09/03/08 11:19:26 XP+9i/D9
20XX年、8X歳のモリシゲは、東京都内にある自宅の大広間で、危篤状態にあった
布団に横たわる彼を取り囲むかのように、親族が20人余りも詰めかけている。
「おじーちゃん、死んじゃヤダー」
「おお・・おまえか・・・おじいちゃんはな、十分に生きて天国に行くんだから、
安心しておくれ。おばあちゃんと結婚して50年以上仲良くやってきて、こんなに
沢山の子どもたち孫たちに囲まれて、本当に幸せな一生じゃったよ。だから何~にも
心配は・・・」
「ご臨終です」
モリシゲは、最後の言葉を言い終わらない内に事切れた。軽くすすり泣く者、まだ
実感が湧かないのか、放心したように遺体を見つめている者・・・誰もがその死に
より、自分でも気付かなかった何らかの感情に揺り動かされていた。
しかし一同のちりぢりの思いも、モリシゲの満足をたたえた安らかな死に顔に大いに
慰められ、少しずつ平静に戻っていった。故人の満ち足りた一生を思い起こすにつれ、
共通の暖かい感情が、その場を包み込んでいった・・・