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>>169
ジョイス・C・レブラ博士(米国コロラド大学歴史学部教授)
「大東亜戦争下、アジア諸国に進駐して行った日本軍政の最大の特徴の一つは、各国
の青年を教育し、組織し、独立精神を振起した点にある。その遺産は戦後も様々な形
で生き続けている。日本の敗戦、それはもちろん東南アジア全域の独立運動には決定
的な意味を持っていた。 今や真の独立が確固とした可能性となると同時に、西洋の
植民地支配の復活も、許してはならないもう一つの可能性として浮かび上がってきた
のである。民族主義者は、日本占領期間中に(日本軍により)身につけた自信、軍事
訓練、政治能力を総動員して、西洋の植民地復帰に対抗した。そして、日本による占
領下で、民族主義、独立要求はもはや引き返せないところまで進んでしまったという
ことをイギリス、オランダは戦後になって思い知ることになるのである。(中略)さ
らに日本は独立運動を力づけ、民族主義者に武器を与えた。日本軍敗走の跡には、二
度と外国支配は許すまいという自信と、その自信を裏付ける手段とが残ったのである。
東南アジアの人間は今や武器を手にし、訓練を積んでおり、政治力、組織力を身につ
け、独立を求める牢固たる意志に支えられていた。」
東南アジアの開放と日本の遺産 秀英書房