24/02/15 19:43:39.73 .net
元妻の墓参りに行ってきた。
離婚したのは8年前、元妻、元々病弱だったけど、娘を産んだ後、頑張って育てていたけど、娘が幼稚園に入るとき、倒れちまった。
これ以上の夫婦生活を営むのは困難だと医師から言われ、7年間の夫婦関係を解消した。
俺が面倒みるから、俺の実家に入ろうと言ったけど、俺と一緒だから無理して頑張ってこうなったんだと義両親から言われ、泣く泣く別れた。
俺33歳、元31歳、娘は5歳だった。
遠方の療養所へ向かう元妻を、娘は下唇を噛んで見送った。
元妻の訃報を聞いたのは3年前、病弱な元妻はコロナであっけなく逝ってしまった。
元義父母から呼び出され、柘植の櫛を渡された。
「生みの親の形見だから、孫が成人した時に渡して欲しい…」
享年36歳、俺も元妻の遺影の小型版を分けてもらった。
墓参りに行きたかったけど、元妻って赤の他人で、俺の妻として亡くなったわけじゃないからと、墓参りを拒まれてしまった。
今回、元妻の墓参りを敢行したのは、元妻に報告があったからだった。
俺は、元妻がいつか元気になったら、復縁するつもりで再婚はしないでいた。
でも、それが叶わなくなったから、前を向いた。
周りからも、娘が思春期を迎える前に、母親を見つけたほうがいいと言われ、亡くなった母親の通院や入院などの面倒をみていて婚期を逃した女性と、昨年再婚した。
俺40歳、今妻36歳、娘は小6だった。
俺は、元妻が心配してるような気がして、墓参りをしたんだ。
線香と花を手向け、手を合わせた。
「俺なあ、お前がもう戻らないと知ったから、再婚したんだ。娘が思春期を迎える前にさ。あの柘植の櫛、娘が成人したら渡すよ。その時、娘を連れてまた来るよ。じゃあな…」
初めての墓参りだった。
そして、娘が成人した時に娘と来る墓参りが、きっと最後の墓参りになるだろうなと思った。
お寺を出るとき、振り向いた。
元妻が、笑顔で手を振っているのが見えたような気がした。