09/05/09 08:26:37
「オーカンの法則」(米国での経験則)は日本経済にあてはまらない
エコノミストたちのあいだでは、よく知られていることであるが、米国のオーカン (オークンとも発音する)という著名な経済学者の計測によって
米国経済では、就業率が1%上昇(したがって失業率が1%減少)した場合には、それに応じて平均労働時間もある程度長くなる傾向があり
人々の労働参加率(すなわち労働力率)も高まって労働力人口それ自体もやや多くなり、そして、労働生産性も上昇して、結局、実質GDPが3%程度上昇することになる
という経験的な法則性があることが、明らかになっている。これが有名な「オーカンの法則」であるが、この米国についての経験則で見た場合には、この3%の実質GDPの上昇率のうち
生産性の上昇率が占める割合は約1%、すなわち、三分の一程度であるとされているのである。
ところが、付表2が示しているように、わが国の場合は、実質GDPの伸び率に占める労働生産性の伸び率の割合が、「1980~90年では74%、
1980~95年では82%、そして、1980~2000年の期間で見てみると88%にも達していて、非常に高い。すなわち、わが国の場合には、実質GDPの伸び率のうち
生産性の伸びによってもたらされている割合が.オーカン氏が計測した米国経済についての経験則などは全く問題にならないほどに、きわめて大きいわけである。
1995~2000年の期間にいたっては、実質GDPの伸び率よりも生産性の伸び率のほうがずっと高い(1.26倍)といった驚くべき結果になっているのである。
だから、近年のわが国では、失業が増えつつあろのだということにもなるわけではあるが、しかし、なんといっても、実質GDPの大部分を生産性の向上によって生み出してきているということは
わが国の経済の、おそらく世界無比いってもよいほどの優れた特性である。この点に着目してみても、わが国の市場経済の効率はきわめて高いことが明らかであり、
政府が(すなわち官僚たちが)「構造改革政策」などで干渉する必要などは、全くないのである。
URLリンク(homepage2.nifty.com)