09/06/06 11:41:55
国交省/共同住宅-所有・利用の分離方式検討/初期コスト減、管理も容易
国土交通省は、共同住宅の土地・建物について、所有権と利用権を分けて設定し、
住民が利用権を購入して居住する新たな事業スキーム「リースホールド型(利用権方式)共同住宅」の検討をスタートさせた。
同省は、多世代にわたって利用できるような性能を持つ住宅の整備に向けた検討を進めており、
実現には新築段階でのコスト増への対応や、長期にわたる管理の適正化が課題。
このため、現行の区分所有方式とは異なる新たなスキームの導入可能性について、
事業の採算性や、金融・法制度、管理などの観点から多面的に検討する。
利用権方式は、住宅を供給する事業者が土地と建物を所有し、
居住者は、建物のスケルトンとインフィルについて一定期間自由に利用できる権利(建物利用権)を購入するという方法。
現行の区分所有方式のマンションと異なり、所有者が単独の事業者になるため、管理などに関する意思決定が容易になるほか、
居住者には、利用権を取得するため間取りや内装の自由な設計ができるといったメリットがある。
所有と利用を分離することで、供給者、利用者とも、初期取得コストを軽減できるのも利点だ。
一方で、事業の採算性や、利用権購入者への融資の問題、法制度上の課題もあるため、
国交省は本年度にヒアリング調査を行い、来年度に有識者などを交えた検討を進める。
現在の分譲マンションでは、維持管理に無関心な所有者が増えて管理組合が機能しなくなったり、
適切な維持管理が行われなくなったりするケースが少なくないとされる。
住民の高齢化や、賃貸住戸の増加などで、管理放棄されるようなマンションが今後増える懸念があると同省はみている。
現行の区分所有方式では、建物の維持管理や大規模改修などには一定以上の所有者の合意が必要で、
多くの所有者が無関心になってしまうと対応が難しい。
こうした現状を踏まえ国交省は、多世代利用型超長期住宅などの形成に関する総合技術開発プロジェクト
(多世代利用総プロ)の一環として、新しい事業スキームの調査研究に取り組むことにした。