03/11/16 01:25 AuVEZjMB
よけいに恥ずかしくなった私はうつむいたままN君に「お茶でも飲まない?私、
お茶入れてあげるよ」と言いました。「でもここ女子の部屋だろ。入れねーよ」。
「夕食までみんな帰ってこないから大丈夫だよ」。そういってN君を部屋に入れ
お茶を入れました。なんでお茶を入れようと思ったのか思い出せませんが、
今考えてみると、照れ隠しの苦肉の策だったのだと思います。
広い12畳の女子の部屋にN君と私がいる。そして一緒にお茶を飲んでいる。
ふたりはしばらく何も会話を交わさずに、日光のひんやりとした風が
窓から入ってくる和室で、お茶をすすっていたのでした。
「おれ、お前のこと結構……」。N君が言いました。「え、何?」
「いや、なんでも」。「なによぉー、気になるじゃないのぉ」と言った
瞬間、私はN君の肩をポンと叩いていました。N君はN君の肩の上に
乗っている私の手の上にN君の真っ白な手を重ねました。
しばらく無言の時間が流れました。窓からは近くを流れる川のせせらぎが
聞こえてきます。
N君は言いました。「しばらくこうしててもいいか?」。私は思わず「えっ??」
と思いましたが、「うん」と小さな声でうなづきました。