08/10/16 19:34:35
この政治・政策的空白を考慮してか、日銀が、今まで30兆円だった資金供給枠の
上限を32兆円まで引き上げるという更なる金融緩和に踏みきったが、これは昨今
の円高に対しての措置という位置付けになっている。確かに目標としては、円高が
進行して今の外需主導の景気回復が腰砕けにならぬよう出来るだけのことをしよ
うという気持ちを持っていると思われるが、果たしてこの2兆円が有意義かどうかは
全く別問題である。というのも、バランスシート不況下の今の日本には独立した金融
政策は存在せず、日銀の政策がどのくらい効果を持つかは、実は政府の財政政策
にかかっているからである。
この点を理解するには、日銀が供給する流動性(ハイパワードマネー)によって市中
に出回るお金つまりマネーサプライが何倍にも増える信用創造の仕組みを確認して
おく必要がある。日銀が金融政策を緩和して新たなハイパワードマネーを銀行へ供給
すると、それを受けた銀行は、その一部を払い戻しに対する準備金として手元に残し
ておくが、残りの大部分は民間企業に貸し出す。すると、貸出されて使われたお金は
どこかの預金となって再び銀行部門へと戻り、その預金を受けた銀行は、また企業へ
と新たな貸出しを行う。このプロセスが何度も繰り返されることで、元々日銀が供給し
たハイパワードマネーが次々と預金(と貸出し)を作り出して何倍にも膨らみながら、
経済を循環していくのである。そして、ここで作られた預金の合計をマネーサプライと
呼ぶ。