09/11/03 06:19:10
何が銀行を中央銀行たらしめるのか?
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という問いに対し、NickRoweが、それは通貨の発行権などではなく、負債の換金義務を負わないことである、と論じている。
Roweは以下のような仮想例を提示して議論を展開している。
銀行Aと銀行Bが共に紙幣を発行する。Bは自行の紙幣をAの紙幣に額面で交換する約束をするが、Aはそのような約束はしない。
当初5%であった金利について、Aがそれを4%に引き下げる一方、Bが5%を維持するものとする。
すると、Aから4%で借り入れ、BでBの紙幣に額面で換金し、Bに預け入れる預金者は、無限の裁定機会を得ることになる。
その無限の裁定によりBは無限の損失を負うことになってしまう。
それを避けるには、額面での換金を停止するか、金利を4%に引き下げるしかない。
また、Aが5%の金利を6%に引き上げる一方、Bが5%を維持した場合を考える。
今度は、Bから5%で借り入れ、BでAの紙幣に額面で換金し、Aに預け入れる預金者は、無限の裁定機会を得ることになる。
その無限の裁定によりBは無限の換金を要求される。
それに応じるため、BはAから紙幣を6%で借り入れることを余儀なくされ、5%の貸出金利との差により無限の損失を負うことになってしまう。
それを避けるには、額面での換金を停止するか、金利を6%に引き上げるしかない。
つまり、Aに金利を定める能力を与え、Bにそれへの追随を余儀なくさせるのは、換金義務の非対称性である。
これによりAは中央銀行の地位を得て、利益を追求する(ないし損失を回避する)Bは、その下での商業銀行となる。