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金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件を受け、韓国と北朝鮮の国境地帯「非武装地帯」(DMZ)周辺を1400キロ走破した、フォトジャーナリストの山本皓一氏の緊急リポート。韓国では「戒厳令の発令しかない」との声も聞かれたという。(夕刊フジ・3月8日掲載)
私は38度線周辺を先週3日間、走り回ってきた。現地から「極度の緊張状態にある」と連絡があったからだ。
ソウルから、韓国北東部の束草(ソクチョ)市に飛び、最北端にある国境の村・明波里(ミョンパリ)を経て西に向かい、高地の軍人村・楊口(ヤング)に入った。朝鮮戦争の激戦地・鉄原(チョロン)、坡州(パジュ)の砲兵部隊基地を横目で見て、都羅山OP(国境監視基地)、北朝鮮が掘った第3侵攻地下トンネル、統一村、同国北西部の●(=さんずいに文)山(ムンサン)と走破した。全走行距離は1400キロを超えた。
不思議なことに、DMZ近くで軍人の姿はほとんど見ることができなかった。過去5回ほど、同じルートを横断しているが、至る所で大勢の軍人や軍用車両、戦車までも目撃していたのだが…。
さらに、元北朝鮮領だった旧鉄原への道も封鎖されていた。いつもは道路沿いから見られる大砲陣地の155ミリK9砲も姿を消していた。北朝鮮の町を見下ろせる統一展望台まで立ち入り禁止だった。
北朝鮮の不意打ち攻撃を避けて移動したのか? 軍人の外出禁止令が発令されているのか? どこかで臨戦態勢を敷いているのか?
謎が解けたのは、3・1記念日だ。韓国国防部は1日、米韓両軍による合同野外機動訓練「フォールイーグル」の開始を発表した。13日からは、半島有事に備えた合同演習「キー・リゾルブ」も始まり、米韓両軍で約30万人が参加し、4月下旬まで続く。合同演習は時期を早めたとされ、これは完全に臨戦態勢と言えるだろう。
韓国の憲法裁判所は10日前後にも、国会が弾劾訴追した朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免の可否を最終決定する。正男氏暗殺事件の真相究明も加えて、朝鮮半島の危機は確実に増幅している。
朴氏については、擁護派20万人と、指弾派30万人デモがソウル市内で激突し、市街戦に発展する危険を指摘する声もある。警察は車両を並べて道路を封鎖し、激突を阻止しているが、韓国国内に保守と左派の対立境界線ができたようだった。混迷の韓国…。北朝鮮の脅威を知る韓国の識者は「赤化を阻止し、独立を維持するには戒厳令しかない」と語る。
一触即発の危機が訪れているようだ。
■山本皓一(やまもと・こういち) 1943年、香川県生まれ。日大芸術学部を卒業後、渡米。出版社を経て、フリーランスのフォト・ジャーナリストに。世界各国のルポルタージュや、湾岸戦争、ソ連崩壊、北朝鮮などをカバー。近年は尖閣諸島や北方領土、竹島など、日本の国境の島々も取材する。著書に『日本の国境を直視する1、2』(ベストセラーズ)、『日本人がもっと好きになる尖閣諸島10の物語』(宝島社)など多数。
2017.3.16 11:3
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