17/04/21 01:39:06.71 CAP_USER.net
2つの財団疑惑から、サムスン財閥の事実上のトップである李在鎔(イ・ジェヨン)被告の逮捕・起訴、さらに朴槿恵(パク・クネ)前大統領に対する弾劾に至る過程で、中央日報、とりわけその傘下のケーブルテレビJTBCが果たした“功績”は計り知れないほど大きい。
サムスン本流と中央日報グループの関係がギクシャクするのは当然だ。そうした中で、中央日報グループを握る洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)前会長について「次期左翼政権の首相の座を狙っている」との観測が高まりつつある。
「朝鮮日報・東亜日報と、中央日報との路線の違い」が目立ち始めたとの記事を本紙(2016年8月18日)に書いたところ、一部のウオッチャーから「中央日報はサムスンの番犬であることも知らないのか」と批判された。
しかし、あの頃から、中央日報は「保守系3紙」の枠組みから飛び出したといえる。
中央日報は、サムスン財閥がつくった新聞であり、広告面でも同財閥への依存度は高い。だが、現在の筆頭株主は洪錫ヒョン氏だ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の「財閥とマスコミの分離」策を受けて、洪錫ヒョン氏が転換社債を引き受け、さらに李健煕(イ・ゴンヒ)サムスン財閥総帥の持ち株を買い取ったりした結果だ。
洪錫ヒョン氏の父親である洪ジン基(ホン・ジンギ)元法相は、サムスンの創業者である李秉チョル(イ・ビョンチョル)氏の“悪知恵袋”と揶揄(やゆ)された人物で、中央日報の会長を務め、サムスン財閥の中で別格の扱いを受けていた。
洪ジン基氏の娘が洪羅喜(ホン・ラヒ)氏で、李健煕氏の夫人だ。洪羅喜氏の弟が洪錫ヒョン氏だ。つまり、洪錫ヒョン氏と李在鎔氏は「叔父とおい」の関係であり、洪一族は中央日報のトップを世襲してきたわけだ。
洪一族はサムスンとは別に、普光(ポグワン)グループという財閥を経営している。同グループの脱税で、洪錫ヒョン氏は有罪判決を受けたことがある(その後、恩赦)。そんな過去を持つ人物が、盧武鉉政権下で駐米大使に任命された。韓国の文化を知れば、その時にサムスンから盧武鉉政権に資金が流れなかったとは信じがたい。
駐米大使赴任から2カ月後、「サムスンXファイル事件」(サムスンから検察幹部への巨額の“餅代”提供)が発覚した。洪錫ヒョン氏は直接かかわっていたことが明らかになり、駐米大使を辞任した(贈賄は時効)。
Xファイル事件の捜査にブレーキをかけたのは、今や大統領選のトップランナー、文在寅(ムン・ジェイン)候補(当時は大統領府民情首席秘書官=司直の総括役)だったとされている。
どうやら、文在寅氏と洪錫ヒョン氏の間には「見えないパイプ」が通じている。中央日報の「保守系紙からの離脱」の理由も見えてくる。
文在寅氏と、安哲秀(アン・チョルス)候補のどちらが大統領になっても、それは「従北」か「親北」かの違いはあれ、左翼政権だ。左翼政権としては、国民に安心感を与えるため、「財界人の首相」は妙策だ。
ソウルの消息筋は「洪錫ヒョン氏は野心家だ。首相の座を踏み台にして次の次の大統領を狙っている」と言う。恩赦と時効で救われたとはいえ“事実上の前科者首相”があり得るのだろうか。いや、韓国ならあり得るのかもしれない。いずれサムスン一族の中で、「叔父・おい」の戦争が火を吹くのは確実だ。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
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