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【芸術家高本秀行、栄光の軌跡】 ■第十ニ回■
午後4時過ぎのことであった。母親が秀行少年の
部屋へ入ってみると、そこには左の手首から
血を流して倒れている秀行少年の姿があった。
驚いた母はすぐに救急車を呼び、秀行少年は
最寄の病院へ運ばれた。幸い一命を取り留めた
秀行少年に母は何も聞かなかった。それは95点と
いう不成績を恥じて自らを断罪しようとした息子の
胸中を痛いほど痛烈に感じた母の親心であった。
秀行少年は数日後退院した。しかしそこにはもはや
数日前の苦悩はどこにもなかった。秀行少年の
心の中には早くも未来への野望と夢が広がっていたのだ。
(第十三回に続く)