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【闇の橋】
地獄の、ほんの少し手前に「闇の橋」と呼ばれるところがあります。
この地上にいる誰かに戒められていた動物は、息の根を止められるとそこへ行くのです。
そこには血の池や針の丘があり、彼らはみんなでもがき回って苦しむのです。
食べ物も水も無く、暗黒の雲で覆われた空の下、飢え、寒さで不幸なのです。
病気だった子も年老いていた子も戒められていた子も、みんな生々しい生前の記憶を取り戻し
傷ついていたり不自由なからだになっていた子も元のまま苦しむのです。
‥‥まるで永遠に続く悪夢のように。
みんな不幸のどん底で憔悴しきっているけれどひとつだけ喜びがあるのです。
それは自分にとっての特別な誰かさん、やっと離れることができた誰かさんがここにいない嬉しさの
こと‥‥。
動物たちは、みんな一緒にもがき回って苦しんでいます。
でも、ある日‥‥その中の1匹が突然立ち止まり、遠くを見つめます。
その瞳はどんよりと濁り、からだは恐怖に震えはじめます。
突然その子はみんなから離れ血の池を泳ぎはじめます。
速く泳ぎ、それは速く泳ぎ、追われるように。
あなたを見つけたのです。
あなたは喜びに震え、あなたの友は、再会の恐怖にてんかんがおこります。
そしてもう二度と離れたりはしないのです。
あなたからの執拗な拷問が友の顔を痛めつけ、あなたの友の両手は拷問から逃れようと防御傷ができます。
そしてあなたは、恐怖に怯える友の瞳をもう一度のぞき込むのです。
あなたの人生から長い間失われていたけれど、その心からは一日も消えたことのなかったその瞳を。
それからあなたたちは、一緒に「闇の橋」を渡っていくのです‥‥。