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クリスタル買収の舞台裏で
折口は1年ほど前からクリスタル買収に関心を持っていた。事態が動いた
のは昨年10月2日のことだった。 「もう、手放すしかないな」 クリスタル
創業者の林純一は周囲にこう漏らした。翌日には、クリスタルグループ
中核企業のコラボレートに、大阪労働局から偽装請負によって事業停止命令
が下されている。偽装請負とは、契約上は「請負」として業務を
一括受注する形を取りながら、実際は労働者を送り込むだけの「派遣」として
働かせる違法行為だ。 売り上げ規模5000億円という巨大な未上場企業クリスタル。
林の夢はクリスタルの株式上場を果たすことだった。しかし、事業停止命令
によってその実現は難しくなった。 林は懇意にしていたクリスタルの
メーン銀行OBに売却先を探す仲介者となることを相談した。ある人材大手は
1000億円を提示した。しかし林は、あくまでも同業以外への売却にこだわり、
仲介者を通じて新たな買い手を探すことにした。 仲介者が見つけてきた
売却先が「コリンシアンパートナーズ」という投資ファンドだ。10月31日、
林自身と林の資産管理会社が持つクリスタル株90.92%などをコリンシアンに
500億円で売却した。 コリンシアンの大口出資者が実はグッドウィルだった。
グッドウィルは100%出資の「人材サービスファンド」という投資ファンドを
設立、そのファンドがコリンシアンに約75%出資した。その際、グッドウィル
は883億円を払い込んでいる。 コリンシアンの残り約25%分を持つ人物の
出資額は303億円、つまりコリンシアンには総額1186億円が集まった計算に
なる。クリスタルの元オーナー、林に株式の代金500億円を支払った後にも、
コリンシアンには686億円の現金が残る。
昨年12月28日。突然、グッドウィル100%出資の人材サービスファンドは
コリンシアンが運営する投資事業有限責任組合から脱退する。
脱退に当たってグッドウィルは人材サービスファンドが持っていた
クリスタル株のすべてを受け取った。通常、こうした形で脱退する際には
現金の分配も受けるはず。折口にそう聞くと、「当初から、株式の
取引だけに関する契約となっていた。現金の分配は対象外だった」と
説明する。