17/05/18 08:19:25.71CAP_USER.net
中国は14~15日に、北京でシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議を開き、29カ国の首脳と国際機関トップらが参加した。
「一帯一路」の「一帯」とは、中国からカザフスタン、ロシア、トルコなどを通って、フランス・ドイツまで鉄道や道路のルートと拠点を整備して、物流経路として各地域を活性化しようとするものだ。「一路」とは、海路を意味しており、各国の港などを整備していくとしている。
つまり、鉄道、道路、港湾のインフラ整備を行って、陸と海のシルクロードを作るという構想で、カバーされる国の人口は世界の6割の44億人にもなる。
中国からみれば、巨大な公共事業を海外で行うことになる。しかも、中国主導であるので、全てのものが中国基準になると思われる。
今回の国際会議に出席した各国の首脳は、ロシアのプーチン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、トルコのエルドアン大統領、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問など。先進国のG7から首脳が出席したのはイタリアのジェンティローニ首相のみである。
このほか首脳が参加した国は、アジアからはインドネシア、カンボジア、スリランカ、パキスタン、ベトナム、マレーシア、モンゴル、ラオス。中央アジアからウズベキスタン、カザフスタン、キルギスが参加している。
欧州から参加したのは、ギリシャ、スイス、スペイン、セルビア、チェコ、ハンガリー、ベラルーシ、ポーランド。アフリカからはエチオピア、ケニア。南米からアルゼンチン、チリ。オセアニアからはフィジーが名を連ねた。なお、日本からは、中国通の二階俊博・自民党幹事長が出席した。
会議に参加した代表的な国の1人あたりの名目国内総生産(GDP、2016年)をみると、中国が8100ドル、ロシアが8900ドル、フィリピンが2900ドル、トルコが1万700ドル、ミャンマーが1300ドル-となっている。
世界190カ国中のランキングは、中国74位、ロシア71位、フィリピン128位、トルコ64位、ミャンマー160位といずれも先進国とはいえないところだ。全体をみても、「中国主導の途上国クラブ」という感じだ。
先進西側諸国とは違った基準での経済発展の試みとみることもでき、その意味では興味深いが、中国が国際的覇権を握ろうとしていることが明らかなだけに、各地域の経済発展がどこまで確保できるのかがポイントである。
中国基準は、知的財産権の軽視、資本取引規制など日本を含めた先進西側諸国とは異なるもので、先進西側諸国にとって不利である。さらに、いざというときの安全保障の確保も日本にとっては気がかりだ。
このため、日本としては、今の段階で積極的に「一帯一路」に参加することはなく、当面は情報収集に徹するとみられる。
いずれにしても、「一帯一路」は中国の経済力次第で、1人あたりGDPが1万ドルを超えられるかが当面のカギである。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
URLリンク(www.zakzak.co.jp)
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