08/03/20 10:40:20
技師は尋ねた。
「役員になったらどんな暮らしが出来るのだろう」
すると社長はにんまりと笑い
「君はもう殆ど働かなくてよくなる。それでいてケタ違いの報酬を受け取れる。
都心の一等地に住み、高級車を購入してそれで通勤する。
コックやハウスキーパーを雇って、優雅に暮らすんだ。腕のいい家庭教師を雇えば、
子供を一流の私立大学に進学させることもできるだろう。
どうだい、素晴らしいだろう」
技師は少し困った顔をしてこう言った。
「それは素晴らしい。でも社長さん、もっと素晴らしい選択肢があるんですよ」社長は
「ほう! それは実に興味深い、是非とも教えて欲しい」
技師は続けた
「私の妻が描いているマンガはいずれ27ヶ国語に翻訳され、世界中の子供たちに読まれる
でしょう。娘は今小学3年生なのですが、昨日、積分とフランス革命についてじっくり教えたら
ちゃんと理解しました。きっと将来、人類にとってとても役に立つ発見をするでしょう。私達の
住まいはこの工場の二階にあります。通勤時間は0分です。そして今、私が作っている
機械部品は来年打ち上げられる火星探査機に使われるものなんです」