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膠着する九州新幹線西九州ルートの行方に道を開いたのは、1本の電話だった。
佐賀県で西九州ルートを担当する地域交流部の部長には新たに山下宗人氏が就いた。
国側の担当者である国土交通省鉄道局の足立基成幹線鉄道課長は佐賀県側の担当者交代を受け、早速、挨拶の電話をした。
「早く協議をやりましょう」。電話口で協議の再開について口火を切ったのは佐賀県の山下部長だった。事態を進展させる必要があると考えていたのは国も県も同じだったのだ。
5月31日15時にスタートした協議は冒頭の挨拶もそこそこに、佐賀県の山下部長が与党検討委員会の対応に不満を表明「5案について幅広く議論し、佐賀県の合意なしにフル規格を前に進めることはない」と、国交省の足立課長に約束させた。
一方で、足立課長も「FGTやスーパー特急は現実的ではない。私どもはフル規格が現実的として建設費や投資効果を示しているが、ほかにどのような数字が足りないのか教えていただきたい」と迫った。
フル規格に反対するなら佐賀県は対案を示せということだ。冒頭から緊張感あふれる議論となった。
佐賀県の反論は思いもよらぬものだった。
「最高時速260kmの新幹線と在来線の対面乗り換えの所要時間は1時間20分。最高時速200kmのスーパー特急の所要時間は1時間21分で1分しか違わない。必ずしも新幹線がずっと時速260kmで走っているわけではなく、時速200kmのスーパー特急とあまり変わらないでのはないか」
最高時速260kmでも時速200kmでも所要時間があまり変わらないなら、FGTの最高速度を時速200kmに落とす案はどうかということだ。
「FGTの技術開発ができなかったのではなく、技術開発をやめただけ。可能性がある以上、検討すべきだ」。国は痛い所を突かれた。
佐賀県からさらなる提案も出てきた。現行の佐賀駅を通るルートに加えて
★佐賀駅の南側にある佐賀空港を経由するルート
★長崎自動車道沿いを走る北部ルートの3ルートを検討してほしいと要望したのだ。
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佐賀県にメリットがあればフル規格も容認できるとも取れるこの発言は大きな前進である。
足立課長は「北と南のルートも今回提案いただいたので、協議ができるよう準備する」と約束した。