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失われたGDPを取り戻す秘策 若田部昌澄(早稲田大学教授)
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次に、これを取り戻すのに明確な期限を設ける。私としては、名目GDPを5%成長させる目標を
最低2年間継続することを提唱したい。これでだいたい50兆円くらいを埋めることができる。
目標を決めたあとは、政府と日銀の密接な協力が必要不可欠である。これまでの経験から、
財政だけの単騎出動は討ち死にのリスクが高いだろう。円高が進み、最後は元の木阿弥になる
からだ。だから財政と金融が一緒に出て行くことが大事である。
とはいえ、金利も低く金融緩和の手段に乏しいという意見もあるだろう。そこで財政支出と組
み合わせる。たとえば年間25兆円の財政支出を政府が決め、その財源として危機対策特別
国債を発行する。その国債は日銀が直接引き受けをすればよい。
ただし、財政支出といっても従来型の公共事業はやめたほうがよいだろう。先の政権の補正予算
でもかなり無駄な事業が計上されてしまった。それよりも、貧困層への給付、子供の貧困への手当、
あるいは社会保険料の徴収免除などがありうる。これに諸外国並みの法人税水準への減税を加え
てもよいかもしれない。
この政策は一石三鳥である。すなわち、景気安定政策というだけでなく、経済成長率を前面に押
し出すことで経済成長重視を訴えると同時に、かつ財政支出を貧困層に手厚く支出することで所得
再分配にもつながりうるからだ。