05/11/22 21:19:42
話を戻します。Xさんには私を含めて工作員が20人配置されました。配置された人の年令・国籍は多様で私が一番年下でした。
ある1日の仕事はこのようなものでした。朝、Xさんの自宅のポストに葉書を入れます。宛先の書いてないその葉書には「スイカ」とだけ油
性ペンで文字が書かれています。普段のXさんの生活習慣を監視しているのでXさんがポストを毎朝チェックするのは間違いありません。だ
からXさんはその朝にその葉書を確実に目にした筈です。その日の昼にXさんが歩いて移動している時、すれ違いざまに一人の工作員が大声
で「スイカ!!」と叫びます。Xさんは何か得体の知れない団体に狙われていると気付いているので、この工作員の言動に反応しないはずが
ありません。Xさんは危険を感じたのか可哀想に、悲痛な面持ちで足早でその場を去ろうとしました。しかし私たちはXさんの行動を先読み
して既に工作を仕掛けておきました。Xさんの行く先は二手に分かれていてどちらに進んでも道ばたに不自然にスイカが5個ずつ置かれてい
たのでした。この日の工作は非常に程度の低い、つまり相手が受ける精神的なダメージは小さいものです。Xさんが命を絶った日の工作はX
さんの自殺を確実なものにする工作でした。その工作をここに書くと私の身が危険になる可能性があるので書かないことにします。私はそ
の日の前日、逃げ出したい気持ちで一杯でした。