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福岡の百貨店「井筒屋」、正社員の2割の希望退職募集
業績が低迷している百貨店の井筒屋(北九州市)は9日、借入金の返済を先延ばしする金融支援策と経営再建計画を正式に発表した。
再建計画では人員削減や資産売却を進める方針で、3月に正社員の約2割にあたる240人の希望退職を募る。
JR小倉駅前の「コレット」などで、売り場を自前で運営せず、専門店に貸し出す割合を増やす経費削減策も打ち出した。
中村真人(まこと)社長(66)が業績低迷の責任を取って退任し、後任に黒崎店長の影山英雄執行役員(57)が就く人事も正式に発表した。
3月1日付。
希望退職は3月中に、4月30日時点で38~58歳の社員約1千人を対象に募集する。
同日付の退職で、退職金は積み増しする。
井筒屋は1995年と2005年に希望退職を募集したが、今回が最多だ。
本店、黒崎店(いずれも北九州市)など百貨店5店は「閉鎖しない」(中村社長)としている。
このうち、赤字のコレット(同)や山口井筒屋(山口市)は人件費を抑えるため、売り場を外部の専門店などに貸し出す割合を増やし、従来の百貨店方式からの転換も検討している。
財務体質を改善するため、土地・建物などの資産売却は進める方針。
福岡や大分県内にある16の小規模店は採算を見極めたうえで整理・再編する可能性がある。
金融支援は、融資を受けている16の取引金融機関との間で計367億円の借入金の元本返済を来年2月末まで猶予することで合意した。
猶予期間は金利分だけ支払う。
毎年計40億~50億円を返済しているが、この返済を1年間先延ばしすることで、手元資金を増やす。
主取引銀行の山口銀行(山口県下関市)、福岡銀行(福岡市)など4行はリストラ費用のため、計数十億円の追加融資に応じる。
井筒屋は9日、10年2月期連結決算の純損益を昨年10月予想の1億円の黒字から30億円の赤字予想に修正した。
2期連続の赤字になる見通し。
同社は昨年、久留米井筒屋(福岡県久留米市)などの不採算店を閉め、夏と冬のボーナス支給を見送るなど経費節減を進めてきたが、不況による消費低迷で売り上げが伸びず、業績低迷が続いている。