08/05/30 20:46:50 GzxY/t7a
>>383のつづき
債権大国日本の対外投資は証券投資、とりわけ対米債権(国債)投資に偏っている。一方、売買の6割、
保有の3割を外国人が占める日本の株式市場は先進国では英国に次いで外国人の存在感が大きい市
場だ。これに対し、債務国の米国は低コストのデット(負債)で資金調達し、高収益のエクィティ(株式)で
資金運用することにより、帳簿上は債務超過でもキャッシュフローは黒字を保っている。
三収支の黒字、資本輸出の資産配分、そして人為的な円安政策を省みず、単純に対日投資を増やせ
と言うのは日本企業のバーゲンセールに等しい。国粋主義者でなくても、乱暴な議論に思えてくる。
対日投資が少ない理由には日本市場の魅力が乏しいことが加わる。世界に冠たる日本の有力企業でも、
国内市場で充分な利益を稼げていないのは過剰投資(過剰供給)の結果である。日本は決して投資不足
の経済ではないのだ。
なすべき対応は、世界で最も自由で無防備にした買収ルールなどの欠陥法制度を放置して企業を安売り
するのではなく、日本市場を豊かで魅力的にすること。法人減税の前に、国内市場をやせ細らせている財政
・金融・為替政策を転換するのが順序だろう。
日本の金融市場に求められる優先課題も、海外資本を引き付けるためのやみくもな英米追随の自由化
ではない。確かなのは長期投資の機会を求める国民のニーズだ。国民金融資産の内外無差別の運用
ニーズに応えるための環境整備こそが大事で、金融機関がもうかるだけの鉄火場を日本につくることでは
あるまい。(渾沌)