08/03/14 21:48:26
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消費者物価指数でデフレ脱却を判断するのは誤り
~生々しいデフレの実態を示す「名目GDPデフレーター」~
消費者物価指数だけでデフレ脱却を判断するのは極めて危険である。
むしろ、私が注目しているのはGDPデフレーターの数字である。
GDPデフレーターは、次の式で算出される。
名目GDP÷実質GDP = GDPデフレーター ……(1)
ご存じの通り、「名目GDP」とは、一国が生み出した付加価値の総額であり、次の式で算出される。
名目GDP = 消費+投資+輸出-輸入 ……(2)
たとえば、(2)の式で消費者物価が上がれば名目GDPが増加することがわかる。
すると、(1)の式の左辺の分子が増加し、GDPデフレーター自体も上がる。
当然ながら、インフレの状態になっていることを示すわけである。
同じく、輸出の物価が上がっても名目GDPは増加し、結果的にGDPデフレーターも上がる。
一方、輸入の物価が上がった場合には、名目GDPが減少し、名目GDPデフレーターは下がる。
たとえば、原油価格が上がれば、本来ならばGDPデフレーターが低下―つまり、
物価が下がるという構造になっているのだ。
しかし、輸入の物価が上がっても、その価格が消費、投資、輸出に転嫁されていれば、
(2)の式の右辺はほとんど変化がなく、結果的に名目GDPもGDPデフレーターも変化がなくなる。
それを頭に入れた上で、現在の日本の経済をみてみると、原油価格は高くなっているのに、
GDPデフレーターは異様に下がっている。
はたして、これは何を意味するのか。
それは、原油(燃料)が高くなっているのに、製品価格に転嫁できていないことを如実に表しているのだ。
典型的な例がトラック業界である。原油価格がひどく上がっているのに、運送費はほとんど上がっていない。
要するに、原油価格の上昇に対して、運送会社とドライバーにすべてしわ寄せがきて苦しんでいるわけである。
しかし、消費者物価だけで測ると、そうした現実が外に見えてこない。消費者物価指数が個人消費を
対象にしているのに対して、GDPデフレーターは経済全般の状態を示している違いがここにも現れている。