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(>>1の続き)
3.中東諸国の見方
東京新聞は7月2日の夕刊で、「中東で民間支援を行なっている人々が、日本への信頼を失いかねない」と懸念していると報道した。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
> 「(海外で働く)NGO(非政府組織)の人たちが危険な目に遭っている中において、自衛隊が彼らを守ることができなくていいのか」
>との疑問を呈する安倍首相。しかし、長谷部さんの思いは違う。
>
> 二〇〇五年からJVCのアフガニスタン担当として支援に携わってきた。危険と隣り合わせだが、「いざというとき、自衛隊が
>駆け付けて解決してくれるなんて考えられない。現実は映画じゃないんです」。
>
> 誘拐やテロに巻き込まれた場合、地元の有力者に仲介を頼み、地道な交渉で解決を目指す。だからこそ、ふだんから地元との
>対話に力を注いでいるが、米国などとは違い、現地に「軍隊」を派遣していないことが信頼につながっていると肌で感じている。
>
> 長谷部さんは思う。「今回の決定は日本への信頼を失わせ、将来的に海外の日本人を危険にさらすだけではないだろうか」
この指摘は非常に大事である。もっとも有名なのはパキスタンのペシャワール会の活動だ。もちろん犠牲はゼロではないが、
しかし仮にこれと同じことをアメリカのNGOがやろうとしたら?あるいはイギリスのNGOがやろうとしたら?おそらくペシャワール会の
比にはならないほどの犠牲が出ているだろう(そもそも運河建設も実現できていないかもしれない)。
同様に、イラク・サマワでの自衛隊の行動も、現地の人たちからは称賛されていたと漏れ聞く。仮にあの時、自衛隊も戦闘に
参加していたなら?おそらくイラクの人々の感情はかなり違ったものとなるであろうことは想像に難くない。
しばしば日本では忘れられがちだが、世界において「宗教」は大きな対立要因である。そして、「キリスト教とイスラム教の対立」は
かつての植民地化時代から現在まで続いており、アメリカのイラク戦争なども、中東諸国では「キリスト教国の侵略」として見る見方も
根強く残っている。
その中において、宗教的に中立を保ち、かつ武力行使もしない、さらには強国ロシアをかつて打ち負かし、戦後もいち早く復興を
遂げた日本への尊敬感というのは、実は西欧諸国よりも大きなアドバンテージを有している。しかし、今回の集団的自衛権によって
このアドバンテージは相当損なわれる可能性はゼロではない。
そして、その間に日本と同じように「宗教的に中立を保つ」中国が触手を伸ばし始め、中東諸国から支持を広げたりしはじめると、
そもそも日本は中東産油国からのシーレーンを守ることをメインの目的として集団的自衛権の話を始めたのに(これが主目的の1つです)、
その肝心の中東産油国から敵視されるという、何をしたいのかよくわからないことになりかねない。ここには注意が必要であり、
日本は海外に対して、丁寧に説明していく必要があるだろう。「戦争しない日本」というブランド価値は実は結構大きいのだ。
(さらに続きます)