08/07/23 23:30:15 VgEqel8X0
獣を狩るその狩人は、無人の山脈をただ独り駆けていた。
その狩人は他の追走を赦さなかった。王国や帝国はおろか、共和国の将ですらも。
彼に並びうる白金(しろがね)の獣は、今は未だ雌伏の時を過ごしている。
狐を狩るその傭兵は、寂寥たる荒野でただ独り佇んでいた。
紫煙をくゆらせながら後方を見やるも、共和国の将は影も形も見えない。
共和国は、光速の女騎士が帝国に通じていたとの報に大きく揺れていたのだ。
竜を狩るその勇者は、邪神の一柱にただ独り戦いを挑んでいた。
働かずして利を貪るを是とするその邪神は、世界全体を食い荒らす敵である。
その邪神を信奉する多くの邪教徒達が、永久の海路へと追放された。
屍を狩るその記者は、帝国と王国の皆の平和の架け橋になっていた。
王国軍で元気な姿を見せた記者に、帝国兵までもが歓喜の声を挙げたのだ。
なぜなら、彼は二度と戦えぬ体になったのではという噂があったからだ。
この世界では全ての将が、自分なりの栄光と勝利を求める狩人である。
願わくば全ての将が、望むものを手中に収めんことを。