03/11/05 01:10 iEun1Fyf
いちばんプルプルな思い出話をしよう。
それは高校2年の帰り道。そう、今ぐらいの11月。文化祭の帰り道。
真っ暗な帰り道、敦子ちゃんは一人で帰るの怖いからもれと一緒に帰ってと
言ってきた。てゆーか、もれと一緒なのもまたそれはそれで危ないのかもしれないことに
敦子ちゃんは気づいていたのだろうか。
とりあえずもれは敦子ちゃんと一緒に帰ることにした。「うん」とうなづくと
敦子ちゃんはとても安心そうな顔をして「ありがとう」と言ってくれた。
敦子ちゃんは空を見上げて「お星様きれいだね。眺めてから帰ろうか」と
言ったので、もれはラッキーと思い「そうだね」と答えた。
「あれが木星でしょ」と敦子ちゃんが言った。もれは星には詳しくないが
知らないのもかっこ悪いと思い「そうだよ」と答えた。「なんだか
冷えてきたね」と言ったのでもれは上着を貸してあげた。敦子ちゃんは
少し恥ずかしそうにそれを羽織った。そのとき上着の胸ポケットに入れて
おいたポケベルが着信した。もれは敦子ちゃんが羽織っている上着の
胸ポケットに手を突っ込んでポケベルを取ろうとした。その瞬間、
手の甲にふわっとそれは柔らかな感触がした。「あっ、ごめん」もれは
思わず謝った。敦子ちゃんは少し顔を赤らめながら自分でポケベルを取り出し
もれに渡した。「もう、ドジなんだから。でも許してあげる」。もれは一瞬
頭が真っ白になった。当時のもれにとってその一瞬は永遠にも等しい時間だった。