16/07/16 17:57:34.62 CAP_USER.net
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観艦式で航行する海上自衛隊の護衛艦。日本の安全保障は風前の灯だ
自衛隊のルーツは警察予備隊だ。１９５０（昭和２５）年６月２５日、朝鮮戦争が勃発すると、連合国軍総司令部（ＧＨＱ）最高司令官、ダグラス・マッカーサー元帥は７月８日、日本政府に７万５０００人の「警察予備隊」を設置するよう指令した。
こうして、８月１０日に同隊が設置された。保安隊を経て、５４（昭和２９）年７月１日に自衛隊となった。
マッカーサー元帥が警察予備隊の設置を命じたのは、日本に進駐していた米軍が朝鮮戦争を戦うことで日本列島が軍事的に手薄になったからだ。当時、日本もまた共産化の恐れがあった。内外の共産主義から日本を守る措置が警察予備隊の設置だった。
警察予備隊は、米軍の存在を前提として米軍の不足を補うために設置された。その性格は自衛隊に受け継がれた。日本の安全保障体制は在日米軍の駐留を前提としながら、自衛隊が補うという形をとっている。
自衛隊は他国の軍隊と異なる偏った組織だ。海上自衛隊の掃海部隊など、得意とする分野は世界屈指の能力を持つが、極端に劣るか、そもそも存在しない分野も多い。攻撃を担う「矛」は在日米軍に任せ、日本を守る「盾」を担う組織だからだ。
その「盾」も憲法９条の制約により「自衛のための必要最小限度」に限定されている。しかも、軍隊ではなく、警察力でしかない。自衛隊単体では日本の守りは極めて不十分というのが現状だ。
中国は「第一列島線」突破を本気で考えている。やがて、「第二列島線」も突破して、太平洋の西半分を支配下に置こうしている。何十年も掛けて、サラミソーセージをスライスするように、少しずつ根気よく現状を変更していくのが中国の軍事戦略だ。
間もなく「第一列島線」上半分の東シナ海でも、下半分の南シナ海と同様の強行な動きを見せるだろうし、軍艦が日本領海を侵し始めている。
そんななか、肝心の在日米軍の存在に赤信号がともりつつある。規模縮小や撤退の可能性もある。現在の日本の防衛水準を、自衛隊だけで確保するには２５兆円以上のコストが掛かるとの試算がある。
日本から日米同盟を解消することはないにしても、肝心の米国が心変わりする可能性もある。日本の安全保障は風前の灯だ。
日本は生き残らなければならない。米国の東アジアでのプレゼンスが小さくなろうとも、主権国家として存続しなければならない。９条２項改正により、自衛隊を普通の国の「軍隊」にすることは不可欠の措置だ。９条改正回避の「お試し改憲」の余裕はないはずだ。 ＝おわり
■八木秀次（やぎ・ひでつぐ） １９６２年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士課程中退。専攻は憲法学、思想史、国家論、人権論。第２回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。
教育再生実行会議委員、法制審議会民法（相続関係）部会委員、フジテレビジョン番組審議委員、日本教育再生機構理事長など。著書に『憲法改正がなぜ必要か』（ＰＨＰパブリッシング）、『公教育再生』（ＰＨＰ研究所）など多数。
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