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給料差し押さえ 困窮者が悲鳴 振り込み当日 徴税相次ぐ
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生活を守るために税法で禁止されている給料の差し押さえを、事実上、全国の地方自治
体が行っている。給料は預金口座に振り込まれた瞬間に差し押さえ可能な「一般財産」にな
る、とする最高裁判決が論拠だ。だが、困窮状態で残高のほぼ全額を差し押さえられ、訴訟
や自殺未遂騒ぎにまで発展するケースもある。識者の中には、憲法違反との指摘や、法整
備を含めた対策を求める声もある。
河北郡主婦『私が悪いけど…』
「あれ、給料がない」。昨年十月三十日、石川県河北郡の主婦は銀行ATM(現金自動
預払機)の表示に目を疑った。この日、夫の給料約十八万九千円が振り込まれたはずなの
に、残高はわずか二万円余り。実はその朝、県税事務所(金沢市)が、住民税の滞納分とし
て約十六万八千円を差し押さえていた。
滞納は夫が転職した二〇〇五年後半から。給料から天引きされずに滞納通知が何度か
届いたが、「仕組みが分からず、後回しにしてしまった」と悔いる。
〇八年秋以降、夫の勤める工場は自宅待機が増え、月十万円も減収。生活費は底をつ
き、預金がほぼゼロになることもあった。給料日直前の残高はわずか六円。就学前の幼児を
抱え、次の出産を二週間後に控えていた。
「分割で払いたい」。すぐに県税事務所に電話で家計事情を説明したが、取り合ってもらえ
なかった。「もともとは私が悪い。でも、もう少し話を聞いてほしかった」と話す。
「生活相談は福祉課の仕事で、こちらは滞納を減らすのが最重要課題。心を鬼にしないと
徴収できない」と県税事務所。県内の個人住民税滞納額は約二十四億七千万円(〇八
年度)、全国では約八千二百五十三億円(〇七年度)だった。
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同様のケースは全国各地で相次ぐ。群馬県の男性は〇八年五月、給料日に振り込まれ
た約二十万円を町に差し押さえられ、残高はゼロに。処分の取り消しを求め、前橋地裁で
争っている。三重県では昨年七月、給料日に預金全額を差し押さえられた女性が町役場で
油をかぶる騒ぎも。抗議自殺するつもりだったと話したという。(ry