09/10/09 22:25:36 cDA+Bko1
「あのな、ここらへんは実はわしの土地なんや」
さすが大企業の社長、と秘書が驚いていると幸之助氏はさらに続ける。
「今からゆく料亭も、実はわしのもんなんや」
はあ、料亭も! と秘書が驚いていると突然幸之助が笑い出した。
「面白いやろ、君! そう考えたらなんか気が大きくならんか?」
これは冗談だったわけだが、幸之助氏は続けて秘書にこう諭す。
もしここらへんの土地が自分のものだったら、前を走る車も邪魔には思わないだろう。
自分の料亭の酒や料理は大事にしよう、と思うだろう。
自分の土地だからタバコを捨てたりしないだろう。
そして突き詰めて考えると
「みんなのものは自分のもの、自分のものはみんなのもの」という哲学にいきつく。
私心一色になりがちな企業経営もそう考えると会社は社会のもの、という考え方ができるのだ。
秘書はこの一件で彼の経営哲学を聞いたのだった。
幸之助氏の指導にはこうした「こう考えるといいですよ、こう考えると楽ですよ」
というものが多かったという。