08/11/27 09:17:53 0
ほのぼのするような話、泣ける話、あなたが聞いたり体験したイイ話ありませんか?
伝聞創作ガイシュツOKです。
例
ダウニング街の朝は早い。マシューズと呼ばれるその男性は、ビルに向かうでもなく
街の片隅にある人気の無いゴミ置き場へと足を運ぶ。彼はゴミ収集をなりわいとする、いわゆる「ホームレス」だ。
朝の5時20分、クリスマスを目前に控えたその日も、そこには目ぼしい物はなかった。
かつて野菜の仲買人だった彼は仕事に誇りを持っていた。なぜならそれで生活が出来たからだ。
自分の店を持つのが彼の夢だったが、その夢は22才でタクシーにはねられた時に消えた。
彼の左半身はほぼ感覚がなく、脊椎には金属が入っている。
訴訟の時に彼はよくわからないままに書類にサインをし、1000ポンドばかりの金を手に入れた。
だが、かわりに職を失い、数年も経たず得た金も全て無くなった。
今年で63才になるマシューズに家族はいない。
寝床は大家と住人の好意で置いてもらっている安アパートの廊下の上だ。
そしてクリスマスの朝も、マシューズの姿は日課となったゴミ置き場にあった。
「メリークリスマス、マシューズ。今日は何かいい物はあったかい?」
顔なじみのスコットランド・ヤードの警官が声をかける。
「七面鳥は見つからなかったが、かわりにこいつを見つけたのさ」
彼はニヤリと笑うと、白い粉が入った大量のビニール袋を汚いバッグから取り出して見せた。
市場への麻薬の流出を未然に防いだ彼を、人々は敬意と親しみを込めて「サー」の愛称で呼ぶ。