08/11/17 23:03:38
○黒岩宇洋君 更にちょっと深く議論を進めたいんですけれども、十三条に国民の責務という条文がございます。
これについては先ほどの議論の中で努力規定という表現が提案者の方から聞かれましたけれども、
しかしやはり国民の責務ときっちりうたっているわけでございます。
そこで、私は、やっぱりこの健全な食生活に努めるという責務、これをやはりなぜ国民は負わなければいけないんだろうと。
更に申しますと、先ほどの栄養のバランスとか安全というこの面だけでいえば、
やっぱり健康ということに着目しているんだと思うんですね、この健全な食生活。
裏を返すと、不健康でもそれは自己責任じゃないかという、こういう議論もまたあるわけです。
そして、やはり自分が自分の健康を害することに対して何らかの制約を課す、これは法律用語でいいますと自己加害の防止という、これパターナリスティックな制約といいますね、パターナリスティックな制約。
で、自己加害に対して国家が公権力として介入するのは原則許されないわけですね、これは法律論として。
例えば未成年者の飲酒とか喫煙、これはもう典型的なパターナリスティックな制約ですけれども、これはやはり未成年の人格的自立の助長や促進というものに関しては、
限定的だけれどもこのパターナリスティックな制約は認められるであろうという、これが一つの法律の議論なんです。
そこで考えますと、小坂先生先ほどおっしゃられた、生活習慣病で非常にまた医療費の大半を占めると。
ですが、確かに我が国、今財政が乏しい中で医療費によって非常に圧迫されていることは事実ですが、少なくとも、WHOの試算によりますと、GDPに占める医療費というのは先進諸国でたしか最低ですよね。
もう後藤田先生もお詳しいと思いますけれども、一番低いわけですよ、最低水準。
それでいて最高の長寿を誇る我が国と、こう考えますと、今言った不健康も自分の自由だろうというのもちょっと乱暴かもしれませんけれども、
私は自己加害の防止の制約にしてはかなり過大なものではないかと、かなり自由の制約が強いんじゃないかと、そういう認識があるんですけれども、いかがでしょうか。