16/12/03 23:53:40.99 CAP_USER.net
北方領土問題をめぐる日露交渉は「領土で一切妥協せず」というロシア側の強硬派が妨害し、トップ間の政治決着を阻んできた歴史だといえる。露外務省はその急先鋒(せんぽう)であり、1972年から外交官を続けるラブロフ外相も例にもれない。
岸田文雄外相との会談は、15、16両日のプーチン大統領来日を前にした最終調整の場にすぎないはずだが、冒頭から波乱含みだった。
3日午前(日本時間同日午後)、露外務省別館。ラブロフ氏は岸田氏と並んで会場入りしたが、報道陣の前を素通りして席に着いた。立ち止まって握手し、記念撮影に応じる通例をあえて無視したとみられる。
会談冒頭でもラブロフ氏は「露大統領の訪日準備の最終段階なので双方が責任感を感じて作業することを期待する」と事務的な口調で述べただけ。
岸田氏は「週末にかかわらず対応していただき感謝している。十分時間をかけて議論し、山口での首脳会談につなげたい」と応じたが、ラブロフ氏に笑顔はなかった。
会談後の共同記者会見でも、2人はほとんど目を合わせず、最後に握手した際の笑顔もぎこちなかった。
2人のギクシャクは昨年9月のモスクワでの日露外相会談から続く。この会談でも岸田氏は平和条約交渉再開に意欲を示したが、ラブロフ氏は「協議の対象ではない」とはねつけた。
普段、外相級との会談に応じないプーチン氏が岸田氏と会談し、安倍晋三首相の親書を受け取ったことも、ラブロフ氏は気に食わなかったようだ。しかも、ラブロフ氏は当初、この会談に同席すると伝えられたが、実際に同席したのはモルグロフ外務次官だった。
15日に山口県長門市で首脳会談が行われるのに、翌16日に東京での経済フォーラムへのプーチン氏出席を決めたのもラブロフ氏だった。長門でのトップ会談を早々に切り上げることで領土交渉を棚上げし、経済協力に関する協議を優先させたいという思惑が透けてみえる。
また、ラブロフ氏ら露外務省は長門で宿泊せず、15日中に東京に戻る案を打診している。日本側は長門宿泊は譲れない一線だが、ロシア側は長門会談の短縮をなお執(しつ)拗(よう)に狙ってくるに違いない。
長門会談まで残り10日余り。日露の攻防はギリギリまで続く公算が大きく、予断を許さない。(モスクワ石鍋圭)
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【モスクワ=石鍋圭、遠藤良介】ロシア訪問中の岸田文雄外相は3日午前(日本時間同日午後)、ラブロフ露外相とモスクワで会談し、15日からのプーチン大統領の来日に向け、最終調整を行うとともに、北方領土問題を含む平和条約締結交渉をめぐり意見交換した。
会談後の共同記者会見で、岸田氏は平和条約締結交渉に関し、「立場の隔たりを克服し、双方が受け入れ可能な形で締結するとの目標に向け、引き続き精力的に取り組みたい。日露両国民から歓迎されるような成果を出したい」と述べた。
15日に山口県長門市で行われる日露首脳会談については「1年を締めくくる日露最大の行事だ。双方の努力でぜひ成功させたい」と述べたが、具体的な日程に関する言及はなかった。
これに対して、ラブロフ氏は平和条約締結に関し、「双方一致している側面もあるが、別の側面もある。ただ、両首脳は受け入れ可能な解決策を見いだす政治的意思を持っている。問題は複雑かつ困難だが、忍耐強く緻密な作業をしなければならない」と述べ、過剰な期待を戒めた。
また、ラブロフ氏は「北方領土での共同経済活動について安倍晋三首相が『何ができるか検討したい』と提案し、プーチン大統領が同意した」と説明。「この問題に関し日露両国の作業が続いている」とも述べた。
会談は1時間40分行われた。岸田氏は、露軍が北方領土の択捉島と国後島に新型の地対艦ミサイルを配備したことに対し「わが国の北方四島に対する立場と相いれず、遺憾だ」と抗議した。ラブロフ氏は、米国が主導するミサイル防衛(MD)についても触れ、「脅威を作り出している」と懸念を示したという。
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会談後の記者会見に臨む岸田文雄外相(左)とロシアのラブロフ外相=3日、モスクワ