08/11/17 13:49:58 geV0fqRh
「これはまた可愛いお客様ですね、今日は随分と来訪者の多い日だ」
「貴方は?」
城壁の上に現れた男が口に手を当てほくそえむと、少女は周囲に散らばる鉄装騎馬の残骸を発見する。
屍が積み上げられた残骸の中に立つ異形の魔物達が少女の姿を見つけると、
剣を振るい上げながら次々と打ち付ける。
「まさかとは思いますが、御一人で来られたのですか?
だとしたら、見くびられた物です。」
周囲から次々と集まる異形が少女へと襲い掛かり、幾度となく斬ろうとも次から次へと増援が現れる。
灰人(オルク)の物量に不覚を取り。振りぬかれた金槌が腹部へと直撃し跳ね飛ばされた。
「ふ……ぁ!」
「ま、こんなものでしょう、御伽噺に現れる勇者気取りですか?
たった一人で万機の軍勢を相手取るなど甚だ笑止、”神剣使い”とは
どれもこれもおつむの足らない連中ばかりだ……」
「はぁ……は……」
「ゼラーという神剣使いもそうでしたね
友人の男を捕らえ、犠牲になるよう促したら、あっさり死んでくれましたよ。
あんな取るに足らないチンピラの為にね……これだから人間と言うものは面白い」
立ち上がるロゼに遠方から放たれた火弾が飛来し、小さな体を跳ね飛ばす。
足元に転がす男の死体から射出槍を取り上げると灰人を射撃し、返す刀で敵を斬り上げる。
「仕方がない、ベアトリスを持って来い」
男が側近にそう言うと、側近は魔力を開放する為の生ける人形と化したベアトリスを、男に差し出した。
魔王の血を引くベアトリスの力により、この世に彷徨い続ける魔の魂は肉体を得て復活し、その手駒となる。
男が女を城壁で抱え上げると、空に広がる暗雲が渦巻き、周囲を光が包みだす。
勝利を確信したクロウリィは、この世ならざる者に新たな肉体を与えるため、その呪文を口にした。
「彷徨える魂よ、再びこの地に集いその力を示せ」
大地が光に包まれ周囲が魔力の源で包まれ、集められていた魂達は解放され新たな肉体を得る。
「ハッハッハ! 必死扱いて魔を狩ってきた君には申し訳ないがね
彷徨う魔の魂から幾らでも再生可能なのだよ……残念だったなッ! 豚がッ!
魔力の残りカスで出来た、貴様等人間が魔族に逆らうなど許されるとでも思っていたのかッ!」
「……」
「可哀想になぁ、君にも青春があっただろうに、
愛も欲も我慢して、その身を戦いに捧げてきたのにねぇ。
男と愛することも知らず、その身を綺麗に着飾ることも知らずに、醜く朽ちていく気分はどうかな?
意味のない努力、今までご苦労、奴隷は奴隷らしく……絶望の肥溜めの中で死んでいけッ!」
「……よくまわる舌ね」
少女がそう吐き捨て大きく溜め息をつくと、眼下の光景を眺めた魔の笑みが次第に強張る。
一人の少女を追い詰める為に行った、男のその行為は最大の誤算だった。
186:創る名無しに見る名無し
08/11/17 13:55:33 aU4YDuRz
支援ぬ
187:創る名無しに見る名無し
08/11/17 17:57:57 jMhV3shK
【魂の枷】
魔の権化達はその目で見た、少女の周囲に集う無数の子供達の姿を、神剣の元に集う真の精鋭達。
神剣に集められた魂が生前の姿を形作り、その力を解放していく。絶望の果てにある、たった一度の奇跡。
灰人は本能でその脅威を感じ取り退くと城壁のクロウリィが怒鳴りつける。
「な、何をやっている、相手はただのガキだッ!
押し潰してしまえッ!」
男は城壁の上から指揮を執り、空に現れた竜がこちらへと近付いてくる、その瞬間、鉄装騎馬の屍の山から
一発の信号弾が頭上に上がり、周囲に展開し伏せていた兵達が次々と飛行する竜に砲撃を加えた。
深手を負い死んだ筈のガセルダの兵達が次々と起き上がり、
イフティハルは咳き込みながら文筆家に声をかける。
「ぶほッ、あーった、マジに生き返るとは思わなかったぜ
文筆家ぁ、無事か?」
「折角、伝記を真面目に書いてきたのに、一気に胡散臭くなっちゃいましたよ」
伏兵の鉄装騎馬とコルネリアの率いるアルメンテの鉄装兵士団が合流すると、
城門を開き雪崩れ込んでくる竜人(リザードマン)達と衝突する、硬い鱗と武装に包まれた
鉄装歩兵の能力差は僅差、野に伏し体力を消耗していた部隊は次第に圧されていく。
「怯むな! ここで敗れれば我々に明日はないっ!」
コルネリアの奮起を促す声が轟くと、膠着した戦列に一陣の風が吹き込んでくる、次々と舞い上がる鮮血の中で
両の手に握られた二本の剣が煌く。女は我が目を疑い、その剣を振るう男の姿を目で追う。
いつか見た姿をそのままに現れた”双剣のディマカエリ”。
「カルロ……」
「……長いこと待たせたな」
「待ちくたびれたわ、もう」
そう女が微笑むと男は目を伏せ微笑み返す、城壁を覆うほどの巨大な牛頭(ミノタウロス)が
囲むように展開した兵を蹴散らすと、四人の奴隷が立ちはだかり、次々と足元を斬りつけていく。
鎧の筋力補強すらも無しに生身で魔と立ち向かう剣闘士集団は一瞬にして牛頭を血祭りに上げると
すたすたと城門を潜り、場内へと侵入する。
「しばらく振りに空を見上げることが出来たと思えば、
まったく……世の中世知辛いものだなぁ、ドレト」
「こ、これでも俺、頑張ったんですよゴードさん
それよりほら、さっきのニ本剣の奴がディマの息子ですよ
……って、何やってんだディマ?」
「テリウスにおれい」
「ども……」
「後でしろ、後で!
敵さんがおいでなすったぜ、抜剣!!」
188:創る名無しに見る名無し
08/11/17 17:58:56 jMhV3shK
鉄装鎧で武装した灰人達の攻撃を悠々と避けながら、装甲の繋ぎ目に剣を突き立て打ち倒し、
鉄装歩兵が城塞内に踏み込むと本城をめがけ兵士達が駆け抜けていく。何が何やら分からぬまま
自警団を指揮するフェルダーに従うマルケスは眉をしかめる。
「僕達、パルミナ鉱山に攻め込むんじゃなかったっけ?」
「予定は変更されたのさ、シュタイン、ルロワ援護しっかり頼むぞ」
「任せな大将!」
シュタインが親指を立て、ルロワの射出槍が次々と現れる灰人を貫く、場外では門を確保する為に残った、
バティアトゥスの指揮する部隊が、迫り来る巨人の兵団を射出槍で食い止めている。
「我々が、ここで盾になり後方を守る……
一匹たりとも城内へと踏み込ませるな!」
3mに程近い身長を誇る巨人が腕を振り上げると。光の中から赤銅の鎧に身を包んだ男が飛来。
巨人の顔面に槍を突き立て、肩に飛び乗ると首筋を剣で斬り裂き、地上へと舞い降りた。
参謀はようやく現れた男に微笑みかけると、赤銅の盾は振り返ることなく敵と向かい合った。
「借りを返しに来たぜ、優男」
「フ……利子は高くつくぞ、色男」
「先駆けて突貫するぜ、アデニオン、ついて来いッ!」
「ま、また俺ですか!?」
渋々従い後を着いてくるアデニオンを従え、次々と巨人達が地面へと崩れ落ちていく。
居城へと逃げ込んだクロウリィは、眼前で繰り広げられる信じがたい光景に目をみはる。
次々と復活を遂げる英雄達を前に人間と魔の本質的な能力の差は呆気なく覆され、男は頭を掻き毟る。
「クソッ! クソッ! こんな筈では……カステルの奴は何をしている!」
門衛棟を落とされ、かろうじて城壁を守るカステルの部隊を次々と奴隷が斬り伏せていく。
近寄ろうと踏み込む灰人は一瞬にして斬り裂かれ、驚異的な検速になす術もないまま追い詰められると
灰人達が発射した射出槍の攻撃を空中へと飛んで避け、慣性の勢いで突進するゼラーの剣がカステルの体を捉える。
「貴様等は! 一体!?」
「バーカ……」
「!?」
カステルの体を城壁から蹴り落とすと、ゼラーは城壁から身を乗り出し相棒の姿を捜す。
目を凝らし数10m先の城外で蟲に追われている相方のユシエルを発見したゼラーはニカリと笑うと
救出に向かう為、城壁の上から水堀の中へと飛び込んだ。
189:創る名無しに見る名無し
08/11/17 17:59:35 jMhV3shK
ヒルデベルトはパルミナの一兵士として合同軍に参加していた、灰人達の軍勢に押され戦列を崩すと
衝突の衝撃で少年は弾き出される、撃ち込まれた射出槍を、すんでの所で一人の男に助け出され
励まされるように声をかけられる。
「怪我は無いか?」
「あ、はい……有り難う御座います」
「君のような少年が戦地に立つ必要は無い……
後は私たちに任せておきなさい」
鉄装歩兵の鎧を着込んだレオニウスは兜越しに少年に伝えると、懐の剣を抜き、灰人の集団に突撃する。
空いた背後を塞ぐように、もう一人の鉄装歩兵が背中合わせにお互いを守りあうと
レオニウスは背中越しにいるヒルデガルトに語りかける。
「す、すまない、助かったよ」
「あまり無茶をしては駄目、
落ち着いて手の届く範囲の敵から片付けるわよ」
「分かった!」
背中合わせの二人は互いの素性に気付くことなく、敵の戦列を切り崩すと、勢いを押し戻した
パルミナの軍勢が灰人の戦列を突き抜け、背後を突くように散回する。一際巨大な肉体を持つ重武装の灰人が
前列に乗り出すと、一人の女が一騎打ちを買って出る。
振り落とした灰人の剣を、打ち落とし面で捌きながら頭蓋を切断すると、溜め息を付きながら踵を返す。
「お話になりませんわね」
「お、やっぱヨハンナじゃん!
セリミア捜してるんだけどみっかった?」
「フラン、随分と久しぶりね
セリミアは妊娠中だから、ここには来てない筈よ」
「え?……まさかヨハンナの子?」
冗談で返すフランの頭を拳骨で叩くと、ヨハンナは遠くに見える二人の男女の姿を見つめる。
全てが元に戻った今自分自身は身を引くべきなのだろう。背後に殺気を感じ振り向くと、
かろうじて生きていた巨漢の灰人がフランに剣を振り下ろす。
「フラン、危ないッ!」
友を庇うように覆い被さったヨハンナは、背後から止めを刺され崩れ落ちる灰人の後ろから現れた少年と目を合わせる。
呆然と互いに見つめあう視線に思わず頬を紅潮させ視線を逸らすと、
胸元に飛び込んでくるヒルデベルトをそっと抱きしめた。
190:創る名無しに見る名無し
08/11/17 18:00:40 jMhV3shK
全てにおいて戦いは人間達に対し優勢に働きかけ、その戦力は居城にまで迫った。
苛立ちを抑えきれずに、あたりを歩き回るクロウリィに意識を取り戻したベアトリスが笑いかける。
「フッ……フフ、アッハハハハ!」
「何が可笑しい、何が可笑しいベアトリスッ!
貴様も道連れだぞ……統一戦争も、東西衝突も、魔物が現れたのも全てお前に責任がある!
貴様が魔王として生まれ、その本分を違えたからこうなったのだ」
「人のこと勝手に利用するだけ利用して……そんなに恨めしいならさっさと殺しなさいよ
もう私の魔の力も必要ないでしょ? 先に行ってあんたが地獄に落ちてくるのを待っててあげるわ!」
「ならば……ここで死ねッ!」
鬼気迫る形相で抜いた剣を女の胸元へ突き立てようとクロウリィが剣を下ろした刹那、
暗闇の中から現れた漆黒の騎士が篭手で剣先を逸らし、すれ違いざまにクロウリィの腹を抉る。
何が起こったのか理解できぬまま男は口から血を噴出すと、目を見開いたままその場で崩れ落ちた。
「ド……ドルバトゥール?」
「申し訳御座いません……敗北を喫し、
貴女様の許可なく死んでしまったことを深くお詫び致します」
「もう二度と私の傍から離れないって……誓って」
「騎士の宣誓なら初めてお会いした時に交した筈ですが?」
「……馬鹿ね」
車椅子から寄りかかるように二人の男女が抱き合うと目を見合わせ、口付けを交わした。
ようやく叶った夢が、すり抜けてしまわない様に。
191:創る名無しに見る名無し
08/11/17 18:01:15 jMhV3shK
堕ちた竜の前でイフティハルは腰を下ろし、老兵の魂に祈りを捧げる。
恐らくは神剣に選定されず蘇生することが出来なかった者もいるだろう。
犠牲の上に成り立つ平和などイフティハル自身は認めたくは無かったのだ……
「あれ……親方様、なんだか竜のお腹動いてません?」
「え……マジで、折角しんみりしてたとこなのに」
竜の中から剣を掻っ捌きながら老兵が姿を見せると、申し訳なさそうに互いに顔を見合わせる。
「博打で負けた借金を取り立てるまでは
死んでも死に切れんわい、ガッハッハッハ!」
「プッ、クク、ハハハハ!」
「何、暢気に笑ってるんですか、二人とも……」
なお、文筆家が書いたイフティハルの伝記はあまりに突飛なストーリーから、
あまりウケは良くなかったようである。
192:創る名無しに見る名無し
08/11/22 22:16:08 mgXO1meD
第一部、完ッ!!!
193: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
08/11/22 22:18:49 7zyMqM28
終わった?
194:第2部開始!
08/11/22 22:46:26 mgXO1meD
【戦場を望みて】
$「で、レディ。貴女はこの戦い、どちらの軍勢に分があるとお考えかな?」
%「そう……ねぇ。黒鷲には力はあるけど、勢いが足りない。
逆に白鷺は兵も少なく装備も貧弱、でも彼等には大義があるわね。
どちらかというと、どちらにも分がありそうに思えるわ。難しい質問ね」
$「つまり、両軍ともに決定的な何かが足りない……と」
%「そういうこと」
$「では、貴女がどちらかに加勢すればどうでしょう?」
%「フフ、そうすればわたくしが加勢した側が勝つわね。問題は単純になる」
$「そして、その反対側の軍勢に、私が加わったらどうなるでしょう?」
%「あら、貴方が剣の封印を解くと仰るの? それは誘惑?
そんなことなら、すぐにも彼らを皆殺しにしてこなきゃいけないわ。
ギャラリーが多いのは燃えるけど、あんな風にいると戦うのに邪魔だもの」
$「いえ、例えばの話です。私が剣の封印をとくのは、今後、ただ一度きりのこと。
それ以外には、二度と剣は抜かない……そう誓いを立てましたからね」
195:第2部開始!
08/11/22 22:47:01 mgXO1meD
%「ホント、残念。貴方の剣が描く花は、とてもとても美しいのに」
$「貴女の股の間にある花こそ、この世でもっとも美しいと人々は噂していますがね」
%「残念ね、この花はわたくしを剣で打ち倒したものだけが拝むことができるの。
貴方が剣を抜かないというのなら、永遠に見ることは叶わないわね」
$「正直を言うと、それだけが唯一の心残りでね」
#「後悔は人生のスパイスというわ。悔いのない人生など、黒胡椒の入っていないスープも同じ。
わたくしとて、ただの女として生きていればと思う事がないと思って?」
$「不運にも、私は辛いものが苦手なので」
#「あら、甘党だったの?」
$「意外ですか? 私の家は戦争で親を亡くし、二人の姉との暮らしでしてね。
一番上の姉が毎夜、寝る前に入れてくれたホットココアは今も思い出の味です。
二番目の姉が教えてくれた、唇の甘い味わいとともにね」
196:第2部開始!
08/11/22 22:48:13 mgXO1meD
#「……その涙は、とても悲しいものだったでしょうね。
貴方に悪い悪戯をした、二番目のお姉さんは今、どこで何をしているの?」
$「行方は知りません。姉と私を置いて、家を出て娼婦になったと聞きました。
恐らく、今もどこかの娼館で働いているのでしょう」
#「必死に、貴方を探しているのかも知れないわよ。でも、7才のころ別れたままの弟。
顔立ちも変わる、手がかりがない。見つけても、名乗り出すことができない。
英雄になった貴方の名声を、地に落としてしまうのが怖くて」
$「そんな殊勝な姉であれば、あのような真似はしなかったでしょう」
#「人生には、間違いというものが往々にしてあるものなのよ。
剣一筋で生きられる男の貴方とは違って、女にはいろいろあるものだから」
$「貴女にも、多くの人生がおありなのでしょうね」
#「そう、わたくしもまた、娼館で働いていたことがあったわ」
$「これほど高潔で美貌の貴女が……? 王都にあるという王族専用の〈絢竜の花園〉でしょうか?」
#「いえ、わたくしがいたのは、うらぶれた田舎町の小汚い娼婦の館。
戦争で親を亡くし、女二人と弟一人、食べるものも着るものもない貧しい暮らし。
育ち盛りの幼い弟にまいにち、寝る前の一杯のホットココアを飲ませてあげたくてね……」
しかし、2人は気づいていなかった。
今まさに、自分たちが見下ろす戦場で、恐ろしい悪鬼が目覚めようとしていることに……。
197:創る名無しに見る名無し
08/11/23 06:42:11 80diQeR3
【西暦2010年 シアトル発007便 太平洋上空】
航空機の窓から流れる雲空の合間には、灰色の街並みが広がる。
照らされる太陽の光が機内で、眠りにつく一人の男の瞼をこじ開けるように照らす。
男はシートから身を起こし、ミネラルウォーターのキャップを捻り蓋を開けると
一口に含み周囲を見渡す。
清廉な容姿に流れるような金髪、その場から立ち上がった実業家風の青年男性は、
手荷物の中から顔に似合わぬ一振りの剣を取り出すと、その場でゆっくりと剣を抜いた。
一瞬場を包む静寂、乗客たちが次第に男の奇行に気付き始めると
客室搭乗員が男の前に駆け寄り話しかける。
「お、お客様一体何を!?」
「少しばかり空の散歩を……ね」
男の握る剣から奇妙な光が溢れ始めた瞬間、地鳴りのような音が機内を包むと
旅客機の機体が歪に捻じれ、壁面に亀裂が生じた。旅客機のコクピット内では
急激に高度を下げる旅客機に管制からの連絡が入り、機長が応対する。
「メイデイ! メイデイ! こちらシアトル007便、非常事態発生!
高度が上がらない……どうなってるんだ!?」
機長が慌しく緊急事態を管制室へと告げる、操縦をオートパイロットから手動に切り替え
操縦桿を起こすも、機体高度は上がることなく墜落し続けている。
高度を上げようと機首を挙げるにつれ機体は悲鳴を上げるように捻じれ
ついには機体が真っ二つに寸断され、海上へと墜落していく。
機体から投げ出された貨物がひらひらと舞い落ち、客室の乗客たちは
空へと投げ出されないようシートへとしがみつく、海面に叩きつけられ、
墜落した航空機内に海水が流れ込んだ。
『……この事故により383人中237人もの乗客が死亡
詳しい事故原因について生存した146名から事件直後の状況……』
「お母さんTVのチャンネル変えていい? 今日の占い気になる」
「どこのチャンネルも、昨日起きた事件の緊急速報よ
まったく、アンタは年中お気楽なんだから」
「きっと、お母ぁちゃんに、似たのねぇ」
茶碗を持った女子高生は箸をくるくると回すと味噌汁をすすり、
焼き魚を箸でほぐし口へと運ぶ、何の変哲もない母子家庭の朝の光景。
”九条由樹”は手元の携帯の時刻をちらりと確認すると、かきこんだご飯を喉に詰まらせ咳きこむ。
「何やってるの? もう少し落ち着いて食べなさい」
「友達と電車に乗り合わせる約束してるの、けんど間に合わんで!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
腰元まで伸ばした黒髪をひるがえし、少女は通学路を駆けだす。
あれから幾千年の時が流れ、砂の足場に組まれた日常が今、崩れ去ろうとしていた。
198:創る名無しに見る名無し
08/11/23 21:30:59 TQFjFAUM
さあ、頑張るんだ
199: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
08/12/17 21:50:55 qI2fP5Hw
投下に期待
200:糞スレ
09/01/02 09:38:02 qgLKdoo3
kusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokuso
kuso
kuso ~~~ 荒らし & AA諸君 思う存分 カキこ よろ ~~~
kuso ↓↓ここ ↓↓↓
kuso ブス45歳meramerakyarokyaro = chiharu24jp32転売目
kuso >>スレリンク(yahoo板)l50
kuso
kuso 荒らし & AA 自由演技 掲示板 へ 変更!!
kuso ここ 栄誉ある 「馬鹿&糞スレ}認定 記念
kuso 荒らし & AAアート フリーゾーン に 変更!!
kuso
kuso テーマ : 馬鹿&糞スレ だから それ見合ok
kuso
kuso キーワード : アート内に さらーり 混入 なお嬉
kuso 梨加 りか リカ ←これ必須ww
kuso 高田 ミトハウス 3675 麗奈(仮名)577 おばさん
kuso 芹沢 大蓮南 ババ― 181
kuso 子犬3匹 301号 ニュースキン 東大阪市 6725
kuso 弥刀 0825 おばちゃん 1丁目 近畿大阪銀行
kuso
kuso 注意点 : スレッドではkusoで発言
kuso >>1 ←糞スレ主 逆恨み
kuso >>1 ←無視、ムシ、虫、ムシ
kusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokusokuso
201: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/02/07 10:22:59 CetzBG/J
やたら懐かしい気持ちになるスレだな
ここもモエリーナ来てるし
202:10/26に名無し・1001投票@詳細は自治スレ
09/02/08 00:11:05 XoNkETVy
このスレに書き込もうとしたら
名前欄にこんなのが残ってた
203: [―{}@{}@{}-] 創る名無しに見る名無し
09/02/08 00:14:28 AF7fV2Ia
あるあるw
204:創る名無しに見る名無し
09/02/08 00:16:50 XoNkETVy
なんと4ヶ月前だよ!
205:創る名無しに見る名無し
09/03/10 19:06:29 PjX5KNH7
ファザコンのロゼ
URLリンク(218.219.242.231)
206:創る名無しに見る名無し
09/03/11 15:29:16 sI8BGx4B
うめええええ
がなぜこのスレ……
207:創る名無しに見る名無し
09/03/11 18:03:08 bAb23AII
小説書いた本人が挿絵描いて何か問題でもあるのかね?
208:創る名無しに見る名無し
09/03/11 20:46:10 lbwX5nkq
うますぎて吹いたw
209:創る名無しに見る名無し
09/03/11 21:32:22 06J+scdb
ちょwwwゲロ上手じゃんwww
210:創る名無しに見る名無し
09/03/22 14:17:33 coqyk9d4
880 名も無き冒険者 sage ▼ 2009/03/22(日) 14:16:07 ID:ibpkCI8L [2回目]
名無しの魔術だな
名前がないので、100人が1000人にも10000人にも見えてしまう
これを個々の田中さん、山田さんと置き換えていくと2ちゃん世論なんて何のあてにもならないのがよくわかる
メーカーも実際、2ちゃんなんて完全に捨て置いてるだろ?
211:創る名無しに見る名無し
09/03/23 08:04:06 vek3RtCQ
98 名無しじゃなきゃダメなのぉ! sage ▼ 2009/03/23(月) 07:47:59 ID:qzeTZfPf [2回目]
>>96
ハッキリ言おう、無いと
まず「外注」という時点で「そのゲームに何の愛着もない連中が書くわけ」
で、そいつらは当然請負会社だから「大量に並行して仕事をかけもちしてるわけ」
どうやっても、流れ作業で文字を埋めるような仕事になる
ライターだけは、本当に自社で育てるしかない
212:創る名無しに見る名無し
09/03/28 19:31:07 EMWGXQ9E
ま、自分の頭で考え、身をもって体験し、
それで感じた感動から言葉を発するんだな
それが本当の知恵であり、真実の言葉といえるだろうな
敵意100%の連中のネガキャンを鵜呑みにしてりゃ、世界は歪むばかりだぜ
213:創る名無しに見る名無し
09/04/01 13:25:11 Oh5xSXcn
答えがないのが真実
それでも人は己に問い続けなければならない、
― 考えろと
214:創る名無しに見る名無し
09/04/27 11:48:32 iwuE2WQC
>マクドと言う奴等には、マックは敵、と言っていた。
>関西のマクド派にとってマックは敵らしい。
たった少数の「マックは敵、と言っていた。」だけで
「関西のマクド派にとってマックは敵らしい。」という結論を導きだしてしまう
これがまさに2ちゃんの恐怖だね
215:創る名無しに見る名無し
09/05/26 01:43:31 Z76fqvMx
荒涼と広がる白い大地、いかなる生物をも拒絶する死の大地の中を、
二人の少年が歩き続けていた、見渡す限りに広がる土の上に倒れ込むと
流れ出す汗が大地に深く染みる。
フランティエ北領域に位置するオーキス自治領。
人々は未だ、争いを捨てきれずにいた。
【白い風】
岩を切り崩し建設された石造りの家屋が立ち並ぶ、北領大地オーキス。
かつて死の大地に沈んだといわれる、遺跡の発掘及び、希少鉱物の採掘により
低い食料自給率を補い、外部との交易により生活を支えている東連合の一国である。
北から吹き込む風により、痛んだ外壁に申し訳程度に付けられた門をくぐり
交易に訪れた者達が頻繁に行きかっている。
「……」
街の中へと行きかう人々の間を縫うように、無骨な鉄の塊に身を包んだ長身の女が
風に煽られぬよう覆っていた外套から少し顔を覗かせる。
「お嬢さん、表じゃ外套は脱がない方がいいよ
北から吹き込んでくる風に皮膚がやられっちまうからね」
「……お聞きしたいことがあるのだけれど」
女がそう言うと、話しかけた自警団の男は女が腰に下げた二振りの剣を目にやり言葉を返す。
「観光に来たって訳でもなさそうだが?」
「アヴロー家に用があるの……」
「アヴロー? あぁ、あの家の連中なら……」
男はそういうなり遠くに見える丘の上を指差した。
遠巻きから見える影は木で組まれた踏み台から首に縄がかけられ、
五人の家族が北の風に吹かれ静かに揺れている。
「”魔人”だったんだよ、知ってるだろう?
魔に魂を売った人間が、国主であるクロウリィと西大陸のカステルを謀殺したって話さ
おかげで東西戦争の講和は破綻、奴等の所為で大勢の人間が戦争で苦しんだんだ」
「子供まで吊ったの?」
「おいおい、あいつらは土塊で出来てるんだぜ?
人間じゃねぇんだ、何でも矢で蜂の巣にされて血の一滴すら流れなかったそうだぜ」
女はそこまで話を聞くと外套を再び羽織り、その場を振り返ることなく街中へと歩き出す。
重い足取りのなか、土を踏みしめる度に具足と剣が克ち合い、虚しく音を立てた。
宿屋の扉をくぐり、併設されているギルドに貼り出された依頼書に女が目を通していると、
受付に座り込んでいた老人は、久方ぶりの来客に慌てた様子で語りかける。
「ようこそオーキスへ、直ぐにこちらの登録を照会致します……お名前をどうぞ」
「ロゼ……」
女はそう答えるとその双剣を腰から降ろした。
216:創る名無しに見る名無し
09/05/26 01:44:23 Z76fqvMx
日は傾き夜の空に月が浮かぶ頃、頼りない蝋燭の光が部屋を照らし出す。
蟲の泣き声一つとて聞こえない静寂の中で
かすかな衣擦れの音を聞いたロゼは寝台から体を起こし音の方角へと声を向けた。
「……誰」
「夜分に申し訳ありません、クロウリィ元首の従者トットです」
軋む音をたて開く扉の向こうから見慣れた顔が覗くと
ロゼはその場で立ち上がり上着を羽織った。
「お久しぶり」
「ロゼさんもお変わりない様で……」
「そう? 割と背は伸びた方だと思うのだけれど」
「しかし、アヴロー家の方々は残念な事に」
従者がそう呟くと、ロゼは寝台の横に置いた水の注し口から
ゴブレットに水を注ぐ。
「……そうね、回収できなかった」
「まだ……魔と戦える程の力は戻らないのですか?」
「神剣は殺害した相手の魂を喰らうことで力を増す魔剣、魂を解放し、力を失った
今の私には武装した街娘ほどの力しかないわ……無理な相談よ」
そういうなり、ロゼは暫く振りに袂の剣を抜き、錆びた剣先に息を吹きかける。
神剣に封じられた数千に及ぶ人々の魂は開放され、かつて神剣使いに倒された者達は
魔の力を経て魔人となり、第二の人生を得て各地へと旅立っていった。
「で、では、また魂を集めれば……」
「もういいのよ……人の命を犠牲にして魔を倒す力なんてもう必要ない……」
「しかし、魔を倒し、封じる事ができるのは”神剣使い”だけです!」
「なら……私を殺しなさい」
そう言うとロゼは袂に掴んだ剣をトットヘと差し出す、
決意にみちた眼差しがその発言に偽りがない事を示していた。
「……そ、それは」
「私を殺せば貴方が”神剣使い”よ、この呪いはそう作られているのだもの」
「……」
「気に病む必要はない、平和は犠牲の上でしか作られないのだから
誰だって生存競争の中で誰かを捧げて生きているでしょう?
貴方の主であるクロウリィだって……私の中で生きている」
トットは震える手で剣へと手を伸ばすと、汗の滲んだ顔を腕で拭った。
「……で、できません」
「ふふ……ただの冗談よ、”おつむの足りない”貴方に
最初から期待なんてしていないわ」
「!?」
凍てつくような微笑を湛えた女がかつての従者と向かい合い薄く笑う。
女は窓際から覗く白い大地に浮かぶ月を望むと
掌から立ち上る青い炎を揺らしながら呟いた。
「自らの手を汚すことなく戦うのは、卑怯者のやること……か」
217:創る名無しに見る名無し
09/06/02 20:48:42 P+pdYmng
固有名詞がたくさん出て混乱するが、これは面白そう
重めの雰囲気がいい味出してるな
でもなんでこのスレでww
218:創る名無しに見る名無し
09/06/04 20:07:33 om6eblbX
普通は先に話を作ってから漫画を描く
>>40の漫画
URLリンク(www5c.biglobe.ne.jp)
>>197の漫画
URLリンク(www5c.biglobe.ne.jp)
219:創る名無しに見る名無し
09/06/04 22:59:58 vsM7X9gq
なんか濃い漫画キター
220:創る名無しに見る名無し
09/06/05 16:45:16 KJbW+Iz3
>>218
両方ともおもしろかったー!
221:少年A ◆lDWSbsWJ/k
09/06/21 19:46:25 uSeA8x/i
こんな詩
あの子は凄く文学家で
僕なんかよりも
たくさんの詩を読んだり書いたりなんかしていて
廊下ですれ違うときなんか
きっと僕の心をひょひょいのひょい と
お手玉のようにしてもて遊んでいるんだ
僕がクラスの仕切り屋に苦笑いをするときなんか
きっと僕のことを
なんて太宰治みたいに
八方美人な人なのかしら
なんて思っているんだ
いつかの国語の時間に
僕の詩が発表されたときなんか
その秀でた文学力で
きっと僕がこんな詩を書いてるなんてことは
すぐに気づいただろうな
ああ
あの子もこんな僕の詩を
書いてはいるのだろうか
いや あの子は凄い文学家だ
こんな心理的な
こんな詩なんか
あの子はとうの昔に
書いてしまっているはずだろうな