08/12/20 02:11:42 liQtc6uH
テーマ:鼓動感という価値観の訴求と狭角Vの存在意義
「鼓動感=爆発力と失速の割合」
この公式からは、鼓動感を求めるにはエンジンが狭角Vである必要性は無い。
わざわざ挟み角を52度にして、クランクに位相を付ける必要もない。
オーソドックスな90度Vでじゅうぶんだ。
ではなぜホンダはブロスに狭角Vを載せたのか。
最も大きな特徴は、V型の欠点である、エンジン前後長の短縮だろう。
実際ブロスのエンジンも、ビッグシングルのキャブレタースペース程度の位置に
リヤバンクを配置し、非常にコンパクトでネイキッドらしい外観を実現している。
しかし、4気筒全盛の当時、カタログスペックで劣る2気筒でスポーツを訴えるには、
乗りやすいツーリングバイクという前置詞を付けざるを得なかった。
そのためキャスターは寝かされ、ホイールベースは延ばされ、エンジン前後長の短さ
というメリットは、このオートバイにおいて語られることは無かった。
そして、後にドカの916が登場し、空前のツインスポーツブームが来るが、
ホンダがVTR1000Fに用意したのは、コンベンショナルな同軸90度Vだった。
ホイールベース短縮は、サイドラジエータとピボットレスフレームで対応した。
これにより、狭角Vエンジンの存在意義は限りなく薄いものになってしまった。
しかし、このリッターツインのドライバビリティは悪かった。
ビッグボア×ショートストローク、キャブは専用開発の超大口径、超高回転型ツイン。
しかもフレーム・エンジン・補機類など、カウルの内側は見せられたものではない。
そのためこのエンジンは汎用性が低く、バラデロでは車体側の苦労が各所に見られる。
このエンジンでネイキッドなど作りようも無い話だった。
狭角Vは、ネイキッドに搭載して初めて、その素性の良さがわかるのだろう。
今年はハーレーの大きい方のスポーツスターが復活した年だ。
今こそ空冷140kg0馬力以下/5000回転で。