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(文責:Hi everyone!★)
集団的自衛権の行使容認をめぐり、官邸前で数千人~1万人規模の抗議が起こっている。ただ、批判的に報じる主に「左」の
日本のメディアは、「戦争へ向かうのか」「憲法9条をないがしろにするのか」といった観点から報道しているものが中心であるように
見える。しかし、これは本当に本質を突いているのか。
そう思っていろいろな報道を見ていると、いくつか興味深い指摘をしている記事があったので順番に紹介していく。
1.米国の見方
オバマ大統領は今回の集団的自衛権の行使容認を受けて、「強く支持する」との意見を素早く表明した(注1)。韓国では
「米国は韓国ではなく日本の肩を持つのか」などと不満の声も出ているようだが(注2)、これは的外れな反発だ。この背景には
何があるのか、東洋経済が実に興味深い記事を掲載している。
集団的自衛権、黒幕の米国が考えていること 日米安保体制はますます米国の思うまま
URLリンク(toyokeizai.net)
ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー東京特派員の高橋浩祐氏はこう指摘している。
(1)米国は世界中に軍隊を送り、覇権を握ることから降り始めた。既にアメリカは単独では国際秩序を維持できないと認めている。
(2)その穴埋めとして、アメリカは同盟国に対してさらなる負担を求めており、「集団行動」へと移行することを求めている。
今回の日本の集団的自衛権の話は、この文脈に沿ったもの。
(3)米国では1970年代から、「自分たちが平和を担うために血を流しているのに、日本は安保にただ乗りしている」という不満がある。
以上の要因を踏まえると、「そもそも安倍政権には、集団的自衛権を行使しないと拒否する」という選択肢はありえるのか?という
疑問がわいてくる。「行使しない」とした場合には、単純に米国が撤退して、日本は「単独で」中国と対峙していかなければならないと
いうことになるからだ。
そもそもの大前提としては、「アメリカはすでに覇権国家たる立場に白旗を振り、そこから撤退しようとしている」という要因があり、
それがもたらしている混乱こそが、現在イラクで起こっている国家分裂の危機だからだ。おそらくはアフガニスタンでも同じような
混乱が近い将来に起こる可能性は高いだろう。
集団的自衛権の本質とは、日本側が「我々も参加するから、どうかアメリカはプレゼンスを維持してくれ」という「懇願」に近いものだと
私は見ている。安倍首相は「自分が決断して決めました」と偽っているが、そもそもそんな選択肢自体が存在しないのだ。
(注1) URLリンク(www.sponichi.co.jp)
(注2) URLリンク(www.chosunonline.com)
2.ロシアの見方
そう思って他のニュースを見ていると、ロシアのメディア「ロシアの声」が非常に興味深い分析をしている。「ロシアの声」は元々が
国営ラジオが前身の会社なので、ロシア政府がどういう見方をしているかの参考になる(もちろん、ロシア側のプロパガンダも
多く含まれているので注意は必要だが)。そして、ロシアは極東の情勢分析において、非常に正確かつ冷徹に状況を見ている
印象がある。
集団的自衛権の行使を容認した日本
URLリンク(japanese.ruvr.ru)
この中で、ロシア人専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏は、「尖閣諸島などを巡る地域紛争が起こった場合に、米国が日本側に
立つのかどうか懸念を抱くようになった」ことが要因としてある、と指摘している。中国が防空識別圏を一方的に設定した時も米国は
日本側には立たず、ただ事態を緩和させようとするだけだったことなどがその例だと。
ロシアの声は、「近いうちにも、日本と米国の戦略的同盟関係の概念も見直される可能性がある」「日本は自国の力で地域の安定性
を保証するような国になることを望んでいる」と指摘している。安倍政権はプーチン政権とも関係は比較的良好なため、おそらくは
政権中枢に近い情報を得ているのかもしれない。
(>>2以降に続く)