16/10/19 23:59:13.32 CAP_USER.net
安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領と戦後71年が経過しても平和条約を締結していないことは「異常」との認識で一致している。12月15日には自らの地元である山口県長門市にプーチン氏を迎え、北方領土問題の解決に道筋を切り開く構えだ。ただ、結果次第では政権運営に影響も与えかねない。なぜ、そのリスクを覚悟で領土返還交渉を急ぎたいのか。
父の背中
平成3年4月18日、衆院議長公邸で開かれたソ連のゴルバチョフ大統領の歓迎昼食会。この前年1月、安倍晋太郎元外相はモスクワでゴルバチョフ氏と会談し、日本側が領土問題を主張することを「固有の権利」として認めさせ、「来年の桜の咲くころにおいでください」と呼びかけていた。
ただ、晋太郎氏は病魔に侵され、体力は限界に近づいていた。それでもゴルバチョフ氏を迎えるため、やせた体を悟られないようスーツの下に詰め物をして出席した。大統領は晋太郎氏にこう声をかけた。
「私は約束を果たしました。桜がそろそろ咲きますよ」
晋太郎氏はこの約1カ月後、不帰の客となった。ゴルバチョフ氏との会談は政治家として最後の舞台だった。安倍首相は晋太郎氏が外相を務めたときに秘書官となり、領土問題解決に心血を注いだ父に接してきた。父が成し得なかった戦後未処理の領土問題を自らの手で決着させたい思いは人一倍強い。
経済にあえぐロシア
資源大国のロシアだが、世界的な原油価格低迷を受け、経済的に苦境に立たされている。ウクライナ問題による欧米の対露制裁も経済を悪化させている。
プーチン氏はロシア国内で強い政治的基盤を築くが、このまま経済状況の改善が見込めなければ、その地位も危うくなりかねない。これに呼応したのが安倍首相だった。
首相はロシア側に極東開発を含めた8項目の対露経済協力を提示している。経済協力を進めつつ、領土交渉を促す狙いがある。ただ、外務省幹部が「領土問題を忘れた形で経済協力が進むことがないようにしなければならない」と指摘するように、ロシア側が経済協力だけを吸い取るとの懸念も日本には根強い。
対中牽制
「中国と仲が悪い日本、ロシアと仲が悪い日本よりも、そこそこ仲良くしておいた方が、もう一方を相手にするときに、どちらがいいか。いろんな関係を結ぶことで全体の外交で有利になる」
外務省幹部がこう語るのは、日露関係の強化が、日本の安全保障で最大の脅威となっている中国と北朝鮮の軍事力に対する牽制につながるとの見方だ。
政治的な決断を要する領土問題を解決するには、双方の政治的基盤の強さが必要だ。安倍首相とプーチン氏はともに高い支持率を保持し、長期的な政権運営が見込める。外務省関係者は「今はいろんな条件がそろっている」と指摘する。(峯匡孝)
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北方領土の歯舞群島。手前は納沙布岬=2013年1月、北海道根室市(共同通信社機から)
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今年9月、ロシア・ウラジオストクで会談した安倍晋三首相(左)とプーチン大統領。両首脳は12月に山口県で会談を予定しており、北方領土交渉はヤマ場を迎える(AP)