07/03/07 21:21:58
怖いもの知らずか天才か?オレンジレンジの引用の技(近田春夫の考えるヒット 365より抜粋)
~その作り自体は普通に今風なのだが、そこに色々な彼等の音楽的経験が反映されている。
面白いのはそこなのだ。
おそらく物心がついてから今日に至るまでの、耳にした、あるいは目にした音楽のエッセンスが、
時に無意識に、時にあざといまでに確信犯的に『ロコローション』には引用されている。
その混ざり具合が実にあきれるほどに見事なのである。
例えば、ローリングストーンズの『ジャンピング・ジャック・フラッシュ』調のギターリフの上に
♪クモンベイベ DO THE ロコモーションなどという歌詞が堂々と乗っかっているかと思えば、
今度はその『ロコモーション』のメロディがファンクロックになってあっけらかんと続いていたりする。
そして、歌がオクターヴユニゾンで歌われているのは、まるで初期のデヴィット・ボウイである。
どの部分をピックアップしても、元ネタや下敷だらけなのが、ここまで透けて見える曲というのも、他にはなかなかないだろう。
が、しかし。
全体をひとつの音楽としてとらえた時『ロコローション』はどうしてもオリジナルな表現となっているのである。
それはつまり、それぞれの引用が、ORANGE RANGEというフィルターで必ず濾過されて、
結局ちゃんと次元を異にする場所に収まっているからで、
また本人達が誰より、その“意味の変換”に注意を払っているのが、曲のアレンジから伝わってくる。
すべてが商業的なパクリとは一番遠いところにあることが、聴けば判るように、この『ロコローション』は作られているのである。
と、書くのはたやすいが、実際、そのような音楽を作ろうとして成功することはまれである。
果たしてこの彼等のしなやかなスタンスが、
若者特有の単なる怖いもの知らずから来るものなのか、天才的資質なのか。気になります。