08/01/04 13:20:09 rLodPrwD
憲法によって民主主義にも歯止めをかけていく政治、つまり立憲民主主義をうまく機能
させるために、憲法自体が、さまざまな方法で権力の暴走をくい止めようとしています。
三権分立がそのひとつであることは言うまでもありません。権力を相互に抑制、均衡
させてお互いを監視し合うようにしているわけです。
ですが、議院内閣制のもとでは、この三権分立による抑制均衡は少し変容を受け、弱まって
しまいます。国会という立法権と、内閣総理大臣を長とする内閣つまり行政権は、三権分立
の要請からは本来、別々であるはずなのですが、議院内閣制の下では、国会の政党の党首が
内閣のトップを兼ねることになりますから、ここで国会と内閣が一体化してしまうのです。
ですから、議院内閣制をとるということは、政治部門の中における権力の抑制が働かない
危険をもつことを意味します。そこで、国会と内閣の抑制均衡のかわりに、新たな権力の
抑制と均衡の仕組みを作らなければなりません。
これまでの日本の政治では、良かれ悪しかれ、自民党の中にいくつかの派閥があり、その
派閥間の抑制均衡がある程度の意味をもってきました。タカ派的な考えの議員もいれば、
ハト派的な人もいて、極端に一方に傾かないようにバランスをとってきたのです。
それが、最近の自民党は、小選挙区制によって、選挙区で一人しか当選できなくなり、総裁
や幹事長という政党の幹部に気に入られないと事実上当選できない仕組みになってきましたから
党首脳部の力がこれまでと違って格段に強くなり、党の内部に抑制均衡のシステムがなくなって
しまいました。小泉政権にせよ、安倍政権にせよ、勝ち馬にのれという流れは止めることは
できません。そうだとすれば、新たな抑制均衡の仕組みをどこかに見いださないと、権力は腐敗
するという格言どおり、政治は暴走し、国全体がとんでもない方向に進んでしまう危険性が
あります。抑制均衡の仕組みというのは、あえて権力を対立させて、お互いに検証させ合うと
いうことです。つまり、対立軸を明確にした仕組みということです。
例え民主党が寄せ集めの集団でも、権力分立の原則からいけば政権を一度担当させる
必要がある。それが将来の日本の為になるのでは。