【ジャップス?】日本のプログレを語るPart3at PROGRE
【ジャップス?】日本のプログレを語るPart3 - 暇つぶし2ch480:名無しがここにいてほしい
06/12/18 07:29:13 DrAuqnxW
それは、僕がまだ駆け出しの頃 あるバーのカウンターの片隅でひとり泣いている女性に出会った。
「どうしたのだろう」そう思いながらも、声を掛けることはできずにいたのだが
しばらくして店を出ようとした彼女は、僕の背中に倒れこんできたのだった。
足元もおぼつかないほど、ひどく酔っ払っていた彼女は「ごめんなさい」と言って
立ち上がろうとしたのだが、完全に酒が回っていて立つ事すらできなかったのだった。
こうなると、黙って見ている事はできずに、僕は自宅マンションに連れ帰る事に
なってしまったのだ。
そして、その夜から 二人が深い関係になるには そう時間はかからなかった。
二人は、時間のある度に、いろんな所へ出かけていった。
周囲の誰がみても「恋人」と呼ばれる関係に見えたのだろう。
当時、僕は友人からアメリカ行きを強く勧められていた。
アメリカで働く友人が、僕に仕事を手伝ってほしいと何度も誘ってきていたのだ。
名を挙げるチャンスがある・・・そう言われても、もうひとつ踏ん切りがつかなかった。
僕は、その彼女に夢中になっていたからなのだろうか・・・
でも、僕は その彼女の素性も何も知らなかった。
彼女は、週末の夜になると僕のマンションにやってきて 夜を愉しむと
翌日の夕方には、知らない街へ帰ってしまう。
時折、「送っていこうか?」と声をかけても 彼女はそれを断ってばかりだった。
僕は、そんな彼女のすべてを知りたくなって ある日 友人の興信所に
調査依頼をかけたのだった。
その彼女が、何者なのかがわかるまでには そう時間はかからなかった。
彼女は、或る住宅地に住んでいて、人妻 二人の子持ちであった。
しかしながら、彼女の夫は事故で半身不随になっており、車椅子生活を余儀なくされて
今は、夫の両親と共に介護の生活であった。
僕は、知りたくない事実をしってしまった気がした。
僕との、激しい情事の訳が 少しわかった様な気がした。
まだ、30台半ばであったろう彼女の中のオンナが、僕との中で目覚めていたのだ。
僕は、ひどく迷ったが 彼女の帰った街へ車を走らせた。
彼女の自宅付近に車を止めていると、前方から車椅子を押した彼女と子供二人の
姿が近づいてきた。
僕は、平静を装った顔で 彼女に「あのぅ」と声を掛けた。
彼女は、僕だと気づいた様子で一瞬 たじろいだがすぐに「はい」と
切りかえしてきた。
僕は、「道に迷ってしまって、○○にいくには、どういけばいいですか?」と、聞いた。
彼女は、「はい、まっすぐ抜けて二つ目の角を左です」と答えた。
僕は、ニッコリ笑って「ありがとう」と答えて車に乗り込んだ。
彼女は、その日から僕のマンションに姿は見せなくなった。
わかりきっていた答えだったはずなのだが・・・
ふと、「夕鶴」の話を思い出した。
見てはいけない、知ってはいけないものもあるのだな・・・と 初めてわかった。
僕は、そのマンションを引き払い 友人のいるアメリカへ向かう準備を進めた。
思えば、青春の一度目の分岐点だったのかもしれない。
もしも、知らずにいたのなら 彼女は 僕の所へ通いつづけたのだろうか・・・
ひとつの、淡い失恋を背負った若き日の思い出・・・


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