08/10/21 14:48:10 VWvTW3UO
「軍議中だぞ! 何事だッ!!」
「はい、パルミナ領主ヒエロニムスを船上にて捕らえましたので
取り急ぎ御報告に挙がりました」
「おぉ! やったか、ではベアトリス様に対応をお聞きしよう
如何なさいますか?」
そういうと席を立ったリュゲルは私の眼前に立ち、私の言葉を待つ。
あくまでも命令を下すのは私であり自らの意思ではない、その為に必要な演出なのだ。
ここで否定の言葉を出そうものなら、それ相応の対応を受けることになるだろう。
私が押し出すように口を開くと、横から割り込むようにドルバトゥールが口を挟む。
「待てリュゲル、処罰に関しては俺が判断を下す
ヒエロニムスは処刑……それでいいな」
「えぇ……まぁ、いいでしょう」
「ではそのように処置いたします」
「いや、少し待て……なるだけ
人目の付かぬ場所を選び処断せよ、これは軍機扱いだ」
そう言うなり、リュゲルは礼金を受け渡すと、伝令は頬を綻ばせながら戻っていった。
扉を閉め、辺りが静寂に包まれると再びリュゲルが口を開く。
「これは好機だ、領主のヒエロニムスが、こちらと和解したという噂を流せ、
これにより反乱軍の結束を内部から揺さぶるんだ」
「成る程な……」
「ベアトリスとパルミエが和解すれば、反乱軍は双方にとっての敵となる
そうだ、反乱軍を捕らえた者には礼金を出すのはどうかな、ははは……いいぞ!
今夜中にはガセルダも落ちるだろう、ベアトリス平定の日も近い」
南東のリオニア列島は人口に乏しく、反抗するまでの手立ては有してはいない。
ガセルダが落ちれば事実上ベアトリス軍の勝利となるだろう。
その分、私の死期が近付いてくるのもわかるのだ。