07/04/16 05:10:26 bzPmJyIp
ここで、一つ、われわれの背筋を寒からしめるであろう、ある「シナリオ
」について触れておく事にする。
今年五月から、日本でも外国株式も含む株式を用いた三角合併が解禁される
。株式の時価総額が大きい欧米企業がこの制度を活用し、日本企業をどんどん
買収していく可能性が取り沙汰されている。しかし、買収の主体となるのはな
にも欧米の企業だけではない。
例えば、三月二十九日時点での上昇時価総額を見れば、銀行の時価総額で
日本最大を誇る三菱UFJグループは十四兆四二七一億円。それに対し中国工
商銀行は上海と香港との合計で二十六兆八六八八億円(一兆七七六0億元)で
あり、シティバンクに次ぐ世界第二位、中国銀行にしても同様に十八兆六四一
億円(一兆二三五八億元)という額になる。つまり、理論的にいえば、中国の
銀行は日本の銀行をいつでも買収できてしまう状況にあるのだ。
一方、中国株については、たとえ外国人が株を取得したとしても株主議決権
は行使できないという保護条項があるため、他国による買収を受けることはな
い。この場面では、中国市場の閉鎖性が、中国のみに有利に働くことになる。
買収のターゲットは銀行だけでなく、技術力の高い中小企業から大企業まで、
さまざまな分野に及ぶ事だろう。米国債を後ろ盾に膨れ上がった株式時価総額
を背景に、中国マネーが大挙して「日本買い」に危険性は十分にある。米中タ
ッグ、そしてヨーロッパの巨大企業も参戦しての仁義無き日本企業争奪戦がも
し起これば・・・・・。
三月十五日から二十一日にかけて、中国の鉄道建設の約半分を請け負う中国
道建築総公司など、国有企業五十社の経営トップが訪日した。日本の財務省が
中国の国務院と共に支援する「東京IPOの集い」に参加するためであった。
彼ら中国企業は東京でのIPO、つまり東京での株式公開をもくろんでいるの
だ。そして、翌二十二日には、アジア・メディア・リミテッドが中国企業とし
て初の東京証券取引所上場を承認された。中国は着々と橋頭堡を築いている。
日本政府はまだ、事態の深刻さを認識していない。
(田中英敏)