08/11/15 21:24:46
>>383
今年は標準的な問題になりましたが、問題45に限っていえば、
問題として不適切であったと考えます。
不動産賃貸借における賃料の不払いを理由とする債務不履行に基づく解除の場合(415条)と、
賃貸借の無断譲渡・無断転貸借を理由とする解除(612条2項)について、それぞれ解除の根拠条文が
異なるにもかかわらず、まとめて解答させようとしているからです。
不動産賃貸借における一般的な債務不履行に基づく解除は、当事者(賃貸人と賃借人)間の
信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは、賃貸人は解除権を行使できない
とされるのに対し(最判S39.7.28、最判S37.6.26など)、賃貸借の無断譲渡・無断転貸の場合は
(これも広い意味では債務不履行による解除ですが)、当該行為が賃貸人に対する背信的行為(背信行為)
と認めるに足りない特段の事情があるときは、解除できないとされます(最判S28.9.25、最判S41.1.27)。
無断転貸借等では「…特段の事情があれば解除できない」とされていますから、原則は解除できる、そのため、
「背信的行為と認めるに足りない特段の事情」については、解除を阻止したい賃借人の側で立証します。
これに対し、一般的な債務不履行の場合は、解除したい側(賃貸人)において「信頼関係を破壊するおそれが
あること」を立証します(正確には、最判S39.7.28の事例では、解除しても信義則に反しない特段の事情のある
ことを賃貸人が立証するとされます)。
試験委員が、一般的な債務不履行解除と賃借権の無断譲渡・無断転貸による解除とを、一くくりにして「信頼関係破壊の理論」
を答えさせるというスタンスで出題するのは、あまり適切ではないといわざるを得ないと思います。
正式な正解は発表までわかりませんが、いずれかの判例に沿って解答していれば正解になると思われます。