07/07/16 14:05:03 L4+zJO7t
つづき
ドイツのジャーナリスト、ラルフ・ジョルダーノは、その著書『第二の罪 --ドイツ人であることの重荷』
(白水社) において、こうした相殺メンタリティの担い手の度し難い「子供」っぽさを指摘していますが、
いたずらを母親に発見され、「だって、○○ちゃんもやってるもん」とだだを捏ねる「子供」は、
どこの国にもいるものです。スターリンの大粛清、中国の大躍進や文化大革命、ポルポトによる虐殺、
大戦末期のドレスデンの空爆、通州事件からチベット問題、天安門事件から法輪講等々、別途検討されるべき
位相の異なったテーマを脱文脈的に挿入する芸のない陳腐な議論は、歴史修正主義の担い手たちの知的凡庸さを
良く表しています。
先次大戦の戦争加害の問題が、とりわけ1980-90年代になってクローズアップされるようになったのは、
もちろん偶然ではありません。高橋哲哉氏が『戦後責任論』(講談社) で指摘するように、戦後間もなく
米ソの対立が激化し世界の政治が冷戦構造に組み込まれなければ、戦争加害の問題は、戦後すぐに
精査されることになったでしょう。これは、石井軍医中将の「731部隊」などの端的な例を考えれば
分かりやすいでしょう。
化学・細菌戦に関する実験データを米軍に引き渡すことによって、石井中将が免罪され、そのデータが
ヴェトナム戦争時の「枯れ葉剤」爆弾の散布に着想を与えたことは良く知られています。
先般、米国の上下院において、ファインスタイン上院議員の提出した旧日本帝国の軍事資料公開法の議案が
通過しましたが、同資料に関して、日本の国内法が整備されれば、大陸における日本の戦争加害の
大きな部分が明らかになります。