  ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧+
 (0゜・∀・)0゜・∀・)0゜・∀・)   
 (0゜∪ ∪0゜∪ ∪0゜∪ ∪ + みんなでワクテカ
 と__)_)__)_)__)_) +  

138: ◆KazZxBP5Rc
08/12/02 21:06:23 tUobGz7S
今日はwktk員多いなw

ちょっと間あいたけど1レス投下するよー

139:ナイショダヨ ◆KazZxBP5Rc
08/12/02 21:08:18 tUobGz7S
「ミンナニ ナイショダヨ」
モンスターは勇者にこの世界での通貨である宝石を与えた。

「しかしよく動いたな。」
「まあね。物持ちは良い方だし。」
今僕たちは某聖三角をめぐるゲームのシリーズ第一作をプレイしている。
「別のゲームもあるよ。やってみる?」
えんじ色と白を基調としたボディに四角いコントローラ。
今ではエミュレートできる後継機も発売されているようだが、やはりオリジナルで遊ぶのは感慨深い。
いや、本当の目的はそんなことじゃなくて……わざわざ押入れをゴソゴソ探って彼にその背中を長い間見せていた理由は別にある。
「お、何があるんだ? 見せてくれよ。」
「うん。」
まだ言ってくれない。こんなに分かりやすくポーズをとっているのに。
僕はまた押入れをあさりはじめた。
「そういえばさ。」
「ん?」
「お前、最近雰囲気変わった?」
きた! 待ちに待った言葉。気付いてほしくて、ここのところずっと近くにいたのに全然何も言ってくれなくて……。
手を止めてそっと振り向く。
「やっと気付いた?」
僕は彼の手を取って、僕の左胸に当てた。心臓の鼓動が激しくなるのを感じる。
「なっ……。」
彼はその感触がなにかおかしいことに気付くと慌てて手を引っ込めた。
「お前……。」
「こっちも確かめる?」
僕はおへその辺りをぽんぽんと叩く。
「……遠慮しとく。」
笑みが止まらない。止めようとも思わないけど。
これで、あの日の約束を果たせる。
「お前、どうやって?」
「ふふ。妖精さんが来て願いを叶えてくれたの。」
あの日、一方的に取り付けた約束。男同士ではなれないと言われた関係になれる。
「僕をカノジョにしてください。」
時計の針がひとまわり、ふたまわり、とにかく長い間経って、ようやく彼は首を縦に振った。

僕が変わったことはまだ彼にしか言っていない。秘密の恋。その響きがくすぐったくて、もうしばらくこのままでいたいなと思う。
だから今のところは……、
「みんなには内緒だよ♪」

140: ◆KazZxBP5Rc
08/12/02 21:11:00 tUobGz7S
投下完了です。そして叫ぶ

        *'``・* 。
        |     `*。
       ,。∩      *    書き手増え~れ☆
      + (´・ω・`) *。+゚
      `*。 ヽ、  つ *゚*
       `・+。*・' ゚⊃ +゚
       ☆   ∪~ 。*゚
        `・+。*・ ゚

141:創る名無しに見る名無し
08/12/02 21:17:03 X3T+52g+
お、元同姓だった恋愛成就系TSか!
いいねいいねー

142:創る名無しに見る名無し
08/12/02 21:45:21 tUobGz7S
>>141
TSは恋愛のパターンが増えるのがひとつの利点?だよね

143: ◆KazZxBP5Rc
08/12/05 00:13:54 haFQJHRC
投下いくよー
今回はS-1のお題に漏れた「鍋」で。

144:お鍋の日にはご用心 (1/1) ◆KazZxBP5Rc
08/12/05 00:14:51 haFQJHRC
四人の男がアパートに上がってきた。田中、山田、村山、そしてここの住人である中村だ。
彼らは会社の同僚で、皆独り者である。
中村の部屋に入ると四人は準備を始めた。
買ってきた野菜を切る。コンロを取り出す。鍋にパックの煮汁をあけ火をつける。
ひととおりのセッティングが終わると、中村以外の三人はコタツに着いた。

「全員ポン酢でいいな?」
中村はキッチンに立つと、冷蔵庫からふたつのビンを取り出した。
ひとつはさきほどの発言どおりポン酢。そしてもうひとつは、中国に行ったときに買ってきた秘薬だ。

「中村! 電話鳴ってるぞ!」
誰だ、邪魔しやがって。と思ったが、すぐに部屋に戻る。
「もしもし? え? いえ、違いますが……。」
間違い電話だったようだ。

さて、気を取り直して液を小鉢に注ぐ。まずはポン酢を全員に。そして秘薬を自分以外の分に。
「ふふふ、これで俺も勝ち組だな。」
不敵な笑みを浮かべる中村。
なんでもこの薬には古い言い伝えがある。
昔々呪いによって男子しか生まれなくなった村があった。その村が存亡をかけて生み出した女体化の秘薬がこれだというのだ。

湯気が一気に部屋の中に広がる。
「さて、じゃあ鍋パーティを始めますか。」
「パーティって柄じゃないだろ。」
「はい、皆さんジョッキを持ちましてー。カンパーイ!」
四人はアツアツの鍋をつつきはじめた。

「おい、中村、大丈夫か?」
早くも酔いが回ったのだろうか。少しして中村は強烈なめまいに襲われた。
「ん。ちょっと横になるわ。」
三人の変化を目の当たりにできないのは残念だが、目が覚めたら三人の美女が……と思うと楽しみでもあった。

「ん……。」
「気がついたか。」
薄目を開けると三人の男たち。まだ効いてなかったのか。体を起こそうとしたそのとき。
「あれ?」
目の前には二つの山。声も、出してみて分かったが高い気がする。
ぺたぺたと体を触ってみる。
「うそ……なんで俺が……。」
中村は気付かなかった。電話から戻ったときビンを取り違えていたことに。そして―おそらく製造者も―知らなかった。ポン酢に秘薬を打ち消す効果があったなんて。
美女になったのは中村のほうだった。
「その口ぶりは私達の身に起こるはずのことが自分に起こった感じだな。」
「しまっ……いや、そ、そんな……!」
「なるほど、これはお仕置きが必要だな。」
「えっ……ちょっと……いやあああああ!」

冬の夜は長い。

145: ◆KazZxBP5Rc
08/12/05 00:16:18 haFQJHRC
そろそろ続き物やろうかな…

まだまだお題も募集中

146:創る名無しに見る名無し
08/12/05 00:17:28 93kKkAWU
こいつら仲いいなwww
ポン酢に秘薬を打ち消す効果ワロタwww

147:創る名無しに見る名無し
08/12/05 00:22:07 haFQJHRC
反応速度に全俺が泣いた
あり

148:創る名無しに見る名無し
08/12/05 00:23:32 XEebZpZT
そもそも秘薬ポン酢に似てたのかw

149:創る名無しに見る名無し
08/12/05 00:28:22 haFQJHRC
>>148
勝手に漁られてもバレないようにラベルはがしてたとか脳内補完してくれw
まあ色は似てたんじゃね

150:創る名無しに見る名無し
08/12/05 18:54:23 8TW0TXd2
その後全員に薬をもって
全員女にするんだろ

151:変化球と彼と私(1/3)
08/12/06 15:20:17 8vaAfEvC
 恋人と一緒に野球中継を見ていたら、私が男の子だった頃を思い出した。
 それは、ずっと昔の話である。


「よっし! アツシ、次はスクリューだからな!」
 茶色く汚れたボールを空に指し揚げて、僕は高らかに変化球を予告する。
 イメージは、テレビで見たエースピッチャーの投球モーション。
 ワインドアップと同時に、存在しない走者の牽制が動揺を誘う。
 だがサイドスローは迷いがあってはいけない。この一球に全てを賭ける。
 しかし、リリースに入るより先に、キャッチャー・アツシの抗議の声が飛んできた。
「待てって! リョウの球が本当に曲がった事、今まで一度もないぞ!」
「投げる途中で声をかけるなよ。投球妨害だぞ」
「受けるのは俺なんだよ! 変な投げ方するより、ちゃんとまっすぐ投げてくれ!」
「今度は曲がるよ!!」
 そう絶対に。
 もう一度、スポーツ雑誌で見たエースの写真の通りに握りこむ。
 あれ? 僕とあの投手って利き腕が逆だっけ? じゃ、こうか?
 でもスクリューは縦の変化だから関係ないのかな? 
 ま、いいか。投げちゃえ。
「って、あぶねえぇぇっ!!? 顔! 今、顔狙って飛んできたぞ!」
「ねえ、今の落ちなかった?」
「落ちてねえし、そういう問題じゃねえ!」
「ちぇー。僕も、もうちょっと手が大きかったらなぁ」
 僕がそう言うと、アツシは少し顔を曇らせたようだった。
「……小学生だから仕方ないだろ?」
「うん、まあね。リトルリーグでも変化球は禁止されてるし」
 日差しが強い。
 僕は帽子のつばを少し下げた。
「いつか、スクリュー投げれるかなぁ?」
 なんとはなしの、それは小さな呟き。
 でも。
 対するアツシの返答は、僕の想像もしないものだった。
 
「……リョウには、無理だろ」


「……私は男の子だったよね」
 あの頃より大人になった私が、恋人に問い掛ける。
「ん? どうしたの、急に?」
「昔の話。スクリューボール、って言ったら思い出してくれる?」
「あぁ……あの」
 何度も頷きながら、恋人は微笑んだ。
「僕も覚えてるよ」
 私が、僕から私へ変わったように。
 彼も、俺から僕へと変わっていた。
 それは小さな、しかし戻る事の無い、時の流れの象徴だ。
「懐かしいな……」
 テレビの野球では、久しぶりのヒットが出たところだった。
 私の恋人―アツシはそれを一瞥するだけで、ゆっくりと天井の角を見上げた。
 あの高かった空を思い出すように。

152:変化球と彼と私(2/3
08/12/06 15:21:05 8vaAfEvC
「お前とは、絶交だ!」
 僕はその日から、アツシと絶交をする事になった。
 といっても、一方的に僕がアツシを避けていただけなのだけど。
 ……何でアツシはあんな事を言ったのか。
 近所の石塀に、何度もボールをぶつけている内に、何となく理解できた。
 理解、出来たのだけれど。
 どうして僕は、仲直りが出来なかったのだろう。
 こんな形で大事な親友を失ってしまうなんて。
 一人では、キャッチボールは出来ないのに。
 小学校を卒業して、アツシと学校が別れる事になっても、僕らの仲が元通りになる事はなかった。
 やがて中学生になった僕は、制服のスカートを穿く事にも慣れてしまった。
 塀に向かってボールを投げる事も、もうない。
 僕は、否―私は、女の子になったのだ。


「……それから。高校を卒業するまで、私達殆ど話さなかったよね」
「そうだったね。はは、あの頃を思い出すとなんだか照れるな」
 アツシは言って、本当に照れくさそうに頭を掻いた。
 私にとっては未だに苦い思い出でしかないのだが。
「ねぇ? どうしてアツシは、あんな事を言ったの?」
「んー、あれはね……」
「私が―女の子だったから?」
 結局のところ、女の私が変化球を投げる事は難しい。
 体格だとか手の大きさとかの、非常に単純な問題だ。
 それがどうにもならない事くらい、今の私にはわかる。
 あの頃は……それが悔しくて堪らなかったのだが。
「え? 違う、それは誤解だよ」
 しかし、アツシは慌てて手を振ってそれを否定した。
「もっと単純な事さ。……ねぇリョウコ?」
 自分の名前ながら、彼にリョウコと呼ばれるのだけは、未だに慣れない。何故かドキッとしてしまう。
「何?」
「リョウコは右利きだよね?」
「そうだけど?」
「あの頃、僕らが憧れていたピッチャー、彼は左利きだったんだけど。
 実はスクリューボールっていうのは、左投げ選手の変化球の名称なんだ。
 右利きの場合は同じ変化球でも、名前はシンカーに変わる」

153:変化球と彼と私(3/3)
08/12/06 15:21:56 8vaAfEvC
 …………。
「えっと」
 それはつまり。
「私が右利きだから、スクリューは無理だっていう事?」

「うん、そうだよ」
 アツシは、実に事も無げに言った。
 ……あぁ何だろう、目眩がする。
「ふぅ」
 なんという―誤解。
 思わず体中の力が抜ける。
 私は。こんな勘違いで、小学生時代の彼を絶交してしまったのか。
「……ごめんなさい」
「え? なんでリョウコが謝ってるの?」
「なんか、すごく、申し訳ないです」
 本気で反省。
「ちっとも女の子らしくなくて、ごめんなさい」
「ええと、まだなにか誤解があるみたいだけど。……君はね、昔から女の子らしかったよ?」
「嘘ばっかり! 慰めはいらないんだから!」
「嘘じゃないよ! 野球をしている君は、とてもかわ」
「かわ?」
 アツシはしまったという顔。
 だが、私だってそれは聞き捨てならない。
「とてもかわ、何?」
「ええと。
 ……そうそう、久しぶりにキャッチボールしようか」
 何か大事な事を誤魔化された気がする。しかも下手糞に。
「まぁいいけど……その代わり、変化球の練習ね」
「ええ!?」
 その提案にアツシは大げさに驚いて見せた。ふふん、大事な事をはっきり言わない彼が悪い。
 テレビの野球中継も、それに同意するように歓声を上げてくれた。サヨナラヒットで試合終了だ。
「大分遅くなっちゃったけど、今こそスクリュー、じゃなくてシンカーをものにするわよ!」
 今度は、ちゃんと曲がるまで付き合って貰うんだから。

154:創る名無しに見る名無し
08/12/06 15:23:34 8vaAfEvC
おしまい

でもハルトシュラー、これだけは言わせてくれ。
内容はアレだけど、最初は確かにTS書いてたつもりだったんだゴメンよ……

155:創る名無しに見る名無し
08/12/06 15:26:15 Nt2oodqQ
やっぱりこれ実際には性別変化してないんだよな?
俺の読解力がないのかと思っちまったぜ

でも、ある意味で性別変化ではあるのか
セックスじゃなくてジェンダー的な意味では

156:創る名無しに見る名無し
08/12/06 17:57:33 0MW7YgBG
投下キタ━━(゚∀゚)━━!!

男の子の時から女っぽくて可愛かったアッー!で妄想変換余裕でした^^

157:創る名無しに見る名無し
08/12/07 18:20:10 tEg7msg2
よし、お題だ!
 つ「拳銃」

158:ハードボイルドっぽい何か ◆KazZxBP5Rc
08/12/10 23:49:36 IoIF4wah
やばい、だんだん短くなる病を患った。



「おい、本当に『開発者』のことは知らないんだな?」
「だから知らないって言ってるだろ!」
俺は彼に銃口を向けた。
「や、やめてくれ……頼む、それだけはやめてくれ!」
黙殺し引き金に手を掛ける。
「私には妻も子供も!」
「恨むんならあんたんとこのボスを恨みな。」
引き金を……引いた。

ここもはずれか。
彼―すでに彼女だが―が後ろで泣き喚いているここが、最後の部屋だ。
この銃がこの組織で造られたことは分かっている。
造った奴を見つけ出して絶対に元の体に戻ってやる。
改めて深く、そう決意して俺は奴らのアジトを後にした。

159: ◆KazZxBP5Rc
08/12/10 23:51:54 IoIF4wah
次から連載始まるかもです

ROMは結構いると見た
みんなかこうぜ!

160:創る名無しに見る名無し
08/12/10 23:52:52 TyCPcpE6
いいんだな?
本当に書いちゃうぞ?
スレ凍りついて次の投下が厳しくなるぞ?

161:創る名無しに見る名無し
08/12/10 23:54:00 IoIF4wah
イインダヨー

162:近親フラグ
08/12/11 00:01:29 J2sPozQM
無限に増殖し続けるお兄ちゃんを拳銃で次々撃ち殺していく夢を見て
寝汗ぐっしょりで目覚めたあたしの耳に
隣りの、お兄ちゃんの部屋から妙に甲高い、女の人のような悲鳴が聞こえ
そしてあたしは、股間に妙な異物感を感じた



さあスレよ凍れ

163:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:05:52 0DLc6Vr0
>>158
ぜひその組織から薬を手に入れて各地にばらまいてほしね
元に戻る?しなくていいよw

>>162
両方かよww

164:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:07:20 IoIF4wah
>>162
わっふる

165:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:12:02 WnSmQobY
かき氷が食べられると聞いて


「これはね、撃つと性別が変わっちゃうピストルなのさぁ☆」
「相変わらず博士はマッドですね……しかし、それは良い事を聞きました」
「はっ!? 助手君、何を!?」
「ふはははっ、貴方のその可愛いさが私の股間を疼かせるのがいけないんですよっ博士!!」

  ぱんっ☆

「ふはははっ、これで博士はおにゃのこに……ってあれ?」
「……あのね助手君。撃つと性別が変わるって、僕ちゃんと言ったじゃない」
「え? え? そっちなんですか? 撃った私が変わるってそんな……」
「でもまぁ、これで君も目的が達せられるのではないかね? ……正直、今の君を見てたら僕も///」
「そんな! 私は博士を自分のXXXでXXEXしてXXXXXした挙句、XXXXXXしてやりたかったのに!!」
「……やっぱ君クビね」

166:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:15:02 J2sPozQM
助手までキタww

167:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:17:27 S55BKSOp
博士と助手…だと…

168:創る名無しに見る名無し
08/12/11 00:34:35 0DLc6Vr0
あれ?かわいいおにゃのこの助手?
これは・・・

169:創る名無しに見る名無し
08/12/11 01:30:41 Z1PbgW+x
>>158
だんだん短くなる病と聞いて、ナニが? と思ったのはヒミツ

170:あなたの胸で 1/1 ◆KazZxBP5Rc
08/12/14 00:08:21 xvQXZCYS
白い肌に、ほんのりと赤く色づく頬。
よく手入れされた小さな手が僕の体をやさしく包む。
うっとりと目をつむる顔は天使のように可愛らしい。
だけど……。
ふたりの身体の間で押しつぶされる四つのふくらみ。
その心地良い感触は、けれども僕の心まで押しつぶしていく。
僕はもう彼女と同じ生き物なんだ。
迷いを振り払うように固く目を閉じて、そっと唇を重ねた。
涙が自然とあふれてきた。
何かが足りない。
僕は、彼女と一緒になっちゃいけないんだろうか。
こうなる前に、もっと早く想いを伝えていればよかったのだろうか。
未練がましく唇を離す。
泣いている僕を見た彼女は、優しく微笑んで、手を頭の後ろに回してくれた。
きっと良い母親になれるだろう。
けれども僕といる限りそれは望めない。
僕はどうしたらいいんだろう。
なぜこんな身体になってしまったんだろう。
さまざまな思いがめぐる。
でも、今だけは何も考えたくない。
今だけは、彼女の胸の中で心ゆくまで泣いていたい。

171: ◆KazZxBP5Rc
08/12/14 00:09:03 xvQXZCYS
連載の方がまだ書きあがらないのと某所が百合の流れだったので

ぼくのご主人様!?買って補給してきたぜ

172:創る名無しに見る名無し
08/12/14 00:18:28 haxDK0tF
百合百合だー

173:創る名無しに見る名無し
08/12/14 00:30:49 a5WKnhVm
GJGJ!
百合だー

174:創る名無しに見る名無し
08/12/14 00:40:06 dFI6vI6A
百合だねー

175:創る名無しに見る名無し
08/12/14 01:47:19 OihavxIm
ユリだー!!

176:創る名無しに見る名無し
08/12/16 00:55:09 QdqlSAp2
ヒャッハー百合だー!!

177: ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:23:18 HCvFFJ1t
百合が予想以上の食いつきだなw

待たせたか待ってないかは知らないが、今回から連載はじめるぜ!

178:魔法少女? ユイ 1/4 ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:24:22 HCvFFJ1t
第1話『魔法少女誕生!』


夕刻、空が茜色に染まり巣に帰るカラスの黒が映える。
そして同じく我が家に帰り着く少年が一人、名前は椎名唯人。
唯人が玄関の扉を開けると、いきなりその胸に飛び込む影があった。
「ただいま、ジュニア。」
「あんっ!」
ジュニア―正式にはジャッキー・ジュニア―はこの家の愛犬である。
「おかえり。学校どうだった?」
「別にどうっていうこともないよ。」
「そっか。」
ジュニアの後ろから姿を現した女性。Tシャツにスウェットという格好で出てきたのは、唯人の姉、つかさであった。
以上、これが唯人が暮らす家の住人の全てである。
というのも、実家から遠方の高校に入学することになった唯人は、たまたま学校の近くに住んでいた社会人の姉の家に居候することになったのだ。
「姉ちゃんのほうはどうなの?」
「私も会社ではうまくやってるよ。」
「それはいいんだけどさ、そろそろ恋人とか……。」
「別に。」
「美人なのにもったいない。」
最後の言葉はつぶやく程度だったのだが睨み返されてしまった。
「もうにじゅうは……ぐはっ!」
今度は唇をちょっと動かしただけで殴られた。こんなことは椎名家では日常茶飯事だ。
「ほら、夕飯作るから、さっさと食べたいんなら手伝いなさい。」
「あいあい。」
まだ痛む頬をかばいながら唯人はキッチンへと向かった。

ご飯に味噌汁、そしてコロッケに千切りキャベツを添えた、日本ではありふれたメニュー。
いただきますを言うと、唯人はソースをかけて早速コロッケにかぶりついた。
「ただと。」
「むご?」
「いや、噛んでからでいい。」
それを聞いて一個目のコロッケをむりやり押し込んで食べきる。
「で、なに?」
「これあげる。」
手を開いて受け取ると、それはピンクのキーホルダーのようなものだった。
「何これ?」
「うーん、お守りみたいなものかな。危険が迫ったらそれに祈ってみて。ただし人のいるところはダメ。」
「お守りにしては指示が具体的じゃないか?」
「まあまあ、やってみてのお楽しみ。」
うん、これは絶対にお守りではないな。唯人は確信した。
「さ、はやく食べないと冷めちゃうぞ。」
その日はもう『お守り』に関する話はこれっきりだった。

179:魔法少女? ユイ 2/4 ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:25:32 HCvFFJ1t
翌日のお昼時。唯人は姉のお手製弁当を広げながら友人とだべっていた。
話題はテレビの話だの近所の美味い店だの他愛のないものだ。
皆が食べ終わった頃、一度会話がさえぎられた。
「順平! はい、借りてたCD。」
「お、サンキュ。」
すぐに再び会話が始まった後も、唯人はさっきの彼女、海瀬雅を目で追っていた。
「みやびのこと好きなんだろ?」
横からささやくのは先ほどのCDの主であり雅の幼馴染である順平。
「協力してやるぜ。」

「順平遅いね、自分から言っておいて。」
ナイス幼馴染……と言いたいところだが、いきなり二人きりというのはどうなんだろう。
放課後、唯人は雅と一緒に下駄箱のところにいた。
「ちょっと急用ができたから先に行ってて、ってさ。」
もちろん本当はそんなものはない。後ろめたさと恥ずかしさが手伝って体が汗ばむ。
「ふーん、じゃあ行きますか。」
「う、うん。」

180:魔法少女? ユイ 3/4 ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:26:17 HCvFFJ1t
「どんなお店かな?」
「ごめん、俺も場所しか聞いてないんだ。」
「そうなんだ。」
さっきからこんな感じでちょっと喋っては会話が止まる。気まずい沈黙がもう何度目だろう。
「すみません、ちょっとよろしいですか。」
突然目の前に男がいた。近くに曲がり角もないのに一瞬で現れた男をいぶかしがっていると、彼はこう続けた。
「あなたたちを襲わせてもらいます。」
「は?」
男が指を鳴らす。すると唯人たちの背後に影が三つでき、その中からせり上がってくるようにして異形の魔物が生まれてくる。
「椎名君、これは……?」
俺に聞かれても知らねえよ、と思ったが昨日の姉の言葉を思い出した。危険が迫ったら? このことを知っていたのか?
人のいないところ……か。まさに危害を加えようとしてるこの男は勘定外としても、雅だけは逃さなくては。
「俺があの男を抑えるから、その間に逃げて。」
「でも……。」
「いいから!」
小声で話したが、聞かれたか? どっちみちすぐに行動に移さなくては。唯人は男に飛び掛った。
「早く!」
雅は一瞬躊躇したが、このままだと二人とも危険だと判断し駆け出した。
「ちっ……。」
掴んでいた男の様子がおかしい。慌てて手を離すと男も影の魔物に変形していく。
どうすればいいんだ。いや、やることは決まっている。
「何も起きなかったら呪ってやる。」
ポケットから『お守り』を取り出すと両手で包んで祈った。神様でも仏様でもいいから助けてくれますように!

181:魔法少女? ユイ 4/4 ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:27:09 HCvFFJ1t
次の瞬間、唯人は時間が止まったのかと感じた。さっきまでうなっていた魔物の声も聞こえない。風も凪いでいる。それに、そろそろあるはずの攻撃も未だ受けていない。
目を開けてみるといつの間にかステッキを持っていた。それは『お守り』を大きくしたような形をしていた。
いや、「ような」ではなくてまさにそれが大きくなったものだ。唯人はすぐにそれを理解した。
しかしそれ以上のことを考える間もなく魔物が襲ってくる。唯人は反射的にはたき倒した。
「ちょっ、まだ待って! ……え?」
声が変。喉が枯れたとかそういうのではなくて、元から違っているようでむずがゆい。
喉に手を当てようと腕を体に近づけると、先にやわらかいものが腕に触れた。
「え? え?」
服装も変わっているが些細なことだ。胸が膨らんでいる。触ってみると触られた感触がある。確かに自分の胸だ。
先ほど倒した魔物が起き上がってくる。体について考えるのは後だ。
このステッキ、よく見るとちょうど持ちやすいところにボタンが四つ付いている。赤・青・緑・黄。
「なんか強そうだし赤でいいか!」
赤いボタンを押すとステッキの先から火が出た。そのまま炎はマッチのようにステッキの先に留まっている。
「あれ? 熱く……ない?」
手を近づけても、恐る恐る触れてみても、熱さも痛みも無い。しかしこれでいいようだ。なぜなら魔物たちが怖がっているから。
「いっけぇー!!」
ステッキを振り下ろすと炎は瞬く間に飛んでいき、魔物の体を焼き焦がした。
「よしっ!」
すかざず振り返って残りの二匹も始末する。
「はぁ……。」
緊張から解放されて思いっきりその場に座り込んだ。
さっきまで焦っていたので気付かなかったのだが、どうして自分はミニスカートなど履いているんだろう。
両手ですそを押さえ込む。
「あれ?」
また違和感がある。そういえば胸も膨らんでいた。もしかして……。唯人はゆっくりと手を股間に持っていく。
「ない……。」
頭が真っ白になった。これって、つまり、そういうことなんだろう。
「俺、女の子になってる?」
現実逃避のためかどうかは知らないが、唯人の頭は直ちに別のことを思い出させていた。
「……一匹足りない。」
最初に現れた魔物は三匹、男が変化したのが一匹。しかし唯人が倒したのは三匹だった。
追わなくちゃ。それに、必死に追っている間は体のことを考えなくてすむ。

悲鳴が聞こえた。あっちの方角にいる。走っているときにちらりとカーブミラーに美少女が映ったような気がするが気にしない。
唯人が駆けつけたときに見たものは、今にも魔物に襲われようとしている雅だった。
「ふぁ、ファイヤー!」
ギリギリで炎を浴びせると、魔物はもがき、溶けていった。
「ありがとうございます。えっと、お名前は?」
彼女は目の前の少女が唯人であることを知らない。
唯人は瞬間考えた。自分が唯人だと名乗るのもおかしいし、祈るところを見られてはいけないということは正体も秘密なんだろう。
しかし突然適当な名前を思いつけと言われてもな。元の名前が唯人……だから……。
「私はユイ。椎名君から聞いたわ。あなたが海瀬さんね。」
よくもまあうまく口が回るものだ、と本人も思った。
とにかくこうして、魔法少女ユイは誕生した。

182: ◆KazZxBP5Rc
08/12/17 02:28:57 HCvFFJ1t
つづく
全8話を予定しています

もうちょっと早く書き上げていればよかった…

183:創る名無しに見る名無し
08/12/17 02:36:57 g24a7Ttm
お姉ちゃんが怪しいな!


184:創る名無しに見る名無し
08/12/17 19:55:46 y2AQ0p6x
ここって二次創作もあり?
衛宮志保とかキョン子とか

185:創る名無しに見る名無し
08/12/17 20:00:51 eb+xEO56
ありあり

186:創る名無しに見る名無し
08/12/17 20:05:06 HCvFFJ1t
>>184
>>1,>>37-39

187:創る名無しに見る名無し
08/12/17 20:07:35 y2AQ0p6x
ごめん
テンプレすらしっかり読んでなかったとか恥ずかしすぎて埋まりたい気分だ

188:創る名無しに見る名無し
08/12/17 21:05:00 hK4X06so
>>182
魔法少女ものだ!
続きにwktkしてます

189:創る名無しに見る名無し
08/12/17 23:13:40 Vrqv+e8y
男の娘魔法少女とはわかってるじゃないか!

190: ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:20:11 nVe+Biu6
続き投下します

191:魔法少女? ユイ 1/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:20:57 nVe+Biu6

第2話『謎の仮面男の巻』


―椎名唯人です。俺は今、走っています。

話は前日、唯人が初めてユイに変身した時にさかのぼる。
すんでのところで想い人の雅を助けた唯人は、そのまま一直線に家まで駆け込んだ。
「姉ちゃん! これどうやったら治るんだ!?」
探してみると、姉のつかさは自分の部屋のベッドの上で寝転んで漫画を読んでいた。
「あら、かわいくなっちゃって。」
「そんなことどうでもいいから戻り方を教えてくれ!」
つかさは漫画を横に置くと、起き上がって真面目な顔でこう続けた。
「ごめんね、唯人。いいお嫁さんになれるように、私もできるだけサポートするけど……。」
「……うそだろ。」
血の気がすっと引いていく。そんな。まだ何の覚悟もできてないぞ。
目が合うと、つかさの顔が申し訳なさそうに少しうつむく。
そしてつかさは言った。
「うん、うそ。」
つかさは小さく笑っているが唯人にとっては笑い事じゃない。
一度も返済されたことのない仕返しの残高がひとつ増えた。
しかしそれと同時に胸に安堵が広がったのも事実。
「あ、でも男とキスすると二度と戻れないらしいよ。」
「しねえよ。それより早くやり方を!」
「変身したときと同じようにすれば解けるんだって。」
聞き終わるより早く唯人はステッキに祈り始めた。
また時間の止まるような感覚が襲ってきて、制服姿の椎名唯人が現れた。
「ところで唯人、カバンどうしたの?」
「あ。」
そういえば道に置きっぱなしだ。取りに戻ろうと部屋を出るとき、つかさにもう一声掛けられた。
「明日から五時起きね。特訓するから。」

192:魔法少女? ユイ 2/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:21:52 nVe+Biu6
そんなわけで唯人は今、走っている。
「はぁ、はぁ……、ちょっと、待って。」
「まだ五キロだぞ、だらしない。」
「そんなこと、言ったって、女の体で、これは……。」
「しょうがないじゃない。戦うときはその姿なんだぞ。」
唯人はとうとう道端に座り込んでしまった。
「そもそも、なんで女になるんだよ。」
「女のほうが魔法の伝導率がいいのよ。」
自転車の上のつかさはこともなげに言った。
「じゃあ、生まれながらの女にやらせればいいじゃないか。」
それだけの説明でこう思うのは当然だ。だがつかさはさらに付け加える。
「確かに伝導率は女のほうが上なんだけどね、元から持ってる魔力自体は男女に関わらず個人個人で差があって……。」
「俺には人一倍強い魔力があるけど、そのままだと通りにくいから女にしたってこと?」
「そういうこと。」
ああ、そう。理由は分かったが納得はいかない。
「じゃあ私はこのまま出勤するから、がんばって帰ってね。」
ステッキは家に置かされている。ここまでほぼ直線で走ってきた。つまり男に戻ったり近道したりすることはできない。
これまでの距離をもう一回、か。唯人は溜息をひとつついて元来た道を走り出した。

193:魔法少女? ユイ 3/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:22:22 nVe+Biu6
一時間目は爆睡だった。起床時刻と疲労を考えるとしょうがない。
休み時間に入って誰かにノートを見せてもらおうと思ったところで……。
「きゃあああああ!」
「うわぁああああ!」
悲鳴。上からだ。男女合わせて五、六人といったところか。
教室を出ると見知った顔が一人階段を駆け下りてくる。隣のクラスの神野。
神野は唯人たちのいる階まで降りてきて叫んだ。
「化け物だ! 屋上に化け物がいる!」
神野の周りには既に人だかりができているが、唯人はそれを無視して屋上に向かった。
ちくしょう、こんなに早く来るとは。敵は待ってはくれないか。

194:魔法少女? ユイ 4/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:22:56 nVe+Biu6
みんな逃げ切れたのか、幸いなことに屋上には既に生徒はいなかった。
念のため入り口から死角となるところで変身。
「よし、時間無いからさっさと片付けるか!」
今回の敵はゴーレム。岩の化け物だ。
「ええっと、姉ちゃんの話によると……。」
ボタンの色の赤は炎、青は水、緑は風、黄色は地の属性をそれぞれ表している。
昨日の影の魔物は影だけに強力な光を嫌うのだろう。だから強力な光を発する炎で倒せた。
こいつは何が効くのか。
まずどう見ても炎はダメだ。効く気がしない。
「わっ、と!」
ゴーレムがやたら長い腕を振り降ろしてきた。慌てて飛びのく。
ふとひらめいた。ウォーターカッターというものをどこかで聞いたことがある。それは水を細く噴射し、その圧力で物体を切断したりできる。
「よーし……。」
青のボタンを押した。ステッキの先に水が溜まって浮いている。不思議な感覚だ。
意識をステッキの先に集中すると、勢いよく水が噴出した。試し射ちだったのであらぬ方向に飛んでいったが、これならいける。
腰に左手を当ててゴーレムに右手のステッキを向ける。
「おしおきの時間よ! なんてな。」
後悔は時間差で襲ってきた。何をやってるんだ、こんなの見られたらお嫁に……じゃなかった、お婿に行けない。
恥ずかしさを頭の外に押しやって、ステッキに意識をこめる。
「あれ?」
水は確かにゴーレムに向かってまっしぐらに飛んでいった。しかしゴーレムはそれを大ジャンプでかわした。
「ちょっ、こういう奴って普通重いから動きが鈍いはずだろ!」
文句を言っても仕方がない。唯人はゴーレムに水弾を発射し続けた。だが避ける避ける。ゴーレムは跳ねたり転がったり、的確に水弾をかわし続けた。
それだけでなく、合間合間を狙って向こうからも積極的に攻撃を仕掛けてくる。
「大きいくせにちょこまか……と……え?」
気付いたときには、唯人の体は屋上の外側の宙を舞っていた。

195:魔法少女? ユイ 5/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:23:37 nVe+Biu6
届かないと思いつつも伸ばした腕に、上から抑えられるような力がかかった。
びっくりして見上げると、仮面を被った男が目に映った。
呆然としている間に体は元の屋上へと戻っていく。
「大丈夫?」
何と返せばいいのか。唯人が迷っていると男はさらに言葉を重ねる。
「地学の勉強。」
「へ?」
こんなときに何を言っているんだ。目の前のゴーレムが見えないわけではないだろうに。
「岩石が年月を経ることによって削れることを何と言うか。」
本当に問題を出しやがった。この人は何なんだろう。まさか教師じゃないだろうな。
「君が考えている間に、あの剣を取りに行く。」
「あの剣って……ゴーレムがじゃれてるあれ?」
「そうだ。」
「危ないよ。それに剣なんかで倒せないでしょ。」
じゃないと自分が魔法少女になる必要なんてこれっぽっちも無いんだからな。
「たしかに倒せはしないが……見てのとおり、あの剣には魔物を引き寄せる性質がある。」
男が魔物を引き寄せてる間に考えろ、ということか。
「じゃあ、頼んだよ。」
そう言って男はゴーレムの方に向かって突進した。
こうなると時間が無い。なあに、答えは四択なんだ。
「岩を削る……地震か?」
地のボタンを押しそうになったが、思いとどまった。
「そういえばここは屋上だから、地のパワーを使おうとすると地面との間にある校舎にも影響が出るんじゃ……。」
そうなると今まで頭に浮かばかった風か? 恐る恐る緑のボタンを押す。
風の流れが変わった。それを合図に男は剣を鞘に収め唯人の方に寄ってきた。
「そう、答えは『風化』だ。何千、何万年と風に晒されてきた岩石は朽ちて砂となる。」
「何千年って……。」
「それだけの風を君は起こせる。」
そんなわけ……と反論したかったが飲み込んだ。信じるしかないようだ。唯人はステッキに両手を添えて精神を統一した。
異様な光景だった。ステッキを境にゴーレムの方向にだけ嵐のごとく風が吹いている。唯人の側はいつもどおりの空気の流れだ。
この高さから落ちたらその岩の体が砕かれるのが分かっているのだろう。ゴーレムは落ちまいとこの風に向かってくる。しかしそれが相対的にゴーレムに対する風速をさらに強めることとなる。
ゴーレムの表皮が剥がれ落ちるにつれて、こちらに向かってくる力も失っているようだ。
唯人が最後の力を振り絞ると、ゴーレムは塵となって消えていった。
そして、精神力を使い果たした唯人はその場に座り込んでしまった。
「これが……俺の、力?」
ハッと辺りを見回す。うっかり「俺」と言ってしまったのに気付いて慌てて取り繕おうとしたが、その相手は既にいなかった。
「なんだったんだ、あいつ。」
風のように現れて、風の話をして、風のように去っていって。その間唯人はあっけに取られているだけだった。
何者か心当たりは無いか、と自問したちょうどそのときにチャイムの音が耳に響いた。
「やべっ! 遅刻だ!」
変身を解いて授業に向かう唯人は、もう男のこととは別のことを思っていた。二時間目も、爆睡だな。

196: ◆KazZxBP5Rc
08/12/20 21:24:50 nVe+Biu6
つづく

197:創る名無しに見る名無し
08/12/20 21:32:56 eEfVh910
これは期待
野暮な推測は身を滅ぼす気がするからやめておく

198:創る名無しに見る名無し
08/12/21 21:57:46 BIjHmQQK
新キャラだー。
続きにwktk!

199: ◆KazZxBP5Rc
08/12/23 20:05:55 c6CVtlw2
URLリンク(www6.uploader.jp)
あっちに投下する勇気は無いの

第3話いっくよー

200:魔法少女? ユイ 1/3 ◆KazZxBP5Rc
08/12/23 20:07:09 c6CVtlw2

第3話『仮面男は敵? 味方?』


例の男についてつかさが何か知っているのではないかという唯人のあては外れた。まあこの姉はすっとぼけるのが得意だから隠している可能性も否めないが。
結局何も知ることはできず、翌日もまた、朝の筋トレとランニングによって一日が始まるのであった。
「はあ……魔法少女ってもっとこう、なんて言うか、可憐な感じなんじゃないの?」
それを言うならそもそも男が魔法少女になっていること自体間違っているのだが、どちらにしろ元から望んでなったわけではないので唯人を責めることはできない。
学校ではいつまた魔物が襲ってくるか気が抜けなかったが、その日は何事も無く授業を終え家路に着くことができた。
つかさは今日は遅くなると言っていた。けれど、もうひとりの家族が尻尾を振って迎えてくれた。
「あんっ、あんっ!」
「よしジュニア、散歩行くか。」
唯人は冷蔵庫を開けジュースを一杯飲み干すと、自分の部屋に入り私服に着替える。そしてリードを手にまた玄関まで戻ってきた。
「さあ出発だ。」

ジュニアは緑の多いところが好きである。彼のお気に入りの散歩コースは山道だ。
椎名家からなら一番近い山まででも歩くと小一時間かかる。そのため連れて行くほう―主に唯人だが―は帰ってくる頃にはいつもへとへとだ。
山までは住宅街を通って最後に商店街を抜ける。その商店街に入る頃、ジュニアが突然騒ぎ出した。
「くーっ!」
「お、おい! どうしたんだ!」
散歩の途中で突然暴れるような犬ではない。何かあったのだろう。
「待てって!」
ついに走り出した。押さえられないほどではないが強い力で引っ張ってくる。唯人もあきらめて少し駆け足で進み始めた。

途中、商店街の中で見知った顔に声を掛けられた。
「よう。」
「おお、順平。」
「昨日からお疲れのようだったから聞けなかったけど、どうだった?」
順平はなにやらにやにやと笑いをこらえているようである。
「何が?」
「決まってるだろ、雅のことだよ! うまくいったのか?」
「ああ……それどころじゃなかった。」
「ん? 何があったんだ?」
魔物が襲ってきて魔法少女になりました、なんてさすがに言えない。
「ふー、ふーっ!」
「ごめん、こいつが急ぎたいみたいだからまた今度な!」
両手をあわせてごめんのポーズをとりながらも、内心ではうまぐしのげたとジュニアに感謝して、唯人は商店街を後にした。

201:魔法少女? ユイ 2/3 ◆KazZxBP5Rc
08/12/23 20:07:51 c6CVtlw2
アーケードを抜けると山は目の前だ。そこまで来てようやく唯人は異変に気付いた。
「煙?」
商店街のこちら側ではあまり人が通らないため誰も気付いていないようだ。
なおもジュニアに誘われるままに山に入っていく。
「あんっ!」
「これは……!」
中腹あたりでジュニアが一声上げた。火の手が上がっているのが見える。山火事だ。
「これに気付いてたのか。よくやったぞジュニア。」
ご褒美のなでなで。あらためて犬の嗅覚の凄さを実感する。
「さて、消防署に連絡……はできないみたいだな。」
よく見ると炎は不思議な動きをしている。まるで生きているかのような……いや、実際生きている。あれは魔物だ。
「ずっと持っとけとは言われたけど、できるだけ使いたくなかったのに……。」
近くに人がいないことを確認。ポケットから手のひらサイズのステッキを取り出し祈ると、先ほどまでそこにいた少年は消え、代わりに少女が現れた。
「さて、手っ取り早く雨でも降らせますか。」
青いボタンを押して水のパワーを溜める。そしてステッキを天に向かって掲げた。
ステッキの先から雲が造られ山の斜面の上に広がっていく。雲は次第に大きくなり雨を降らす。
火は見る見るうちに消えていくのだが、二箇所だけ大きな塊となって消えない部分がある。
「あれが本体だな。ジュニア、ちょっとここで待ってろよ。」
愛犬はその場に腰を下ろして意思を見せた。
それを見て安心し、唯人は魔物の目の前に飛び出していく。
「こいつら、かなりのろいぞ。」
この魔物達は唯人にも気付いておらず、徘徊しているだけのようだ。
これなら昨日は失敗したあの手が使える。唯人は二匹の魔物に向けて水弾を正確に打ち込んだ。
「今回はあっけなかったかな。」
変身を解こうとしたその時、物陰から動くものが見えた。

202:魔法少女? ユイ 3/3 ◆KazZxBP5Rc
08/12/23 20:08:42 c6CVtlw2
「こんにちは、椎名唯人君。」
「なっ……!」
現れたのは昨日の仮面の男であった。なぜ本名を知っているのか、唯人が尋ねる前に男は再び口を開く。
「昨日は悪いと思いながら観察させてもらった。」
「観察? どういうことだ?」
しかし唯人の問いには答えず、男はなにやら赤い液体の入ったビンを取り出して魔物の亡骸に中身を半分ずつかけた。
「また会おう。」
それだけ言い残して男は去って行った。
「待て!」
さっぱり訳の分からない唯人は、追いかけようとしたところを巨大な物体に阻まれた。
それは先ほどの炎の魔物が二匹合体したものであった。
唯人は当然水弾を浴びせる。しかし今度はまったくダメージがない。
「どうすれば……きゃっ!」
自分で降らせた雨のせいで地面がぬかるんで滑ってしまった。
それ自体は大したことではないのだが、女の子みたいな声を出してしまった。愛犬と目が合った。穴があったら入りたい。
「ん、ちょっと待てよ? 穴……そうだ!」
ステッキを地面に付ける。まずは水だ。水を魔物の足元に集める。
魔物は再び山に火をつけ始めた。しかし焦ってはいけない。この作戦はひたすら待つことしかできないのだから。
魔物がぐちゃぐちゃになった地面を踏みしめた。もう片方の足を上げた瞬間、スリップし、その巨体が宙に浮いた。
「今だっ! 地!」
ボンっと大きな音がして地面に大穴が開いた。穴の分の土はどこへ行ったかというと、その場に巻き上げられて、その瞬間を外から見ると筒状に土がそびえ立っているように見える。
魔物は吸い込まれるように穴に落ち、その上から大量の土でふたをされた。

残りの火を消すと唯人は変身を解いてジュニアの側へ戻った。
「それにしても……。」
仮面の男は明らかに魔物を復活させて自分を襲わせた。この先直接戦うことになるのだろうか。魔物だけではなく人間と戦う。そのことに不安を覚える唯人であった。

203: ◆KazZxBP5Rc
08/12/23 20:09:37 c6CVtlw2
つづけ

次はある意味クライマックスw

204:創る名無しに見る名無し
08/12/23 20:40:31 Qq8ffTDg
わあ、気になるところで終わってる
続き楽しみにしてます

205:創る名無しに見る名無し
08/12/23 23:32:38 c6CVtlw2
いつもありがとう

ユイでクリスマスネタ書こうとしようとしたけどなかなか難しいな
別の話にするか

206: ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:54:51 xE30cMHH
ラジオ聞きながら投下

207:あわてんぼうのサンタクロース 1/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:55:34 xE30cMHH
いつものように会社から帰り、疲れきった体をベッドに沈めた。
そのまま寝てしまいたいのは山々だが、資料に目を通さなくてはいけない。
「もうすぐクリスマス、か。」
壁掛けのカレンダーを眺めて溜息をつく。
携帯電話を取り出し、淡い期待を胸に数人しかいない女友達にクリスマスの予定を聞くメールを送った。

玄関のチャイムが鳴ったのはその直後のことだ。
扉を開けるとそこには真っ赤な衣装の初老の男が立っていた。
「こんばんは。わたくし、世界サンタクロース協会所属の『あわてんぼうのサンタクロース』と申します。」
「はあ……。」
自分であわてんぼうとか言うか? いや、それ以外にもツッコミ所は多々あるが。
「あなたは『サンタクロースに願い事を何でもひとつ叶えてもらえる権利』に当選しました。」
詐欺なんだろうか、こんな詐欺は聞いたことないが。どうせなら叶えられるわけもない本音を晒してみようか。
「じゃあ恋人がほしい。」
「かしこまりました。」
サンタはどこかに電話を掛け始めた。美人局というやつか? だがそれなら普通最初から女を遣すよな。
「……はい……はいはい、了解いたしました。」
そして俺のほうに向き直って、
「手配は完了しました。」
と告げた。

208:あわてんぼうのサンタクロース 2/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:56:15 xE30cMHH
奇妙な来客のせいでさらに疲れた。
シャワーでも浴びようとバスルームに向かう。
服を脱ごうとして途中に何かつっかえたことに気付いた。
胸?
わずかながら胸にふくらみがある。どこかで刺されでもしたのだろうか。
などと笑っていられたのもそこまでで、下半身の衣服も脱ぎ終わったときには声も出せなかった。
無い。
思考停止。なんとかして体を流してバスタオルを巻いたことだけは覚えている。
上がり際に鏡をのぞいてみた。顔はほとんど変わっていないが、乗っけているものが違うだけでずいぶんと雰囲気が違って見えた。

体のことは置いておいて、メールの返信を確かめる。
まあ予想通りの結果だ。彼氏とデート、彼氏とデート、バイト、合コン、彼氏とデート。
「あれ?」
それ以外にもう一件着信があった。高校大学時代の男友達だ。久しぶりだな、元気でやっているんだろうか。
内容は今から飲みに行かないか、というものだった。今から? またずいぶん唐突だ。
俺はバスタオルを巻いている体を見た。まあ、厚着すればバレないかな。

209:あわてんぼうのサンタクロース 3/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:56:58 xE30cMHH
「急で悪かったな。ええっと、どれくらいぶりだっけ。」
「先輩の結婚式以来だから、半年だな。」
「そうか。全然変わってないな。」
「どうだろうな。」
「え?」
「なあ、もし俺が実は女だったって言ったらどうする?」
「何馬鹿なこと言ってるんだよ。そりゃあよく女っぽいって言われたり女装させられてたけどさ。修学旅行で一緒に風呂入ったじゃねえか。」
「まあな。」
「ま、お前が本当に女だったら良かったかもな。」
「……なあ、どうせ二十四日も暇だろ。」
「うるせえ、お前もだろ。」
「また、飲まないか。今度は駅まで迎えに行くから。」
「? ああ、いいぞ。」

210:あわてんぼうのサンタクロース 4/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:57:30 xE30cMHH
何を考えているんだろう俺は。ただの冗談に決まっている。あいつは俺が本当に女になったなんて思ってないはずだ。
それでも俺は……。
クリスマス前最後の休みの日。俺は偶然にでもあいつに見つからないように慎重に路線を選び、ある街に向かった。
まず店をはしごして女の服装をしている自分を思い浮かべる。
十何件か回ったところで見つけたセーターが俺の目を引いた。
今度はそれに合うように残りのパーツを選んでいく。
「次は……やっぱり入らないといけないか。」
店の前で散々うろうろして覚悟を決めた。
ランジェリーショップ。それはなんだか立ち入ってはならない領域のように思えて、中にいる間、まともに顔を上げられなかった。
その後、化粧品のことはよく分からないので、真っ赤な口紅を一本だけ購入。
最後に美容院に入って「できるだけ女らしく」と注文した。

211:あわてんぼうのサンタクロース 5/5 ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:58:06 xE30cMHH
ロングスカートが風にたなびく。ストッキングのおかげで意外と寒さは少ないが、やはりどうも脚の感覚が頼りない。
約束の時間五分前に待ち人は現れた。
「よ、よお。」
自分に話しかけたのが女だったこと、それがついこの前に会った俺だったことに愕然としているようだった。
「サンタクロースに、女にされちゃった。」
本当のことだが、言っている俺の耳にも間抜けにしか聞こえない。
「なんなら体確かめてみるか?」
何も言ってくれないので焦って変なことを口走ってしまった。訂正しようとしたとき、ようやく口を開いてくれた。
「いや、いい。お前が冗談でそんなこと言う奴じゃないって分かってる。それに、女装のときとは全然……。」
それって……。自分の心臓の音があいつにも聞こえているんじゃないだろうかというくらい響く。
沈黙が降りて何時間くらい経ったんだろう、と感じたが実際は約束の時間にたどり着いただけだった。
俺はようやく決心してその言葉をつむぎ出した。
「いきなりなんだけど、俺、お前の言葉にときめいたりしちゃって、その……好き、です。」
全部伝えたいのに、全然言葉が思いつかない。こんなので伝わるとは思えないけど、恥ずかしすぎて目もあわせられなくなってしまった。
どうやっていいかわからずもじもじしていると、思わぬ答えが返ってきた。
「ひゃっ!」
彼は俺の背中に腕を回して抱き寄せてきたのだ。
「あ、ごめん……。」
「いや、びっくりしただけだから。」
自分の胸が彼の胸に押しつぶされている感覚で、改めて女になったんだと実感させられる。男の体ってこんなに大きかったんだ。
私も彼の体に腕を回して体を預けた。

彼の肩越しに流れ星がひとつ見えた。

212: ◆KazZxBP5Rc
08/12/24 21:59:12 xE30cMHH
終わりー

213:創る名無しに見る名無し
08/12/24 22:11:42 SjvYXqKZ
乙乙乙乙乙乙乙乙乙♪

214:創る名無しに見る名無し
08/12/24 22:28:58 OgLvI6IT
メリークリスマス!!
彼女じゃなくて彼氏ができちゃったなw

215:創る名無しに見る名無し
08/12/28 23:43:27 5Q8UqvIC
初詣先でデートですか? と四日ぶりにレス

216:創る名無しに見る名無し
08/12/29 23:18:59 mbQaChUQ
>>215
書けってことですか、わかりません><
今年中は俺は多分無理だな

217: 【大吉】
09/01/01 00:58:50 PzpI83bL
姉「あけましておめでと~!」
女弟「おめでとう…」
姉「どうした、元気が無いぞ妹よ」
女弟「この格好、恥ずかしいよ…」
姉「ホルスタインの着ぐるみ?」
女弟「特にこのお乳のところが…」
姉「せっかくおっぱいができたんだから活用しないと」
女弟「関係ないでしょ…」
姉「隠しお題だしね」
女弟「何の話?」

みたいな妄想

218:創る名無しに見る名無し
09/01/02 08:16:04 8iJ+n1Wi
GJ!

219: ◆KazZxBP5Rc
09/01/07 19:07:04 Hr0c9/nx
リコかわいいよリコ

さて、年越してようやく再開

220:魔法少女? ユイ 1/5 ◆KazZxBP5Rc
09/01/07 19:08:15 Hr0c9/nx

第4話『お姉様とお買い物』


ある休日の朝、唯人は全身の違和感で目を覚ました。
まず気付いたのは頭の痛みである。自分の体が大きくゆっくりと回転しているかのような錯覚を受ける。
それに衣服の感覚がおかしい。ビシッと締め付けられるような服は寝るときに着るようなものではない。
このとき、昨日寝る前に何をしていたのかさっぱり思い出せないということに唯人は気付いた。大方疲れて着替えもせずに寝てしまったのだろう。
とりあえず布団から出ようと体を起こしてみると、胸に妙な重みを感じる。そういうことか……。
唯人はユイに変身していた。
しかし何時からだ? もしかしたら魔物との戦いで負傷してその時の記憶が飛んでいるのだろうか。そうだとしたら、そんな強力な魔物を野放しにはできない。
唯人は勢いよく部屋から飛び出そうとした。だが、頭がフラフラしてうまく歩けない。

「おはよー!」
唯人が結局ベッドに腰掛けたままでいると、大きな姿見を持って姉のつかさが部屋に入ってきた。
「姉ちゃん、これどういうこと?」
「あー、あんた覚えてないんだ。無理もないかもね……。」
「なんだよ。何か知ってるんだったら、もったいぶってないで早く言って。」
「いやあ、唯人って飲ませたらすっごく素直ないい子になるみたいね。」
「……。」
「昨日の晩にお酒買ってきてふたりで飲んだのよ。でね、ノッてきたところでちょっと変身してみてって頼んだの。」
「……。」
それにしても気持ちのいい朝だ。外ではすずめがさえずっている。
「未成年になんてことするんだーっ!」
「一緒に買い物行ってくれたらステッキ返してあげる。」
この女は聞く耳を持たないようだ。自分の用件だけ伝えてくる。
「ちょっと待て、買い物ってもしかしてこのまま?」
「まさか。そんな、いかにも『魔法少女です』って格好で出るわけないでしょ。すぐ着替え持ってくるから、それ脱いでおいてね。」
そう言うとつかさはとっとと出ていってしまった。唯人が聞きたかったのは「女のままで?」という意味だったのだが、話の流れからするとやはりそういうことなのだろう。


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