06/05/24 18:58:38
特集ワールド:輸出立国ニッポンが豊かになれないワケ 内需中心の経済に
◇ドルのまま運用せずに、稼ぎでモノを買え
輸出主導で日本経済が長い低迷を抜け出したと思ったら、最近の急激な円高で早くも雲行きが怪しくなってきた。
日本は貿易などで巨額の黒字をためこんでいるはずなのに国民はその恩恵を実感できない。
輸出立国・日本がなぜ、豊かになれないのかを論じた「黒字亡国」(文春新書)の著者、
三国陽夫さんが説明するそのカラクリは。【西和久】
■デフレの原因に
日本は貿易などで大きな黒字を稼いでいる。総額は、05年度1年だけで約20兆円と膨大だ。
もう少し詳しく説明すると、貿易収支、サービス収支、所得収支を合わせた経常収支の黒字が18兆9000億円
(財務省の国際収支速報)にのぼったのだ。
日本の財務省の統計は「円」で表されている。だが、日本の稼ぎのほとんどが、実際は「ドル」である。
貿易も投資に対する利子・配当などもほとんどドルでやりとりされているからだ。
当たり前だが、稼いだドルを日本に持って帰ってきてもそのまま使えるわけではない。
三国さんによると、受け取ったドルを、外国人の持つ円と交換しなければ、おカネを持ち帰ったことにならない。
ところが、円と交換しようとしても、外国人の持つ円は少ないので、円相場は高騰してしまう。
それを避けるため、日本は稼いだドルを、円に替えることなく米国などで運用しているのである。
図をご覧いただきたい。たいていの輸出企業は、輸出代金として受け取ったドルを日本の銀行に持ち込む。
日本の銀行は輸出企業に円を支払い、ドルを受け取る。つまり、日本のなかでドルの持ち主が変わるだけ。
稼いだ黒字を日本に持って帰らずに、ドルのまま運用することこそが「現在のデフレの原因だ」というのが三国さんの見方である。
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