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【芸術家高本秀行、栄光の軌跡】 ■第十九回■
小学二年生の夏休みの昼下がり。
秀行少年はひとり、家に向かって歩いていた。
道端の空き地では同級生が草野球に興じていた。
秀行少年は一瞥を送っただけで通り過ぎようとした。
すると同級生の男の子が駆け寄ってきて秀行少年に声をかけた。
「どうだい、一緒に野球をやらないか?」
秀行少年は困惑した。なにしろそれまで一度も
バッターボックスに立ったことがなかったからである。
また、野球などというくだらないことに関心がなかったからだ。
しかし秀行少年はこの同級生の気持ちを考えた。
あえて自分に声をかけてくれた好意に報いたい、
そのためにはこのような者達と交わるのも致し方ないと
秀行少年は思い、空き地へ向かった。
(第二十回に続く)