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★資本主義はなぜ自壊したのか 中谷厳著 1/2
池田信夫Blog 2008-12-22 / Books
著者には学生時代からお世話になったので、こういう記事を書くのは心苦しいが、率直にいって
8年前の本あたりからおかしくなったといわざるをえない。本書は、経済学者が書いたとは
信じられない本だ(画像にはリンクを張ってない)。たとえば、著者はこう書く:
シニョレッジ(通貨発行益)が発生するのは、基軸通貨だけである。たとえば日本の円は
国際間の取引に使われることはまずない。だから日本が1万円札をいくら刷ったところで、
それでシニョレッジを稼ぐことはできないのだ。(p.358、強調は引用者)
このためアメリカは「ドルを過剰に印刷してシニョレッジを稼ぐ誘惑」に勝てず、それがインフレを
起してドルの暴落をまねく・・・と続くのだが、「円が国際間の取引に使われない」のなら、
外為市場は何のためにあるのか。ドルを印刷するだけでインフレになるのなら、アメリカの
デフレはとっくに終わっているだろう。シニョレッジについては、たとえば高橋洋一氏はこう書く:
貨幣部門の超過供給は、広義の政府部門(政府と日銀)の通貨発行益(シニョレッジ)を生み、
それが非貨幣部門の超過需要となっています。(p.111)