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『変わるコア事業(2)日本電気硝子、巻けるガラス―液晶薄く、広がる用途』 2009/03/03 日経産業新聞
「巻けるガラスがあるのか」「フィルムみたいだ」。昨秋、横浜で開かれた展示会で日本電気硝子のブースに人だかりができた。
展示物はロールに巻き付けた状態の厚さ百マイクロ(マイクロは百万分の一)メートルと五十マイクロメートルのガラス。
液晶用基板ガラスの製造方法を応用した。
展示会の後、岩手大学の馬場守教授から声がかかり、世界最薄クラスのガラス基板の薄膜リチウムイオン電池の開発も始まった。
ガラスの平滑さが薄膜形成に適しており、今後はロールで巻き取りながら連続成膜するなどの量産技術を研究する。
厚さを毎年五割削減するのが現在の目標。技術の限界を超えると、利用方法は飛躍的に広がる。
ブラウン管用ガラスから液晶用基板ガラスへ―。日電硝が主力事業の転換を加速している。二〇〇八年三月期実績で
液晶関連はディスプレー用ガラスの売上高(二千八百四十八億円)の四分の三程度を占めたとみられる。
かつての屋台骨であるブラウン管が全盛期だった〇一年三月期と比べると約十倍になった。
同社のブラウン管用ガラスの歴史は一九六五年までさかのぼる。テレビ需要が伸びる中、真空管の製造技術を生かせる分野として参入。
七〇年代にソニー向け超大型ガラスの開発に成功すると評価が高まり、〇一年三月期にブラウン管用ガラス事業は売上高でピークを迎えた。
世界シェアは三分の一を占めた。
表面的には市場は絶好調だったが、技術面で地殻変動は起きていた。技術革新で北米の小売店で液晶テレビ価格が下落し、
より安い価格帯のブラウン管による下値圧力が強まった。「ブラウン管は液晶に押しつぶされる」との危機感が高まる中、
井筒雄三社長が陣頭指揮を取って液晶用基板ガラスへの転換を進めた。